仮)好色平凡な中年オヤジがガンダムワールドを行く 作:触手スライム
宇宙世紀0076年04月22日 午前6時。
グラナダ投錨2日目となる貨客船"初雪”の船長室に、訪れる人影があった。
船長室のある廊下の角には見物人ができ、数人の男性乗組員が思わず動きを止めるような姿でいるのは、ブリシア・エミリーであった。
彼女は、この船に乗るようになって着なくなった、ジオン公国の軍服に身を包み、相手の視線を受けることを前提とした、極端に短いタイトスカートにガーターベルトといった装いに身を包んでいた。
その制服からのぞくはずのシャツは無く、胸元を弾けさせれば素肌が見えることは観衆の目からも明らかであった。
唯一、その手に持つ書類の束が、絵画に染みを作るような違和感を覚えさせていた。
そんな彼女が思いつめた表情で、ドアロックに手を掛ける。
すると、ロックされているはずの扉が短い圧搾空気の音を立てて開いた。
「・・・・・・あいてる」
ロックが掛かっていなかった事に対する感謝とこの後を考え、小さな声が熱い吐息と混じって漏れ出る。
外から中の様子を伺うが、中は暗く何も聞こえて来ないのを確認すると、ブリシア・エミリーはゆっくりと歩み始めた。
扉の中に消えたブリシア・エミリーの後を扉の閉まる僅かな圧搾空気の音が追いかける。
残されたのは、想像を膨らませる女性クルーと部屋の主の男を羨む男達だった。
部屋の中に入ったブリシア・エミリーは、机の上に脱ぎ捨てられた上着を、手にしていた書類と取り替えるように手にし、近くで寝ているシン・タズサを確認して顔をそれに埋めた。
「くん、ふぅはぁ・・・・・・ふはぁ・・・・・・んんっ。
・・・・・・今までで一番濃い」
およそ美貌に相応しくない勢いで匂いを嗅ぐと、視線は寝たままとなっている男へと向けられた。
顔を、シン・タズサが前日まで2日間にわたり着ていた上着から起こすと、上着を椅子に掛け体をベッドの上へと滑らせた。
「あ・な・た。
・・・・・・最高♪」
覚醒しかけているのか、体を動かし始めたタズサの頭を挟むように腕を突きたて、腰の辺りに自らの臀部を押し付けるように座った。
「ん・・・・・うぇっ!」
目が覚めたタズサが最初に見たのは、暗い部屋の中で怪しい光を称える瞳と、獲物を前に捕食せんとする獣じみた吐息だった。
中年の代名詞といえる横になっていても、でっぷりと脂の乗った腹にやや薄くなり始めた頭髪。
とても、30前のうら若い女性から朝駆けを受けるような見てくれではないが、ブリシアはやおら片手を自分の胸元にやると胸元を肌蹴させ、青脈の透ける白い肌をさらしていく。
「ちょっ、まt・・・・・・」
タズサが止めようと言葉を書ける前に、ブリシアの胸元にやっていた手がその裾まで届き、弾けるように前が肌蹴ると、タズサと体を合わせる。
「・・・・・・あの女としたんですよね?」
相手の熱い体を自らの薄いシャツ越しに感じながら、首に顔を埋めるようにして呟いたブリシアの言葉は、吐息はとても熱いが凍りつくような響きを持っていた。
「いや、それはだな・・・・・」
「私、負けませんから。
・・・・・・ん、んっ・・・ちゅっ・・・・・・」
タズサの言葉を遮るようにブリシアは言葉を紡ぐと、そのまま唇を合わせ強引にタズサの口に下をねじ込む。
暫くの間、室内を粘着質な音が支配する。
やがて、タズサの手がブリシアの背中をさすり始めると、ブリシアは自ら体を起こし肌蹴させた前を見せた。
「ふふっ。 どうですか?」
そう言って、白い雪のような体にタズサの手を胸へと誘導すると、その上から自らの手を乗せて動かし始める。
「ん。 ・・・・・・白くて綺麗だ」
思わず呟いた言葉を裏付けるようにその肌の頂まで眺めると、タズサは興奮で思わず喉を鳴らしてしまう。
「ん・・・んんっ・・・・・・ちゅっ・・・はぁっん・・・・・ちゅっ」
そのまま、2人は申し合わせたようにキスを再開する。
指の間に挟まる形で薄ピンク色の乳首がしこり始め、肌が桜色に色付くのに、然程[さほど]時間は掛からなかった。
2人が再び離れ、間に虹の橋が架かる。
「どうして、こんな俺なんかと」
ブリシアの服を脱がせるために手を動かしながら、タズサは尋ねた。
「・・・・・・どうしてでしょうか?
