~ほんとはただ寝たいだけ~18禁部分抜き取り版 作:真暇 日間
私の名前は高町なのは。高校を卒業してすぐ、私は両親にミッドチルダで翠屋をしていることを伝え、お母さんとお父さんの作った翠屋を次ぐための修行として色々なことを学んでいます。
経済的な方面や相場などに対する理解はミッドチルダでの経験を流用する事でそれなりの物を持ってはいますが、それはあくまでもミッドチルダでのもの。地球とミッドチルダでは様々な物価や常識に誤差ではけして済まされないレベルでの差異があるためにそれをそのまま地球の翠屋に適用することはできない。
……とは言うものの、基本と言うか根本となる考え方自体にはさほど大きな差は存在せず、固有名詞やその土地の国民性等も把握して商品となるお菓子を作っていかなければならない。これについてはお父さんとお母さんがそれぞれ時間をかけて開拓していったレシピがあるからそこまで困ってはいないけれど、それでもそれは不変と言う訳じゃないんだからいつでも記録と更新が必要なこと。その年の気候や気温、湿度を記録すると同時にその日に売れたケーキや飲み物の記録をつけ、そう言ったものからお客さんの好みや何やらを把握しておく。あくまでその時点では把握しておくだけですぐにその事実が反映される訳じゃないけど、無いよりはあった方がずっといいからね。
そう言う訳で今日は、私のケーキの試作品を評価してもらおうと最近忙しくなってきたらしくあまり会えなくなってしまったアリサちゃんとすずかちゃんの二人に分身を教え、分身が仕事をしながら本体がかなり自由に動けるようになったお祝いも含めてちょっとしたパーティのようなものを開いている。
あくまでも身内も身内、聖祥学園小等部からの付き合いで、現在まで続く親友であるアリサちゃんとすずかちゃんと私の三人だけで、すずかちゃんの家に集まっての小さなお茶会だ。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
「はぁ……最近ほんと疲れるわ……なのはから習った分身のおかげで仕事効率は上がったけど、あんまり繋がりすぎると疲労が折半されてこっちに来るのが問題よね」
「それはアリサちゃんの使い方が荒いんだよ。もうちょっと上手になれば、記憶だけ吸いだして疲労は受け取らないまま消してやることもできるんだから頑張って」
「そうだよ、アリサちゃん。それになのはちゃんの分身のおかげでこうやって自分のやりたいことをやれるようになってるんだから、この状況に文句なんて言ったら罰が当たっちゃうよ」
お茶会の始まりは、そんなアリサの言葉。その言葉になのはとすずかはくすくすと笑いながら軽く注意しつつも応援の言葉を送った。そしてアリサはそれを聞いていないふりをして、それでも周囲への反応をわざわざ悪くさせたいとは思わないらしく何も言わずに受け入れる。
アリサはけして頭は悪くない。むしろ高校を卒業してすぐに翠屋の経営に入ったなのはよりはよほど知識量があるし、その膨大な知識を活用するだけの知恵や機転の利く頭脳も持ち合わせていた。
だからこそアリサはこの二人の古馴染の親友を大切にしている。それは自分が継ぐことが決定している会社に関わることで、そうしておいた方がはるかに利益があることが分かり切っていると言うこともあるが、当然のことながらそれだけのことでこうしてプライベートの時間を使ってまで話をしたりするくらい仲良くできるほどアリサの性格は悪くない。こうして一桁歳の頃の友人といまだ付き合いがあるその理由の大半は、単にこうして仕事に関係のない話をしたり愚痴を聞いてもらったり、そうしていられる時間がとても幸せなものであるからだ。
その証拠となるかどうかは不明だが、アリサ、すずか、なのはの三人の関係は付き合い始めの頃から現在に至るまで一切変わっていない。基本はアリサが話を振り、なのはが受けてすずかが締める。時々なのはの言うことがぶっ飛んでアリサがツッコミを入れ、すずかが軽く押さえる。お互いに言いたいことを言い終えたり、初めから特に理由があるわけでもなく集まった時にはどこからともなく楽器を取り出し、一人が弾き始めた曲からどんどん繋いで弾き手を変えながら気が済むまで思い思いに演奏したり、三人で合わせて弾いてみたりとやることに事欠くことがない。なんの打ち合わせもなく、楽譜すらもなく、それでも三人の奏でる音を見事に重ね合わせることができると言うのは、それは三人の仲が尋常の者では測り知れぬほどに良好であることを示す指標となることだろう。
