次号(変更) フィリピン地上戦第二弾(リメイクオリジナル)
1月6日 フィリピン サン・フェルナンド近郊
サンタ・クルス アメリカ・フィリピン軍防衛線付近
史実通り、1月2日にマニラを陥落させた日本陸軍。
但し、これまた史実通りと言うべきか、マニラは無防備都市を宣言し、防衛戦力も政府統治機能も既にバターン半島やコレヒドール要塞に移転していた。
よって、予定通り『本格的なフィリピン攻略』の為にバターン半島、並びにコレヒドール要塞攻略を開始する。
その一環として、バターン半島付け根にあるマニラ〜バターン半島に至る幹線道路にある防衛線に攻撃を開始し、これにアメリカ・フィリピン軍が反撃して来たが……。
「誰だよ!? ジャップの戦車がブリキのオモチャだって言ったクソ野郎は!!」
そう悪態を吐きながら、車長である彼は乗車を後退させる。
彼の視線の先には日本軍戦車らに撃破された複数のM2A4・M3軽戦車、更には自らも乗る虎の子M3中戦車2台の残骸が転がっている。
「しかも、なんだよ、アイツは!? あんなスナイパーな奴が居るなんて聞いてねえぞ!!」
その先頭のM3中戦車を撃破したスナイパー…同僚はタンクデストロイヤーと言っていた…が居た事が更に事態を悪くさせる。
因みにその同僚は彼の乗車の先を進んでいて、2輌目が撃破された瞬間に気付き(と同時にタンクデストロイヤーと叫んだ)、自らは間一髪でその『狙撃』を避けたが、急激な操作で道を外れて道横に突っ込んで行動不能になっていた。
「クソ! あのインテリ野郎の言った通りになりやがった! おい! 早く砲撃支援を要請しろ! 急げ!」
件の同僚はカリフォルニアの訓練センターに居たらしく、頻りに『パットン少将が言っていたが、決して日本を侮るな』と言っていた。
それを『俺達はロシア人とは違う』鼻先で笑って聞き流していたが……結果はこの通りである。
「だ、ダメです! 要請先がジャップの空爆を受けてるとかで…」
「ファック!? クソ!!」
色んなところに侮蔑を込めた悪態を吐いた瞬間、『スナイパー』の砲撃がこのM3中戦車に命中、行動不能となり、次の2発目で弾薬庫も射抜かれ、爆発した。
日本軍サイド
「最後の鏡餅、撃破しました!」
「うん、中々使えるな、こいつは」
第六戦車連隊を率いる島田豊作中佐は報告を受けて横隣にいる『一式対戦車自走砲』を見ながら呟く。
九八式対戦車自走砲の改良・後継として開発され、主砲にボフォース75ミリ高射砲をライセンス生産した『百式7糎半野戦高射砲(史実の四式7糎半高射砲)』を戦車砲にした『一式7糎半戦車砲(史実の五式7糎半戦車砲)』を搭載しており、『フィリピンに新型戦車配備の情報有り』と言う事で対戦車戦闘の切り札として、フィリピンに投入された。
「M3中戦車が出て来た時は焦りましたが、こいつの前ではまさに『鏡餅』ですな」
「まあ、性能上はチヘの主砲でも殺れん訳ではないが…流石にアメ公も切り札があるとなればデカイ顔も出来んだろう」
乗車の砲手の言葉に島田中佐が答える。
なお、第六戦車連隊の中戦車は全て一式中戦車チヘであり、主砲も57ミリ48.5口径の『百式5糎7粍戦車砲』となっており、ドイツの三号戦車J型と同程度の戦闘力があった。
「連隊長、随伴歩兵が擱座した鏡餅を確保しました! 乗員は降伏した為、捕虜として拘束します」
「うむ、わかった。整備隊に連絡して、鏡餅は回収する。実物を確保出来たのは大きい。いい土産が出来た」
副官の報告に島田中佐はニヤリと笑いながら答えた。
その日の夕方 コレヒドール島 アメリカ軍司令部
「…反撃は失敗したか」
参謀長のサザーランド少将からの報告にダグラス・マッカーサー大将は苦い表情で呟いた。
「はい。虎の子のM3中戦車4輌を含め、複数の戦車を失いました。また、敵部隊が北部から沿岸部沿いに南下、サン・フェリペに到達。この部隊はサン・アントニオを抜け、スービックに進出し、スービック湾を抑え、ここに西部の部隊と連携し、封鎖線を敷くのが目的と推測されます」
バターン半島の地図を使い、サザーランド少将が指し示しながら説明すると、一層苦々しく表情が歪むマッカーサー大将。
「……予定通り、いや、不思議な事に下手な妨害もなかったから、予定以上に兵力や装備を移動・配置出来ている筈だ…だが、何故ここまで我々は押されているんだ?」
自問の様な呟きにサザーランド少将も押し黙って答えない。
