&視点がコロコロ変わって読み辛い章になってしまいました
あらすじ(前回から原作に順ずる)↓
[ガサラでスペクタクルマシン団の巡行先を知る為、情報集めをしていたワタル達、聞き込みをしてゆく内に、どうやらここから北西にある、マキーバというの町を通り過ぎたという情報を得られた、ワタル、ミーナ、キキーマはダルババ車に乗ってその一行を追い、マキーバを通過した森林地帯でようやくサーカス団と合流を果たす。一団は丁度、リハーサル中とのことで、再会に喜ぶミーナも以前のサーカスの花形として活躍したそのショーをワタル達の前で披露した。星空の下、森の中のショーを終え、ミーナを含むサーカス団は、リハーサル後のひとときを楽しんでいた。]
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スペクタクルマシン団の一員である私は、いつもの様にリハーサルを終え、団の仲間が談笑にふける中を掻き分けていた。
探しているのは、今晩、突然の再会となれた私達の一員である、ミーナちゃんだ。
せっかく戻ってきてくれたのに、また旅に出てしまうと聞いて……
その時ふと気がかりだった事があったのだ。
はたして誰か、教えてあげてくれたのか、と。
あっ、いた。 団の皆と共に久方ぶりの再会を楽しんでいるようだった。
……和気藹々としている中でホント申し訳ないとは思ったけど、これは私たち獣人としての義務なんだと自分に言い聞かせつつ、私はその中に割って入った。
「ちょっと、ミーナちゃん、話があるんだけど……いいかな?」
ごめんね、二人っきりで話がしたいの。 そう皆に伝え、とりあえず仮設テントの裏へいこうかとソッとミーナちゃんに伝え、一緒に歩いていく。
私の後ろからトコトコと付いて来るミーナちゃんの、そのあどけない足音に私は歩きながら、少しの間回想していた。
身よりない環境へと入ってきたミーナちゃんは次第に私の事を姉のように慕ってくれてきて、今や私にとっても単なる団の一員というだけじゃなく、もっと大きな、かけがえのない存在となっている。
だから二度目の別れとなる明日を思うととても心苦しい、心配だから私も同伴して行きたい位なんだから。
……まぁ私は、今やリーダーと言う立場だし、無理なんだけど。
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「……初蒸気?」
言い方は合っているけど全く違う意味みたいにミーナちゃんは聞き返し、キョトンとした顔を向ける。
恥ずかしそうな素振りなど全く見せない様子に、その語意を理解していないのが今はっきりと分かった。
あぁ……やっぱり知らなかったんだ。 私は、この話をする事が何とか間に合ったのだということに対して安堵の息を漏らす。
幼い頃に両親が行方不明になったというミーナちゃんの境遇を知らされていた私が、ひとつ気がかりにしていて、話すに話せなかった事。
普通の家庭ならば、両親が教えてあげる事なんだけど、事情が事情だけにやっぱり知る機会が無かったのだろう。
「発情期」のことを……
「いい?ミーナちゃん、今から話すことはね、すっごい大事なことだからね」
私はちょっと屈んで、ミーナちゃんの目線に合わせながら話を進めた。
掻い摘んで話すと、獣人が大昔のなごりとして残っている「発情期」というものは、理性が発達している現在となっては少々、いや、かなりの厄介事なのだ。
大抵は熱っぽさからはじまり「カゼかな?」なんて思う程度だが、次第に、気だるさと何か急《せ》かされている感覚に陥り、無性に街に出てみたくなったりと行動的になる。
すると傍にいた同種族に理性がきかなくなるくらいに欲情してしまう者が出て来てしまって、その抑えの利かなくなった奴らが「それ目的」で襲ってくる、と大体そんな流れ。
当然だがそんな状態になる者は大抵が若い奴で、だからもう察しの通り、傷害事件だとか強姦じみた大事はしょっちゅう起こっている現実があり、世間的に隠させてるだけでその数は計り知れない。
獣人の女というのは何故こうも弱い立場なんだろうと私は考えるたびにため息をついたものだ……
話が逸れたが、まぁ、発情期というものは自分自身もその気になってしまっている状態と言い換えてもいい位、ヤりたくなってきているので、そんなに心の傷にはならないんだけど、そんな行き当たり的な行為じゃ愛なんて絶対芽生えないのは私自身がとっくに経験済だから断言できる。
そうだ、あとは自身での処理が問題だけど……
……だめだ、いくら私でもミーナちゃんに自慰行為なんて教えられない!