そんな風にとても平和に幕を開いたお茶会は、実のところただのお茶会で終わったことは一度もない。毎回話の流れが妙な方向に行ったかと思うと突然逆走したり、いつの間にかその内容が全く別のものになっていたりして気がつけばすずかとアリサの会社が何らかの取引をすることが決定していたり、なのはの音楽に癒されすぎたアリサの顔が女の子として見られたものじゃなくなったり、翠屋の新規メニューとして出る予定のお菓子が大量に並んだり、新しく妙な呼吸法で魔力とは別アプローチのアンチエイジング方をなのはが考えてきてそれを実行したり、アリサ達の会社を狙った犯罪者がなのはのアクセルシューターで蜂の巣のようにされたり、お茶会からお泊まり会に移行したり、なのはとすずかのスーパーにこにこタイムがあったり……さまざまなことが原因でちゃんとお茶会で終わることはまずありえないことであった。
そして今回のお茶会も、当然のことながらちゃんとしたお茶会のまま終わることはなさそうであった。
「……ん……んん?」
「? 何かあったの、すずか?」
突然奇妙な表情を浮かべたすずかに、アリサは目敏く気がついた。昔からすずかとの付き合いがあるアリサからすれば、その程度のことを理解するのにほんの僅かの労力すら必要なかった。
しかしすずかは曖昧な笑顔を浮かべて首を横に振る。なんでもないと本人は言いたいようだが、こういった時のアリサは本当に頑固であった。すずかはそのことを小さなころからよく理解していたし、アリサも同じようにすずかがこういう本当に大切な時には一歩も引かない性格だと言うことを理解していた。
「――――はい、ストップ」
……そして、なのはもそのことをよく理解していたからこそ、こうして喧嘩になりそうな時にいつでも間に入って仲裁をすることができるのである。
なのはは、まずは原因であるすずかに顔を向ける。
「……話せないこと? それとも話したくないこと?」
「……話せない……訳じゃ、ない。……でも……」
そこまでささやくように呟いたすずかはそれっきり俯いてしまった。なのはは今度はアリサに話を聞きに行く。
「……絶対に聞かなきゃいけないこと?」
「……絶対じゃないけど……親友が困ってるんだったら助けてあげたいし……」
アリサはアリサで頬を朱に染めて俯く。この光景をアリサの会社の役員に見せたらおそらく驚愕のあまり失神するものくらいは出るんじゃないかと言うほどの変貌ぶりだが、ここにいるのは幸運なのか不運なのか、アリサにとって親友と呼べる二人だけ。誰も気絶することはなく、そしてしばらく静寂がこの場を包む。
時計の長針が半周したころになって、ようやくなのはは口を開いた。
「二人も知っての通り、私は魔法使い。音楽家であり戦闘者でありお菓子屋さんであり、アリサちゃんとすずかちゃんの親友を自負してる」
「「……?」」
突然なのはが語り始めたのは、少なくともこの場にいる三人にとっては周知の事実。今更何を言い出すのかと怪訝な表情を浮かべるアリサとすずかの二人に構わず、なのはは言葉をつづけていく。
「私は耳がいい。人並み外れて……って言葉が生易しく聞こえるくらいに耳がよくて……実は、やろうとすればこの場から地球の裏側で誰かが転んだことすらリアルタイムでわかるくらいに感知能力がある」
「……それが、どうしたのよ?」
アリサはなのはの言葉を疑うことなく信じてそう聞き返すが、すずかはその言葉の意味するところを正確に読み取って青ざめる。それはつまり――――
「――――だから、すずかちゃんが私たちに何かを隠していることも知ってたし、隠している理由が私たちに嫌われたくないって言うのだってこともわかってる。もちろん、その秘密の内容だって聞こえてきてるから知ってるよ?」
「ぁ……ぁあ……」
なのはの言葉にすずかはその身をカタカタと震わせる。そんな普段の関係からはあり得ない光景を見せられて、アリサはただ茫然と成り行きを見守ることしかできていない。そんな中でもなのははつらつらと語り続ける。まるでただ事実だけを読み上げる機械のように、結果の変わらぬ裁判の裁判長のように。