あのコロニーでの出会いがあってから、本当にお慕いしているんですよ」
自らの上着を脱がされ、タズサの服を脱がしたブリシアは、舌をタズサの体に這わせながらそういうと、嬉しそうについばむ。
(コロニー?
じゃあ、スキルの影響なのか・・・)
タズサの中で僅かな罪悪感と、体の中から湧き上がる欲望がせめぎあい始める。
そんな葛藤の中、ブリシアの舌はタズサの下腹部へと至る。
「んふふ・・・・・すごい匂い♪
・・・・・レロォ・・・ちゅっ」
嬉しそうに、タズサの男根に食らいついたブリシアは、タズサに見えるように匂いを嗅ぐとそう言い、ついで舌で舐め上げる。
彼女の視線は一瞬近くのデジタル時計に向かうと本当に残念そうに体を起こした。
「ごめんない。
もう時間もないので、入れますね」
「本当にいいのか?」
ブリシアの言葉に、タズサが尋ねると笑みを浮かべながら、男根自らが上になる形で挿入しようとする。
「ん・・・・・・ふぅんっ」
しばらく見つめあった後、ブリシアが体を落とすとタズサの肉槍が肉壺へと誘[いざな]われる。
「んっ。 ブリシアっ!」
その窮屈な肉壺に、思わず声が漏れ上半身を起こしたタズサはブリシアを抱きしめながら、欲望のままに体を動かす。
「ひぃぃ・・・・・・。
あっ・・・・ひぃ・・・んっ、んっ」
ブリシアは、体を大きく仰け反らせ、大きく喘いだと思えば動きが大きくなるにつれ、タズサの体に手足を巻きつける。
「感じやすいんだな」
耳元で、タズサがブリシアにそう言うと、言葉にならないのか頷くばかりだった。
対面で座っている状態から、ブリシアの背をベッドへとつけるとタズサはその動きを更に変えていった。
「ほら、どうした?」
横たえたブリシアの足をいっぱいに開き、やや濃い陰毛に彩られた場所に埋まる真珠を指で弄ぶ。
「ひぃぃぃ。
あああああああ・・・・。
うううん・・・あん・・・・・・あぁん」
左手で真珠を弄びながら、右手で張り切った乳房を強く揉みしだく。
いつもなら、空中を飛ぶであろう汗が重力をうけベッドへと落ち、染みを大きくしていく。
(たまんねぇ!
リツコの時は、混乱していたけど。
こんな良い女とやれるなら、この世界に居続けるのも悪くない)
「んっ、ちゅっる・・・んっ、んん!」
徐々に自らも最後に近づき、貪る様にブリシアの口を吸うタズサにブリシアも答える。
「そろそろ!」
「きてぇ! なかにっ、膣にだしてぇ!!」
タズサが体を離そうとすると、手足でさせじと絡みつくブリシア。
その動きに合わせてか、肉壺がタズサを締め上げる。
「くっ。 いくぞぉ!」
「あつひぁぁ・・・・・・。
・・・い・・・・・・くぅぅぅ」
暫く動き続けたが、耐え切れなくなったタズサは、その欲望の全てをブリシアへと吐き出す。
ブリシアは焦点の合わなくなった目がチカチカとするなか、タズサの胸に顔を埋め小さく声をあげていた。
そのまま動かずにいた2人が離れたのは、船橋からの通信だった。
『あ、お楽しみの所すみませんが、副長いますか?』
気を利かせたのか音声のみの通信は、明らかに状況を知っている様子だった。
タズサが、体を離すと2人の結合部からお漏らしをしたような量の体液がこぼれ出て、ブリシアの太ももからベッドへと流れ落ちる。
「ん、んんっ。
・・・・・・どうかしたのか?」
軽く咳払いをしながら、ブリシアを見たタズサは彼女の反応の無いのを確認すると通信を取る。
『いやぁ、忙しいところすみません。
サイド3との長距離通信が可能になったんですけどね。
マハラジャ・カーンを名乗る男から副長宛に通信が入って来たんですよ』
聞こえてくる内容に、タズサは思わずブリシアを見る。
(俺達を支援しているのは、マハラジャ・・・・・だとするとダイクン派?
