---イッセー---
団長に鍛錬に行って来いと言われた。今は未だ、中学校へ通わせることが出来る環境では無いので、環境造りをしておく間、他の世界で更に上を目指せと言われた。
過去をほじられ、アザゼルさんの妙な実験材料にされ、数々の苦難がヴァーリを襲った。それに対する処置だそうだ。
「ヴァーリは基本イッセー専用だから、他の者の玩具では都合が悪いんだ」
団長の言葉で、ヴァーリの顔は茹だって行く。いや僕は、ヴァーリを玩具として扱ったことは無いですよ~。
「イッセーとヴァーリはツーマンセルだ。これを変える気は無い」
僕達二人を見つめる団長。ツーマンセル…要するに二人一組ってことである。
「で、メンバーだが、木場、ギャスパー、小猫のグレモリ眷属は決定だ。リアス、ソーナは、ここで鍛える」
リアスは魔王リアスさんに、ソーナさんはシルキーさん、セーラさんに教え込まれるようだ。
「イッセーのガードとして、サイラオーグを帯同させる。リーダーは既に現地入りをさせている。そいつに従え。以上だ」
って、いきなりの強制転移…おぃおぃ…
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「ようこそ♪」
笑顔のアスナさん、蘭さん、深雪さんがいた。つまりは、そういうことなんだろう。団長も一緒に過ごす…団長のお気に入りの女性が3名もいるし…
「正解だ、イッセー♪」
団長も一緒に転移しているし。環境整備はアザゼルさんへ丸投げか?
「ここは、どこの世界ですか?」
「迷宮都市だよ♪」
うっ、また…あの世界だ…大丈夫か?
「ここなら、お金の心配はないし♪」
たしか、流通量の10倍近く持っているんだっけ?
「正解だよ、イッセー♪」
既に、巨万の富を手にしている団長。
「問題は、この世界でしか使えないことだ。なので、今回の僕はこの世界で換金性の高い物を買い漁る。鍛錬は付き合うが、潜るのはイッセー達だけだ。勿論、緊急時には、僕も参戦はする」
なるほど、他の世界では金欠だから?いや、そんなことは無い。僕の世界だって、流通量の10倍近くの金があるはず…
「イッセー、有れば有るだけ楽が出来るんだよ。初見の世界で、まず金策は疲れるんだよ」
たしか、『強奪』で小銭をスリ取るんでしたよね…スっても困らない者を、選び出す作業が疲れそうだ。
「で、蘭は、現場の雰囲気を知って貰う為の帯同なので、メイド扱いだ」
「回復役はどなたですか?」
ヴァーリが訊いた。確かに…現状、団長、僕、小猫ちゃんしかしない。
「ベス、フィアナ、リトルが後で合流だ。後、ペット兼魔導師のイビルアイも呼んであるし、ペット兼元勇者のミトもいる。豪華だろう?」
団長のお相手…豪華そうである。
「で、ここはどこですか?」
目の前に、ランドマークが見える。でも、一応…
「豊饒の女主人の裏のいつもの館だよ。そうそう、メイドとして、この世界のシルを雇ってある。あの女神は、既にヒーヒー言わして、ブイブイしてあるので、問題も無い」
なんか、既に問題を起こしているような…
「味方はいるんですか?」
これは、この世界で生きる上で重要な事である。敵対視されると、鍛錬どころでは無い。
「ブイブイさせた女神と腹黒とモグラは、話をつけてある。滞在目的も伝えてあるので、問題は無い」
「あのちっぱい女神は、害は無いんですか?」
ヴァーリが訊いた。
「腹黒とモグラからの情報では、問題無いみたいだ。まぁ、問題有れば、迷わず消す」
なら、安心か?って、なんか、最近の僕は鬼の思考に近づいていないか?消すとか屠るって言葉に、抵抗がなくなってきているような…
「で、そこの新参チームは、アスナに指示を受けて、行動しろ。この街は治安が悪いからな」
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一応、フレイア・ファミリアの別動チームって感じで、登録したようだ。なので、主神は用意していないそうだ。
基本裏方であるファルコンさん達は、治外法権エリアに居を構えているそうだ。
「みなさんのお世話をするシル・フローヴァです。よろしくお願いします。朝とお昼と夜は、豊饒の女主人でウェイトレスをしています。合間仕事に成りますが、なんなりとお申し付けください」
メイド服を着た銀髪の少女が、僕達に頭を下げている。団長が彼女似の女神を通して、契約金に彼女が手伝っている孤児院の運営費5年分を出して、スカウトしたそうだ。