しかし、ここでなのはは笑顔を浮かべる。それはまるで生けとし生ける者全ての母のような、慈愛に満ち満ちた笑み。全てを慈しみ、ありとあらゆる者を愛する聖母の笑みを。
「でもね、すずかちゃん。私はそれを知ってもすずかちゃんの親友を辞める気はないし、知ったその時から今まで七年以上の時間があったけど、ずっと親友だと思ってきた。そしてこれからも、ずっと親友でいられればいいって思ってるんだ。きっとアリサちゃんだって、秘密の内容を知ったところで今までとそう変わらない」
ふわり、となのははすずかを抱き締める。いつも以上に小さくか弱く見えるその身体は、なのはの腕の中で微かに震え続けている。その深紅の瞳からはじわじわと涙が溢れ始め、いつしかすずかはなのはに縋りついて泣き始めた。
なのははそんなすずかの頭をよしよしと撫でる。茫然とそれを眺めていたアリサも、なのはと同じようにすずかの頭を撫でてあやし始める。
「……もう。なんだか知らないけど、すずかにどんな秘密があろうが私はすずかのことを嫌ったりしないわよ」
「ひっく……ほ、ほんと……?」
「当り前でしょ? だって私はすずかの親友なんだから」
アリサの言葉を聞いて、すずかの嗚咽はさらに激しくなった。まだ実際に話してはいないが、ほぼ間違いなく自分のことを話しても大丈夫な相手がいたこと。自分が今までずっと隠し事をしてきた事を許してもらえたことなど、様々なことが重なった結果としてすずかは自分の感情を抑えることができなくなっていた。
そして十数分後。ようやく泣きやんだすずかはまだ滲む涙を指で拭き取り、そして話し始めた。
「……実は私、吸血鬼なんだ」
「……流石にちょっと予想外だったわ」
そう言いはしたものの、大して驚いているようには見えないアリサ。なのはなどは事前に知っていたと言うだけはあり、全く動揺せずに少し冷めてしまっている紅茶をゆっくりと口の中に流し込んでいる。
「吸血鬼って言っても、よくお話にあるみたいに噛んだ相手を吸血鬼にしたり、蝙蝠や霧になったり、太陽の光を浴びて灰になったり、魔法を使ったり……は個人差だけど、そう言うことはできないの。ただ、吸血鬼じゃない人に比べてちょっと夜型になりやすくて、月に一回くらい血を飲まないと体調が悪くなったりするくらいで……なのはちゃんの言う魔法使いの方がよっぽど色々できるんだよ?」
「そうね。なのはの方が特殊ね」
「否定したいけど否定できない。ちょっと悲しいから今度小学校の卒業アルバムをアリサちゃんの所だけじっくり見なおすことにする」
「別にいいけど内容ばらまかれたら流石に怒るわよ?」
「そんなことはしないよ。ただ昔のアリサちゃんの写真を見直して『アリサちゃんも大人になったなぁ……』って確認するだけだから」
軽く話が脱線するが、それでようやくいつもの空気が戻ってきたことを三人が共に認識する。ぎすぎすした空気も痛いほどの沈黙もなくなり、気安い空気が部屋の中に流れる。
なのはが笑い、アリサが笑い、そしてさっきまで表情を強張らせていたはずのすずかも自然に笑う。緊張感の無くなった空気の中で、アリサはいつもと変わることなくすずかに問いかけた。
「それで、そういう話を隠されていたってことは、ばれたら何かあるんじゃないの?」
アリサのその言葉に、さっきまでは収まっていた感覚が蘇る。全身に血液が高速で巡り、息が荒くなり……理性が吸血鬼の本能に飲み込まれていく。
初めに違和感を感じたのは、なのはに教えてもらった分身が実用段階に来てからのこと。それまではかなり規則正しく来ていたはずのそれが、ほんの僅かずつずれ始めたのだ。しかし、ほんの僅かのずれでもそれがいくつも重なれば大きなずれに変わる。そして先ほど、突如としてすずかをそれが襲ったのだった。
「……うん、あるよ」
ごくりと口の中に溜まった唾液を嚥下しつつ、すずかは何でもないことのようにそう答えた。そしてふらふらと僅かに揺れるような足取りでアリサとなのはに近付いて行く。
「……まず、このことを誰にも言わないことをしっかりと約束してもらうの。約束と言うか、一種の契約だと思ってもらえればいいかな。」
「ちなみに破った場合は?」
