(日本側だけ2回になる模様)
次号 フィリピンでの地上戦
1月4日 横須賀鎮守府近海 プリンス・オブ・ウェールズ艦橋
「正面より、先導艦の重巡『タカオ』接近します!」
「アドミラル・ホリからです。『殿下ニヨロシクオ伝エヲ』以上です」
入ってくる報告にフィリップス大将は頷くと今まで先導してくれた堀長官の乗艦へと敬礼を行い、続いてジョン・リーチ艦長ら手すきの乗員もこれに倣う。
「…どう思う、艦長? ビスマルクを相手にした君の意見を聞きたい」
徐々に離れていく堀長官の乗艦に視線を送りながら、フィリップス大将はリーチ艦長に訊いた。
「…こんな事を言ってはなんですが、相手が違い過ぎます。偉大な名を艦名としている点は一緒でも、まったく格も中身も違います」
苦い表情で答えるリーチ艦長にフィリップス大将は頷きながら、その答えを素直に受け入れた。
「『ヤマト』か。日本の別名称を頂いた艦と聞いたが…ふむ、我が首相は良い決断をされた、と改めて思いたいな」
ここまで先導してくれた戦艦『大和』から醸し出される堂々とした威容とその『脅威度』を感じたフィリップス大将が呟く。
そして、改めてその『矛先』が自分達や祖国に向けられていない事に安堵と感謝を感じていた。
お昼頃 東京湾 青山埠頭
「どうぞ、殿下。お足下にお気を付けを」
「すまない、中尉。まあ、慣れてはいるのだがな」
緊張気味でエスコートするサムエル・フォール中尉、それに続く松島宮と付き従う滝崎。
在日イギリス人らを含めた大勢の歓迎者の居る中、接岸したプリンス・オブ・ウェールズから降りて来たフィリップス大将ら東洋艦隊幹部らと来訪歓迎式典を終え、フォール中尉のエスコートでプリンス・オブ・ウェールズに乗艦した。
「ようこそ、アドミラル・プリンス・マツシマノミヤ。貴殿の乗艦を歓迎致します」
「短い時間でありますが、よろしくお願いします。フィリップス大将」
「はい…おっと、忘れない内に…王女殿下からの『ファンレター』です」
そう言って預かっていた例の『ファンレター』を渡すフィリップス大将。
「これは…わざわざかたじけない。因みに王女殿下はお元気で?」
「はい。我が首相が『マツシマノミヤ殿下の話題が出る度に冷や冷やしている』と言う程には…先のウェークでの件を聞かれて、
どうなったか聞いてみたいものですな」
「なるほど…まあ、ご存知かも知れないが、私の下にイタリアからの研修士官が居るのだが…下手に話題にしない方がよいかもしれん」
「…あぁ、なるほど、殿下も大変ですな」
何かを察したのか頷くフィリップス大将だった。
その日の夜(日本時間) プリンス・オブ・ウェールズ艦内 司令長官公室
「…以上がウェーク島沖海戦の概要的な推移です。詳細はレポートの方を御覧下さい」
フィリップス大将らを前にして、最初は緊張していたものの、経緯を説明する内に落ち着きを取り戻したフォール中尉がそう言って報告を終えた。
「うむ、ご苦労だった。突発的に観戦武官をやらせてしまったが、よくここまで詳細に、かつ第三者的に纏めてくれたね」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。それに関しては直接戦闘下でなく、別部隊の駆逐艦に乗艦していたのと、乗艦していた駆逐艦の救助者の中に戦艦アリゾナの艦長と戦艦戦隊司令がおり、また、アドミラル・プリンス・マツシマノミヤのお陰でキンメル大将ら艦隊幹部から聴取出来たのが大きいかと」
「そうか…因みに、君の『救助協力』の件はマツシマノミヤ殿下からも『どうぞ、よしなに』と言われている。まあ、問題は無いから、君は気にしなくてよいぞ」
そう言って、先に出されたレポートを手に取り、流し読むフィリップス大将。
「…確か、明日、インドミダブルのパイロットと日本海軍パイロットとの模擬戦があったな?」
「はい。なお、明後日には日本陸軍とも行います。パイロットはフランス戦やバトル・オブ・ブリテンに参加したベテランや腕利きも混じっています。なお、両日共に捕虜交換で帰国予定のダグラス・バーダー中佐がオブザーバーで参加予定です」
フィリップス大将の問いに幕僚の1人が答える。
「ふむ…彼らからも模擬戦の感想を纏めてもらおう。出来れば、バーダー中佐からも聞きたいな」
