---アザゼル---
俺の部屋にアジュカ、ファルビウム、シュウが来た。
「シュウ、呼び出したぞ」
「まさか、アザゼルが遣い人と手を組んでいたとは、驚いたよ」
ファルビウムから、お褒めの言葉を頂いた。
「いつからだ?」
「あの戦争終結後、しばらく経ってからだ。彼らの本当の目的を聞いて、協力をすることにした」
「本当の目的?戦争終結だけじゃないのか?」
「この世界の悲観的な未来を変えることだよ」
シュウが説明し始めた。
「この世界の未来は、血で血を洗う抗争の繰り返しだ。その度に、大勢の悪魔、堕天使、天使が死に、そしてまた死ぬために生き返るんだ。悲惨だろ?」
「どこの勢力が抗争をするのかね?」
「恩を仇で返すリアス・グレモリーを頂点とした悪魔と、それを支援する堕天使、天使の勢力。対するは勢力は兵藤一誠を団長にした、イレギュラーな存在が集まった『幽幻龍騎士団』(ファントム・ドラグーン)だ。各勢力は『幽幻龍騎士団』と友好条約を締結させていたにも関わらず、皆殺しにしたのが発端だ。皆殺しの理由は、あまりにも強大な戦力を有する『幽幻龍騎士団』にリアス・グレモリー達悪魔上層部が危機感を抱いたから。それだけの理由でだ」
「あのリアス・グレモリーならやりかねないな」
ファルビウムが頷いた。
「で、皆殺しにしたのに、仕返しは誰がしたのか?」
「彼らの子供達は、旧魔王派の世界にいて難を逃れて、時間旅行のできる能力者が、過去の時間軸にいる『幽幻龍騎士団』に助けを求め、仕返しの手助けをしてもらっている」
「繰り返されるっていうのは?」
「生き返った恩を仇で返すリアス・グレモリーが、同じ事を繰り返すらしい。それも何度もね」
「そんな世界に生きたくないなぁ。でも、グレモリー家ならやりかねない。うん?兵藤一誠って、兵藤本家の者か?」
「兵藤誠と一香の子供だ」
「「誠殿と一香殿のか!」」
「そうだ」
「死んだはずでは?」
「僕らのチームで、親子5人とも無事に預かっている」
「5人?2人多いのは?」
普段、口数が少ないファルビウムが積極的に話に参加している。誠と一香の事を心配していたんだな。
「一誠の子供とその母親だ。アクシデントが起きて、一誠に子供が出来てしまったんだ。アクシデントの元は、川神家次期当主だった川神百代だ」
「武神か?」
「そうだ、あいつがイッセーに夜這いをかけた結果、孕んだ。本当にバカ女だよ」
「あぁ、戦闘バカだったよな」
「あと、あの大戦の終結時に、君に連れて行かれた魔王様達はどうなったんだ?」
アジュカが口を開いた。
「うちでメイドさせたり、乳母させたり、仕事を手伝ってもらったりしているけど」
「生きているか?」
「神メイビスも生きているよ。でも、まだ死んだことにしておいて。混乱するからね」
「あぁ、そうだな。新体制になって動いているしな。それより、君から僕のオーラを感じるのはどうしてだ?」
「あぁ、僕の世界の父さんはアジュカさんだったから。僕の冥界での正式名はシュウ・ベルゼブブです」
「俺が、君の父さん?」
「そうです。あと、ファルビウムさんはチェスの師匠、セラフォルーさんはお姉さん、サーゼクスさんはお兄さんです」
「俺の弟子なのか…姉、兄…まさか、ソーナとリアスと結婚しているのか?」
「そうです。あとシーグヴァイラとね。子供もいます。近いうちに会うかもしれないですよ」
「そうか、君の世界では悪魔と共存しているのか」
「悪魔だけでないです。種族は問わずに共存しています。ソーナが種族、身分、階級を問わないレーティングゲームの学校を運営していますよ」
「そんな学校があるのかい。この世界では考えられないな」
「この世界では実現は無理ですね。リアス・グレモリーがいる限り」
「君の世界のリアスはどんな感じ?」
「うちのリアスは、KYでバカで努力しないグータラ女です。でも、正直で素直で会話が楽しい子だな」
「世界が変わると、こうも変わるのか」