だから、旅の中で何とかしてもらうしかないな、そう思い私は
「自分もそわそわしちゃう気分になるけど、落ち着いて治まるのを待つんだよ」
とだけ言ったものの、やはりそれだけでいざとなっては不安だろうな。
デリケートな内容だけに、闇雲《やみくも》に恐がらせても良くないことは分かる、しかし与えなければいけない知識との境界線は子供だけに非常に難しい。
子供にも分かるように説明するのは大変だ。性交だとか襲ってくるだとか……改めてキツイ単語ばかりだなと思い、言葉を濁しながら説明する私。
しかしこれを知らずに旅するなんてとんでもないことだったし、自分を守るためにも知っておいて欲しい、その意思だけは伝えなくては。
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ひと通り話した後「……うん」と間を置いてミーナちゃんが影を落として不安そうに尻尾を漂わせているので
「んんっと、まぁ~ちょっと気にかけとく程度でいいのよ。 大丈夫っ、それも女神様が御造りになられた事だもの! それに旅人さんや水人のヒトだっているんでしょ? 守ってくれるから怖い事なんかないわよ、ね!」
と慌てて付け加えた。
……アンカ族と水人族の男。そう、この組み合わせで本当に良かった。 同種族がいたら心配でしょうがない! だから少しは安心して送り出せるというものだ。
「そうだね。 ワタ、いや旅人さんがいるし、その時だって守ってくれると思うから私、せんぜん平気だよ」
きっと、今までいっぱい助け合ってきたのだろう。 声色には明るさが戻っている。
……何だか羨ましく、ミーナちゃんを取られた気分だけどね。
「いい仲間に巡り合えたんだね。 ミーナちゃん」
私はミーナちゃんの毛並みを整えるようにそっとその頭を撫でてあげた。
「うんっ! ありがと、おねーちゃん」
そう笑顔で返すミーナちゃんを愛しく思う反面、心から胸を撫で下ろし安心できたのだった。
******再びの出発******
僕らはサーカス団をあとにし、今、ダルババに乗ってリリスへと向かっている。
この区間は厳しい自然をまたぐ事になるそうだ。
当然泊まる所が無いため今日も野宿の支度。
野宿には危険が多い。 その点に関してはプロのキキーマに
『ひとつ!天候、治安を含め現地の情報をできる限り知っておくこと』
『ふたつ!野生対策に火を絶やさない事! でも盗賊とかには逆に知られるとまずいから、灯りが目立たない様に身を隠せる所にすること』
と…あと幾つかあったけど忘れちゃったが、とにかく野獣や盗賊などから避けるすべを教わりながら歩みを進めている。
今日も日が沈む一歩手前頃にキキーマが周囲の現状に目をやり、最善の場所を見つけ、そこで泊まる事になった。
ダルババを木に繋ぎ、3人で火起こしや夕食やら、一通り生活の用を済ませた後、草原に、厚手の皮製の寝具を敷き、今日一日が終わる。
ダルババは力強い事はもちろん、意外に物音などに敏感なため異常があればすぐに知らせてくれる優秀な運び屋さんで、そんなダルババの変化にすぐ気付ける様にとキキーマはいつもダルババに近い方で眠る。 次いでミーナ、僕の順に寝床が並ぶ。
「ワタル、キキーマ~ おやすみなさ~い」
「うん、オヤスミー」
「グゴ~、ぐご~……」…… キキーマはもう眠ってるね。
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――うぅん
その夜、ミーナはなんだか暑くて目が覚めてしまった。
「うぅーん、何だろ。 風邪引いたのかな~、熱っぽいや」と額の汗をぬぐうと、
どきり。 自分自身の変な動悸に気付きはじめる。
なんだか落ち着かなくなって、二人を起こさないようにそっと起き上がろうとしたら、気付いた。
『!!』――ヤダ、おねしょしちゃってる!
