「はぁーあ…」
とぼとぼと命蓮寺の参道を歩く。期待以上の成果を得ることができず、口をついて飛び出すのはため息ばかり。「命蓮寺上空で謎の飛行物体再び」という情報をキャッチした私は、久々のスクープゲット!と思い、文字通り飛んで行ったのだが、いざ到着してみればその正体はぬえさんの能力で飛行物体に姿を変えられた何の変哲もないただの鳥だと分かり、拍子抜けしてしまった。これでは全然スクープにならないじゃない。
「もっと読者が飛びつくような、こう、ドキドキするようなネタは転がっていないかしら…ん?」
あれはなんだろう、参道のわきに並ぶ地蔵の陰から紫色の何かがにゅっと顔を出している。先端が黒いものに覆われたそれは縦に筋が何本も通り、山と谷が交互に重なっている…。
「傘…かしら」
紫色の傘といえば、私の記憶上あの人しかいない。人間を驚かす程度の能力を持つ付喪神の小傘さんだ。ということは、参道に陣取って通行人を驚かそうという魂胆かしら。つまり今ここを通ろうとしている私も標的にしているはず。前々から気になっていたけど、どういった方法で驚かすのかしら、楽しみね。
一歩、また一歩と傘との距離を縮めていく。いつ写真を撮れるようにカメラを準備しながら、慎重に進んでいく。
「…あら?」
てっきり傘の下から飛び出してくると思っていたのだが、そこにあるのは傘だけだった。まさか、はっとして後ろを振り返った瞬間…
「うわっ!?」
突然小傘さんがとびかかってきた。その不意を突かれた一撃に対応することができず、地蔵の後ろの茂みの中まで吹き飛ばされた。そのまま踏ん張ることができず、地面に倒れこんでしまった。
「いってて…」
打ち付けた腰の痛みに顔をしかめ、ひりひりと痛む腰をさする。
「まったくもう…小傘さ…ん?」
突然飛びかかってきた小傘さんに注意しようとしたが、目を開けた直後目に飛び込んできた光景に、思わず口を紡ぐ。
上から覆いかぶさるように、恍惚とした表情で私を見下ろしているのは他でもない小傘さん。その両手は私を逃がさんばかりに顔の横へと置かれていて、つまりは小傘さんに押し倒されたような状態であった。
「小傘…さん?ど、どう…んっ!?」
口にした言葉が、小傘さんの無邪気な唇で遮られた。突然の状況を理解できず頭がパニックを引き起こす。あわてて引き離そうとしたが、それよりも早く口の中に何かが入り込んできた。
それが何か分かった途端、驚きのあまり目を大きく見開いた。舌だ。甘ったるい小傘さんの。こ、これはまさか、ディープキスというやつですか!?
「んっ!?んん…んぁ……んぐっ!」
まるで飴でも味わうかのように、小傘さんの舌は私の口の中を優しく撫でる。舌と舌が触れ合うたびに体や頭に走る刺激。呼吸を忘れ、ただ唾液と舌の絡み合うねっとりとした快楽に心を奪われた。思考がうまく働かなくなり、目は次第に
唇が離される。2人の口をつーっと細い糸が繋ぐ。呼吸が荒くも激しくもなり、じっと小傘さんの顔を見つめる。小傘さんは顔を赤く染めながらニッと笑顔になった。
「えへへ、驚いた?」
驚く他が無い。一体どういうつもりで私にこんなことをしたのだろうか。
「もう、小傘さんったら、いきなり何…を?」
あ、あれ?どうしたのかしら。体がどんどん熱くなっていく。体が火照り、ムズムズとした感覚が体を覆い尽くしていく。心臓の鼓動が早くなり、呼吸の乱れも止まらない。一体どうしたというのかしら。さっきのキスだけでこんなになるはずじゃないのに…。
「効いてきたみたいね」
「えっ!?」
小傘さんの放った一言で、私の体に何が起こったのかを理解した。さっきのキスで媚薬か何かを飲まされたんだ。たしかにキスをしている最中に何か液体が流れ込んできた覚えがあるけど、まさかそれが媚薬!?
