第一話
俺は今、窓から入る夕陽に照らされた廊下を足早で図書室に向かっている。
図書室で借りた本の返却日が今日なのだが、放課後の補習のせいで遅くなってしまった。早く行かないと図書館が締まってしまう。
友達は一日ぐらい遅れても問題ないだろ、と言っていたが明日だと村上先輩がいないから意味がない。
村上先輩というのは図書委員をしている三年の先輩で、大人しい性格の非常に可憐な人である。
特にその控え目な雰囲気とは違う、強調的な胸部が魅力的だ。……いや、胸部は確かに興味深くて揉みたいと考えたことがあるが、そこが一番の魅力じゃない。俺は決してそんなふしだらな目で村上先輩を見たりしていない!
とにかく俺は村上先輩に会うためだけに図書室に行っていると言っても過言じゃない。もちろん本も大好きだ。
そして本のことを村上先輩と話すのはもっと大好きだ。
村上先輩のことを考えているうちに図書室についた。
フゥー、何とか間に合った。まだ先輩はいるかな?
扉を開けて図書室の中に入る。
人の気配がないな。まぁ、こんな時間だし皆帰っていてもおかしくないか。
俺は村上先輩がいるはずのカウンターに向かう。
「ん、ひゃ……あん」
何だ、変な声が聞こえるが。村上先輩か?
不審に思いながらも本棚の影から声の発信源だと思われるカウンターの方を見る。
「…………え?」
俺はそこにあった目を疑うような光景に言葉をなくす。
本当にどういうことだ?
あの村上先輩が甘い吐息を漏らしながら乱れた制服の内側に手を入れて、自分のおっぱいを揉んでいる。しかも机で隠れてよく見えないが下半身も弄ってないか?
……え~と、これって、つまりあの村上先輩が人気のない図書室で一人Hをしてるってことか?
現実を認識すると同時に更にパニックになる。
いや、マジでどうしよう!?とりあえず撮影して……ってそうじゃない!
え~と、え~と、これをネタに先輩を脅迫して……だから違う!何で俺の発想はそっちにいくんだ!?
……よし、まずは落ち着こう。そして先輩の色っぽい姿を脳内に記憶しよう。それぐらいなら許されるだろう。
それから家に帰って先輩をオカズに抜いて冷静になって、今日のことは墓場まで持っていこう。
それにしても、やっぱり先輩のおっぱいは凄いな。着崩れた制服の間から見える可愛らしい水色のブラ、そしてその谷間。距離があってちゃんとは見れないが、それでも圧倒的な存在感に目を外せない。
ガタッ。
あ、しまった!前のめりになっていたせいで本棚に体が当たってしまった!
「……誰、ですか?」
音に気付いた村上先輩がこっちに向かって不安そうな声をかける。
これ、やっぱり逃げるべきだよな?見られたら今後の村上先輩との関係に影響しそうだし。
あー、でも逃げたら逃げたで罪悪感が凄いことになりそうだし、どうすれば……。
録に考えることもなく、気付いたら本棚の影から出ていた。
「……九条くん?」
俺の姿を確認した村上先輩が俺の名前を呼ぶ。
その表情は混乱と焦りに満ちていた。そりゃ、俺よりも村上先輩の方が驚くよな。
二人ともどうしたらいいのか分からず沈黙が場を支配する。
「え~と、すみません……。覗き見するつもりはなかったんですが」
沈黙に耐えきれず頭に手を当てながら謝罪する。
すると村上先輩はやっと状況を理解したのか急いで制服を整える。だが、恥ずかしさのあまり俺の方を見れないみたいだ。
ああ、やっぱり嫌われたよな。どうしよう。
俺は心の中で頭を抱える。
「……見ちゃったんですか?」
村上先輩が視線をあわせないままギリギリ聞こえるような小さな声で聞いてきた。
「見ちゃいました」
「そ、そうですか。あはは……」
いや、村上先輩、苦笑されても困るんですが。
また二人の間を沈黙が支配する。
これ以上、この場にいたらおかしくなりそうだ。本だけ返して早く帰ろう。
「ところで先輩、何してたんですか?」
…………。
俺は馬鹿か!確かにそれも気になるが、今聞くことじゃないだろ!
ほら、見ろ!先輩が顔を真っ赤にしてしまったせいで、更に微妙な空気になってしまったじゃねぇか!
早く誤魔化さないと!
「あ、あの――」
「別に毎日、こんなことしている訳じゃないですよ!たまにだけです!」
俺が言う前に先輩が言い訳という名の自爆をしてしまった。
……ていうか、え?こういうの初めてじゃないの?何か興奮してきた。
遅れて先輩は自分の言ったことに気付いたのか「あぅ……」と言いながら顔を手で隠す。
何これ?いつもの大人しいイメージとのギャップで物凄く可愛いんだが。
しかも、さっきまであんなことしていたわけで。
……もう襲ってもいいかな?
「……こんなの変態ですよね。私のこと……軽蔑しましたか?」
村上先輩が指の間から不安そうな顔を覗かせる。その目にはうっすらと涙が浮かんでいる。
さっきまでギリギリのところで耐えていた理性がヤバいことに!
……いや、落ち着け、俺。本能に任せて先輩を襲ったら色々と終わる。
ここはどこか別の場所に連れ込んで……じゃない!本当にさっきから俺は何を考えているんだ!?
「そんなことないです!確かに驚きはしましたけど、こんなことで先輩を軽蔑したりましません!」
「……そうですか」
村上先輩が手をどけて安心した顔を見せる。
ふー、良かった。
……って、え?先輩?先輩が立ち上がって俺の方に来るのだが、どこか様子がおかしい。
距離が近い近い!
そして、そのまま俺に抱き付いてきた。村上先輩のおっぱいの感触が!柔らかくて気持ち良い!
「ここ、大きくなってますね……」
村上先輩が恍惚とした表情で俺の股間を優しい手付きで撫でてきた。
一体、どういう状況だ!?俺は夢を見ているのか!?
混乱のあまり冷静な判断ができなくなっている。
「ちゃんと口止め料は払わないといけませんよね」
そう言うと村上先輩が唇を突き出しながら俺の顔に近付けてきた。
第一話終了です。
のんびり更新していく予定ですが、よろしくお願いします。
感想を書いてくれると更新が早くなるかもしれません。