あらすじ
[ 前作 → リリス → 魔病院 → 嘆きの沼 → ティアズヘヴン → 星読みのスンシさん宅 → はぐれた仲間に会う為、カルラ族(鳥人)にサーカワへ連れてってもらう]
風の流れが下から持ち上がる気流へと変化し、カルラ族のトウゴウトウさんは僕を乗せてゆっくりと下降しはじめる。
薄雲の向こうには、青い平面が見える……海だ。
「ハイランダーよ、あれがサーカワの郷だ」
くちばしの指す方に目を向けると潮風に褪色している、木組みの建築物が白い浜辺に沿う様に立ち並んでいて、それに平行する形でたくさんの小船もまた、波打ち際に停留している。
「急降下する、捕まっておれよ」
「うぁあっ」
翼を大きく傾けると、ゴォーっと耳に響く風切り音が耳に響き、顔にその抵抗を感ながらも薄目を開けた僕は地面が大きく迫って来るのを確認していた。
航空写真のような景色から、あっという間に地面に手が届きそうな距離。 そして海岸の砂粒がキラキラと線を描きながら後方へと流れてゆくスピード感に目がクラクラする。
「さぁ、先に降りろ。でないと踏みつけてしまうからな」
と、トウゴウトウさんの言葉を合図にぼくは思い切って飛び降りた。
ふわりっ、バサッ――ずざざざざ……
そのまま二、三度天地が反転し、転がる様に砂を纏いながら着陸。
その30メートル程先でトウゴウトウさんは大きく翼を広げ、地面に対して逆噴射の要領でブレーキをかけ、地に足をつけた。
翼を内側へ収納させ、僕の方へ向き直ると、トウゴウトウさんは海岸の先、大きな集落の見える方へ首をクイッと示した。
どうやらあれがキキーマの故郷、サーカワらしい。
「こんなに早く着くなんて思いませんでした。
本当にありがとうございます!」
言い足りないけど、感謝の言葉を伝える僕に
「じゃぁな、頑張れよ」
とぶっきらぼうに、でも満足げにバサリと翼に付いた砂塵を払うと、そのまま助走を付けて足早に飛んでいってしまった。
行っちゃった。
その優雅な羽ばたきが雲に溶けるのを見送った後、改めてあたりを見渡す。
「ここがサーカワなんだ」
真横をなでる海面の照り返しが眩しくて、僕は目を細める。
向こうには高床式の建造物が等間隔に幾つも並んでいるのがうかがえ、漁を終えた後であろう浜辺に乗り上げ固定されている何隻もの木製の小船がこの地の水産の豊かさを想像させる。
きっとここから多くのお魚が、キキーマのような運送屋さんに運ばれ南大陸を潤しているんだろうな。
「「誰か来たぞ~」」
その目線の先の方からサーカワの人々の声が届いてきて、海岸沿いの遠方からキキーマみたいに大きな人達が「ようこそ」とその大きな両手を開き駆け寄ってきてくれた。
そしてその中に、
『お~ぃ!ワタル~! ワタルか~!!』
と、誰か来てるでは無く、僕を知っているヒトからの声がする。
懐かしく、頼もしい声が。 目を凝らすと数人の水人族に混ざって、キキーマが駆け寄って来てくれている。
『キキーマ~!』
僕は千切れんばかりに手を振る。 居てくれた! 良かったっ。
ここに来ている確証は無かったのだから、こんなに早く会えるなんて、喜びもひとしおだ!
そしてもう一人、『ワタル~』と小さくても良く通る声も届いてきた。
しだいに体格の良い水人さんの後ろに紛れ、チラリと白い尾っぽが覗いた。
近づいてきてようやく見える ミーナの姿。
「おおう!やっぱりワタルだ!」と、キキーマにそのたくましい腕で掲げる様に持ち上げられ、後に続くミーナも助走つきの大ジャンプでキキーマの肩に乗っかっては、そのまま僕に抱きついて喜びを表す。僕達はそのままもつれ合う様に笑いあったのだった。
「キキーマっ! ミーナっ!」 二人とも無事でいてくれたんだ、本当に嬉しい!
