①麻雀部部室にて
清澄高校には旧校舎と新校舎の二つの校舎がある。
校舎の老朽化が進んだために新校舎が建てられ、旧校舎も校舎機能の移転が終わり次第、解体される予定だった。しかし解体のための予算が当初の予定よりも高くつく事が新校舎建設中に発覚し、急ぎ解体する必要性もそこまでは無かったので放置されているのが現状だった。
現在は主に倉庫目的で利用されている。当初、施錠らしい施錠は出入り口のみだったのだが、生徒間の不健全的性行為――空き教室を利用した組織的な売春――が発覚した後、使う必要が無い区画は厳重に封鎖されている
そのため、利用者は倉庫目的の教諭ばかりなのだが、麻雀部の部員だけは部室が旧校舎に残っているために利用が許されている。新校舎完成に伴って部室の割り振りを行ったところ、麻雀部の部室だけ確保出来なかったためだ。
麻雀部を除け者にするための悪意があった、という事はまったく無かった。そもそも新校舎完成間近の時点では麻雀部の部員は卒業する三年生のみで、次学期からは廃部が決定していたためだ。ただ、そのタイミングで新入生の一人が麻雀部に入ってきたがために部は存続し、無くなる筈だった部活の部室が確保出来なかったので止む無く確保されたのが清澄高校麻雀部の部室だった。
夜。生徒だけではなく教諭も大半が帰宅した放課後。
そんな時間だというのに、麻雀部の部室にはまだ部員が残っていた。
「…………」
月明かりが差し込む部室の真ん中にその部員はいた。
青と白を基調としたセーラー服。
一年生という事を示す赤いスカーフ。
黒いタイツを履いている少女の名を、竹井久といった。
「……来ませんように」
やわらかな髪をおさげにして結び、二つあるそれのうち片方を落ち着かなげにいじりつつ、所在なさ気に立っている。髪型のせいもあってか少し幼く見える顔立ちは、いま、何かを怖がっているかのように微かに歪んでいた。
「っ……ぁ……」
そんな久が、部室の外から聞こえてきた物音に反応する。
ギィ、ギィ、と旧校舎の木が軋む音。
誰かが部室に近づいてくる音。
久は僅かに震えつつ、来訪者に備えて部室のドアと相対する。よほど怖いのか、顔色は血の気を失っていき、自分の身体を守るように胸の前で両手を握りこんでいる。
息遣いも、はぁ、はぁ、と荒いものになっていく。
……しかし、なぜかその吐息には艶っぽさも含まれていた。
「おお、竹井。こんな遅い時間まで部室残ってたのか」
部室のドアを開き、入ってきた人物が久へと声をかける。
清澄高校の教師にして、麻雀部顧問を担当している男だった。
「か……帰っていいなら、直ぐに帰りますけど……っ」
久が顧問の声にそう返す。少し強めの物言いではあったが、身体だけではなく声も震えたもので、萎縮するようにアゴを引いて顧問を見据えているため、上目遣いだった。目尻にはうっすらと涙すら浮かんでいる。
「嘘だよ。ちゃんと言いつけ守って、待ってたんだな」
「…………」
「トイレで準備はしてきたよな?」
「……はい」
「不服そうだなぁ、おい。でもお前はオレに逆らえないんだよな」
男はそう言い、ニヤニヤとした笑みを浮かべながらスーツの懐から携帯電話を取り出す。そしてその電源を入れ、待ち受け画面を久に向けてきた。
そこには久の姿が写っていた。
正確には、男のペニスを咥えている久の姿が。
「や……やめてくださいっ。そんなの、待受にするなんて……!」
「いいだろ、オレしか見ないんだから。あー……でも、そういえば今日の昼休みに一時間ぐらい職員室の机に置きっぱなしだったな? 他の先生はともかく、職員室に着た生徒が勝手に見てなきゃいいけど」
待ち受け画面に写っているのは麻雀部の一年生部長、竹井久で間違いは無かったが、男の方は目の前に立ってイヤラシイ笑みを浮かべている顧問では無かった。
旧校舎の扱いが厳重になるキッカケになる事件として、この校舎で「空き教室を利用した組織的な売春」という事件が発覚した事があった。
事件が本格的に発覚した際、現場には数人の女生徒と男達の姿があった。ちょうど空き教室をラブホテルのように使って人を集めた売春イベントをしているところで、踏み入った教師らも予想していた以上の集まりに驚愕しつつも何とか全員を捕まえようとした。