・・・・・・ザビ家は、マハラジャの資産で船舶を増やすのが、利益があるから見逃している?
仮に、マハラジャが史実どおりになれば・・・・・・だからキシリアは知っていたのか)
キシリアと出合ったスラムでの事と資金の出所、ブリシアはキシリアの親衛隊出身かと疑ってこれまで来たが、余計に分からなくなっていた。
「いま、グラナダに行っていることにしておいてくれ」
『あ~。 もう1戦すか?
ごゆっくり~』
タズサの言葉に、ふざけた様子で答えると通信が切断される。
(こういう、秘書をなぶるのって好きなんだよなぁ
・・・・・・他にもセイラとかも生で会っていい女なら、抱いてみたいぜ)
薄く胸を上下させるブリシアを見ながら、タズサはそう考えていた。
それから4時間が経過した頃、受け取った数十枚の補給に関する書類や、航行運行データの再提出を終えると時計は10時をまわっていた。
ブリシアは、起きた後に嬉しそうにタズサの身の回りの世話をした後、通信があった事を伝えると慌てたように部屋を後にしていた。
(男が少ないから大丈夫だろうけど、上着をきちんと着た下半身下着の女性は燃えたね)
仕事がひと段落したからか、タズサは今朝のやり取りを思い出していた。
(さて、サイド3と通信が繋がるなら掲示板見られるかな?)
けだるい気持ちの中、そう思い立ちPDAで”ジオン公国プレイヤー専用掲示板”を見はじめる。
「さすがに、確認をサボりすぎたか?」
思わず出た言葉は、他の面々と異なりサイド3にいたときから管制局等とのやり取りや、取引に関連する書類に時間を取られ、プレイヤー間の情報を確認していなかった事への後悔の念である。
「経済制裁以降増えてきた連邦軍と民間貨物船、貨客船などの事件、事故件数が今年に入ってから今月迄で、70件を超えたか」
自分達も人事[ひとごと]ではなく、経済制裁以降増えた臨検や嫌がらせ、時に演習の的となる事件が多くなっているのだが、それが今年に入り急増していることが新聞にのっていたようであった。
(今年の行方不明件数8件に含まれなくてよかったな)
薄ら寒いものを感じながら、忘れるために他の記事を読み進める。
「サイド2で民衆が独立集会を開いたけども、連邦軍により中止させられ死傷者が出たのか。
4年前にヒーリング能力者が見つかっていて、すわ優勢人類といって信者が増えていると」
(ヒーリング能力って言うと、マリア・ピァ・アーモニアを思い出すなぁ
何にしても、この記事書いた人みたいに民間のパイロットとして世界をまわるって幸せそうだな)
プレイヤーが書き込んだ時事ネタを見ながら、世界情勢を確認していると一年戦争で語られていないはずの出来事が出てくる。
「サイド4で、奇形予防遺伝子センターのヤマト夫妻が連邦軍士官達の襲撃を受け死亡、2人の子供が行方不明・・・・・・、地球崇拝者[エレ二ズム]の仕業と政庁が発表したと」
(本当に、宇宙移民と連邦の対立は深まっているんだな。
この2つのサイドに行くのは避けないと、巻き込まれそうだ)
その他の時事板を確認するも、目ぼしい情報がなく、生産やスキルのような情報を見始める。
ジオン公国内にいるらしい検証組みによって書かれたそれらは、具体的な画像と数字により説明が書かれていた。
「へぇ~。よく検証できたもんだ」
しかし、長文となっているそれを避け、ステータス、スキル、生産の3つのまとめ板を読みふける。
『ステータスの値は、そのジョブによって異なる意味を持つ。
パイロットの格闘能力が高いと、身体能力としてのそれだけでなく、対MS格闘を受ける際の最適挙動を感じる速さとなり、それは反応を反映する反応速度にも影響する。
パイロット以外では、基本身体能力と同じと考えられ、適正がない場合は誤差の範囲となる。
指揮官に求められるのは、指揮と反応で指揮能力は艦船を中心とした影響範囲になる。
指揮官同士のリンクが張られていれば、その影響範囲は重複する。
影響範囲内では、指揮官のステータスが補助値としてパイロットに影響を与えるほか、好感度にも影響が出る。
指揮官リンクは、PDAのヘルプからリンク作成を選ぶことで画面が出てくる。
生産はPDAを所持したまま、廃材などを取り込むをメニューから選んだ後、生産を行うとしばらく利用できないという制限はあるが、MS、MA、及びそれらの部品が生産できる。
既にやってしまったやつがいるが、PDAを所持したまま廃材を触り収納、その後MSを出す事もできる。※ただ、これをやった奴は、翌日からどこかに消えたのでやらないように!
