※この作品はR-18です。

大逆転! 大東亜戦争を勝利せよ!!   作:休日ぐーたら暇人

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遅くなり申し訳ありませんでした。
仕事でズルズル書くのが長くなりました。

次号……甘いのでブラックコーヒー必須。


82 ハル・ノート

11月26日(アメリカ北東部標準時 日本時間 11月27日) アメリカ合衆国 ワシントンDC ホワイトハウス

 

 

……後に『日米の運命を分けた』最後通牒が行われた。

すなわち……

 

 

「これが我が国の要望です。ご確認を」

 

そう言ってコーデル・ハル国務長官から出された『要望』を神妙な面持ちで生唾を飲み込みながら受け取った野村吉三郎特認大使らの面々。

そして、その内容を見て苦悩に歪み、青ざめる日本側。

その内容は…

 

1 満州・支那からの完全撤兵

2 北樺太をソ連に返還

3 ソ連との不可侵条約締結

4 ドイツとの通商技術提供協定の破棄

5 支那共産党を認め、支那国民党との国共合作を支援する

6 新日米通商条約の締結

7 日英同盟の見直し

 

 

「では、ほ…」

 

 

「お待ち下さい。ハル国務長官」

 

要望を出し、さっさと退出しようとするハル国務長官を見事なブリティッシュ英語で鋭く止める声が日本側からあがる。

その声の主は他の日本側の面々と違い堂々と腕を組み、鋭い視線をハル国務長官に向けていた。

 

 

「どうしましたかな、ミスター・ジロウ・シラス?」

 

そこには『対米特別交渉大使』として参加していた白洲次郎がいた。

 

 

「内容を確認致しましたが、満州からの撤兵以外にも明らかに今までの交渉で議題に上がっていなかった事項があります。それこそ、我が国と貴国だけで済む話ではございませんが、国民党政府などに打診はしましたか?」

 

 

「あくまで『要望』ですから、我々が合意してから打診しても問題ないのでは?」

 

 

「なるほど、間違いではありませんな…では、ソ連との不可侵条約締結、これはアメリカが仲介してくれる…この認識でよろしいか?」

 

 

「いいえ、貴国とソ連の不仲は承知しているが、断絶している訳ではない。それに、ソ連はドイツとの戦いで手が回らない以上、これまでの紛争の講和交渉の様にはならない、と思っております」

 

 

「ほほう、アメリカの仲介はなし、と…なお、これに同意した場合、アメリカ政府が行われている我が国に対する経済制裁を解除する意思は?」

 

 

「…確約出来るかは明言出来ませんが、可能性は高いかと」

 

制裁の解除の話にハル国務長官は一瞬だけ間が空いて答える。

何故なら、その話は彼が知る範囲内では聞いていないからだ。

 

 

「可能性は高い、と。それは何とも怪しい話ですな。それでは此方が其方の要望を飲んだとしても、此方が一方的に不利益だけを被る結果に陥る可能性があります。確約を明言されなければ、此方としても動きようがありませんな」

 

 

「……」

 

白洲大使の言葉に気まずそうな顔で沈黙するハル国務長官。

 

 

「話は変わりますが、ハル国務長官は国際連盟の支持者でありましたよね?」

 

 

「え、えぇ、それが?」

 

 

「いえ、国際社会の秩序と平和、安定をお望みになる国務長官が曲がりなりにも秩序による平和と安定がなされている東南アジア方面を自ら壊す様な事をなさる…貴方の様な方が解らない筈ではありますまい?」

 

 

「……」

 

先程とは違い、はっきり目に見えるぐらい苦い表情を浮かべるハル国務長官。

それはそうだろう、問題が無いわけではないが、東南アジア(極東)は一時期の日本の『暴走気味』な動き以降、曲がりなりにも『安定化』しつつあったのは事実だから。

正に状況と行動に自己思想的な矛盾があるのを自覚していた事を指摘されては黙らざるを得ないし、苦い顔もする。

 

 

「ちなみに、これは大統領もご存知の内容ですよね?」

 

 

「当然です。これは我が国の要望。勝手に私的な案を出せる訳がありません」

 

当然とばかりにハル長官は述べるが、どこか理不尽役を押し付けられたからか、なげやり気味に答える。

 

 

「わかりました。これより我々は貴国の返答を『皆』に報告して来ます」

 

そう言うと白洲大使はスッと立ち上がると退出する。

他の面々も慌てて白洲に倣うかの様に出ていった。

 

 

 

 

2時間後 ホワイトハウス 大統領執務室

 

 

 

「流石の日本もこの条件は意外だったか」

 

ハル国務長官から報告を受けたルーズベルトは若干嬉しそうに言った。

 

 

「はい…しかし、大丈夫でしょうか? どうも日本側の態度が引っ掛かります」

 

 

「ふん、何を心配する必要があるのかね? いくら日本が今まで上手くいっていたとは言え、所詮は猿の浅知恵。しかも、暗号解読により、軍の動きが活発である事も解っている。奴らは戦争をする気だ。まあ、どちらにしても余り変わらん。精々イギリスに泣き付いて醜態を晒すだけだ」

 

去り際の白洲大使の言葉に引っ掛りを感じていたハル長官の不安をルーズベルトはそう言って一笑して否定する。

が、その瞬間、ノックも無しに入って来た大統領補佐官が全てをひっくり返した。

 

 

「た、大変です! 日本大使館が記者会見を…は、早くラジオを!!」

 

 

その様子に手近のラジオのスイッチを入れるハル長官。

 

 

『…じょうが、ハル国務長官より手渡されたアメリカ政府の要望で御座います』

 

 

「この声は…ジロウ・シラス!」

 

 

「ふん、いつもの会見だろう。慌てる必要もあるまい」

 

嫌な予感が的中したハル長官と普段通りと慌てないルーズベルト。

が、予感は悪い方に的中する。

 

『アメリカ国民の皆様には公正公平な判断をして頂く為、あえて公表を控えておりましたが、先の11月7日に『甲案』、21日に『乙案』と称する提案を致しておりました。詳細は別紙の資料をお読み頂きますが…簡単に概要を申しますと、甲案は現在日本が考えられる中での最妥協案、乙案はそれでも纏まらなかった場合の暫定案でございました』

 

この発言にハル長官はその意図を察し、ルーズベルトは顔を真っ青にする。

無論、両名はその内容は知っている。それをラジオで語ると言う事は……

 

 

『その回答を貰える筈のこの日、我々が受け取ったのは『満州からの撤兵』以外、今まで交渉の議題にすら上がってこなかった事項ばかり。また、我が国の外交政策へ多分に干渉し、更にこれを受け入れても『経済制裁の解除』を確約しない、正に一国家に『傀儡になるか、死ね』と言う選択を迫るに等しい『要望』がルーズベルト大統領の認可の下、我々に手交された訳です』

 

 

「な、何をしている! 早くこの会見を止めさせろ!! 或いは放送を止めんか!!」

 

 

「……手遅れです、大統領。既に日本側は『要望』を資料化し、会見参加者に配布しているでしょう……夕方には全アメリカ国民が知る事になるかと…」

 

慌て怒気で顔を真っ赤にしながら叫ぶルーズベルトに対し、冷静に言い放つハル長官。

 

 

「くそ! くそ!! ジャップの猿野郎共め!! 猿知恵でとんでもない事をしやがって!! 許さん……許さんぞ!!!」

 

やり場のない怒りを罵倒に上乗せして叫ぶルーズベルトであった。

 

 

 

 

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