「な、何を…」
「えいっ」
「んひゃあ!」
胸をつかまれた直後、快感が脳へと一気に押し寄せる。媚薬の効果は凄まじく、ほんの少しの刺激でも声が出てしまう。
「ああ…んっ、んあぁっ……んくっ、くぁぁ!」
胸を優しく揉みしだく小傘さんの手つきに思わず声が漏れる。ゆっくりと指を馴染ませるように、時折激しく揉みしだかれる。
い、今までこんなに気持ちがいいことがあっただろうか。胸を、頭を、そして体中を駆け巡る快感に身をゆだねたくなるが、はっと我に返る。ここは命蓮寺の参道。言うまでも無いが、ここで声を出してしまったら参拝客に見つかってしまう。伝統の幻想ブン屋として、このような姿を見られてしまったら今後の仕事に響く。何としても気づかれないようにしなくちゃ!
でも、私の気持ちを知ってか知らずか、小傘さんはにやりと意地の悪い笑みを浮かべる。
「これは、どう?」
その言葉とともにきゅっと両方の胸を握られた。直後、上昇していた快感がまるで電撃のように体中に駆け巡った。
「ああんっ!!」
声を出した直後、あわてて両手で口を覆った。大きな声が出てしまったが、どうやら参拝客はおらず気づかれてはいないようだ。ほっと胸を撫で下ろしたのもつかの間、小傘さんの手がまた動き始めた。服の上からというのに、小傘さんの手ははっきりと感じ取れる。時に激しく、時に撫でるような動きに、漏れる声を必死にこらえた。
「あっ、んっ……あっ、ああっ……くっ、んんっ…」
『どうして!?小傘さんがなぜこんなことを?でも、気持ちいい…』
まるで私の弱いところを知り尽くしているかのようなその動きに、しっかりと口を両手で遮らないと声が出てしまう。それだけ小傘さんの手つきが凄いのもあるが、飲まされた媚薬の効果も手伝い、体中を駆け巡る刺激でおかしくなってしまいそうだ。
すると、小傘さんの右手が胸を離れ、下へ下へと降りていく。真っ白に染まりかけの思考ではどこに向かっているのか分からない。次第に落ち着きを取り戻し、その手の行きつく先が分かった途端、私はあわてて声を上げた。
小傘さんは悪戯に満ちた表情だ。
「あ、待って!そこは…ひゃああっ!」
「あれ、もうこんなにビショビショしてる」
「だめ……ひあっ…やあぁ……くぅうんっ!ああっ!」
『我慢できない!パンツの上からなのに、こんなに気持ちがいいなんて!』
下着の上からつーっと、なぞる形で指が軽く触れられた。それだけだ、それだけなのに、今までにないほどの快感が一気に押し寄せてきた。あられもない声を上げてしまう。ビクンと体をのけぞらせ、こわばらせる。
「あれ、文さん、もしかして感じているの?」
「そ、そんなこと…ひゃぁ!」
強がってみたものの、右手の指が小刻みにこするたびにくちゅくちゅといった音が鳴り、目の前で起きてる気持ちよさに喘ぎ声で応えてしまう。強く撫でまわしたり、弱く突っついたりといった指の動きに身を悶え、逃げようと必死に体を動かす。しかし、薬の影響か、それとも気持ちよさによってか、とにかく体に力が入らない。
『何としても逃れないと。でも、体に力が入らないよぉ』
「えっ!?い、いやぁ!」
小傘さんの右手が下着の下に潜り込んできた。遮るものがなくなり、小傘さんの細長く繊細な指を感じられる。その感触やぬくもりまでもが、感度の高まった触感によって容易に想像ができる。ピチャピチャという愛液の音を鳴らしながら、秘部の周りを指が這うたびに、電撃のように鋭い快感が体中を駆け巡る。
「ああっ…やあぁっ…んんっ……んぐっ、くぁぁっ!はぁ…はぁ…むぐっ……あぁん!」
両手で口を押えても、声が漏れてしまう。腕を口に咥え、噛みしめて必死に声を押し殺す。しかし小傘さんは私の気持ちを知ってか知らずか、左手は胸をもみ、右手で秘部を執拗にこする。私はそのたびに体を駆け巡る感覚に身をよじらせ、強直させ、のけぞらせる。
──秘部の奥の方がむずむずしだした。
『あっ、ダメっ!このままじゃあ…でも、もう我慢できないよぉ!』
くっ、狂ってしまいそう!!!
