※この作品はR-18です。

大逆転! 大東亜戦争を勝利せよ!!   作:休日ぐーたら暇人

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このリメイク版オリジナルです。
原作では前号の兼ね合いでサラッと流したのを作ってみました。
ポイちゃん活躍話。

次号 いったん息抜き

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93 フィリピン・フォーチュン島沖海戦

日米新旧戦艦対決の最中 フィリピン フォーチュン島沖合い

 

第三艦隊(西封鎖線部隊)旗艦 足柄艦橋

 

 

「敵アジア艦隊接近! 重巡ヒューストンを先頭に此方に来ます!」

 

バターン半島〜ルバング島の間で封鎖線を敷いていた第三艦隊の西封鎖線部隊の前にマニラ湾からアジア艦隊が出てきた。

本来なら、マニラ湾湾口を封鎖すれば良いのだが、その湾口であるバターン半島東端にあるコレヒドール島要塞、並びにフォート・ドラム(エル・フレイル島・『コンクリート戦艦』)があり、この両要所の強力な火砲(コレヒドール島要塞 30センチカノン砲8・30センチ榴弾砲12  フォート・ドラム 36センチ砲4)は封鎖部隊には脅威であり、その射程圏外に封鎖線を敷くしかなかったからだ。

故に第三艦隊は艦隊を2つに分け、東西で封鎖線を形成していた。

(なお、ルバング島・ゴロ島〜ミンドロ島を抜ける南ルートがあるのだが、そこは台湾・フィリピン方面艦隊の第五水雷戦隊が封鎖していた)

 

 

「増援の2戦艦が来たから、それに合わせて出て来たな。よし、予定通り、敵艦隊を撃破する。突撃用意」

 

報告を受けた南雲中将は素早く命令を出す。

既に古賀中将からノースカロライナ、ワシントンと交戦していると通信が入っていた為、封鎖線部隊は戦闘態勢下にあった。

 

 

「敵沿岸砲射程圏外に出るまで堪えろ。我慢比べになるが、必ず勝機はある」

 

『封鎖部隊を攻撃し、到来する増援の2戦艦を引き入れる為にも多少の交戦は必要な為、射程圏外から出るしかない』と敵の思惑を推理している南雲中将は我慢比べに徹するつもりだった。

が、その思惑は味方によって覆る。

 

 

「た、大変です! 警戒の夕立が単艦で突撃しています!!」

 

 

「な、なに!?」

 

これには南雲中将も驚くしかなかった。

 

 

夕立艦橋

 

 

「全速一杯! 敵艦隊の懐に入り込め!!」

 

夕立の艦橋で艦長の吉川潔中佐が突撃命令を下す。

本来、夕立は第四水雷戦隊(旗艦 那珂)の第二駆逐隊(村雨・五月雨・春雨・夕立)に所属し、春雨とペアを組んで水雷戦隊の先行警戒として、先頭に居た。

そして、南雲中将からの『突撃用意』を『艦隊が突撃出来る様に先行し、優位点を確保する』と『拡大解釈』し、独断専行を実行していた。

 

 

(敵は両要所の沿岸砲射程内にいる。イザとなれば沿岸砲の援護を受けたいからだ。が、故に彼らは『射程外へ動けない』と言う事だ)

 

快速艦艇が中心のアジア艦隊がその特性である『機動力』を自ら封印している。

無論、これは沿岸砲の援護を受ける為、更に言うなら、『艦隊を保全しなければならない』と言う自己呪縛に陥ったが故の着地点だった。

だが、吉川艦長はこの状況ゆえの『隙』を見付けたからこそ、独断専行を行った。

 

 

「敵艦隊、本艦に向け砲を指向中!」

 

 

「いいぞ、いいぞ! 敵さんも大慌てだろうな!! 砲撃始め! ドンドン撃て!」

 

一つ間違えれば嬲り殺しになりかねない中、夕立は勇猛果敢にアジア艦隊に殴り込みを掛けた。

 

 

 

アジア艦隊旗艦 ヒューストン艦橋

 

 

「て、敵デストロイヤー更に接近!! 止まる気配ありません!!」

 

 

「各艦撃て! フィンランド湾や太平洋艦隊の様になりたくなければ、あのデストロイヤーを…バーサーカーを撃沈しろ!!」

 

