色々と批評はあると思いますが。
英霊の皆さん、ありがとうございます。
今はどうぞ、安らかに。
(一応、内容はタイトル通り…かな?)
11月9日 トラック諸島 夏島 司令部
「う~~ん、はぁ~~、肩がこる~~」
報告書を書き終え、思いっきり身体を伸ばす滝崎。
名目とは言え、役職である以上、報告書を含めた事務作業があるので、こうして机に座り、書き物をしている。
「まったく、一気にやり終える必要もなかろうに」
呆れ気味に松島宮が言った。
「仕方ないよ。普段業務に加えて、潜水戦隊と護衛戦隊の第三者検分の報告は結構気を使うんだよ。あと、例のレナータ参加の件もあるし」
「あぁ…なるほどな…まあ、レナータ参加の件は良かったと思うぞ…色んな意味で」
「…少しトゲを感じるのは気のせいかな?」
「…今のレナータを知ってるか? 護衛戦隊からも、潜水戦隊からも、女神扱いだ。イタリア出身なのに、ギリシャに近いから、アテネの化身だそうだ」
皮肉と苦笑いたっぷりの物言いに滝崎もつられて苦笑い。
「まったく、『目が良いから』と本人了承で話を通してみたら、あれよあれよと言う間に参加決定だ。で、護衛戦隊からは称賛、潜水戦隊からは文句と質問の嵐だ。まあ、故に女神扱いなんだが」
「あはは……歓迎されてる様で」
「……それを言うか? まあ、歓迎されてないよりはよいか」
滝崎の返答で呆れ気味で言う松島宮。
そこに噂の本人がドアを開けて入って来た。
「あっ、トクマサ~、マサロウ~、ちょっといい?」
「ん、あぁ、事によるが、なんだ?」
「もし暇なら、これから護衛戦隊の対潜訓練に飛ぶけど、行く?」
「なんで、『ちょっとそこまで』ぐらいの感覚で誘いに来てるんだ?」
「まあまあ…それに、僕らも報告に必要な訳だし…」
レナータの言い様にこれまた呆れる松島宮と諌める滝崎。
「はぁ…まあ、そうだな…だが、私は報告書を書かなければならない。今日のところは断らせてもらう」
「なら、必然的に僕が行く事になるね。と、言う事で、レナータ、よろしく頼む」
「オッケ~、じゃあ、さっそく行きましょう」
そう言ってレナータは滝崎の腕を掴むとそのまま引っ張って行く。
「…松島宮~、物は纏めてあるから、後はよろしく~」
「おうおう、死んでくるなよ~」
何故か若干不機嫌そうな返事の松島宮を置いて滝崎はレナータに引っ張られて行った。
30分後 水上機発進場
「…馬子にも衣装、とは言うが、どうも似合わない気がするな」
飛行服を貸してもらい、レナータに言われた通りに水上に駐機している中島95式水上偵察機の前で待っている滝崎。
ただ、どうも飛行服姿の自分の似合わなさに苦笑いしながら呟く。
「お~い、マサロウ~、お待たせ~」
「ん、いや、そんなには待って…」
……振り返った滝崎が現れたレナータの呼び声への返答に詰まったのは、飛行服姿のレナータを初めて見て新鮮だったこと、そして、故に身体のラインと胸が強調されているから。
「あれ? そうだっけ? まあ、いいや。そう言えば、マサロウって飛行機…あっ、輸送機は何度も乗ってたよね」
「まあ、乗るだけならね」
「じゃあ、さっそく乗って乗って」
そう促されて滝崎は後部の偵察員兼後部銃座座席に乗り込む。
そして、レナータは操縦席に座ると馴れた様子で発進準備を終える。
「じゃあ、行くわよ?」
「何時でもどうぞ」
伝声管を使い確認をとるとレナータは水偵を発進させる。
その間に滝崎は発進場の方に目を向けると手を振る整備員達、そして、視線を操縦席に向けると同じく手を振るレナータ。
その後、何事もなく水上から離水する。
「ちなみにレナータ、整備員達をどう手懐けたの?」
「ん~? 手懐けてはないわよ。間宮の最中と羊羮を分けただけで…」
「それを手懐けたって言うの。もしかして、イタリアでは整備員に女の子紹介するとか言ってた?」
「ギクッ! な、何の事かな~」
その反応に図星だな、と思う滝崎。
「さ、さて! 動作点検に移るわ。ちょっと振り回すわよ」
「……えっ!?」
それを聞いて察する滝崎。
ちなみに95式水上偵察機はそれこそ戦闘機並みの運動性能がある。
つまり……
「輸送機とは違うから、舌噛まない様に気をつけてね!」
「ちょっ、まっ…」
言っても無駄だと思いつつ、口に出しながらも、滝崎は急旋回に耐えるべく、口を閉じる事にした。
暫くして
「……大丈夫?」
「……下手したら吐いてた」
散々振り回した後、グッタリ気味の滝崎にレナータは声をかける。
「…で、対潜訓練だよね? 時間大丈夫?」
「ん? 大丈夫よ? いま着いたから」
そう言われ、下を見ると、前に見た千鳥型・鴻型水雷艇や駆潜艇が展開し、此方に気付いた乗組員達が手を振っている。
「…ホント、君は人気者だね」
「あら、駆逐艦で戦艦と巡洋艦に喧嘩を売った2人の片割れとは思えない言葉ね」
「それを言うかい? まあ、事実ではあるがね」
「でしょう……マサロウ、信号拳銃、そっちにある?」
「ん、あぁ、あるよ。ちなみに未装填で、予備の信号弾もかなり」
「なら、直ぐに装填して、一発撃っちゃって。潜水艦発見の合図だから」
「了解」
直ぐに装填し、一発撃つ間にレナータは95水偵を旋回させ、潜水艦がいる方へ飛ぶ。
「ちなみに訊くけどさ、マサロウ?」
「なんだい、こんな時に?」
「トクマサとマサロウって付き合ってる?」
「……はあっ?」
こんな時に何をとんちんかんな事を訊くのかと思う滝崎。
「いや~、だって、職務中ならともかく、それ以外の距離感が…ね」
「いやいやいや、待って待って。レナータ、君ホモ好き?」
色んな意味でそんな事はないので否定しつつ、そっちの嗜好があるのかと訊いてみる。
「あれ~、そう? なんか、普通ではない様な気がするんだけど…」
「違うに決まってるでしょう…と言うか、話変わるけど、今回の訓練ってどうなってるの?」
「うーん、普通の索敵と攻撃訓練なんだけど…多分、私のせいで見付かってばかりだから、今回は早駆け襲撃に切り替えたみたいね」
「…潜水戦隊も大変だな」
「まあ、私も潜水艦側の時もあるから、そこはお互い様と言う事で…さあ、また振り回すわよ!」
「えっ、また!?」
「一応、『爆装してる』事になってるからね。ちょっと爆撃の『真似』をするだけよ」
「…もう、君に任せる」
内容を知ってる人間に任せる事にした滝崎だった。
なお、こうして滝崎は訓練に午後の真ん中頃まで付き合う事になる。
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