「破れない。そういう風にお互いの合意の上で暗示をかけて、その契約を破れないようにしてあるの。だから、一度契約したら破れない」
「結構。それじゃあ私は今この場で誓うわ。すずかやその家族のことをけして公表することはしないし、他人に話すこともしない。」
暗示をかけるとはっきり言ったにもかかわらず、アリサはそれを平然と受け入れた。それはアリサがすずかのことを心底信じ切っているということの証であり、たとえこの先何があろうとアリサはすずかの種族についてだれにも語ることは無くなった。
「それから、その契約が何らかの形で抜けられたりしてないかを確認するために、私と……正確には月村の家と何らかの形でつながりを持ってもらうことになってるの。親友でも恋人でもいいし、以前には結婚までした人もいたみたい」
「OK、それじゃあつまるところ今まで通りってことね」
「そうだね。……なのはちゃんは?」
「誓うし、許されるならすずかちゃんとは親友でいたいと思ってるよ」
「……うん、ありがとう、二人とも」
すずかはアリサとなのはの二人に偽ざる笑顔を向けた。その笑みを向けられた二人も同じように屈託のない笑みを返す。
「……で、ここから先は決まり事じゃなくて私の個人的な問題のことなんだけど……」
「……なんだかすごく早まった感があるけど、何かしら?」
すずかはアリサの言葉に笑顔だけを返し、その深紅の瞳を煌めかせる。その怪しい輝きに縫いとめられたアリサは、すずかの笑みとは真逆のひきつったような笑みを浮かべた。
「……私、と言うか夜の一族の身体は普通の人間とは結構違うって言う話はしたよね?」
「されたわね。それがすずかの悩み事の一つってことなのかしら?」
「うん。……色々聞いてたなのはちゃんだったら、今の私の状態がどんなのかわかるんじゃない?」
すずかのその言葉に、なのはは一瞬にも満たない短い時間何かを考える素振りを見せてから答えを返した。
「……発情期、だっけ?」
「正解♪」
「はぁ!? そんなのがあるの!?」
なんでもないことのようにさらりと述べるなのはと、同じく大したことでもないように答えを返すすずかの二人にアリサはツッコミを入れる。そして今この場でそんな言葉が飛び出してくる理由を考え……その理由に思い当たってしまった。
「……もしかして……今も?」
「うん」
「そんな軽く!?」
「だって本当についさっき入っちゃったんだもん。今はまだ我慢してるけど、これ我慢するのって結構辛いんだよ?」
「『入っちゃったんだもん』って……」
乾いた笑い声を上げるアリサに笑顔を向けたまま、すずかはカーテンを閉めた。そして首元のボタンを外しながら一言。
「そう言うことだから……二人とも、相手してくれない?」
「いいよ」
「なのは!? いいの!?」
「だってすずかちゃんだし……女の子同士でって言うのは確かに初めてだけど、すずかちゃんが相手ならそれもありと言えばありかなぁ……って」
「……そう言えばあんたは別に好きな相手がいたんじゃないの?」
「キスも初めても捧げ済みだけど?」
「……今度詳しく聞かせてもらうわよ」
なのはがそれを受け入れてしまうとその後は早かった。すずかの深紅の瞳は的確にアリサの性欲を亢進させていたと言うことに加え、アリサにはそういった特定の相手がまだいないため身体の疼きを発散するのは専ら自分の手のみであったし、アリサ自身がそう言ったことに興味を持っている年頃だったこともあって三人のうち二人がその気になっていればその勢いに乗せられて流されてしまうのは自明の理と言うものであった。
すずかが清楚な白いブラウスのボタンを外し終えた頃には、なのはもちょっとしたおしゃれ着として着ていた女性用のパンツスーツの上着を脱いでネクタイを外し始めていた。しかしアリサは流れに乗り切れていないのか、明るい色を大目に使っているドレスのボタンに伸ばす手が止まってしまっている。それに気付いたすずかは一度自分の服を脱ぐ手を止め、ボタンをいくつか外して素肌と下着が見え始めている恰好のまま後ろからアリサに近付いて行く。
「あーりっさちゃん?」
「わっ!?」