「まぁ、グレモリー家はどこの世界でも問題はありますけどね。で、今後、秘密裏に協力をしてもらいます。魔王2人にバレないようにね」
「わかった。この世界の未来をより良い方向にしたいからな」
こうして、秘密裏に行ったトップ会談は終わり、シュウ達は帰っていった。
---イッセー---
今日は、シュウさんが用事でいないので、家の周りを散歩する。1人で行こうとしたら、シルキーさんとオーフィスさんが付いてきた。料理をするための食材を、買える場所を探しながら歩いた。途中、おいしそうなバナナを買って3人で食べた。おいしい。シュウさんに以前教わったが、ドラゴンはなぜかバナナが大好きだって。そういえば、オーフィスさんは、たくさんのバナナを抱えて、食べながら歩いているし。
駅前にデカイスーパーがあるので、なんでも買えそうだった。リーラさんに頼んで買っておいてもらおう。
散策をしながら散歩を続けていると、声をかけられた。
「イッセーだよね?」
声がした方を見ると、この前公園で遊んだネリネさんだった。
「ネリネさん?」
「私はネリネの姉のリコリスだよ」
そういえば、ネリネさんの瞳は赤だったかな?この方は紫だな。
『イッセー、この子は1つの身体に2つの魂が宿っている。たぶん、身体はネリネと共有だろう』
狐さんから情報が上がってきた。
「ねぇ、分離したくない?」
「え?」
「別々に会うより、3人で会った方が、きっと楽しいよ」
「イッセーにできるのか?」
「僕は無理だけど、団長ならできる……今、連絡したら、出来るから連れて来いって」
戸惑っているリコリスと僕ら3人で、家へ転移した。
「いらっしゃい」
シュウさんがリコリスの頭を撫でている。リコリスの表情が、和らいでいるのがわかる。こんな時でも、バナナを食べながら、頭を突き出すオーフィスさんは偉大です。
寝てしまったリコリスさんを、ベッドに運んだ。シュウさんは1冊の本を取り出した。『世界不思議大辞典』って背表紙に書かれているけど…
「これ、僕の愛読書なんだ。僕にしか読めないけどね」
ページをめくり何かを探しているシュウさん。どのページも白紙に見える僕。
「あった。これだ」
見ているページも白紙なんですけど。
「この辞典は知恵の精霊とリンクしていて、僕以外の人が見ても白紙にしか見えないんだ。ユグドラシル計画の人工生命体第2号リコリス。瞳の色が紫であるのが特徴。他にもプリムラ、亜麻などがいる。ネリネの細胞から作ったクローン生命体で、ネリネの命を救うために自らの命を与えて死んでしまった…この子を生き返らせよう。うん、生きて欲しい。自分の身体でね」
シュウさんが招魂の儀式をして、ネリネさんの身体から、リコリスさんの魂を取り出した。ネリネさんの瞳は赤になったみたいだ。次に、リコリスさんの身体を魂からの情報で創造していた。身体が完成すると、魂を身体に入れる入魂の儀式をして…
2体をベッドに横にして、僕らは静かに部屋を後にした。
しばらくすると、2人は目覚めて騒がしくなってきた。僕が部屋に向かうと、2人は抱き合って泣いていた。そして、僕の存在に気づくと、2人で僕に抱きついて来た。
「イッセー君、ありがとう。リコリスお姉さんを生き返らせてくれて」
「本当にありがとう。こうやってネリネと再会できるとは思わなかったよ」
「いや、僕は何もしていないよ。お礼ならシュウさんに言ってね」
「「シュウさんって?」」
「僕の親代わりの人だよ。招魂、創造、入魂の能力を持っているだよ」
「どこにいるの?」
「仕事かな?さっきいた場所まで送るね。この家の場所は秘密だから」
「なんで?」
「僕とシュウさんは、命を狙われているから。僕の友達でも、教えられないよ。もしかすると、僕達を狙っている相手かもしれないし。ごめんね」
僕は頭を下げた。
「謝らないで~。私達の方が、頭を下げないといけないんだから。わかったわ。さっきの場所まで送ってください。お礼はいつか、普通に会えるようになったらするから」