良くあるトリップものではないので記憶操作もない。
技術者として、自分の頭や体がその研究レベルに応じた感覚を教えてくれる能力はパッシブなので、それで生き残ってほしい』
その掲示板を読んだタズサは、しばらくこの情報をどうしようかと考えていた。
(最初に会っていたときに、バファリン、ののののの、リツコ達は、設備云々とか言いながら作れると言っていたんだよな。
・・・・・・ということは、この情報を知っていると考えるべきか?)
今回の被害と、残っている所持金49,205Cを考えると、普通に購入するよりも廃材を仕入れたほうが良いのではと考えてしまっていた。
(この仕事が終わっても、収入は1,000C。
被害が無ければ、900Cは残る計算が今は赤字だからなぁ)
悩みとなっているのは、掲示板にあった消えた存在である。
この時期のジオン公国は、戦争への連邦との決戦に備えた艦艇建造、MS開発、生産の絶頂にあるので、制約があるとはいえ、LVが上がれば施設なしでビグザムやグワジンなどを生産できるのなら身柄を押さえられるのは想像に難くなかった。
「まあ、いいか。
相談してみよう」
本人達がやりたいというのであれば、問題ないと割り切るのに時間は掛からなかった。
何より、自分がいろんなMSに乗りたかったのもある。
「これも、問題だよなぁ」
タズサが、考えさせられたのは多くの指示を受けている2つの提案だった。
それは、U.C.0079前に関東軍よろしく連邦と戦端を開き、準備のできていないジオンを戦争に引きずり込んで、大量虐殺をさせないまま敗戦に持ち込む。
または、ジオン内部でシャアを旗に反乱を起こすという、過激な方法が語られていたが、そのどちらにも「ミネバ様はどうなる!」といった話がでていた。
「面倒だけど、前者だと宣戦布告無しだから支持なくなりそうだよな。
それに、俺も生ミネバ様を見たい」
そこまで見終えると、自らのステータス画面を開く。
クラス:戦域指揮官(2)
スキル:肉体加齢防止措置、女難、女誑し
身体能力:射撃(2)、格闘(1+1)、反応(1+3)、守備(2+1)、回避(5)、覚醒(-)、指揮(15)、魅力(12)
成長ボーナス:50pt
資金:49,205C
(おお!ボーナスポイントがついてる!!)
ステータス画面を開いて最初に目が行ったのは最初に振った事のある成長ボーナスであり、レベルを見れば戦域指揮官のレベルが上がっていた。
(・・・・・・何を上げる?
