今回は…まあ、日常(?)モードです。
次号 元敵? それが何か?
12月8日 横須賀
開戦から丁度1年となったこの日、横須賀には帰還してから整備を行なっていた第二機動艦隊所属艦艇がポツポツと戻って来ていた。
無論、まだ諸事情により戻ってきていない艦艇、更に配属予定の艦艇もいるが…賑わいは徐々に戻りつつある。
そして…戦艦加賀艦内の滝崎の部屋もその賑わいが戻りつつあった。何せ普段は艦橋に居る事が多く、余り滝崎が居ない為、滝崎の居室はいつの間にか艦魂達の溜まり場兼駄弁り場になっていた。(そして、それを滝崎が承知しているのもあるが)
それが整備の為に各地に散っていた艦艇達が戻ってくと言う事は必然的にその賑わいも戻ると言う事なのだが……。
「えっ…ちょっと待って! ヒロちゃんとナギちゃんが室蘭から戻らない理由って『改装』!? 聞いてないんだけど!?』
「落ち着け、落ち着け、夕張…まあ、その、改装と言っても、兵装の取り替えで、小規模な…」
「『兵装実験巡洋艦』として、『兵装の取り替え』は認識範囲内なの!!」
……部屋の主の滝崎は第六水雷戦隊旗艦の夕張に襟首を掴まれる程に詰められていた。理由は……まあ、聞いた通りである。
「やめとき〜、夕張。滝ちゃんも悪気ないし〜。そもそも、滝ちゃんだって全部を全部知ってる訳ちゃうしな〜」
そんな滝崎と夕張のやり取り(?)を苦笑いたっぷりに止める龍驤
、同じく苦笑いを浮かべながら呆れている五十鈴、そして、『はい、どうぞ』とばかりに紅茶を配り、給仕役を務める神鷹、それを手伝う飛鷹、酒瓶片手に面白可笑しく笑う隼鷹。
「龍驤さん! そう言う問題じゃないの!! 兵装! どんな兵装や装備を2人が持ってくるかなの!!」
「いや、結局一緒やん」
ツッコミを入れた。完全に漫才、下手をすれば吉本新喜劇の流れである。まあ、吉本新喜劇は戦後生まれなので、この場で言っても伝わらないが。
「まあ、私も秋月達の妹4人が増えるから…無関係じゃないけど」
「空母もね〜、ヨークタウン級3隻が揃いぶみで、神鷹さんにも相棒が出来るしね〜」
五十鈴と隼鷹が言った。なお、隼鷹は酒瓶片手、しかも、お猪口でちびちびと飲みながら、である。
「あ〜、しかも、神鷹さんの所、相棒と護衛役の増加やしな〜。神鷹さん、大変やな〜」
「ふふふ、龍驤さん、私は慣れました。そもそも、私、元貨客船ですよ?」
確かにそうだった。神鷹こと元貨客船『シャルンホルスト』号、何気に『乗客』と言う他人を多人数を扱ってきただけに、『人付き合い』と言う意味では人付き合いが上手い…メイドである事も関係あるのか? どちらにしても、この場にいた皆が何故か納得した。出来てしまった。
「んん…まあ、そもそも次期作戦等々の話がないですし…第二機動艦隊の編成が何処まで増えるかは私も何とも言えませんので…ね」
実際、滝崎はある程度第二機動艦隊の編成は『知っている』が、『艦隊』に居る以上、それに口を出す事はもちろん、山本総長や堀長官との協議に参加してる訳ではないので、詳細は知らない。
「まあ、何気に角ちゃん(角田中将)より軍政側に近い滝ちゃんも知らんなら…しゃーないか」
若干棘を感じつつ、探る様な言い回しで龍驤が言う。
流石、ベテラン古参であり、鳳翔と共に黎明期の空母航空隊を築いた龍驤としか言い様がない。
「やあ、滝崎大佐。失礼…痛っ!?」
「こら、時雨。あんたは緩すぎよ」
「うふふ、おはようございます、滝崎大佐、皆さん」
「おはよう、滝崎大佐。ぞろぞろとだけど、失礼するよ」
時雨の挨拶に山城が頭を叩き、それを笑いながら扶桑が挨拶し、最上が続けて転移してきた。
「やあ、おはよう。山城と時雨は…まあ、何時も通りだな」
「ちょっと、『何時も通りだな』で納得しないでよ…扶桑姉様は笑わないで下さい!」
「あらあら、すっかり、『お姉さん』じゃない、山城」
「あ〜、うん、確かに『お姉さん』だね」
「最上まで! って、皆も微笑ましそうにしないでよ!」
滝崎はもちろん、龍驤や夕張、五十鈴、神鷹、飛鷹、更には隼鷹までお猪口を片手に見ていた。
「いや…まあ、無理だな」
「あ〜、無理やな」
「う〜ん、無理ね」
「無理ね。山城『お姉さん』」
「うふふ、無理ですね」
「無理ですね、山城さん」
「ヒャッハー! 山城、それは無理な相談だね〜」
滝崎、龍驤、夕張、五十鈴、神鷹、飛鷹、隼鷹のわざとらしい全会一致だった。
「ちょっ、皆して…特に五十鈴! あんた、遊んでるでしょう!?」
「あら、あの『鬼の山城』が立派に『先輩のお姉さん』をやってるのを比喩してるだけよ? ねぇ?」
五十鈴の問いに扶桑を含めた山城以外の部屋の全員が頷く。
「ちょっ!! 扶桑姉様まで!! 時雨!! アンタも素直に頷かない!!」
顔を真っ赤にさせた山城が気恥ずかしいのを隠したいのか、ツッコミとも何とも言えない文句を言い出す。
「さてさて…山城さんの良い所が見れたので、神鷹さん、皆にお茶菓子を」
「滝崎大佐! 一番アンタが質悪い!!」
と言いつつ、肩を掴んで激しく揺する『だけ』の山城だった。
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