もうとっくに卒業した筈なのに。 なんでだろう……
軽くショックを感じて耳が伏せ気味になりながら、トボトボとダルババの荷台にしまってある着替えを取りに歩いて行く。
「うんしょ」と、そこに足を掛けた瞬間
『!?――キャ!』
何が引き金だったのか、いきなり興奮した様子でダルババが乱暴に動き出してしまって、荷台から放り出された。
空中で体制をなおしながらミーナはしなやかに着地をする。
(あ~もぅ… これじゃあ取りに行けないよ~;)
「ほにゃ。。どうしたぁ?」
目を擦りながらキキーマがキョロキョロと辺りをうかがっていて、多分さっきので起こしてしまったらしい。
「どうした、ミーナ。 ……何かダルババも落ち着き無いみたいだが?」
「ゴメンネ。 起こしちゃって、ちょっとそのっ、トイレいってきただけ」
……おねしょした。だなんて言えない。
「そっか。 まぁ何も異状は無さそうだしなぁ……」
と、ひとしきりダルババをあやして落ち付かせた後、またすぐに眠りに入るキキーマを見ながら、
ミーナは替え着も取れないままで、しばらく一人で取り残された気分と、熱っぽさでボーっと突っ立っていた。
……とにかく下着が不快だから脱がなきゃとちょっとした茂みでズボンをはずし、下着を下ろしたら
『――!?』
おねしょじゃ無かった。澄んだ透明の、ぬるっとした粘液。
ヤダ……なんだろうこれ。
それに、この感覚……
そういえば、この感覚には覚えがある気がした。
『!!』
そうだっ! ワタルとしちゃった時に感じたあの、ひどいくらいの高揚感……
じゃぁ、まさか!
―― これって、ハツジョウしてる!?
とたんに「おねしょ」と思ってた以上に恥ずかしさが増してきてしまう。
(あぁ、どうしよう。 何でこんな時に…… あれ以来、旅の重荷にならないように"そんな気"なんて起こさないようにしてたのに)
どうしよう、どうしようっ……
なぜか自分を責めてしまって顔を両手で覆ったままその場にうずくまる。
まだ心がドキドキと熱い。 ――さっきからくる変な衝動はそういう事しようとする本能だったんだ。
……。
…すぐそばで、ワタルの寝息が聞こえてくる…。
横になってて ……今は、私の方に顔を向けてすやすやと、寝てる。
――グワンッと急に立ち眩みがして、ミーナは無意識に二、三歩ワタルの方へとよろめく様に足を踏み出した。
はぁ―― はぁッ――。
今、抱きしめてたら
めちゃくちゃ気持ちいいんだろうなぁ~。
らっ……楽になりたい。
ワタル…… しよう。
きもちぃことっ。
『!!』
なっ何考えてるの私っ、ダメッ! 私はそんなヒトじゃ……こんな所で、しかも同意も無いのにッ。
そんなんじゃまるでっ。
獣じゃないか……
うぅっ、気持ちが治まらないよぅ。
こんなにも近くにいるのに、とても遠くに感じる自分と。ワタル。
何でこんなことさせるのっ……誰に向けるでもない悔しさがこみ上げてきて、切なくなって涙が頬を伝う。
助けて欲しい、ギュッって抱きしめて欲しいけど、こんな姿……見られたくないッ!
「くうぅ……」
解消する方法なんてものも知らず、とにかく教えられたようにしようと草原で一人うずくまってじっとしているしかなかった……
気を静めようとすればする程、理性と本能が葛藤しているを感じる――意識してしまう。
夜の静けさが、さらに一人ぽっちな気持ちにさせて、潰れそうな程不安になる。
楽になりたいだけなのに……
たすけて……
カサッ……
――「ミーナ?」肩にぎゅっと温かさが加わるのを感じた。
そのぬくもりを何日も感じていなかったみたいに、心まで温かくなる感覚。
「大丈夫?ミーナ」
ワタルが起きて心配してくれている……その現実が尻尾の先まで行き渡ってきて
嬉しくてッ!
嬉しくて下着を外している事さえ忘れて飛びついてしまった!