そういえば魅力をあげた場合の検証は無かったな)
特に意識したわけでもなく、値を上下させてみようと何気無くポイントを割り振るとそれは固定された。
「ちょっとマテェ!」
思わず裏返る声を出しながら、ステータスに触れるが反応する事は無かった。
結果、次のように割り振られる事となる。
クラス:戦域指揮官(2)
スキル:肉体加齢防止措置、女難、女誑し
身体能力:射撃(2)、格闘(1+1)、反応(1+3)、守備(2+1)、回避(5)、覚醒(-)、指揮(15)、魅力(12+1)
成長ボーナス:0pt
資金:49,205C
(しくじった~)
誰もいない部屋の中で、頭と足を抱えたまま浮き上がるという不思議動作をしながら、天井にぶつかりやがて椅子へと戻る。
(・・・・・・ゲームでもしてくるか。
これも、サイド3についたら売り出すかなぁ)
後悔する気持ちを心に残しながら、タズサは部屋を後にする。
レクリエーションルームのシミュレータは、自分達が楽しむ為のアーケードゲーム機でもあり、実はそれが目的で作られていた。
タズサがレクリエーション室に向かう途中、ののののの、リツコ、バファリン、コロロに声を掛けられ、サブコントロール室へと連れ込まれる。
サブコントロール室は、船体中央にあるコンピューター室の隣に作られた場所で、船橋に何かがあっても、ここから船を制御できるように最低限の船外モニタや、操船舵、通信機などが配置されている。
普段人がいない場所に5人が集まっていた。
いつものように白衣を着たリツコは、以前よりもタズサに近い位置に立ちPDAを操作し始める。
タズサの正面に、同じデザインの宇宙服の下に着る非常に薄いシャツとスパッツ姿のバファリンとののののの。
先程まで作業でもしていたのか、汗で張り付いたそれは肉体の線だけでなく薄らと隠れているべきものが見えていた。
コロロは、タズサと同じように船長服を着て彼女らからやや遠い位置にいた。
「それで、どうかしたのか?」
連れ込まれた格好の、タズサが4人を見据えながら質問する。
「月面掲示板は見た?!」
興奮気味に、のののののがそう言ってくる。
「ジオン掲示板ならみたが?」
あせる気持ちが分からないタズサは、相手の剣幕に反比例するように答えた。
「ああああ!
・・・・・・このおっさんは!!」
頭をかきむしるように、弄りながらのののののがそう言うと、リツコがPDAを突き出してくる。
目の前の画面には、原作キャラ遭遇についての報告が書かれていた。
「原作キャラって、初代だよな?」
思わず出た問いかけに、のののののが近づく。
「レコア・ロンド、商業区画のディーア製剤で勤務。
ほら見て!掲示板に写真も出ているし、見た、話したって記事が出ているでしょ!」
のののののは、話しながら自らのPDAを取り出して目の前に押し付けてくる。
「あの件が先でしょうに・・・・・・」
そう言って、のののののの首をつまみ上げ、下げると再びリツコが話し始めた。
「ほら、目撃情報には今言ったレコア以外にもいるんだけど・・・・・・。
ニナ・パープルトン、ボーラ・ギリッシュ、ルセット・オデビーに接触したベイカーさんの書き込みだとね、3人ともプレイヤーの生産現場を見たらしくて、口止めか知らないけどフォンブラウンから追われてきたみたいなのよ」
仕方がないという様子を変えずに、しなだれる様にリツコはタズサに説明しながら流し目を送る。
「はた迷惑な・・・・・・」
その視線を受けながら、表面上それと分からせないようにするために必死になるタズサ。
(あ、この3人を獲物にしたいんだろうなぁ)
しばし、2人が見詰め合っていると咳き込む音が聞こえる。
「うぉっほん! ・・・・・・そうそう。
まあ、あたしらの生産がばれても信じる人はいないだろうけど、危険な芽は摘むべきって意見が掲示板でも多くてね。
外にでるプレイヤーがいれば、そのまま何とかできないかって依頼もあんの。
ま、追っているプレイヤーも自分の手を汚したくは無いんでしょ」
リツコを引き剥がすようにしながらも、のののののがそう伝えてくる。
「まあ、そんな訳で。
休んでいる所悪いけど、聞きに来たんだわ」
呆れたように見ていたバファリンが、コロロの傍で話を付け足した。
「これ、危ないと思うんだけどやるのか?
アナハイムの技術者なんて拉致したら、結構厳しい状況になると思うんだけど?」
コロロは乗り気でないと態度で示しながら、そう口にする。
「情報が少なくて判断できんよ。
・・・・・・最低でもそのベイカーさんに会って話をしなけりゃならんだろう。
とりあえず、気なるようだし、これから皆で行って話して来たらどうだ?