僕らはまた会えたんだってこと……そうやって触れ合えた事で強く実感できて少し泣きそうになっちゃった。
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「――えっ!? 僕に?」
その準備はすぐに始められていた。
辿り着いた今晩、みんなが長老の住まいに集まって、自分の為に宴会を開いてくれるそうだ。
その長老の住まいには巨大なテントを木組みでガッシリさせたような大広間があり、そういった宴《うたげ》の時用なのだろう。年期の入った仮設テーブルが縦にずらっと用意されていた。
更にテント張りの大広間も外の布がたくし上げられていて、屋根だけの状態になり、敷地外にも同様のおもてなしが延長している。
各テーブルには新鮮そうなご馳走がいっぱいで、中央に置かれたランプの灯火を受け、水々しく反射していた。
夕方近くになって僕が入ろうとした頃には、サーカワの郷じゅうの水人さん達が来たんじゃないかって位、用意されている大掛かりな席もたちまち埋まって、これが自分の歓迎である事さえ忘れてしまう程だった。
「なんか、すごいね……」
うまい表現が見つからなくって、僕はそう呟いた。
「そりゃぁ なにしろ旅人さんが来たんだから、皆こんぐれぇしないと気が済まないのさ。」
まぁゆっくりしてけってこったよワタル。 とその大きい手を僕の肩に乗っけて言う。
久しぶりに感じる、いかつくって頼もしい手。 再び安心感が舞い戻る感じだ。
夕日に照らされ、作業をする水人さん達。
出会って間もない頃「幸運さん」ってキキーマに言われた事を思い出す。
旅人という肩書、ただそれだけなのにさ。
そんな僕の為だと思うと、何だか申し訳ない気持ちと、嬉しさで胸がいっぱいになった。
そうやってしばらく見学していたら「ほらほら、主役は中央だよ」
とおばさん(……かな? 水人さんって歳が良く分かんないや)に、テントの屋根のある中央付近に呼ばれ、そこに座った。
「あの何か、手伝うことあったら……」
「いいのいいの。 主役なんだから」
「そうですか」
なんだか、ホント申し訳ないや……
****************
日も暮れて、灯り火が眩しく感じられた時。
「それではぁ女神様のお導きにぃー!」
と、全世界共通っぽさを感じる『乾杯!』で 盛大な宴が始まった。
宴ではバイキング形式の食事が振舞われていたけど、即効で質問攻めに合う僕に
「手が回らないでしょ」とミーナが傍に来てくれて料理を持ってきてくれた。
自分の所に置いてくれた大皿に盛り付けてある料理は、多種類で少しずつ乗せてあって実にミーナらしいよそい方だなって思う。
それに良く見たらどれも二種ずつで「一緒に食べよう」って隣にちょこんと座ってくれ、会話に加わるミーナ。
そういえば今日のミーナは、リリスへ行く途中で一騒動の起きたときに頂いたあのスカート姿のままだったので、座り方も女の子っぽい
ってちょっと失礼な言い方だけど、僕はその仕草にドキリとしちゃったりして。
とはいえそんな緊張感よりも僕らの両端に続くキキーマ並みの体格のヒト達に囲まれてる事に対して、案の定やっぱ緊張しちゃってるので、ミーナがいてくれてとても安心するんだ。
幻界での会話は慣れたとはいえ、まだまだ言葉足らずだから補足もしてくれるし。
途中、水人の小父さんに「ほれっ!喉渇いたろ。お水だ、お水。」とお酒を勧められ、僕は丁重にお断りする。
そういえば宴の準備をしている時に大きな樽が並べられてるのを見て
(あの樽どっかで見たことあるんだよなぁ……)と思ってたけど、勧められた「お水」で分かった。
ガサラで身を隠した時にあった、あの酒樽の匂いだ。
それにしても強そうなお酒だなぁ、あの時みたいに匂いだけで酔っちゃいそうだ。
訊くとこのお酒、ここマキーバが産地だそうで「俺達水人には水みたいなもんよ」ってグビグビ飲み干す水人のおじさん達。
ミーナの隣にいた水人の小母さんにも「じゃぁネ族のお嬢ちゃんは、のむ?」
とミーナも勧められてて同じく丁重にお断りしていた。
「そっかぁー残念だわぁ。 でもまぁまだ早いものねぇ」
と、小母さんが言ってる隣で僕に水(酒)を勧めてた小父さんが
「いいなぁ、若いって~。 二人ともお似合いのカップルだしなぁ~」
と、茶化してるというより本当に羨《うらや》ましそうに言われたから慌ててしまって、
「「えっそんなんじゃないですよっ!」」
と、ミーナと声をダブらせてしまった。 ガサラの時以来ずっと僕達は、異種族だから隠すべきって決めているからだ。
「はははっ、あれだろ? 外じゃ偏見とかあるそうじゃねぇか。 な~に、ここは大丈夫! 別に隠さなくっても安全さぁ!」
そう言われて、ますますモジモジとしだす僕達を面白がってか、
「サーカワで背徳だーっなんて妬《ねた》んでんのはキキーマぐらいなもんだろ」
『なぁキキーマぁ~!』
とその呼びかけに、
『ぅるせ~やい!』
とテーブル2つ向こうの方で酔った水人さん数人に胴上げされているキキーマが大声で即答していて、僕は頂いてた普通の水を思いっきり噴き出しそうになった。
(キキーマ知ってたの!?)
