仮)好色平凡な中年オヤジがガンダムワールドを行く 作:触手スライム
XXXG-01Hさんからのキャラ提案を中心とした短話です。
皆様からのメッセージ、応援ありがとうございます。
月の衛星軌道から外れた場所に、2隻の船が漂っていた。
連邦軍レパント級ミサイルフリゲート艦の艦橋では、先行しているMS部隊からの映像が映し出されていた。
その映像を見ているのは、見た目に幼い栗毛の少女であるが頭に大きなウサギの被り物をしており、目立つピンクのワンピースの上から薄茶色のエプロンには赤と緑のポーションビン柄が刺繍されていた。
「たしかに事前情報とは違うのですけど、作戦は変わりませんわ。
あれが本物であれば暗号通信が来るはず、その時は世界の為に沈めなければいけないのです」
少女が話していたのは背の高い壮年の男であるが、戦闘に入ろうとしているにも拘らず、宇宙服ではなく執事服に身を包んでいた。
「しかし、がすと様。
どうやらあちらは同輩の様子、こちらにも被害がでますぞ」
「セバスチャン。その時に」
「正面輸送船から、暗号通信!
猫がケージに入った。
以上」
がすとと呼ばれた少女が何かを伝えようとする言葉を遮って、通信士から報告があがった。
「ケイはともかく、ハード隊は大丈夫かしら。
・・・・・・総力戦闘用意。
実弾演習実施を本体に通達。
通達完了しだいミノフスキー粒子戦闘濃度散布、”ファルコム”に無人ボールを射出させて。
これより、この”ねぷちゅ”が敵進路をふさぎます」
がすとは伝えることを終えると、卓上に配置していたPDAを操作した。
「ねえ、セバスチャン。
MS隊は見つかっているかしら?」
「今まで相手に動きが無かったことから、大丈夫ではないかと思います、がすと様。
ところで被り物はとりませんと宇宙服が着られませんよ?」
その言葉と共に、セバスチャンは何処から取り出したのか、子供用の宇宙服を出していた。
「敵後方貨客船増速!
ん・・・・・・ジオンの旗を確認。
メインモニタに投影します」
測距員からの声に、艦橋にあるメインモニタへと視線が集まる。
「ビームフラッグですな。
惜しげもなく出せるとは、さすがといえますな」
「旗の意味は分からないけど、技術と運用方法を売れば儲かりそうね。
MS出てきてるわね」
メインモニタに映し出された旗を態[わざ]と通るように映し出されたのは、ザク4機による編隊であった。
「ボール展開!
自動迎撃プログラムの起動を指示。
各砲座自由射撃。
艦のミサイルを光学照準に切り替え、弾幕を張って相手のMSに取り付かれないように」
「敵MS急速接近!
数4、アルファ60度」
がすとの指示を追うように、メインモニタが切り替わり自艦を中心とした光点が映し出された。
回避指示を出す直前、艦[ふね]が大きく揺さぶられる。
「メガ粒子砲大破!
右舷ミサイルランチャー小破」
「副長は、被害対応を!
MSに、ボールをぶつけなさい」
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サイド3からの船に網を張って、3日。
7度目の出撃で慣れたはずの、この状況にケイ・ジングウジは喜びを感じていた。
「ジオンとなれば、優秀なパイロットが多い。
ボクの目に適えば、個人的に雇ってあげようじゃないか」
『ケイ。
ダミーバルーンが割れる、動くな』
「あの船に間違いない。
なら、この喜びを女神に感謝したいじゃないか」
『MSでやらなくてもいいだろ。
それより、新型壊すなよ。』
「いついかなるときでも、女神様に感謝しないとね」
ケイの搭乗するMSはRRf-06である。
しかし、コロンブス級”ファルコム”の技師とアナハイム技師の共同で、機体にアポジモーターを追加した機体は、当初設計よりも優れた運動性能を見せていた。
そんなやり取りをしている最中、既に通り過ぎた船に旗艦からの砲撃が確認できた。
「いくか」
『おうさ!』
機体を振るわせた後、相手の船の下方から捻りあげようと加速を開始する。
「護衛は、1つ。
あの機体、見たことが無いが?」
呟いたときには、まだ遠方にもかかわらず相方が撃ち始めていた。
『ひぃはー。
消滅しろ、宇宙人共!』
「やれやれ、彼に女神の祝福を」
近距離回線をオープンにしたままのようで、先程までのように耳障りな声が聞こえてきた。
やがて有効距離にはいると、敵MSからの反撃が始まった。
「遅い」
ケイはそう呟きながらも断続的に襲い掛かる火線を避けるように、機体を滑らせる。
モニタ越しに見た船影には、既に火線が火山のように吹き上がっていた。