2人は目を合わせた直後、僕にキスを交互にしてきた。驚いて尻餅をついてしまった僕。
「私達のファーストキスはお礼の一部だから。またね♪」
僕は二人を出逢った場所へ、強制転移させた。
---ネリネ---
リコリスお姉さんと、一緒に帰宅した。お父さんとお母さんの顔が引きつっていた。しばらくして、我に返ったお母さんはお姉さんを優しく抱きしめた。
「リコリス、お帰りなさい…」
「リコリスちゃん…どうして…ネリネちゃん、説明してくれるかな?」
私は、イッセー君とシュウさんに助けてもらったことを告げた。
「お礼に行かないと失礼だな」
私は、イッセー君から聞いた、家の場所は言えない理由を話した。
「二人の恩人は、誰かに命を狙われているのか。うむむ、イッセーって、あの子はたぶん…そうだ。神ちゃんに連絡をしないと」
「ダメだって、他の人に話しちゃダメだよ。天界に狙われているかもしれないでしょ?」
「まさかなぁ…あっ…ボウズの姓って、ヨハネだったよな」
「うん」
「あぁ、天界に狙われているな、ソイツは。でも、粛正されて血が途絶えてたはずだが」
「粛正って、殺しちゃったの?もう、お父さんって呼ばないからね、バカ王!」
私はお姉さんと二人で部屋に引きこもった。
---悪魔王フォーベシィ---
リコリスちゃんとの再会した直後、ネリネちゃんの誤解から娘に「お父さん」って呼んでもらえなくなってしまった…どうしよう。神ちゃんに相談した方が良いかな?でもあの血筋ってわかったら、殺される可能性はある。いくら悪魔王とは言え、恩を仇で返すのには抵抗があるし。はぁ…
イッセーという少年は、間違えなく誠殿と一香殿の忘れ形見の一誠君に違いない。サーゼクスの馬鹿たれとリアスのアホんだらのせいで、悪魔に殺されると思っているかもな。彼の両親を殺したのも、はぐれ悪魔だったし。
どうやって、お礼をしたら良いかな…
---シア---
従兄弟のネリネから連絡があって、ネリネの姉のリコリスが生き返ったそうだ。キキョウも、もしかして分離できるかもしれない。互いに向き合って話がしてみたかった。私は、イッセー君を探しに出かけた。
家がわからないので、街を探した。こんな夜更けには無理かな?
「イッセーの友達かい?」
いきなり、声を掛けられた。
「は、はい」
「アイツは、夜は散歩しないよ。鍛錬の時間だからね。ちょっと待ってね。呼び出してあげるから」
しばらくすると、イッセー君が転移してきた。
「副団長、ご連絡ありがとうございました」
イッセー君は、声を掛けてくれた人に、頭を下げてお礼をいっていた。
「イッセー、帰りはお前が送ってやれよ。僕はこれから仕事だからね」
「わかりました」
そして、イッセー君と転移した。
転移した先は、家だった。リビングルームに通されて、メイドさんが暖かい飲み物を持ってきてくれた。
「どうしたの?こんな遅くに?一人で危ないよ。たまたま、副団長が見つけてくれたから良かったけど、はぐれ者だったら危なかったよ」
「ネリネちゃんに聞いたの…お願いがあるの。キキョウを私から分離してもらえないかな?」
シアさんから事情を聞いた。
「産まれてこなかった双子の妹か」
シュウさんが来てくれていた。
「女神でも悪魔成分が強いけど、気にしちゃダメだよ。僕の息子は悪魔だけど天使の翼を持っても、腐らずに真っ直ぐ育っているからね」
シュウさんが、シアさんの頭を撫でている。そんなシアさんの目がツリ目になった。
「本当に分離できたら、息子さんを紹介してください」
「了解だ。キキョウ。さぁ、目をつぶって、楽な気持ちになって…」
シアさん?キキョウさん?を寝かしつけて、招魂、創造、入魂と一連の儀式を終えたシュウさん。
「ヤマトが言っていただろう。今夜は遅いから、送れってやれよ。ガイアとシルキーをお前のガードにつけるから、安心して行ってこい」
「はい、ありがとうございました」
リビングに向かうと、4兄弟が勢揃いしていた。