「!?―― えっ、ホントどうしたのミーナ、大丈夫!?」
ワタルはミーナが泣いている事と、急に抱き締められた事と、そして…
『!』下半身の何もまとっていない状態にと3重にびっくりして眠気が吹き飛んでしまった。
この状況は、どう見たって……
「ミーナ、そんなっ……」
(あああ…どうしよう!ミーナが誰かに、襲われちゃったんだ!)
ケガはない? 生きてて良かった、とりあえずどうしようっ!
そうだ危険だッ……落ち着け、ここは、危険だ、だから、キ・キーマを
「キ・キー……むぐっ!?」
口元をフサフサなミーナの手が塞ぐ…何で、酷い目にあってしまってて僕一人じゃ…
ミーナの手を払い
「ミーナ!ここを離れなきゃ!」僕が必死に訴えると
「違うっ、違うのワタル」としゃくり上げながらまた抱き付かれてますます混乱する。
「あのっ……」
「ぐすっ、あのっ ……はつじょうきッ…きちゃったのッ!」
涙で詰まりながらそう言った。
……でも僕はそう聞こえた内容を理解するのに、少し時間がかかった。
「はつじょうき? ――えっ、発情期!?」
春になるとイヌやネコが異性を求めるあれの事?
現世でも、近所でよく見かけてしまったあれの事だろうか?
まさか「ヒト」として栄えている種族にそんな本能が生きているなんて。
そして、ミーナもその一人だって事に唖然としてしまう。
ミーナが自分の変化に戸惑って、だから不安でいっぱいになって泣いてるんだ。
「ぐすっ、ごめんなさい…… ごめんなさい」そう繰り返すミーナ。
誤る事なんかじゃないのに……
僕はここに来て、ここの生活の大体を知れたかのように思っていた。
けど何も分かっていなかったんだ。
仲間の事さえも。 こんなに重大な事さえ。
僕は何をしてあげられるんだろう。
「大丈夫だよ。 ミーナ」
ミーナに抱かれてる上から僕も、抱きしめる。
腕に感じるミーナの火照った体は、まるで風邪をひいているみたいに熱っぽくて、ちょっと心配だ。
発情期という事が本当ならば、ミーナに対してそんなこと思うのは忍びないけれど、それは「したい」という欲求が出ているに他ならない……
でも、キキーマだっているし、ましてやこんな自然の中で事に及ぶのは無防備で、何よりも危険ということは僕ににだって分かる。
……それにそんな事、本当はミーナだって望んでないよね。
本能に突き動かされているのであって、ミーナの心は別にあるのだから。
だから今は精一杯支えていてあげよう。
不安定な心と体が一緒になるまで。
……うん、それが一番だ。
「ミーナ、おめでとう」
しばらくの沈黙の中で僕はそんな言葉を口に出した。
場違いかも知れないけどさ。 でも、悲しむ事なんかじゃない。
準備が出来たって事なんだから。
一歩、大人になったって事なんだから。
きっといいことなんだよ。 だから…泣かないでよミーナ。
「怖いことじゃないんだ、おめでとうだよ……ミーナ。
受け入れちゃえばきっと、今よりも楽になるって」
ミーナの猫のようなその耳を撫でながら、もう一度そう励ました。
「ぐすん。 ありがとっ……ごめんなさい。 よく分かんなくなちゃった」
ミーナは泣いているのに笑っていて、その複雑な表情をしている自分を恥ずかしがるように、えへへと笑ってみせた。
次第に欲情が収まってきたのを感じて、僕は抱いていた腕を離すと、ミーナの方も小さく息を吐いて、ゆっくりと解き、ぐしぐしと涙を拭う。
ミーナと目が合う。
焚き木の炎と混じり合う綺麗な青炭色の瞳はまだワタルを離さず、僕もそれを思わず見入っていた。
そうやってしばらくじーっとを見つめていたミーナの方が我に返って、
「あ、ありがと、もう大丈夫。 心配かけてごめんなさいっ!」
僕の視線にオロオロしながらミーナは言ってて、僕もようやく我に返る。
あっ……オロオロするのも当たり前だ、下を履てないんだから。 今すぐにでもしゃがみ込みたい筈なのに僕は何やってるんだ!