気付かれないように近づくことに成功していたらしいすずかは、アリサの身体を背後から抱き締める。アリサは驚愕の表情とともに背後にいるすずかに振り返るが、その直後に自分の瞳に映ったすずかの深紅の瞳に心を奪われたかのように沈黙してしまう。その間にすずかはにっこりと笑顔を浮かべながらアリサの服のボタンに手を伸ばし、まるで手品のように全てのボタンを外してしまった。
「アリサちゃんってば、あんまりずっと悩んでたらだめだよ? 世の中には悩んで出した良い結論よりも、すぐさま出された拙い結論の方が重視されることが多いんだから」
「ぅ……わかってるわよそんなの……でも、恥ずかしい物は恥ずかしいんだから……」
すずかの腕の中でもじもじと恥ずかしそうに身をくねらせるアリサの姿に、すずかのボルテージが上がっていく。ぺろりと上唇を湿らせる舌の動きは、まるで獲物を射程範囲内に捉えて喜ぶ蛇のようだったが、すずかにとっては幸運なことにその姿はアリサに見られることは無かった。
そんな蛇を思わせる行動を続けるすずかは、次にボタンだけは外してあったアリサの服をするりと抜き取った。抜き取った後の服は全員分が綺麗な形で宙に浮いているが、すずかもアリサもそれをやっているだろうと思われる相手に視線を向ける。するとその視線を向けられた本人……なのははにっこりと綺麗な笑みを浮かべて見せた。
「瀟洒なメイドさんに聞いたら『喫茶店でコートを預かったりすることはよくあること』って言ってたから、できるようになってみたの」
「魔法って便利ね……」
「魔力集束でそのあたりにある魔力を固めて物質化して無害化させてからハンガー型に形を整えて浮かせてるだけなんだけどね。ちゃんと服の内側で作ってるから首の所が伸びちゃったりはしないから大丈夫だよ?」
「……何かしら、なのはは凄く簡単そうに言ってるけどとんでもないことをやってるような気がするわ」
「アリサちゃんは私よりもすずかちゃんのことに集中すべきだったね」
「へ?」
慌ててアリサが自分の身体を見てみると、今まさに軽い音を立てて外れたブラから胸が露わになる瞬間だった。なんといつの間にか下半身を覆っていた布も大半が無くなっており、現在は下着一枚が申し訳程度に残っているだけで後は完全に裸という状態。もしもこれで周りにいる二人も服のほとんどを脱いでいなければ間違いなく痴女にしか見えないような恰好であった。
「ちょっ……すずか!? いつのまっnんむっ!?」
「ん……ちゅ、んむ……気にしちゃ、だめ。どうせ脱いじゃうんだから、皺にならないように脱いどいた方がいいでしょ?」
深紅の瞳を輝かせながら、すずかはアリサに言い聞かせるように呟く。そのお陰かどうかはわからないが、アリサの身体からは無駄な緊張が抜け落ちていく。ぎゅうっと握り締められていた手からも力が抜け、今ではすずかの服を軽く摘む程度になっている。
そんなアリサに笑みを向け、すずかは何度も軽くキスをする。唇に触れるだけのそのキスは、アリサの心に知らず知らずの間に張られかけていた防壁を、砂糖菓子に熱湯をかけたかのような勢いで溶かしつくしていった。
「ちゅ、んむ……ん……ちゅ……」
「ん……んぅ……む、むぅ……」
アリサの顔を後ろに向かせながら、すずかの手はアリサの胸に優しく触れる。反応から見ておそらく初めてだろうアリサのために、初めは優しくゆっくりと、警戒に警戒を重ねてじっくりとアリサの身体を蕩かせる。アリサの身体が完全に刺激に慣れることは無いだろうが、少しずつ少しずつ堅い処女の肉を解していく。
「私も混ぜてね、っと」
「ふむぅっ!?」
「ん……? ん、は……なのはちゃん」
「私も忘れちゃダメだよ~?」
「はぁぁんっ!?」
するり、と、まるで妖怪ぬらりひょんのようにいつの間にか近寄っていたなのはの手がアリサの肌を撫でる。すずかの手腕によって徐々に昂ぶらされていたアリサの身体は、ただそれだけの行為にも耐えることができずに稲妻のような刺激を脳に無理矢理に送り届けてくる。
しかし、いくらなんでも反応が大きすぎる。その事に奇妙な思いを持ったすずかは、アリサの身体を這うなのはの手に微かな桜色の光が纏わりついているのを見て取った。
それに気付かれた事をすずかの視線から悟ったなのはは、すずかと視線を合わせて僅かに微笑む。そしてそのまま何事もなかったかのようにアリサを弄ることに集中し始めた。