ミーナもその冗談の返答を聞いたとたん、同様に飲みかけてた水にむせ返る。
「x!○×….,、ケホッ,、けほッ,、ケホッ、……ごっ、ごめんなさい」
むせて苦しそうに顔を赤くしてるミーナが3メートル程宙に上がってるキキーマをあらためて大きな目で見ていた。
それを察したのか「オレら水人族は、見た目鈍感そうだろ?でも洞察力に長《た》けてるんだよ。 まぁ俗に言う第六感ってヤツかもな!」
だから浮気もできねぇ。 なんて小父さんがボソリ呟いて、すかさず小突かれてた。
僕はそこでようやく気付いた、この二人、夫婦か。
さらに調子づかれて
『よーし、逆境に挑む二人に カンパ~イっ!』
なんて大声で言われてしまい、水人さんの大声だから
そりゃぁもう、全体に響き渡ってる訳で……
ミーナ、スカートの袖をぎゅって握ってて倒れちゃうんじゃないかってくらい更に顔赤いし。
(もぅ穴があったら入りたいっ!)
僕は初めてあのお酒を飲んでしまいたいと思ったのだった……
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そんなこんなで会話は弾み、
「う~ん。な~んか見たことある様な気がしてるんだよね」
とジッと見られているミーナが
「あっ、すいません申し遅れました。 ミーナっていいます。」
と、自己紹介の後も、まじまじ見られてるから「どっかでお会いしましたっけ?」って付け足すと
「ああ分かった! サーカスにいたよねぇ!」
と両手を打ち合わせて目を輝かせると水人のおばさん。
幻界中を巡業しているだけあってエアロガ・エレオノラ・スペクトル~じゃなかったスペクタクル・マシン団は結構知られているようだ。
で、いつの間にかその会話が波紋のように宴会中に広がっていって
「なんかやって!」
「そうだ、歌ってみてよ!花形さん!」とか
「恋人に向けてでもいいよ~」と、はやされていた。
「えっ、えっ!」としばらくオドオドしてたミーナだったけど、照れながら「コホンッ」と喉を慣らして
「ちょっとサーカスの宣伝しちゃおうかな」
なんて恥ずかしさを紛らす理由付けをしながら歌う気を見せてか、そっと立ち上がって、スカートのレースに付いた砂を軽くはらった。
すごいなこんな大勢の前で、さすが場慣れしているだけあるな~と僕は感心していたら
ミーナは早速、人混みに押されながら中央の方まで誘導されちゃっていた。
「ここで歌ってよ」と早速テーブルを合わせて簡易ステージみたいにしているそれを見てミーナが
「いいんですか?テーブルですけど」と遠慮がちに言っているのを見て「いいって! 今日は無礼講、無礼講」と近くにいたヒトがミーナを軽々と持ち上げテーブルに乗せてあげていた。
「じゃぁ、みんな覚えててくれたみたいだから唄いまーす!」
と、リズミカルな曲調の歌を披露していた。
あの小さな体からすごく綺麗に透る声を出す。
大声じゃないのに波際に居ても聴こえてきそうだ。
そしてそれは、僕も聞き覚えのある曲だった。
……そうか、森で太鼓の音と共に風に乗って聴こえてきたあのサーカス団の歌だ。
テントの片付けの時も、それも一つのショーであるかの様に歌いながら作業してた団員達が今も目に浮かぶ。
今もどこかで唄っているんだろうな。
そう観ていると、サーカス団の血が騒いでか、足元にある片付けられてなかった器の中にシッポを入れるミーナ。 (まぁ、無礼講だからいっか)なんて僕は見ていたら、そこからトス、トス、トスッ とリンゴっぽい果物を3つ弾き出して見事に手元でジャグリングに変わってゆく。
更に水人さんが投げてよこす3つも受け取り、難なくこなしていた。 すごいし、速い……
次第に立ち上がるヒトが出てきて、手を打ち鳴らして踊る、一緒に歌うヒトも出てくると目の前が水人さんの背中でいっぱいだ。
「――よいしょ! っと」
掛け声と共にふっと両脇から自分が持ち上がったかと思うと、ストンとそのまま+2メートルの高さになる。
下を見るとキキーマが肩車してくれていて
「どうだい。見晴らしいいだろう」と上機嫌に言った。
何だか重心が定まってなくって軽くほろ酔い気分らしい、落とされない事を願うよ。
「ありがとう、キキーマ」
見渡すとテレビで見るアーティストのライブみたいな輪が広がっていて、大きなヒト達が揺れている。
その真ん中でミーナが、サーカス張りの曲芸でスカートを翻《ひるが》えらせて唄う。
周りの大きさとは対照的に、小さいのが逆に目立っていた。
楽しそうにいっぱい動きその体が白く際立っていて、やっぱりミーナはこういう瞬間が一番輝いているんだなぁと改めて感じた。
次第にキキーマも踊りだした――って、落ちそうで恐い、酔ってるし。
~ぐわんっ!
