なお、作中でのマフィア云々はシュワちゃん映画『イレイザー』の港湾労働者組合の切り取り動画をYouTubeで観てたら、入っていたコメントです。
いや〜、いいよね〜、あの組合本部の方々。(笑)
次号 熟れたから落ちた
8月23日 トケラウ諸島沖
フェニックス諸島〜サモア諸島に向かうまでのほぼ中継地点にあるトケラウ諸島の沖合いを前号で出た140隻の輸送船と護衛の駆逐艦30隻…内20隻は平甲板型駆逐艦…の大輸送船団が航行していた。
今までの日本海軍の潜水艦の襲撃に対応する為に送り出された破格の30隻の駆逐艦は流石に分が悪く、潜水艦部隊は襲撃を控えていた。
実際、今まで襲撃海域であった筈のフェニックス〜サモア諸島間を通過しているにも関わらず、一度の襲撃も発生していなかった。
だが……これは意図的な『嵐の前の静けさ』であった。
午後1時頃
赤道付近での航行の為か、太陽の照り付けにより、船内より甲板の日陰を見付けて涼む輸送船の手空きの乗組員達が多かった。
だが、皮肉な事にこれがこの後に発生する事態の犠牲者を減らす事になる。
そして、攻撃は突然始まった…上と横から。真上から龍驤の99式艦爆が輸送船の1隻に向けて500ポンド爆弾を投下・命中させたと同時に護衛で外周に配置されている平甲板型駆逐艦の1隻が被弾、派手に爆発をおこし、火災と黒煙を出して行き足を止める。
これが合図であったかの様にたちまち輸送船団は激しい航空攻撃に晒された。
後に『トケラウ諸島沖の惨劇』と言われる事になる、南太平洋の結末を決め、更にアメリカの凋落を示す様な事態の始まりだった。
少し前 攻撃隊指揮官機 鮫島大尉機
「あれが例の大輸送船団か…輸送船が100隻以上とは…確かに豪勢だな」
視線の先に見える輸送船団に鮫島大尉は唸る。
攻撃隊隊長として、規模は聞いていても、それを聞くと見るとではインパクトに違いが出てくる。
「弱い者虐めみたいで嫌なんだが…これも戦術・戦略ならやむを得んからな…攻撃開始の信号弾を撃て」
自らが操縦桿を握るタイプの鮫島大尉は後席の部下に伝声管を通じて指示を出す。
部下が信号弾を発射すると、97艦攻隊の3分の2が抱えていた新兵器である『空中魚雷』の名で空技廠・艦政本部開の合同チームで発された対艦用噴進弾『梅花一号』だった。
但し、この『梅花一号』は誘導装置が無い、それこそ魚雷の様に未来位置に向かって発射する必要のある物だった。
幸いにも今回の『初陣』は護衛の駆逐艦達は伊号潜水艦の襲撃を警戒し、海面・海中に注意を注いでいた為、梅花一号や急降下爆撃の命中まで気付く事はなく、次々に輸送船団の船舶に被弾した。
そうして発生した混乱に乗じ、護衛の零戦隊や紫電改が機銃や主翼の二式噴進弾を発射し、護衛の駆逐艦を妨害していく。
残りの97艦攻隊は標的の輸送船・輸送艦に向かって魚雷を抱えて接近する。
そして、鮫島大尉ら豊鶴の天山艦攻隊はと言うと……
「よし…行くぞ! 続け!!」
鮫島大尉機を先頭に天山艦攻隊が突撃する。
抱えるのは1000ポンド爆弾、雷撃より少し高い高度を高速で駆け、1隻の輸送船に狙いを定める。
「もうちょい…もう…ちょい…てぇぇ!!」
気合いの声と共に投下された爆撃は海面を跳ね、魚雷より高速で輸送船に向かい、横っ腹に命中、爆発する。
スキップ・ボミング…反跳爆撃、陸軍では跳飛爆撃と言われ、ビスマルク沖海戦で米陸軍航空隊が日本側の輸送船団に用いた爆撃法は史実でも日本側で実施試験を行った鮫島大尉によって、日本側の新たな爆撃法として実施された。
豊鶴天山艦攻隊は次々に反跳爆撃を敢行し、米輸送船団を狩っていく。
何とか阻止しようと護衛の米駆逐艦は抵抗するも、駆逐艦1隻で輸送船4隻も守らなければならない残酷な現実により、被害は拡大し、その護衛の駆逐艦が被弾すると輸送船団の被弾はますます加速する。
ある平甲板型駆逐艦は対空射撃を止め、救助旗を掲げ、戦闘を放棄して、被弾・撃沈された輸送船の乗組員達を回収しようと動き回る。
結果…輸送船団は護衛の駆逐艦2隻、輸送船104隻、平甲板型駆逐艦改造の輸送艦19隻が撃沈、輸送船6隻大破、駆逐艦18隻、輸送船4隻、輸送艦1隻が中破。無事な輸送船は6隻…しかも、損傷した物も無事な輸送船もダメージコントロールと救助活動の為に積み荷の大半を投棄する羽目になる。
こうして、史実のビスマルク沖海戦のアメリカ版と言うべきトケラウ諸島沖海戦、『トケラウ諸島沖の惨劇』は目的地の遥か前で敵空母機動部隊の空襲により輸送作戦は失敗した。
さて、日本側は第二機動艦隊により、輸送作戦を潰した訳であるが、ガダルカナル島やニューカレドニアではなく、アメリカ側の後方海域と言っていい、フェニックス諸島〜サモア諸島の中環地点での捕捉・攻撃を実施した訳だが、日本側はかなり早くこの輸送船団の情報を掴んでいた。
無論、ガダルカナル島や米豪遮断作戦の状況から予測は簡単であったが、ここまでピンポイントな情報を『何処から入手したのか?』と言う事になる。
実は意外な事に、この輸送作戦の『掴み』はアメリカのイタリア系マフィアからの情報網でイタリア本国に伝わり、イタリアが日本へ提供したのだ。
では、何故『イタリア系マフィアがその情報を掴んだか』となる。
なんと(史実でもそうだったのだが)、アメリカ政府はイタリア系マフィアに戦時中の港湾の警備を含めた管理・運営を委託していた。(そもそも、マフィアの前身は『港湾の労働者組織』が始祖)
そして、『管理・運営』を委託する以上、彼らには『船舶関係の情報』がほぼ確実な数字と共に提供される事を意味する。
後は『蛇の道は蛇』の諺の如く、マフィアの情報網を伝い、イタリア本国に届けられ、ムッソリーニは『中立国からの情報提供』として、日本大使館を通じ、政府・海軍に伝わっていた。
無論、幾らほぼ正確な数字とは言え、日本側も別ルートで確認をとった。カナダやメキシコ、イギリス本国のロイズ保険組合、更には通信傍受による、アメリカ軍同士、又はアメリカ軍とオーストラリア自治政府とのやり取り…あらゆる使える手段を使い確認を取り、今回の攻撃を実施した。
だが……この日のアメリカの『災厄』と『最悪』と『惨劇』は終わっていなかった。
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