「……あれ? アリサちゃん、もしかして結構気持ちいいと思ってくれてる?」
「っ!?」
ふと、なのはが漏らしたその言葉への反応は劇的だった。アリサはその頬を真っ赤に染め、なのはの手から逃れようとする。
しかし、アリサの身体を抑えているのはなのはだけではない。後ろからすずかの手が伸び、暴れようとするアリサの身体を巧みに抑え込む。そして一度離れた視線をもう一度合わせると、アリサの反応は徐々に収まっていった。
「ん……はぁ……なのはちゃん?」
「あははは、ごめんごめん。ちょっと見誤っちゃった」
「もう……これって結構体力使うんだよ?」
すずかはそう言ったものの、実際には記憶を完全に消すならともかくこうしてほんの少し落ち着かせるだけならば今のすずかをもってすれば一日に数億回行っても問題ない。しかし、それをすずかが直接なのはに言うことはない。何しろなのはは昔から大体何でも知っているのだから、わざわざそれを伝えることもない。
そしてなのはもそれを理解しているからこそ軽く肩をすくめるだけで応え、そしてまたアリサの身体に手を伸ばす。今度はアリサの羞恥心を煽ってみようとはせず、ただただゆっくりと、アリサに安心感を与えるように優しく両手を蠢かせる。
なのは以上すずか未満の大きさを持つアリサの胸が、なのはの手の中で卑猥に形を変える。ぷくりと膨れ上がった乳首がコロコロとなのはの手の中で転がされ、その度にアリサの身体はぴくぴくと跳ね上がる。なのはの手によって感度を引き上げられ、すずかの目によって快楽を受けることに抵抗感を無くしているアリサは、二人から与えられる快感を受けてはそれを全て自らの身体で表現して見せた。
秘所には触れられていないにもかかわらずこれだけの反応を返すアリサだが、その秘所はもう自らの蜜でとろとろになっていた。まだ一度も触れられてすらいないその場所は現状の焦らされるような物ではない激しい刺激を求めてひくひくと震え、しかしなのはもすずかもアリサの秘所に触れることはしない。
その理由は至極単純。今すぐに触れたとしたら、恐らくアリサはそれを僅かにでも拒絶するだろうことが分かっていたからだ。だから二人はそんなことが起きないよう、もっとアリサの身体を蕩かせるためにこうしてじわじわとアリサの身体を弄んでいるのだ。
「は、ぁあ……ぁ、はぁ……」
「ふふふ♪ アリサちゃん、ずいぶん蕩けてきちゃったね」
「そうだね。……それにしてもアリサちゃんは可愛いね」
「そうだね」
なのはとすずかのそんな言葉にも気付かず、アリサは快楽を享受し続ける。周囲にいい相手と言うものが同性しかいなかったために誰に触れられることもなく育った身体が、ようやく自分以外の誰かの手によって触れられている。そんな本能的な物も合わさって、今のアリサはなのはとすずかに逆らえない。
「それじゃあ、本番に行こうかな?」
そう言ってすずかは今まで触れられずにいたアリサの秘所へと手を伸ばす。下着に隠されているそこは隠されている意味を失わせるほどに多くの蜜を吐き、じっとりと媚肉に張り付いてその形を露わにしていた。
すずかはそれを覗き込み、上唇を舌で舐め上げる。たださらされているよりも遥かに淫靡なその光景は、すずかの意識をそこに釘付けにできるだけの妖しい魅力を放ち続けていた。
すずかの手は、本人の意識がそうして一点に釘づけにされている間も動き続ける。触れる部位を胸からお腹に、そして下腹部へとゆっくり下げていき、下着越しに優しく触れた。
途端にアリサの身体がピクリと跳ねるが、触れるか触れないかと言う程度の力で優しく触れたということもあってそれ以上の大きな反応は無く、精々アリサの息が一瞬荒くなった程度。それ以降は暴れることもなくすずかの指から新しく送られてくるようになった快楽に浸り続ける。
それを確認したすずかは、少しずつ少しずつ刺激量を上げていく。急に指の動きを激しくすることもなく、強くすることもなく、徐々に爪を軽く立ててひっかいたり下着の上から秘所に指を押し付けたり、精々その程度。それでもアリサの身体はゆっくりと熱されていき、今では身体の殆どが上気して朱色に染まっている。
「は……あぁ、す、ずかぁ……」