「んあ……あれっ?」
さっきまで大丈夫だったのに急にクラクラと……まぁキキーマに揺らされているからだけど。
でも何か、それとは別に例の「ガサラの酒樽状態」になりつつあるのを感じる。
熱気が混じり、空気が掻き混ぜられているからだろうか。
「うへぇ~、キキーマぁちょっと~」と鱗状の肩にトントンと知らせる。
降ろしてもらう頃には、やっぱり僕の世界は回転しつつあった。
「大丈夫かい、ワタル? そういやぁ酔っちゃうんだっけなぁ」
「うん、ちょっとだけ休んでくる」
「そっか、じゃぁ俺んちの4件となりの……て言っても分からんよなぁ。
ほら、あの赤色の小船が止まっている小屋だったらもう寝床敷いてあるから、そこで休んでてもいいぜ」
と指差すキキーマのお言葉に甘えて、そうして貰うことにしようかな。
「大丈夫か、一緒に行くか?」
「ううん、一人で大丈夫だよ、ありがと」
千鳥足にならないようにって砂の感触を確かめながら小屋の前に着いたけど、入るにはハシゴを登らないといけなかった。
「こりゃあ今の状態じゃあ、難関かもね」
独り言を言いつつ、何とか登りきると、確かに床敷きの布団が一式あって足元がおぼつかない僕はそのまま上からダイビングしてしまっている。
「ふぅー」と一息つく。
布団がひんやりとしてて気持ちがいいや。
……。
耳を澄ますと、ここ一帯の住まいは水辺に張り出したつくりになっているらしく、静かにしていると床越しに、波の輪郭が感じ取れるほど水のはじける音や、せせらぎが聞こえてくる。
寄せては返すその流れに耳を澄ましていると、遠くからのミーナの唄声も聴こえてきた。
いつの間にか穏やかなバラードらしい曲に変わっていた。
(やばい。寝ちゃいそうだ)
ちょっと休憩するだけの予定だったのに。
波と、唄。 瞼を閉じるといい子守唄となって、酔いが睡魔の拍車をかけてくる。
「無理……ムリ。 これで眠らないヒトなんていないって~」
再び独り言をつぶやきながら、僕は一人、沈んでゆく感覚に身をゆだねていった。
***********************
……。
――ガタン!
ぅにゃ~……
「んぁ?」
何か猫みたいな声に目が覚めてしまって、重い頭を振るとそっと窓から顔を覗かせる。
ああ、潮風が額に涼しい……。
ふと長老の住まいの方に目を凝らすと消え残りのランプだろう。 数少ない灯りがくすぶっているのがうかがえる。
あれは、きっと飲みすぎたヒト達だろうな。
地面には大の字になって寝ている水人さんが(正確に言うと尻尾を加えて木の字そっくりだが)その残り火に照らされていた。
……ってことは、
「あちゃ~。 だいぶ寝ちゃったんだなぁ」
と宴の後の静けさにちょっぴり後悔しながら「まぁ、仕方ないか」と波の音のするほうへ目を向けると、遠景になる程静かな波紋となっている水面に切れぎれになったお月様が浮かんでいて、とても幻想的な景色だったので僕はしばらくボ~ッと見とれていた。
……あれ? そういえば、何で起きたんだっけか?
とよぎった瞬間「ガタンッ!」
「ぅにゃぁ~……」
そうだこの音、気のせいじゃ無さそうだ。
というかミーナだよね、この声って。
一体どこから?って出口の簾を開けて見下ろすと、丁度ハシゴを登ろうとして2、3歩足を掛けている所のミーナがいた。
案の定バランスを崩して、そのまま「ぅにゃ~」と声を上げながら落っこちていく。
まさかこの動作をず~っとリピートしてたんだろうか……
落ちて砂まみれになってるミーナと目が合い、
「ぅうっ、ワタルぅ~ のぼれにゃぁ~いっ!」
と半ベソをかいて僕に訴えていた。
とにかく入れてあげなくちゃと手を取ってあげたが、普段バランスをとっているはずのシッポがでたらめに動き、
おぼつかない足取りで思いっきり梯子を踏み外してた為、結局僕が降りておぶって登り、ようやく入れる事が出来た。
「きょ~ここでねることに ゃにゃってたんだけどぉのぼれにゃくにゃって」
言葉の抑揚がおかしいし、さっきから舌足らず過ぎて何言ってるのかさっぱり分からない。
「ミーナ、酔ってない?」
「ハイィッ! よってにゃ~い!」
大きく手を上げてハキハキと答えるミーナ。
……酔ってるねこりゃ。
しかもアニメなんかで猫のキャラクターが言ってそうなベタな「にゃ」が混じってるし。
まぁしかたないか。 僕だって匂いだけで酔っちゃうんだから、僕と同じでミーナだって
……いや、もっとマズいんじゃないか!?
スラの森林にさしかかったときミーナが僕らが気が付かなかった匂いを察知してて、「私たちネ族は、ワタル達よりも100倍嗅覚が(以下略)とかって言ってなかったっけ?