「わかりました。インドミダブルを介して通知致します。バーダー中佐に関しては、我々と同行して帰国しますので、機会はあるでしょう」
「うむ、出来れば頼む。さて、今夜は解散だ。皆、休んでくれ」
フィリップス大将の一言で解散となり、幕僚達やサムエル中尉が退出していく。
全員が退出した後、件のレポートをチラリと見る。
(我々はよいが、本国にも未だに、あの大統領の様に日本を侮っている者も多い。多分、明日・明後日の模擬戦は相当な事になるかだろう…『ヤマト』の件はアメリカに報せるつもりはないが…本国の連中にも戒めにしてもらいたいものだ)
そんな感想を心中で呟くフィリップス大将だった。
4日夕方(アメリカ ワシントンDC時間) ホワイトハウス
「くそ! 最悪な年始だ!!」
執務室で悪態を吐くルーズベルト大統領。
開戦からの一連の海戦による戦艦10隻をはじめとした多大な損害、その原因の大統領の一連の失策に対する批判、更にそれを煽るかの様に昼のニュースや夕刊に出た、イギリス東洋艦隊の日本来訪の報道。
東洋艦隊の訪日を『イギリスのアメリカ軽視』とする主張も『大統領がイギリスの面子を何度潰した?』との批判で押し流され、ますます大統領の立場は悪くなるばかりだった。
「どいつもこいつも、『日本は! 日本が!』だ! 白人としての矜持はないのか!? 黄色の猿に我々は負けているんだぞ!! あの知能に劣る、有色劣等種にだぞ!!」
…現状聞かれたら、間違いなく色々と問題発生で派手に炎上しそうな悪態を吐くルーズベルト。
そこへ、ハル国務長官が言い難そうに口を開く。
「大統領、例の工作ですが…」
「ん? あぁ、あの件か。経過は順調か? 何か問題でもあったか?」
「い、いえ、今のところは…ですが、よろしいのですか? 流石にこれは…」
「何を言ってるんだ、国務長官? 向こうは乗り気だし、そもそも『向こうが言い出した』話だろう?」
「…まぁ…そうですな…」
『いや、アンタが誘惑・誘導したんでしょう』と言いたいが、言っても無駄だと諦める。
そして、『これ、失敗したら、こっちの首を余計に絞める事になるんだが…大丈夫か?』とも思っていた。
1月5日(日本時間) 横須賀工廠
「見て頂いた通り、祥鳳・瑞鳳は15メートルの飛行甲板延長とカタパルト設置が完了致しましたら、改良を含めて改装完了です。予定では今月後半には完了致します」
来訪歓迎式典の次の日、滝崎と松島宮は横須賀工廠に赴き、技官の案内で改装作業の様子を見ていた。
「なるほど…因みに神鷹にも施されている、格納庫甲板の引き戸付き解放部と消火用散水機(スプリンクラー)の方は?」
「はい、もちろん、優先的に設置しております。ただ、散水機は完成後に機能試験が必要ではありますが」
滝崎の問いに技官が答える。
「うむ、それは必要だな。因みに準同型艦の龍鳳の方は?」
「はい、龍鳳は同様の改装の他に機関の装換もありますので、完了はもう少し先になります。なお、解放部と散水機は可能な限り、未設置艦には順次設置の予定です。あっ、第六水雷戦隊の要望はご存知ですか?」
松島宮の問いに答えていた技官が何かを思い出したのか、訊いてきた。
「木村少将が? いや、まだ聞いていないが?」
「あっ、そうでしたか…実は第六水雷戦隊下の駆逐艦の主砲を高角砲への装換を要望しておりまして…殿下が艦長をなされた朝顔の様にならないか、と」
「なるほど…どうします、殿下?」
「現場の木村少将の要望なら、問題は無いだろう。因みにどれくらい掛かる?」
「砲の装換は1日あれば大丈夫です。後は射撃装置等の交換がありますので、1週間程あれば問題は無いかと」
「ふむ、なら、休業中には完了するな。かまわん、事前に出来るなら、回し回しでやってくれ」
「わかりました。そちらも順次やっていきます」
「書類仕事が増えるね」
「必要な事だ。仕方無い」
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本作品ヒロイン(3人)とのR18シーンの有無
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