「んんっ…ダメっ…いくっ…いっちゃうっ!いくぅうううううっ!!」
燃えるような、うずくような快感が下腹部を中心に広がり、体がビクビクと痙攣する。頭の中が気持ちよさで溢れ出し、何も考えることができなくなった。目の前が完全な白に染まる。もっと快感がほしい、もっと気持ちよくなりたい。そういった感情が恥ずかしさを消し去ってしまった。周りの状況を考えることができず、体が、頭が快感を求めている。
『すごい、こんな快感初めて。もっと、もっとほしい…』
「文さんすごい顔してる…」
声がした方に目を向けると、小傘さんの顔が見えた。優しく微笑むかのような、それでいて驚きを隠せていないような表情を浮かべている。
「小傘…さん…」
「ふぇっ?…うわっ!ちょ、ちょっと文さん!?」
私の体が、心が小傘さんを求めている。もっと快感がほしい、もっともっと気持ちよくなりたい。今の私の中には羞恥心なんかとうになくなっていた。
小傘さんの首に両手を伸ばし、くいっと引き寄せる。小傘さんの艶めかしい息遣いを肌で感じることができるほど顔が近い。ぱっちりとりした赤と水色の瞳をじっと見つめ、唇を重ね合わせた。呼吸をすることを忘れ、舌と舌が触れ合うねっとりとした快感を堪能する。美味しい、キスをした感想はそれだ。小傘さんの口の中は唾液で溢れ、ぬるぬるとしていてとても気持ちいい。お互いの唾液を混ぜ合わせるかのように、味わうように夢中で舌をからめ合わせた。
『美味しい…。もっと、もっと感じたい…』
「んぐっ…ん…」
「んんっ!…ん…んぅー!」
くちゅくちゅという唾液の音が聞こえるほど激しいキスを交わしながら、私は胸元に両手を持っていく。スルスルとネクタイを外し、一つずつボタンを外す。もっと気持ちよくなるには、今着ているものは邪魔でしかないからだ。体全体で小傘さんを感じたい。しかし、私の行動に気付いた途端小傘さんはあわてて唇を引き離し、ボタンをはずしていく両手を押さえた。私には、その行動の理由がわからなかった。
「あ、文さん!?ちょっと待って!」
「どうして止めるの?私は小傘さんともっと気持ちよくなりたいの」
「えっ、えーっ!?でもここじゃあまずいよ!誰かに見つかったら!」
「いいの、それよりも早く感じさせて!もう我慢できないの!」
小傘さんの手を振り払い、自分の手を秘部に這わせる。下着はすでに溢れ出した私の愛液でびしょびしょに濡れていて、ぬるぬるとした感触が非常に心地いい。体中が火照り、ジンジンとした感覚が体中を包み、秘部は火傷してしまいそうなほど熱い。
「ああっ…んっ…いいっ!ひぁあっ…くぅっ!」
ブラの下へ右手を滑り込ませて、乳首が固くなった胸を揉みしだきながら、左手の指を秘部に這わせ、乱暴にくすぐる。指の温かい感触が、力が秘部に触れるたびに電撃のような快感が体中を駆け巡り、頭が真っ白になるほどの気持ちよさで包まれていく。
『すごい、もう…おかしくなる…っ!すごく気持ちいい!』
「くぁぁっ!いいっ!気持ちいいっ!!あぁっ…んっ、ふぁぁっ…くぅうんっ……はふぅうっ!!」
「あああっ、ちょっと文さん!分かった、分かったから場所を変えようよ!」
慌てた様子で小傘さんは叫ぶと、私の肩と膝の下に腕を滑り込ませ、さながらお姫様抱っこのように抱きかかえた。そしてどこかを目指すかのように茂みの中を走り出した。抱きかかえられているときに不思議と心に感じる幸せと満足感。薬のせいか、それとも別の原因によってかは分からなかったが、その時の小傘さんは可愛く、そして愛おしく思えた。