大丈夫かなぁ。 まさか100倍増しに酔う訳じゃ無いと思うけど、見る限りでは僕以上に酔いがひどそうだし。
「ミーナ、水飲む?」
酔いが薄まるかもと、枕元にあった水筒のお水を注いであげた。
そっと手に持たせてあげると、びちゃびちゃと水を半分以下にしながら、僕の顔の前に近づけて、
『ぅいッ。 ぎゃっきょうにっキャンぱ~い!』
グビグビッ……
はぁ~……大丈夫かなぁ本当に。
「ミーナ、この布団使っていいからさ。 もう寝た方がいいよ」
ここには1セットしかないし、自分も変なこと考えちゃうから床で寝よっと。
ちょっと硬いけどしょうがない。
「おやすみ、ミーナ」
こういう時は端っこが落ち着くと、僕は壁に向かって雑魚寝《ざこね》で目を閉じた。
……ぐいぐい。
グイッ、グイッ。 引っ張られてる……
「もぉ~わたるぅ~そんにゃにきらわにゃいでよぉ~」
距離を取られるのが嫌だったのか、ちょっと怒った様な口調で衣服を引っ張るミーナの方へ顔を向けると、布団からヒョコっと手を出していて、目が合った瞬間に笑顔になる。
「えへへっ一緒にぃはいろ~」って片側の布団の端をちょこんと持ち上げてて、僕を招いてくれてるようだった。
何か照れくさくて、嬉しかった。
酔ってるのに僕のこと気遣ってくれてるんだね。
(添い寝だけなら、いいよね)と思う反面、酔ってるからそっとしておいてあげなきゃと思う僕もいる。
キャンプ中に寒い時とかは一緒の毛布に入る事あるけど(そうすると毛布二枚重ねできるし)そう誘ってくれる時はお互い恥ずかしいんだけど今のミーナは「遊ぼうよ」みたいなノリだった。
そんな仕草が抵抗を低くさせていて、
「うん、ありがとう」
そう言って、僕はその布団によばれることにした。
この布団は水人族用だからとても大きくて、僕ら子供だったら余裕で二人が収まる。
「さみしかったょぉ~」
って早速お気に入りの抱き枕って感じに抱き付いて、僕の首元に顔をうずめてきた。
息がかかり、深い呼吸をしているのを感じる。
……こんな事されるのも、ミーナが発情期になって以来だなぁ。
好きなヒトの匂いって安心するんだよって前にミーナが教えてくれた事を思い出す。
それで、発情期になって以来僕にミーナ自身の匂いが無いと無性に不安になるらしく、ネ族特有の愛情表現なのか、横を歩いている時にさりげなく体を擦り合わせてきたりするんだ。
「スリスリしちゃお~♪」
例のごとく、そうしたいらしくて頬同士をすり合わせたり服越しにおなかあたりをくっ付けては、一生懸命マーキングみたいに擦り寄ってくる。
「んっ、んにゃ。 んっ、ふぅ~」
すっかり消えてたんだろうか。しばらく離ればなれだったから……
スリスリと……ウットリした目で僕を見るミーナ。
淡々とそんな行為をされていると、僕までまどろんじゃう。
というか、あれ?またクラクラしてきてる。
気のせいかな? なんかミーナから酒気がしてきてるけど、別に飲んでる訳じゃないと思う。
試しにミーナの口に少し鼻を近づけてみたら、やっぱり違ったんだけど、どこからだろうか?
「ん?」 ミーナの服、何となく湿っぽい?
とりあえず擦り寄るミーナをグイッとどかしたら、ムッとされた。 まぁしょうがないよね。
ちょっとたじろぎつつも、湿っぽいおなか辺りの衣服を触って、僕は手に残るそれを嗅いでみた。
(うへっこれはやばい。 また酔いそう)
キツイ酒気が鼻を突く。
「ミーナ、もしかして」
「にゃへっ。 おさけかけられたぁ~」
やっぱり、これじゃぁミーナの酔い覚めないじゃんか!
水人さんってば、その場のノリとはいえ何て事を、シャンパンシャワーじゃあるまいしっ!
とにかく服、着替えさせないと。
でも僕、サーカワに来たばっかりで着替え何処にあるかわかんないし。
今のミーナに訊いてもワケわかんないし。
それに、どう見ても一枚着。
「エヘへ、ワタルにぬがされるぅ~」
って悪乗りしてて、別室で脱ぐ気ゼロだしなぁ~。
未だ内心ドキドキしちゃうけど、マーキングに付き合ってあげるまではともかく、さすがに服を脱がすなんて。
でもとにかく脱がなきゃ酷くなると思って、どうしようもなくミーナの着衣に手を伸ばしたけど、
女の子の服を脱がしているという現実が、何だか酷い事してるような気がして手がそこで止まってしまった。
ドキドキしている鼓動を押さえながら僕は思う。
純粋な気持ちなら、こんな、変な事考えず出来るはずなのに。
でも、久々に会えたんだ。
寂しかった……だから僕もミーナに触れていたいんだ。
スキなんだから、そう思うのは自然な事じゃないか。
僕は、ミーナと……
何だか心苦しくなってしまった。
部屋に入れてあげるにしても、それだけじゃない感情を持っていたんだから。
そうだ、僕だって、求めてるんだ。
ミーナと一緒に眠れたらなっていう思いが、久しく会ってないうちに募っていたんだ。
こんな事感じる自分が恥ずかしいけど、男の子として、心のどこかで期待をして、悶々としている自分がいる。
「……ミーナ、その、脱がしちゃうけど、ぼくっ、あのっ」
(言いたい。 今の、ミーナと……したいんだって)
酔ってて判断力を失っているのに こんな事、良くないとも思った。
――けどミーナ、僕はもう、我慢出来ない!