ブリシアが丘に出ているから儂は船に残らないといけないが、ののののの、リツコ、バファリンの3人なら資材に薬品の買い付けに行くと理由をつければ良いしな」
恐らくは、のののののは原作キャラに会いたいという気持ちが先行しているのだろうと考え、そう提案した。
その言葉を受け、先の3人で話を始めるときになり、コロロが話しかけてくる。
「俺は行ったらまずいのか?」
その言葉から船から離れたいという思いがあるのか、気晴らしに行きたいという思いなのかを判断する事はできないが、重苦しい雰囲気を含んでいた。
「それなら、船の責任者として1,000Cまでの支払い権限を渡すから、3人について行ってくれるか?」
「わかった」
そう言ってコロロがPDAを取り出すのにあわせて、自らも取り出したタズサは、船毎の資金に1,000Cを移動させた。
ついでとばかりに、リンク設定を行うと驚いた表情のコロロの顔が暫くタズサを見つめていたが、やがてタズサの端末に承認のメッセージでる。
「そうだ。
ついでなんだが、3人は技術レベルあがったのか?」
不意に出た言葉に、なにやらセール品がどうのと成り掛けていた話に終止符を打ったようでバファリンから感謝の視線が送られる。
「あたしは、MSが2になってるよ。
艦船は1のままだけど」
「俺は、艦船、MSが共に2だな」
「私は、基礎研究が6になったわね。
一応、3人でリンクさせているから、そこそこの物は作れるけど?」
ののののの、バファリン、リツコの順で帰ってきた答えは淡々としたものだった。
「実際、頭に図面でてきてそれに対応できるのは良いのだけど・・・・・・地味なのよね」
のののののの言葉に、バファリン、リツコは頷く。
「そうか。
資金の方も余裕があるとはいえ、節約したい。
船、シャトル、MSの生産だけでなく改修や、MS部品を生産するとかできないか?」
3人の話を聞きながらも、タズサは自分の要望を話す。
「まあ、この船にいる限りはいいけど・・・・・・。
軍が身柄を要求しても、守ってくれるのかしら?」
リツコの言葉に、タズサへと視線が集中する。
それには縋る様な視線もあれば、反応を面白がっている様子も受け取れたが、タズサが悩むようなことは無かった。
「あたりまえだ。
おれは、社員、乗員を守る義務があるし、それを全うしようと考えている。
ま、数少ない気心の知れたプレイヤー仲間ってのもあるけどな」
最後におどけてみせるも、4人からは暖かい視線が返ってきていた。
「わかったよ。
俺も今度こそ、あんたみたいにちゃんと考えて行動するよ」
その場のノリというのも手伝い、大人な筈のコロロがそう言うと、見た目お子様なバファリンに頭を撫でられていた。
「そういうことなら、この後買ってきましょう。
他に何かお使いする事はあります?」
もみくちゃにされ始めたコロロを置いて、リツコがそう尋ねてくる。
「明日の葬儀で、俺から送るスキットルに入れた酒を人数分と、コロロ名義で地球産の嗜好品・・・・・・できればタバコを頼むよ」
コロロの名前がタズサから出たとき、全員が再びタズサを見る。
「こういうのは、けじめが大切だ。
冠婚葬祭は話が別だと昔の村落でも決まっていたが、船も同じだと思う。
村八分になっている訳でも無いなら、そこできっちりすれば印象も変わる。
だから、誰かに聞いても良いから送る言葉を考えておけよ」
誰でもない、コロロに伝えるようにタズサは口に出し、それを受けてコロロも頷く。
その後も話を続けた後、気がつけば昼前になっていた。
(そういえば、技術者のリンクは知らなかったな)
一度部屋に戻り、プレートに分けられている宇宙食という、この船の乗員では当たり前の食事を終えたタズサは、そんな事を考えながら当初の目的であったレクリエーションルームに入る。
そこには、同じように食事を終えたばかりの女性人が多数席を埋めており、好きな飲み物を手にグラナダから入るニュース映像や真新しい雑誌を手にしていた。
(男いないなぁ)
いつの間にか会うことがめっきり無くなった男連中を思い出しながら、どうでも良いかと考えを切り替えて、飲み物を手に周囲の女性に目を配る。
大抵が整備関係のようで、異常に薄いシャツに同様の素材のスパッツという姿が多く見られ、宇宙服を着る為か下着は着用しておらず、むせ返る様な女臭さを感じさせ、脇、胸元の染みだけでなく、スパッツの内腿にも薄らと染みができていた。
(ここまで大勢に堂々とされると、男の居場所は無くなるよな)
それぞれに、異なる乳房の形や乳首の位置がわかる女の艶姿に、自分のほうが恥ずかしくなったタズサは、周囲をあまり見ない様にすると奥まった場所にある4つの大きな箱へと向かう。
その姿に、立ち話に興じていた数人が後をつけるのだが、それに気がつきはしなかった。
ボックスシートに入ると、MS設定が記録されているディスクを座席脇に挿入、固定する。
それがシミュレータ起動シーケンスを動かし、メインパネル等に明かりが灯る。
「よし!やるぞ」
誰に言うわけでは無いが気合をこめて、操縦桿やペダルの固さを確かめる。
ひと通りのチェックが終わると、機体確認画面を経てメニューが現れる。
(基礎操縦、個人戦、チーム戦・・・・・・特別戦?