ずっと唇で口をふさがれ、二人の手で愛撫を受けていたアリサが弱弱しく口を開く。その瞳には普段から見せる強い意志は見受けられず、しかしこれだけ蕩かされていても確りと話ができるだけの理性を保っていることはわかる。
その声にすずかとなのはは顔をアリサに向けるが、その手は未だに止まらない。じっくりとアリサの身体を蕩かせ続ける、悪魔の手よりも質の悪い両手は。
「も、もう、やさしく……しないで、いいから……」
「しないでいいから……なに?」
すずかはにっこりと笑みを浮かべる。それはまさに天使のようなと言うに相応しく見える、純粋に疑問を解消するためだけの笑みとしか見えないもの。
しかし、当然のことながらすずかのこれは一種の意地悪である。すずかにはアリサが何を求めているのかなどとっくに理解できている。しかしそれをまだ与えようとしないのは、ただただすずかがアリサの乱れるところをもっと見てみたいと言うだけのわがままにすぎない。
しかし、そんなすずかの我儘に従わなければこれ以上の快感を得ることができないということを理解してしまっているアリサは、既に上気して朱色に染まっている頬をさらに深く、真っ赤に染め変える。羞恥心をその目尻に浮かせ、すずかに向けて無言の抗議を続けるその姿に……すずかの背筋にぞくりと妖しい感覚が走る。そも、吸血鬼としての本能が表に出てきているすずかはどちらかなどと言うまでもなくいじめっ子気質であり、SかMかで言えば間違いなくSであり、攻めか受けかで言えばやはり攻めに回ることの方が遥かに多かった。
そのためアリサのその行為はすずかの嗜虐心を擽るものでしかなく、どくどくと爆発しそうなほどに五月蠅く跳ねる心臓の鼓動を抑えるのにすずかは必死になっていた。
「お……」
そうしている間にも覚悟を決めたのか、アリサは目の端に涙を浮かべながらもすずかに向けて言葉を発する。
「おねがい、だから……」
「うん、お願いだから?」
アリサはきゅうっとシーツを握り、一滴だけ涙を流す。
「わ、たしを……っ、気持ちよくしてよぉ……っ」
その言葉を聞いた途端に、すずかは深く深く笑みを浮かべる。そしてアリサの願いの通りに、アリサの身体をさらなる快楽の渦へと引き込むために指の動きを再開した。
「うん、わかったよ、アリサちゃん」
「任せて。アリサちゃんが『もういい』って言いたくなるくらいシてあげるから」
すずかの指はアリサの下着の中に潜り込み、秘所に直接触れてそれまで以上の刺激を与え続ける。なのはの動きはそれまでと何も変わりはしないが、手全体や指先に込められた魔力の量がかなり上昇している。
「ぁ、ぁああぁぁぁぁあぁぁっっっッッ!!?」
ぎゅんっ、とアリサの身体が弓なりに反らされ、腰が上向きに跳ね上がる。結果としてすずかの指がアリサの膣内に入り込んでさらに大きな快楽を与えては絶頂させる。キュウキュウと締まるアリサの膣はすずかの指を痛いほどに締めつけ、そのままかくかくと跳ね上がったり落ちたりを繰り返し、それはまるで自分からすずかの手を使った自慰に励んでいるかのような姿であった。
そしてなのははそんな状態のアリサに追い打ちをかける。かくかくと揺らされている腰には目もくれず、すずかの手を離れてフルフルと震える胸へと手を伸ばす。
「なのはちゃん? そっちでいいの?」
「うん。ほら、私って引っ込み事案で気弱で表に出るのが苦手な人種じゃない?」
「どの口がそれを言うのかな?」
「この口かな? よく回ってくれて歌を歌う時にも唄ってもらう時にも便利なんだよ? ……こんな風に」
なのははすずかとの言葉の応酬を一時的に打ち切り、唾液でぬらぬらと鈍く光を反射する赤い舌でアリサの胸の谷間を伝う汗の一筋を舐めとった。
途端、アリサの身体が跳ね上がり、アリサの膣はすずかの指を食いちぎらんとばかりに締めつける。アリサ自身は喉がつまったような悲鳴を上げて自分の胸に顔をうずめるなのはに涙の浮かんだ視線を向ける。
「あぅ……なのはぁ……」
「んー……アリサちゃん、ちょっと甘いね」
キュボンっ!とアリサの顔が瞬く間に真紅に染まる。なのははそんなアリサに笑顔を向け、そしてまた胸に舌を這わせる。すずかも同時にアリサの唇を奪い、膣内の指をくにくにと動かしながらアリサと舌を絡ませ合う。
一般人の感性から見れば相当広い寝室に水音が響く。いつしかアリサの身体はすずかとなのはから与えられる快楽に適応し始め、アリサの方から快楽を得ようと動くようになっている。