「……せっ! せっ…くすして、欲しいんだ……けど」
言ってしまった……。
僕のほうから。
初めて僕から、交わりを求めた。
「んぅ。 わたりゅぅ」
ミーナがまどろみながら、目を瞑《つむ》り、そしてベッドの上でバンザイの格好をしている。
脱がして欲しいって……
いいよってサインだ。
僕は震える手で、スカートの内側にしまっているシャツの裾を引っ張り出して、ゆっくりめくっていく。
おへそが出て、わき腹辺りが見えてきた所で、ミーナの小さな胸のふくらみと背中の肩甲骨《けんこうこつ》に引っ掛かって、ミーナは体をちょっと浮かせ補助してくれる。
僕はミーナの身体をちょっと揺さぶらせながら捲し上げると、シャツは二つの山のてっぺんに引っ掛かり、少し強引に服を持ち上げると、ぷるんと外れた。
「はぁっはぁ、ミーナッ――」
我慢出来なくって、露になったミーナのオッパイに触る。
ムニョムニョして、柔らかいっ――
「ぁんんッ、んみゅ~……」
次第に切ない嬌声を上げ身体をくねらしている……ように見えたけど、違った!
まくったシャツが丁度、鼻先を被ってしまっていて「んはっんはっ」と染み付いた布の酒気に溺れている状態になっていた。
「あっ、ミーナごめんっ!」
我に返って、慌てて一気にシャツを身体から外す。
ハッ、ハッ……と小刻みに呼吸をして、全身を赤く火照らせている。
目も潤んで軽く充血していて、酔いが全身に回っているのがしっかりと分かるその体は、まるでセックスした直後みたいにも見えてしまう艶《なまめ》かしい雰囲気を漂わせていた。
ミーナは上半身裸になっても、そのバンザイの姿勢のまま 布団に身体を擦り付け、切なそうに僕を誘ってくれて、僕の胸にキュンと苦しさが募る。
「ミーナ、ぼくもっ」
僕はすぐに、自身の衣服を脱ぎだす。
シャツ、ズボン、下着、全部。
冷静になれず、そのままミーナに被さり上から腕を回した。
「みゃぅんっ!」
捕食者から身を隠すみたいに 耳を立てキュンと縮こまる様子に、僕の体は反射的にミーナから離れた。
「ごめん……」
視線を自分の手元に落とすと、腕が震えてしまっていた。
自分が 怖くなった。
僕は理性なんて放り投げて、酔いが回っているにも関わらず、自分のしたいように解釈して、
これじゃまるで……
「ごめん、僕どうかしてる。 ダメなのに、こんなの」
「んぁっ~……にゃんで?」
ふら付きながら体を起こすミーナが
「あはっ、すきにゃよぅ」と、ろれつの回っていない言葉で、一生懸命言うと、ふわりと胸に飛び込んだ。
懐かしそうに背中をさすってくれて、いつもの純白な体毛がが熱いくらいポカポカしていて僕を心地よく包む。
「わたりゅはぁ、ずるいよぉ……だって、わタシからもとめにゃいと
……すきスキ~って抱きしめニャいんだもん」
「僕もさみしかったんだよ。 ミーナ」
嫌だった、恐かったんだ、孤独が。
何が起こったのか、自分の行った事が恐くって逃げるように後にしたあの沼。
どんなに逃げても付いて来る自責の念が、辛かったから、怖かったから。
僕は一人のハイランダーとして振舞っていたけど、重圧に押し潰されそうになっていて、
なのに誰も励ます人が、慰めてくれる人がいなくって 泣きそうになっている自分がいて……
「僕は全然、一人では生きて行けないんだって分かったんだよ。
キキーマがいないと、ミーナがいないと、ダメなんだ」
僕を抱きこむ両腕の温かさに、こぼれる様に想いが、口に出る。
いつの時も挫けそうなこんな僕を救ってくれたミーナ。
「ミーナが無事で、うれしい」
「えへへ……わたしも、うれしいよ~」
僕は再び、ミーナを布団の上へ押し倒していた。
フラフラしつつも、そんな僕を受け止めてくれる。
「 淋しかったんにゃからぁ~」
目を細めて耳元で優しく囁きかけられ、僕の鎖骨上部の窪んでるところに「ふにゅん」と、その子猫のような鼻面を埋《うず》めてきて、被さってる僕の身体をごろんと横にさせた。
「ン…… んふうっ」
押し付けてる鼻面から ぺちょぺちょと滑らかな舌が伝い、ぴんと立ってる口ひげが僕の首元をくすぐる。
しだいに柔らかい湿り気が首すじにまで昇って来ると、その感触が通過した跡には、サーカワの潮風によって唾液の熱がスーッと冷えていく。
「あぁ、ミーナ。」