今回、フィアさん、ラムレムさんは帯同していない。他の案件があるそうだ。
「後、魔法使いのチセと剣士のヴァイオレットが合流する。こんだけいれば、大丈夫だろ?」
数はいても皆2軍以下なんですが…大丈夫かな?かと、言って1軍メンバーがいたら、経験が積めないし。難しいところではある。
部屋は一人一部屋であるが、僕の部屋だけダブルベッドである。これは、団長のお気に入り以外の持ち込みオーケーってことだ。ヴァーリ以外に持ち込まないに一票だよ。
今回も、表向きは鍛冶もするようで、スミスであるジムさんとフレイさんは通いである。まぁ、転移で行き来するらしいけど。なので、治外法権エリアの拠点へ転移できる、転移部屋が設置されていた。
「ヘファイストス・ファミリアより高値の装備を売りたいな♪」
って、ジムさん。並行世界では『クレイジー・スミス』と言われていたそうだ。途轍もない高額の装備を作っていたらしい。
「僕も負けられないなぁ」
って、フレイさん。並行世界では、ヘファイストス様の義理の息子だったとか…二人の装備品であるナイフ内臓のガントレットは、それぞれの世界のヘファイストス製らしい。
一方、団長はヘファイストス様ではなく、ゴブニュー様に師事されていたようで、製作過程が違う。昔ながらの刀鍛冶のように剣を打っていた。団長曰く『専門は調理器具だよ』だそうだ…既に、豊饒の女主人の包丁や鍋をメンテしている。
「剣士組は剣を出しておけ、三柱で手分けして、メンテをしておく」
団長の指示で、僕達は得物を、団長達に預けた。
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夜…全員合流して、豊饒の女主人を貸し切りにしての夕食会。
「まず、この世界の食事に慣れろ!」
祐斗君達に指示を出す団長。慣れる程の物では無い。僕の世界とあまり変わらないし。
「どれもうまいです」
って、祐斗君。
「そうだろ♪うちは味自慢だからな」
嬉しそうなミアさん。
「で、お前ら、どのくらい強いんだ?」
「まぁ、慣れれば18階層は行けるだろうな」
ミアさんの問いに答える団長。ちなみに、1軍メンバーは50~60階層往復をソロで出来るらしい。
「そこそこだな」
「そうだな」
「お前は、どの位だ?」
「僕?一晩に10ラウンドくらいかな?今夜試す?」
「えっ?いや。お前はおかしいだろ?なんで、私を口説くんだ?」
いきなりのナンパに戸惑うミアさん。そんな彼女の姿を笑って見ているシルさん達。
「おい!笑うな!仕事しろ!」
「はいはい♪ふふふ♪」
「で、どう?」
「どう…って…言われた事無いから…う~ん…そうだ。私じゃなく、あの方にしてくれないか」
「アイツ?タンパクだから飽きた♪」
シルさん似の女神様のことだろう。
「そうなのかい…うちの若いのはどうだ?」
えっ!って表情のシルさん達。すり替えかぁ…
「いいのか?誰にするかな…アーニャでも味見するかぁ」
「私ですにゃ?」
「うんうん♪」
アーニャさんも、ナンパされたのが初めてなのか、おろおろしているし。
「なんや?貸し切りかぁ~?」
平和だった店内に緊張が走った。
「しらん子達やないか。ここはロキ・ファミリアに、席を譲ってくれないかな~?」
「おい!貸し切りだよ!」
ミアさんが、ちっぱい女性と対峙した。
「そこをなんとかしてや」
「ほら、うちのロキが退けって言ってんだよ!食べ物を置いて、退けよ!」
酔っ払っているベートががなっている。店の外には酔っ払っているロキ・ファミリアの主力メンバーがいた。もちろん、団長好みのあの方も…
「気分、悪い。おい!帰るぞ」
団長の声…キレている。更に緊張が高まる。危険が一杯である。
「おい!支払はしておいてくれるかな?」
って、フィンさん。
「食い物を奪っておいて、金もせびるのか?ロキ・ファミリアって、チンケなファミリアだな!」
「なんだとぉ~!」
団長にケリ込んだベート。クロスカウンターで、ベートの急所をケリ抜く蘭さん。
「ぐぉっ!」
吹き飛んだベートが、股間を押さえて苦しんでいる。
「貴様!」
ごっついおっさんが、オノを手にして斬り込んできた。だけど、指2本で真剣白刃取りをする団長。なんだ…スゴい…
「何…」
「僕の大切な女性にオノとは…ガレスともあろう者がな」
次の瞬間、オノを持ったおっさんが光輝いて、肉の焼ける臭いと、共に黒焦げになっていた。雷撃か?