旗艦である重巡洋艦ヒューストンの艦橋でアジア艦隊司令長官トーマス・C・ハート大将が叫ぶ。

『駆逐艦が単艦で突撃してくる』と言う報告に誰もが驚愕したが、『状況不利・格上相手でも殺しに来る』と言うフィンランド湾の事例を思い出し、太平洋艦隊の末路を知るが故に指示を下す。

それは他のアジア艦隊艦艇も同じらしく、指示が下る前に夕立に砲撃を開始する艦艇もあり、たちまち夕立は水柱のカーテンで隠れてしまう。

が、夕立への集中射撃はアメリカ側の砲撃修正を困難にしただけでなく、夕立が繰り出した『爪』を隠してしまった。

突如、数隻のアメリカ艦艇から魚雷命中を示す水柱が立ち上がる。

その被害を受けた艦艇の中にヒューストンも含まれており、更に夕立の砲撃を艦橋直下に受けてしまった。

 

 

「くっ…うわっ!?」

 

 

「だ、大丈夫ですか! 提督!?」

 

 

「わ、私は大丈夫だ…いや、それより君の方が問題だ! 衛生兵を! 艦長の方が重傷だ!!」

 

魚雷命中には耐えたものの、続く砲撃命中の衝撃で壁に背中を打ち付けたハート大将にヒューストン艦長のアルバート・ルックス大佐が慌て駆け寄り、声を掛ける。

しかし、ハート大将は命中弾の爆発で割れた窓ガラスで頭や左肩を負傷したルックス大佐を見て、慌てて衛生兵を呼ぶ。

そして、この被雷がアメリカ側を混乱させる。

無論、この被雷は夕立の61センチ四連装魚雷発射管2基から発射された酸素魚雷8本によるものだが、発射の瞬間を見ていない(と言うか見えない)のと、雷跡が見えなかった為に『ウェークの様に潜水艦が潜んでいる』と言う憶測が生まれ、アメリカ側の足並みが更に乱れる。

そして、そこにトドメとばかりの報告が入る。

 

 

「敵封鎖部隊が突っ込んで来ます!!」

 

 

 

足柄艦橋

 

 

「第四水雷戦隊司令より意見具申! 『夕立に続くべし』とのこと!」

 

 

「うむ、具申を受ける。全艦突撃! 敵艦隊は乱れた! 夕立に続け!」

 

夕立の単騎突撃により当初の我慢比べの予定は崩れてしまったものの、史実と違い専門分野を任せられたが故に心理的余裕があった南雲中将は吉川艦長の考えを理解し、同じく理解した西村少将の具申を受け入れた。

実際、夕立の突撃はアジア艦隊の戦列を崩壊させた上に、本来頼りの両要所の沿岸砲は夕立の突撃の混乱が収まっても、味方撃ちを恐れて沈黙していた。

そして、これが吉川艦長が見付け、南雲中将や西村少将が理解した『隙』だった。

至近距離の乱戦により、沿岸砲は本来援護する『味方』により封じらたのだ。

また、この突撃命令はただでさえ混乱しているアジア艦隊への死刑判決にもなった。

 

 

ヒューストン甲板

 

 

「……現状は?」

 

封鎖部隊本隊の突撃により、夕立の魚雷が浸水に併せて第2主砲塔を故障させた中でも交戦したが、その状況では長く戦える筈もなく撃ち負け、総員退艦が発令されたヒューストン。

その甲板の上で窶れ気味のハート大将は聞きたくなさそうに質問した。

 

 

「…逃れたのは駆逐艦2隻だけです…マーブルヘッド、ボイシもダメです…我々の完全なる敗北です…」

 

質問された士官も答えたく無さそうに答える。

ヒューストンに並ぶ主力の軽巡ボイシ、快速部隊を率いる軽巡マーブルヘッドも交戦虚しく戦闘不能となり、13隻の駆逐艦も逃げた2隻以外は撃沈される結果となった。

 

 

「……ノースカロライナとワシントンは?」

 

 

「…呼び掛けに応じません…もしかしたら、日本側に捕捉され、撃沈された可能性があるかと…」

 

その回答にハート大将は両手で顔を覆う。

もう、敗北どころか、戦闘の意義も救援のチャンスも無くなった上に、更にはフィリピンの運命はほぼ決したも同様な状況だった。

 

 

「敵…いえ、日本のデストロイヤーが接舷します…あの単艦で突撃してきた奴です」

 

 

「…日本側が人道的で助かる…今の我々に出来るのは味方を纏めるぐらいしか出来ないからな…」

 

この敗北の状況的に出来る事に専念する事にしたハート大将だった。

 

 

 

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