「もらった!」
射線を抜けた先にいた敵MSの側面へと抜ける間に、ケイのザニーはバズーカを直撃させるも、確実に右上腕に直撃させたはずが、装甲と何かのパーツを吹き飛ばすに留まっていた。
「硬いな。
プレイヤーの船を相手すると、こうも面倒なのか」
そう言いながら回避を行う。
相方のザクを探すと船体に取り付こうとして、腰が引けたかのように留まりながら撃ち続けていた。
「あくぅ」
レーザー回線で伝えようとした矢先に、バズーカに直撃をうけ離脱する。
余裕のない踏み込みに、体が前に倒される。
急旋回したケイが気がつけば、ヒートホークを手にしたザクが切りかからんとしていた。
フットペダルを再び踏み込み、合わせてオート機動からマニュアルに切り替える。
「がら空きだよ」
武器スロットを切り替えながらの錐揉みだが、ケイは楽しんでいた。
そのままザクの後に、ザニーが回り込もうとするが急降下と急上昇で回避され、ケイ機の攻撃は空振りになる。
「本当に、これまでとは格が違うな」
近距離での射撃戦は、格闘戦を織り交ぜて幾度か交差する。
「そこ!」
100mmマシンガンの残弾が半数を切ったところで、ザクのコクピットへの直撃が入った。
1射撃分の5発ではあるが、確かに通った火線がザクの装甲版を巻き上げ、周囲に黄色い破片が飛び散らせると動かなくなった。
「まだ、落とせてないのか」
味方のザクに対して、仕方がないと諦めの言葉を飲み込み、船橋に向おうと思ったとき、背中を冷たい感覚が通り抜ける。
船から離れるように、加速を強めるがそれは追いかけてきた。
「肩が赤紫・・・・・・。
指揮官機かっ!
か、はぁ」
射線が続けざまに6射通り抜け。
それを避ける為に、ザニーは無理な機動をとる。
そのたびに、比較的小柄な少年の体は、激しく揺さぶられ。
パイロットスーツは、役割が来たとばかりに体を締め上げる。
「左足、右肩追加アポジモータ、パージ!」
深刻な被弾箇所に緊急手順を口に出しながら実行する。
「ボクも負けないよ」
ザニーが相手に向かい反撃を開始する。
100mmマシンガンを相手の予測位置に打ち出すが、予測よりも巧く思ったようにあたらない。
そればかりか、相手の射撃にザニーの装甲が悲鳴をあげ始めていた。
「だけど!」
ザクがこちらと打ち込んだ後、残っている追加アポジモーターをパージ、爆破させる。
直後、ザニーの背面で起こった爆発に、機体各所からアラームが鳴り響き、計器の一部の割れる音が鳴るが、それでもザクの後につけたことで、残弾の無くなった100mmマシンガンを、ザクの背面ラックへと叩き付けた。
気絶すれば等と、思っていたわけではないが、それをうけてもザクが動いたことにケイは戦慄した。
次の瞬間には感覚に従い、攻撃をガードすると、不思議な硬直が生まれた。
「きみの操縦技術には賞賛するよ。
まさか、僕にここまでついてくるとはね」
『なめてんのかい』
ケイはそれまで聞こえて来なかった声に、安堵を覚えた。
「まさか。
僕は、神宮司。
神宮司ケイだよ。
今日のところは限界なので退避させて貰うよ、またね」
そういうと、両腕をつかんだまま胴体部に足をかけ、フットペダルを踏み切ると、既に銃撃戦で破口すら見え、スパークも発生していたザクの両肩を引き抜かれ、ザニーは離脱する。
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「ここは?」
先程まで艦橋にいたはずが、夢でも見ていたように広い星空を見上げていた。
「がすと様。
・・・・・・覚えていらっしゃいませんか?
敵MSのうち1機がファルコムに向かったのを、迎撃する為に艦を盾にしボールを続けざまに自爆させたのは良かったのです。
そのあと、さらに1機がボール4機に取り付かれながら機関部に特攻を行いまして、がすと様が総員退艦を命じられたのですが」
セバスチャンはそう言いながら、がすとの体を起こす。
そこには、3隻のランチに溢れんばかりの人が群がっていた。
「やはりあなたの幸運は武器になる。
殆どの乗員が無事でした。
今回の戦闘データはメモリーに移してありますし、事前に打ち合わせたように上層部にもリアルタイムで中継しておりました」
「艦1隻失ったのは大きな損失だけど、より大きな儲けを得ました」
3隻のランチが向かうのは、後方に移動していた”ファルコム”であったが、がすとの視線はグラナダの向こうフォンブラウンに向けられていた。
誤記修正
コルベット級フリゲート艦→レパント級フリゲート艦