「たわいもないなぁ」
「ガレス!」
フィンさんが、黒焦げの瀕死者に駆け寄った。うん?ロキ・ファミリアの女性陣の様子がおかしい。その場で立ち尽くし、何かに耐えているようだ。
「文句は主神に言ってくれ。僕達の主神はフレイヤだ♪おい!帰るぞ」
裏の住居部へ転移した僕達。
---フィン---
フレイヤ・ファミリアの者だと…まずいなぁ。ベートは油汗を垂らして苦しんでいる。ガレスは、意識が朦朧としている上、火傷が酷い。
「おい!ロキ!今夜の貸し切り代金は、お前が払えよ!」
ミアさんが激怒している。貸し切り客を追い出した、こちらに非がある。いくら酔っ払っているとはいえ…
ふと、周囲を見ると、ロキを含む女性全員が、倒れていた。何があったんだ?
「おい、リヴェリア!どうしたんだ?」
「ふふふ♪」
何か、楽しそうな夢でも見ているようだ。幻術か?
「ミアさん、アイツら、本当にフレイヤ・ファミリアの者か?」
「そうだ!どう落とし前を付けるんだ?おい!フィンよ!」
激怒しているミアさん。店員達も、俺達を睨み付けている。兎に角、みんなを医療機関に運ばないと、マズい…
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女性陣は一過性の物だったようで、しばらく休みと酔いも醒め、ホームへ帰れた。しかし、ガレスは全治6ヶ月、ベートは全治3ヶ月と診断をされ、即入院となった。これは、痛い出費である。
翌日、ロキと共に、フレイヤ様へ謝罪に行った。
「やらかしてくれたそうね、ロキ」
ほぼ無表情のフレイヤ様。
「すまん、ヨッパだったんで、記憶があまりあらへんよ♪」
おい!謝罪に来ているんだぞ。
「そんなところでしょうね。で、どう落とし前は付けてくれるのかな?彼、激怒しているのよね」
彼?フレイヤ様の言い方が気になった。眷属に彼は無いだろ?
「アイツ、フレイヤの何?」
「ふっ。言えないわよ」
「新しい玩具か?」
「だとしたら、何かしら?」
「魅了して、堕としたん?」
「ふふふ♪ひ、み、つ♪」
無表情のフレイヤ様の頬が赤らんだ。まさか、フレイヤ様の方が堕ちたのでは?
で、協議の結果、借り1ってことに落ち着いた。いつかこの借りを返さないとダメである。それが、何になるか、恐い。相手は、あのフレイヤ様だ。
「まさか、フレイヤが堕とされたとは…」
帰り道、ロキがボソッと呟いた。俺もそう思った。魅了持ちのフレイヤ様がまさかである。アイツ、何者なんだ?
---イッセー---
午前中はお庭で、基礎運動と素振り。午後はアスナさんから、潜る時の注意事項の講義だった。
「では、倒したら、その魔石と言う物を回収すれば良いのですね」
サイラオーグさんが質問をしている。
「そう言うことよ。後、ドロップ品もあるかも知れないので、それも拾って、地上へ持ち帰るのが冒険者のする仕事なの」
ポーター代わりに、ミトさんの無限ストレージを使うらしい。無限に物がしまえるらしい。団長の専用フィールドの引き出し版みたいな分類をして保存できるそうだ。
「前衛は、イッセ-、ヴァーリ、サイラオーグ、祐斗、ヴァイオレットで、回復役はベスさん、小猫ちゃん、フィアナさん、チセさん。魔法ランチャーはイビルアイ、リトルさん。私とミトさんは遊撃に廻る。いい?役割は臨機応変よ。剣と魔法が使えるイッセー、ヴァーリは特にね。魔法はなるべく使わないで。イレギュラーと呼ばれる強敵が、出た場合に必要だから」
細かい指示はその場で出るので、戦闘中も指示を聞き逃さない事が大切と力説している。
で、団長は、他の案件もあるので、いたりいなかったりである。
---アイズ・ヴァレンシュタイン---
あれは何だったのだろうか?今までに感じたことの無い感覚…飲まれたら危険と思え、耐えていたけど、結局は飲まれて…でも、危険では無く、とても気持ち良かった。身体の中までお風呂に浸かったような、心のコリまで解れた気がする。
誰の術だったかな?
「アイズ!明日、潜るか?」
ティオナに訊かれた。
「そのつもり…」
「なら、私も行くよ♪ガレスもベートもあれじゃ、当分、ファミリアでは潜れないからな」
そう…ガレスのオノを指で止めた…そして、何かの術を指から無詠唱で撃ち込んだ。あの人は誰?
「うん?アイズ、何を考えているんだ?」
「え?あの人…」
「あの人?あぁ、ガレスを瀕死にしたヤツか?あれは、スゴかったなぁ。まさか、指で止めるって…」
「見た事が無い…あんな技…」
「確かに…」
「あの人…レベルはいくつなんだろう…」
たぶん、あの術も、あの人なんだろうな…