実際、マッカーサー大将からしてみれば彼の方針『周到な準備こそは成功と勝利の鍵』をミスなくやっている筈であり、また、当時のアメリカではアジアの事情通と言っていい自身が弾き出した計算結果を下に修正を加えてフィリピン防衛計画を策定していた筈だった。
だが、実態は予想以上に日本軍に苦戦し、押されていた。
「…くそ、やはり、緒戦の航空軍にケチが付いた事が要因か」
そう呟き、更に苦渋に表情が歪み、愛用のコーンパイプをガリガリと噛むマッカーサー大将。
実は以前に書いた開戦初日のB17爆撃機による台湾空襲(第86話参照)はマッカーサーの『フィリピン防衛計画』には入っていない事項だった。
彼としてはB17を上陸部隊輸送船団、並びに上陸直後の上陸部隊攻撃に使用する方針であり、そうして日本軍地上兵力を漸減させ、フィリピン攻略の頓挫、或いは遅延を意図しており、台湾への航空基地空襲、並びにそれに伴う航空戦力漸減は『余裕があれば』であった。
だが、派遣された60機(史実35機)のB17爆撃機隊との幹部協議において、マッカーサーの方針は崩れる事になる。
なんと爆撃機隊から『開戦直後に台湾、或いは日本本土を空爆する』と言う方針が告げられ、『マッカーサー大将の方針には協力出来ない』と拒否された。
これにマッカーサーは自身がアメリカ極東陸軍司令官であり、指揮命令系統的には自分の方針に従うのが筋と理論的に反論(抗議)したが、爆撃機隊司令は懐からマーシャル総参謀長とルーズベルト大統領の直筆サイン入り連名命令書を提出し、『我々に関しては別系統である』と明示したのだ。
これには驚愕しつつも従うしかないマッカーサーは僅かな抵抗として、『日本本土は流石に遠い。台湾空爆に留めるべきだ』と言って、爆撃機隊も了承した事から一応の妥協となった。
そして……結果は天候の事もあり、失敗した訳なのだが。
「マーシャルもルーズベルトもバカか? 私も専門外とは言え、空爆は検討はした! だが、フィンランド戦役の件を聞けば解るだろう!! バトル・オブ・ブリテンやイギリスのドイツ空爆の情報を知れば納得出来るだろうが!!」
あの協議の件を思い出した為にマッカーサーはそう言いながら勢いで拳を机に叩き付ける。
彼が敵地空爆を諦めた理由は『護衛機が無い状態での爆撃機の損耗と作戦成功の可否』だった。
しかも、日本に『ゼロ』と呼ばれる新型戦闘機が居る以上、台湾どころか、距離的に台湾上空を通過しての日本本土空爆など、迎撃機会や待ち伏せが出来る事からみて、日本に有利過ぎたからこそ、彼は直ぐに止め、自らの戦闘機が活動出来る範囲での使用に切り替えたのだ。
「しかもだ! その方針のせいで我々は緒戦で航空戦力を損失した!! 奴等は疫病神か!!」
これは空爆に失敗した爆撃機隊が追撃を受ける形で日本軍に飛行場を爆撃されたから…ではない。
実はハル・ノートの一件以降、『いつ開戦してもおかしくない』と言う事から、『B17を優先的に整備せよ』とこれまた連名の命令がマッカーサーに出され、戦闘機や他の爆撃機の整備員も投入されていた。
しかも、開戦日はあの事前通告によって出撃準備が開始されたのだが、連日の優先的集中整備と準備命令が出されたのが(現地時間で)夜の10時頃と言うデッドコンディションで疲弊した整備員が何とか出撃準備を終えたのだが……当然、続けて別機体の整備など出来る筈もなく、史実では寸前まで飛んでいた直掩戦闘機は飛べずに地上で残骸となり、フィリピンの航空戦力は文字通り壊滅した。
「……サザーランド参謀長、私の方針がマズかったのか? それとも、我々は何処かでとんでも無い躓きをしたのか? どっちだと思う?」
「……それは何とも…まさか、敵に我々の方針を丸ごと知っているとも思えませんし…」
「どうかな? 日本やチャイナには何でも見通す『センリガン』と言う言葉が存在する…まあ、オカルトめいた話だがね、可能性はあるかもしれん」
……まさか、マッカーサーもサザーランド少将も『未来から来た人間が告げ口している』と言う、当たらずとも遠からずな事があるとは知る由もなかった。
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本作品ヒロイン(3人)とのR18シーンの有無
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