ムズムズする感覚に、僕もミーナの背中をさすりながら段々と正面の方へ手を動かし、緩やかに揺れている胸に手を添えてた。
ビックリさせないようにしようと意識していたのに僕は酷く興奮してしまっていて「ムニュゥ」っと指の形に合わせて変形させる位に何度も揉んで止められない。
懐《なつ》いてる子猫みたいに しきりに僕の頬をぺろぺろしている最中のミーナは特に痛がる様子もなく、逆にグイグイ身体を寄せてきて、揉んでいた手が僕自身の胸とミーナのオッパイに隙間なく挟まれていった。
「ペロペロ、んにぁ……。
ワタシのオッパイ、きもちぃ?」
僕が押し当ててるその手の上にミーナも掌《てのひら》を被せ、クニクニとその状態でおっぱいをこねる様に動かさせるミーナは、僕の首筋に吐息をかけながら唇をゆっくり離すと、えへへっと目を細め、何か思い付いたかのように体を離した。
「どうしたの」って聞く僕にミーナは口の両端を持ち上げていて、自分の考え付いた事にほくそえんでいるような笑みを浮かべる。
「じっと、しててね」 そう言いながらミーナは僕の前で屈みがちに布団に潜ろうとして、胸を撫でる体毛がくすぐったい。 そのままスルリと寝床の下の方、僕の足元へと体を移動させた。
「わたりゅ……どう?」
「ぅあっ、ミーナ」 下腹部から性器周辺に ふにゅふにゅした感触が移ってきて思わず布団を持ち上げミーナの姿を確認したら、ミーナが上目遣いに見上げていて、下腹部におっぱいを押し付けては 離してを繰り返していた。
「きもちぃ?……ねぇ、包んであげるっ」
ぐにゅっと押し付けた状態で静止して、自身のおっぱいを両脇から両手で寄せて、僕のを挟み込もうとしていた。
胸のラインが僕の性器に沿って優しくたわんで、ぽかぽかと暖かい。
うんしょ、うんしょとミーナが両手でゆっくりと胸を歪ませたり、揺らしたりしてくれて、包み込まれた僕のがふるふるとその中で揺らされる。
「んぁ。 やわらかい」
僕は心地よくなってきて、じんわりと大きくなってゆくのも感じる。
隠れる様に胸の間に埋まっていた僕のが、次第に先端を覗かせはじめた……。
そんな、胸の谷間に先っちょがはみ出している僕のに気付いたミーナが
「んふっ。 ワタルの、おっきくなったぁ」
って言ってチロッっと舌を出し、おっぱいで包ませたまま、舐めようとしてくれていた。
「――へふっ、へふ~、あえっ?」
だけど届いてなかった……
それでも頭をグイグイ下げては舌先をぴくぴく動かして、なんとか届かせようと一生懸命なその様子を見てる僕は、何だか胸がいっぱいで、熱くなってしまっている。
「あっ……」
そんな僕に気付いてか、急に恥ずかしくなったらしくミーナもポッと顔を赤く染め、慌てて舌を引っ込める。
そんな事ないのにバツの悪そうにしているミーナが愛らしくって、今すぐ抱きしめてあげたいくらいだ。
「ミーナ……きもちいいよ」 僕はそっと耳の後ろを撫でてあげた。
するとミーナは気持ち良さそうに目を細めて「んふぅ~」と深く息を吐きながら耳を後方へ倒してゆく。
お母さんに耳掃除をされてるみたいな光悦そうな、そんな表情をみてると僕の方まで幸せになってくる。
「……きもちいい?」
「うんっ。」
もしもミーナがネコだったら、いっぱいゴロゴロと喉を鳴らしてくれているだろうな。
暫《しばら》くナデナデしてあげていたらミーナが
「私もつづき、するね」 と少し身をよじると、全身を揺らしはじめて、おっぱいもそれに合わせて大きく動く。
小ぶりなおっぱいなので、性器全体までは包み込めずに、ちょっと外れそうになりながらも「んしょ。んしょ。」 と両側から一生懸命に押さえ込み続ける。
グニュン、グニュン、と寄せる手を休める事無く、流動する様な柔らかさがずっと続いて、僕の為に一生懸命にしてくれるミーナに心が満たされてゆく。
下半身がぽかぽかと温かくなってきた。
産毛のように柔らかい体毛もわさわさと触れ合って気持ちいい。
トク.,トク.,と胸の間から、心臓の鼓動だろうか、少し伝わってくる。
ユサ ユサ ユサ……
「ワタル、きもちぃぃ?」
フニュ フニュ……
たわんで、包まれて、きもちイイ。
ミーナの鼓動、ミーナのやさしく触れる純白の毛……
ずっと このままでいたい……
ずっと――――
ずっとッ―――!!!