「んっ、ふん、んぅ、んんっ―――!」
「ん……はむ、んぅ……アリサちゃん、可愛い♪」
きゅうっとアリサの足先に力が入り、そして数秒もしないで抜けていく。アリサの身体は今まさに絶頂を迎え続け、なのはとすずかの二人の行為によってさらに高く高くに押し上げられ続けている。何度絶頂しようともなぜか体力は尽きず、何度気絶しそうになってもなぜか意識だけははっきりしている。
なのはの舌が乳首を転がすだけで、意識が天空に放り上げられるような感覚がアリサを襲い、しかしそのまま天に消えていくことは無くそこにあり続ける。すずかの指が膣をかき分けるたびに似たような感覚が走り、そして同じようにいつまでも消えずにそこに残ってしまう。
「……そろそろアリサちゃんも限界が近そうだし、終わりにしない?」
「…………そう、して……ちょうだい」
「……じゃあ、最後に……いただきまーす」
「……へ?」
すずかは宣言と同時に、アリサの首筋に噛みついた。普段と違って鋭く発達した牙がアリサの首筋に突き立ち、一瞬痛みを与えた後……アリサの視界が明滅した。
「は、あ、あぁっ!? な、なに、これぇっ!? あ、や、くあぁぁぁっ!? ひあぁぁぁっ!!」
ちかちかと視界が明滅している中では、アリサの視界は動かない。声を抑えようとしても抑えられず、暴れようにも体に力が入らない。ただ、身体の中から何か大切な物が抜かれていく快感に酔いしれることしか、今のアリサには許されていなかった。
十数秒か、数分か、はたまた十分以上過ぎたのかはアリサには分からなかったが、自分の首筋からすずかの牙が抜けていくことだけは分かった。
「……ごちそうさま、アリサちゃん。すごく美味しかったよ」
「……あ、そ」
そう言ってアリサが倒れこんだのはなのはの胸の中。体中の力が抜けてぐったりしているアリサは自分の髪を撫でるなのはの手を払うこともできず、ただそこで大人しく、されるがままにされていた。
■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■
全員が身体を濡れたタオルで拭き、なのはが魔法でシーツとマットレスの洗浄を終えてから、三人は寝巻に身を包んで同じ布団に並んでいた。なのはとすずかは割と余裕があるようだが、ずっと二人に攻められ続けたアリサはあまり口を開かず大人しくしていた。
と、そこでふとすずかが口を開く。
「……それにしても、アリサちゃんってこんなに体力あったっけ? 今思い出してみると私って『体力に限界が来たら気絶しちゃうだろうからそこでやめれば大丈夫だよね♪』とか考えてアリサちゃんの意識の方ばっかり補強してたんだけど」
「ちょ……なに勝手にやってるのよ」
すずかのあんまりにあんまりなカミングアウトにアリサは我慢できずにツッコミを入れた。と言うかすずかが本気で体力の限界まで攻める気でいたと言うのは、行為の間の本人の行動から考えて十分あり得ることだとアリサは冷や汗を流す。
だが、ここでさらなるカミングアウトが別方向から入ってきた。
「え? 私は『多分アリサちゃん初めてだろうし、すずかちゃんの手練手管で快感に飲まれて気絶しちゃうんだろうな。そしたら明日身体が辛いだろうし……』って思ってたから体力回復とブースト掛け続けてたんだけど……」
「……え?」
「……え?」
「…………え?」
なぜか部屋の中が嫌な沈黙に包まれる。アリサは珍しく自分の意思で抑え込めなさそうな激情を無理矢理飲み込みつつ、両脇にいる親友達に問いかけた。
「……要するに、なに? 私が気持ち良さでも体力切れでも気絶できなかったのは…………」
「…………」
「…………」
「こっち見なさい」
自分の視線から逃れようと視線を逸らす二人ろ頭を捕まえる。そして自分の方に視線を向けさせ、ジト目で問いかける。
「……何か言いたいことは?」
アリサの言葉になのはとすずかは顔を見合わせ、そしてすぐにアリサへと向き直る。
「「アリサちゃんがあまりに可愛かったからついやっちゃった。てへぺろ☆(・ω<)」」
「あんたら今度があったら覚えときなさいよ……」
アリサはその言葉を最後に残し、疲労から意識を深淵へと落としていった。