増えてる! 誰だ増やした奴!?)
メニューに増えた良く分からない選択肢に、タズサが慄[おのの]いていると、別台に誰か入っていたのか特別戦が勝手に選択される。
(おいおい! 選んでねーぞ!?)
驚いている場合ではなく、シミュレータは各台との通信回線を開く。
『船長。 あたしらが揉んでやるよ。
・・・・・・なんかいい男になったかい?』
『『・・・・・・雰囲気かわりました?』』
通信モニタには、トップ、キャメル、サクラが映り口々にそう言い始める。
(これがステータスの力か?)
タズサが、ステータスの変化かと考えている矢先、表示が切り替わる。
勝利条件:敵戦力殲滅
敗北条件:要塞陥落
戦場となる楕円形の岩塊を中心とした宙域。
ルナ2のようなそれと、2つの条件が表示されると、格納庫の射出装置に画面が切り替わる。
「シン・タズサ、ザクⅠ出る」
タズサは静かに言うと、加速射出に合わせてペダルを踏み込む。
(俺らの船には、こんな射出装置無いんだがなぁ)
メインパネルを通して見えるのは、リック・ドム、ゲルググ、ザクⅡのNPCが、大量のミサイルに沈む姿だった。
『な、なんなんだい!』
既に戦闘が始まっているのか、トップから慌てる様子の声が出る。
しかし、暢気に聞いている間もなく。
タズサのザクⅠ周辺にも敵が殺到する。
(ボール、ジムも相手にするにはいいけど。
あの外見にキャノンは、ガンダム6号機か7号機だろ!)
やたら当たり判定の大きいビームスプレーガンを逃げるように回避し、ボールを1つ1つ落としていく。
しかし、出撃から5分も経たず撃破されてしまう。
(・・・・・・ビームキャノン付きは、いやガンダムは無いだろうよ)
怒りよりも、呆れが先行する中、再出撃選択が出る。
「やるか。
シン・タズサ、ザクⅠでる」
『・・・ザッ・・・母艦、イリオモテ撃沈されました』
先程と同じように出撃するザクⅠを送り出した艦が撃破されたと、ノイズ交じりの音声通知が流れるが、実践と異なりその声を気にすることも無く、タズサはボールをひたすら潰す。
敵が少ない場所にいるのか、周辺にはジムとボール、僅かな宇宙艇しかない場所で戦っていると不意に撃墜される。
(・・・・・・は?)
『要塞が!要塞が焼かれていくぞ!?』
聞きなれたバファリンの声と共に、要塞外観に光の柱が出ているような映像が映し出される。
(ここは、ソロモンかよ!
形状がぜんぜん違うじゃないか!?)
ガンダム史の中で、コンペイトウとも呼ばれた各所が尖った印象のある宇宙要塞とは異なり、ルナ2のような外観の要塞だったため、タズサはそれに気がつくことができなかった。
ともかく、開始30分でシミュレータは終わる。
(た、楽しめなかった)
未だ戦闘を続けている、トップ達の機体を追えば同じ機体であるにも関わらず、3機で編隊を組みサラミス2隻を続けて撃沈していた。
シミュレータから出ようとしたときに通信が入る。
『今度は刺しで勝負したいから、休んで待ってておくれよ』
その言葉を背に、タズサはシミュレータを出た。
(・・・・・・うん、逃げよう)
どうも、皆様のお気に入りが増減するたびに一喜一憂している触手です。
今回は、寝込みを襲われるタズサが、女を欲するようになり始める心情の変化を出す回でした。
特別な力を前に出すのではなく、流されて始めてしまった事により事態が動き始めます。
序章なのに長いですよね、シナリオ4ページの内まだ3行目・・・・・・もっと短くすれば良かった。
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2016/7/9 のの、リツコのスキルに誤りがありましたので、修正しました。
資金差異の10万Cは誤りではありません。
2017/5/28 登場人物の名前などを修正しました。