※この作品はR-18です。

大逆転! 大東亜戦争を勝利せよ!!   作:休日ぐーたら暇人

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46 吹雪の中で

12月4日 トゥルク 港内埠頭 朝顔艦内食堂

 

 

 

「随分と吹雪いておりますな」

 

 

「素人目でも、こんな時に出歩いたら遭難すると思う程だな」

 

外の吹雪具合に運用長と松島宮が話す。

ソ連軍の航空攻撃後、陸軍派遣部隊に続く形でトゥルクに寄港した表敬艦隊は猛烈な吹雪により開店休業状態だった。

故に艦艇幹部達は艦内食堂に集まっていた。

 

 

「気象予報ですと、この吹雪は当分続くそうですよ」

 

 

 

「なら、航空偵察も出来ない。隠れて部隊配置を行うには絶好の天気だな。まあ、人間にはたまったもんじゃあないけど」

 

同じく外を眺めていた砲術長が何処からか仕入れたネタを話すと、滝崎が淹れられたばかりの紅茶に口をつけながら言った。

 

 

「ほう、やはり、副長殿は陸さんで中隊長ぐらいはやれますな。陸戦隊に転身されては? 伝手に話を通しますよ?」

 

 

「止めてくれ、水雷長。副長が離れると、書類処理が停滞する」

 

 

「それに、私はそんなタマじゃあないよ、水雷長」

 

水雷長の物言いに松島宮と滝崎が否定する。

ただ、机の下では松島宮は滝崎の足を踏んでいた。

 

 

(で、その話のネタ元は何処だ?)

 

 

(史実です!)

 

グリグリと足を踏みながらヒソヒソと話す2人。

その間、運用長達は互いに話している為、ヒソヒソ話は聞こえていない。

そんな中で砲術長が言った。

 

 

「にしましても、こんな冬の真っ只中に戦争とは…ソ連やスターリンは何を考えているんですかね?」

 

 

「ドイツのポーランド侵攻、並びにバルト三ヶ国の確保やらのスケジュールの都合だろうさ。それにスターリンとしては『大軍での大攻勢で短期間で潰せる』と思っていたんだろう。だから、冬になろうが、吹雪で荒れようが、関係ないのさ」

 

そして、それで過去に大失態を犯しているにも関わらず、さすが『書記長』、他人に責任を押し付けて逃げた過去があるのか、反省はしていないらしい。

 

 

「さてはて………どうなりますかね?」

 

紅茶に口をつけながら、滝崎は呟いた。

 

 

 

 

その頃………

 

 

 

「やれやれ、北極圏の吹雪がこれ程とはな」

 

防寒着で着膨れした栗林忠道少将は呟く。

現在、栗林少将率いる歩兵師団はスキー装備でフィンランド軍先導の下、北部へ向かっていた。

 

 

「…これでは騎馬での移動も難しい。車輌も気を付けないと動けなくなるな」

 

そもそもが騎兵科であった事、更に個人的にドライブ好きである栗林少将はその視点からもこの環境下での移動の難しさを把握する。

 

 

「お互いに難儀するな、栗林」

 

 

「宮崎か。そっちはどうだ?」

 

同じく防寒着で着膨れした宮崎繁三郎少将が声を掛けながら近付いてきた。

なお、2人は陸士同期(26期)、陸大一期違い(栗林35期 宮崎36期)である為、フレンドリーに話している。

 

 

「満州に居たから、準備は出来ていた。だが、想像以上だ。参謀本部がスキーを含めて準備していなかったら、これは本末転倒になっていたな」

 

 

「あぁ、騎兵科としても、満州の冬やシベリア出兵での経験があるが…この天候は難儀なやつだ」

 

 

「互いに雪に馴染みはある筈なんだがな……これは比べるのが難しいな」

 

なお、栗林少将は長野県、宮崎少将は岐阜県の出身である。

だが、北極圏の冬は『日本での冬』とは訳が違う。

 

 

「やめだ、やめだ。天気の事を嘆いても意味はないし、そもそも、これも作戦の内だからな」

 

 

「そうだな。なら、景気づけに歌うか? お前が関わった『愛馬進軍歌』でもな」

 

 

「と言う程関わってはないんだがな」

 

宮崎少将の言葉に苦笑いを浮かべる栗林少将。

だが、歌うかは別である。

 

 

『くにを出てから幾月ぞ♪ ともに死ぬ気でこの馬と♪ 攻めて進んだ山と河♪ とった手綱に血が通う…』

 

 

 

その頃……

 

 

「伊達にとらぬこの剣♪ 真っ先駆けて突っ込めば…」

 

 

「愛馬進軍歌かね? 西少佐」

 

 

「おっと、重見大佐でしたか」

 

移動中の貨車の中で愛馬進軍歌を歌いながら小銃の手入れをする西竹一少佐に重見大佐が声をかける。

 

 

「いきなり戦車隊に異動になるとは思っていなかっただろう?」

 

 

「はあ…ですが、騎馬隊の縮小と戦車隊への再編成は決まっていた様なものですから…それに、我々にもこの様な物を貰えましたからね」

 

 

そう言って西少佐は手入れをしていた小銃を見せる。

一見すると38式騎銃(実は『38式騎兵銃』は書類上正式名称ではなく、『38式騎銃』が本来の正式名称。発音による『機銃』との混同避ける為、現場では『騎兵銃』と呼ばれていた)なのだが、見慣れた者なら装填装置を含めた機関部の違いで解る『別物』。

 

『98式騎(兵)銃』

 

『44式騎銃の後継』としつつ、外見も口径(6.5㎜)もほぼそのまま『38式騎銃』で、『何が変わったのか?』と訊きたくなる『98式騎銃』。

そもそも、99式歩兵銃が採用されている(本格配備はまだ)状況において、『何故に99式の騎銃型を作らないのか?』と問われ、しかも、『旧型の焼き増し』としか捉えかねない『98式騎銃』。

では、何が違うか?

その答えが装填装置を含めた機関部。見知った者なら解るM1ガーランドの様な機関部。

そう、98式騎銃は『半自動小銃』なのである。

何故そんな物があるか、の理由を当事者として知る重見大佐。

しかし、それはあえて言わない。

 

 

「まあ、これからも転向組も増えるし、君の様な有名人だからこそ、苦労もあると思うが、頑張ってくれたまえ」

 

 

「えぇ、わかっています。そう言えば、我々は北部に向かうとか?」

 

 

「フィンランド軍としては、今は南部は防衛線で防ぎ、北部で攻勢を掛けて、ソ連軍を撃退するつもりだ。その戦力増強として、我々が向かっている」

 

 

「なるほど、では、新たな愛馬達で頑張りましょう」

 

ニヤリと笑いながら、西少佐は言った。

 

 

 

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