「アリス達も付いてくるって」
「ありがとうございます」
「父ちゃんとイッセーは、産まれてはいけない子供だったから、あぁいう子達を、放っておけないんだよね」
その通りです。シルキーさん。
「イッセー、ここで鍛錬だ。大天使モードで、地上高5センチの場所で静止続けてみて」
ガイアさんに言われた通りに、静止したがこれはきつい。上空ならば、風や気流を利用して静止ができるけど、この高さって、エアコンのダウン気流受けまくりだし…
「きついだろ?僕も父ちゃんに、言われてやったときは、きつかったもの。トレーニングルームでなくても、工夫しだいできつい鍛錬が可能ってことだよ」
「ご指導、ありがとうございます」
「送迎ルートは空にするよ。地上だと狙われると夜間は危険だからね」
「「了解!」」
指揮担当のアリスさんが作戦を立てた。
「問題は神王が追ってきた時だな。多少攻撃しても死なないだろうから、姉さんと兄さんは後方待機で、攻撃準備しておいてください」
「「了解!」」
「イッセーは飛行中、索敵を掛けておいてくれ」
「了解です」
「階段で隠れて、様子を見ている、そこの二人降りてきて」
階段に視線をむけると、シアさんとキキョウさんが、僕達の会話を聞いていた。
「イッセー君って、天使だったの?」
「イッセーは人間だ。僕は天使の翼を持つ悪魔ガイアだ」
「私は悪魔の羽を持つ悪魔シルキーよ」
「僕は天使の翼と悪魔の羽の両方を待つ悪魔アリス」
「私はアリスと双子で、妹のシーナです。よろしくお願いします」
4兄弟はそれぞれ、翼と羽を展開して、自己紹介をした。いつ見てもインパクトがあるなぁ。
「シュウさんって人は天使なの?」
「父ちゃんは鬼と天使のハーフな魔物だよ。天使の翼と魔物の翼を持っている」
「あっ、悪魔属性の強い女神のキキョウです。お、お友達になってください」
「「了解!」」
「キキョウの姉のシアです。よろしくお願いします」
「「こちらこそ!」」
「イッセー、ここって軍隊なの?」
「う~、軍隊に近いかな。一般家庭を目指していますけど。ははは」
「よくわからないけど、ありがとう、イッセー」
シアさんがキスをしてくれた。
「お礼がしたくても、何も持ってこなかったから、私のファーストキスで、ごめんね」
「いや、嬉しいです」
そして、いきなり頭を張り倒された。
「私は、初つっこみってことで」
キキョウさん、ありがとうございます。
二人を送ることにした。僕はシアさんを、アリスさんがキキョウさんをお姫様抱っこして、空に舞った。
シアさんの指示で、家に向かい、玄関先に二人を下ろして、飛び去ろうとしたら、神王が飛び出してきた。
「貴様ら、シアちゃんを悪の道に誘い込もうと、夜遊びを教えていたのか?」
僕達に、詰め寄ろうとしている神王に向けて、上空から援護射撃が始まった。その攻撃で神王が怯んだ隙に、僕とアリスさんが飛び立った。
「待てぇ~待たんか、おい!」
神王が飛びたそうとするも、援護射撃が破壊的で、飛べずにいた。僕達はある程度の高さまで逃げると、亜空間移動をした。
---神王ユーストマ---
逃がしてしまった。なんだ、あの破壊力ある攻撃を、あんな高さから、ピンポイントで撃ち抜く技術って、単なる不良ではないみたいだな。アイツら、天使の翼を持っていたが、天界にあのようなスナイパーがいたかな?
「お父様のバカ!」
いきなり、家から持ち出した机で、シアちゃんに殴られた。
「恩人になんてことをするのよ!」
「恩人?」
シアちゃんが指差す方を見ると…キキョウ?え?恥ずかしそうにしているキキョウちゃんがいた。
「…」
「イッセー君に頼んで、招魂の出来る方にキキョウを分離してもらったのに…もう、お父様って呼ばないからね。バカ王」
シアちゃんに連れられて、家の中に連れて行ってもらったキキョウちゃんは、家の中で妻サイネリアと感動の再会をしていた。あっ…お父様って呼んで欲しいんだけど…シアちゃ~ん。
ガチャッ
ドアにカギが…