『!』
んッ.,、んぁっ! ぁあッ!!
「ミーナッ! ぁアッ!」
びっ、 びちゅッ――!
心地よさでずっとミーナに委ねていた僕は、急に湧き出てきた絶頂に手で塞ごうともせず射精してしまった。
「キャぅっ!」
ミーナも急に飛び出してきた白い粘液にビクッと目を瞑《つむ》り、ちょっと声を上げる。
「んッ、くッ ……ごめん、ミーナ」
見るとミーナの胸元の体毛や鼻先にぺっとりと付いちゃっていて、ミーナが「ふへ?」って感じに首を傾げる。
自然に手の甲で拭おうと腕を上げているミーナを見て、そんなことしたら体毛に絡んじゃうし、余計広がっちゃうからと僕は慌てて制すと、枕元にあったちり紙ですくい取るようにしながら綺麗に拭いてあげた。
ぬぐった胸元あたりの体毛はそこだけ濡れ束になってて、それを見たミーナが
「ガマンさせちゃってごめんね」
なんて言うわれてドキドキする、きっと早く射精しちゃったからそう言ったのだろうな。
ひとしきり拭いてあげたら、疲れている感じだったので直ぐにミーナを横にしてあげて、
腰に手を回し「きもちよかった ありがと」って伝えたくてスキンシップを取る。
「……ワタル、キモチ良さそうだね」
しばらくして、僕を上目ずかいに見詰めてくる。
「ミーナ……」
スカートを穿いたままで隠れているその脚をミーナはモジモジと動かしていて、僕に欲求を示しだすと、その場で体を丸めていた。
……パンツ脱いでいるんだろうか。
その静けさに、モゾモゾと布の擦れる音を聴いていて僕はドキリと緊張してきた。
脱いだ下着を見られるのが恥ずかしいようでその両手には隠すように小さくたたんだ淡い色の布が見えていて、それを僕が脱がした酒気のあるシャツの所へ退《ど》かした。
「ワタルそのっ、ぬいじゃったよ」
ミーナは照れながら僕に伝え、その様子からして、もう酒気は抜けたんだろうと感じた。
酔い方は酷かったけれど醒めは早いらしい、ガサラの酒樽で二日酔いみたいになった僕と違って耐性があるみたいだ。
「なんか、へんな感じ」
ミーナはスカートを穿き慣れてないのだろう。 そんな下着を外したのにまだ布を纏ってるという感覚に、しきりに裾を気にしだして、何だかエッチな仕草になっていて僕の心臓が準備をしだす。
「おねがい」と仰向けになったミーナが両手を差し伸ばしてきて、僕はその腕の間に体を滑り込ませ、顔を見合わせる形になる。
「ワタル…… 私とまた、気持ちよくなろうよ」
ミーナの手が僕の輪郭を撫でる。
わき腹から、下へ、下へ……骨盤のあたりから恐る恐る前方へ伝う指。
くにゅッ……両手の指が僕の性器を捉えた。
位置を確かめる様に優しく触れるその指先が、小さくって、温かくって、
「ごめん、僕も」
たまらなくなって、そう言うと同時にめくったスカートの下からそっと片手を入れて、僕もまさぐる様にミーナの場所を確認した。
お腹の下のふわふわの短毛。
触って、辿ってゆく僕の指先に体毛が柔らかく撫でてゆく。
おへそがあって、そこから少し下へ移動する僕の指が、チュルンッ! と粘液で急に滑り込んでいった。
「――きゃんっ!」
感じきっているミーナの嬌声が「そこだよ」って教えてる。
捉え所のないヌルヌルが僕の指をジトっと包む。
「うわ……」
スラリと縦に細い一筋は程よい窪みで僕の指の腹をやさしくキャッチしてくれていて、力を加えなくてもずぶずぶとその割れ目に沈んでゆく感覚がする。
これ程までに僕を受け入れようといっぱい濡れて、準備が出来ている。
それで最後のガマンって、きゅぅって目を瞑ってるミーナの健気さを前に、僕は切なくなって再びせり上がってきた性欲に捕らわれ始めていた。
「ミーナぼくっ、もう!」
(入れてあげたいっ!)僕はその強張る自身の指に力を入れる。
「――やっ!」
指を入れようとした僕を制すようにキュッと太腿を閉じると、
ミーナは、僕の下半身を手を差し入れ、掴んだ。
「……いいの?」
僕はそのミーナの意思表示を汲んで囁く。
(コクン)と恥ずかしそうに青炭色の瞳で僕に頷きかけていた。
そして、もう片方の手で僕の胸に手を当てるミーナは
「ワタルもドキドキ、って準備してるねっ」
と、自身の緊張をほぐすように僕に呼びかける。