「ごめん! そっ、そうだ着替えだねっ」と視線を引き剥がし、誤魔化すようにダルババの方に目をやると、ミーナも同じ方を見て恨めしそうな顔をダルババに向けていた。
僕はそのとき寝てたから分からないけど、その目つきから察するに、ミーナが一人でこんな所に居た理由は、発情の匂いに触発されたダルババが乱暴になって近寄れないでいるからなんじゃないかと思った。
だから僕は「ちょっと待っててね」とミーナのその姿から視線を引き剥がして、ダルババの荷車にある服を取りに、小走りで走っていった。
「ありがと。 ……大好き。」
ミーナはその背中に小さく投げかけた。
*****翌朝******
「ねぇ、ミーナ。恥ずかしい気持ちもあると思うけど、もし分からない事があればキキーマに相談すべきだと思うんだ。……ごめんね、僕はやっぱりまだ、この世界の事が分からなくて」
次の朝、そう打ち明けた。
「分かってくれるよね」というその問いにためらいがちに頷くミーナ。
もう告白とか、そして体まで許し合ってしまった僕らの間には隔たるものが無さそうだったけど、でも、キキーマとだとやはり、そうはいかないらしい。
「何でも話せる仲」とは言っても、それに関しては何だか気が引けるようだった……
変な目で見られるなんて事は絶対無いにしても、女の子として、ましては別族の事を、根本から理解してくれるだろうかという不安があるのは当然だと思うし、無理はない。
しばらくして、キキーマが起きたようだ。
「ほへ?なんだ二人とも。今日は早起きだなぁ」
そう挨拶するキキーマに、「うん、おはよう」と答える僕は、ちょっとミーナに視線を送るとその場をそそくさ外したのだった。
*****ミーナとキキーマ******
これは旅なんだ…それ故に私の事を思ってワタルは伝えてくれている。 それはちゃんと理解している。
それなのに、ただのワガママで大事なことを伝えないなんて、皆に迷惑を掛けてしまうのは目にみえているじゃないか……。
ミーナはそう自分に言い聞かせて
「あのっ! キキーマ」
「んぁ? どうしたミーナ?」
「えっとね。 その、私……」
自分の身体の変化を伝えた。
キキーマは真剣に聴いてくれた後、「そっか、ちゃんと言ってくれてえらいぞー!」と頭を撫でる。
そんなあからさまな子供扱いに顔を赤らめながらも私は
「もうぅ。 キ・キーマったら子ども扱いしないでよ~!」
と言い返したりして、そんなやりとりで場が和ませてくれているんだって分かった。
「わりぃわりぃ。 まぁ、ちょっとまってな」とキキーマは一旦荷車の方へ戻って行き、その戻る途中にある茂みの方へ足を運んでいた。
しばらくして私の下着と、他に何かを摘んで戻ってきた。
野草として結構生えている、見た目が「わたげ付きタンポポ」な感じの、でもしっかりとした密度を蓄えた、綿花のようなそれ。
それを2,3個とってアレルギーが無いか聞いた後、
「これなんだが、…言いにくいが、だっ大事なとこに当てがっときな、でないと、今も不快感あるだろ?」という。
確かに。 ずっとチビッている感じで不快だった。
「それに、その~。 これは欲求を緩和する効果もあるって訊いてる。先人の知恵ってのはすごいもんだよな。」
デリケートな内容故にキキーマは言葉を濁しつつ、私にそれを渡すと
「おっとすまない、長話はよさないとな。 ホレ替えの下着も持って来たから、そこらへんの茂みで済ませてきなよ。」
「後ろ向いてっからなー」と言いいながら茂みを離れキキーマはすぐに、ワタルと一緒に行きの支度を始めた。
さすがキキーマだった。色々なことを知っていて改めて感心する。
怪我や病気の基礎知識はもちろんの事、他種族の、それも他性別の処置の仕方を知ってるヒトはそうはいないだろう。
そして、そんな、真っ直ぐな性格のキキーマに心から感激した。
……ワタシが水人族だったら惚れちゃうかも。
下着を替えながらふと思う、何で恋人いないんだろうなって。
……やっぱ見た目で損してるのかな(ちょっと怖いもんね)
そんな事を考えて、思わずクスッと笑ってしまった。 笑っちゃ悪いけど。
あっ。 忘れてた ……後でお礼言わなきゃ!
****小さな町編につづく****