捕まった者達は一様に処分を受けたのだが、難を逃れた者達も数人いた。
その一人が竹井久だった。
久がその集まりに参加したのは昨年、金銭的な困窮のためだった。清澄に入学する前年、久の両親は離婚した。久を引き取った母親は娘を養うために必死に努力していたのだが、それも直ぐには実を結ばずに竹井家は窮乏していた。
見かねた久は母を助けるため、何とか金を稼ごうとしていた。そこに学校の先輩が「校舎を使った教師と生徒プレイ」という売春話を持ちかけ、久はそれに初めて参加したところ、間が悪い事にそこで噂話を聞きつけていた教師らが踏み入ったという形だった。
ただ、久は何の処分も受けていない。
それは表向きには見つかっていないため。
しかし、いま久の目の前にいる麻雀部顧問は旧校舎の部室で客の男性器にフェラチオをさせられている久の姿を見つけ、カメラに収めたうえで他の教師に見つからないように隠し――その事実を盾に竹井久を脅していた。
プレイなどではなく、本当の教師と生徒の肉体関係のために。
事実の発覚を恐れた久は泣く泣く顧問の要求を飲む事にしたが、そんな事が起きる前までは顧問がこんな男だとは思っていなかった。廃部が決定していた麻雀部を存続させるため、「オレが顧問になりますよ」と助け舟をだしてくれていた男の事は、一時とはいえ信頼さえしていた。
最も、久は知らない事実ではあるものの、顧問の男が生徒と関係を結んでいたのは今回が初ではない。以前から生徒を揺すって弱みを得て、肉体関係に至るだけではなく、組織的な売春もさせていた。
旧校舎での売春イベントの元締めでもある。
それが一斉に取り締まられたのは誤算ではあったものの、以前から本人には悟られないよう狙っていた竹井久を手籠めにする機会を得たのは不幸中の幸いだったと思ってさえいる。
「仕込めば、今までで最高のメスになってくれる」
胸は人並み外れて豊かというわけではないが、久のスレンダーな身体は十分過ぎるほど男受けすると顧問は確信していた。あとは性技をじっくりと仕込む。膣だけではなく穴という穴を自分のものにし、そこらの男ではなく上客へと売り込んでいく。
久の調教計画を考えるだけで股間が熱くなりさえした。竹井久こそ自分にとって十年に一度の逸材だと考えていたが、久が三年生になった年にさらなる逸材が入ってくる事を男も久もまだ知らないでいた。
後に入学するインターミドル王者の事はさておき、竹井久を今までよりもグレードの高い客に売り込む手駒ではなく、一種の娼婦として仕立てあげるために男の障害となったものが二つあった。
一つ目は、久の技術面の問題。
手淫、口技を経験させてみたところ、初期はとても拙いものであった。ただ、これに関しては改善されつつある。実際、手と口だけであれば実際に客に出せるものへ仕上がりつつあった。
二つ目は、性行為への忌避感。
売春に踏み切ったものの、久の動機はあくまで家庭を助けるためであった。いま現在、行為に及ばされているのは顧問に「売春の件をバラすぞ」と脅され、その他にも実際に及んだ性行為を追加の脅しのネタとされ、仕方なく付き合わされているに過ぎなかった。
自然、その理由は行為中の態度に出た。男はまだそれも陵辱行為として楽しむ事が出来るが、娼婦として仕立てあげるには、それは致命的な欠点だった。
男は問題の解決のため、調教計画を練りなおした。
竹井久を、屈服させるべく。
「じゃあ……やるか」
男が久に「スカートをたくし上げろ」と指示する。
言われた久は躊躇い、しかし、脅迫のために指示を無視する事は出来ず、顔を真っ赤にして男から顔を背け、ゆっくりと青いスカートをたくし上げた。
「はは……よし、ちゃんと履いてないな」
久の脚は黒いストッキングに包まれている。
しかし、下着は履いていなかった。
ストッキングの生地越しに、うっすらと……マン筋が浮かび上がっている。
男の手により剃られ、パイパンになったマンコ。
それが、ぷにっとした肉感で存在を主張していた。
「準備の続きと行こうか」
恥辱に染まった久の顔を見て舌なめずりした男がストッキングに手をかけ、それをフトモモ半ばまで下ろし、ゴツゴツとした手をベロベロと舐めて濡らし、久のまだオトコを知らない秘裂へと運んでいった。