---式森数馬---
当主の間に、息子である和樹を呼び出した。
「父さん、何か用か?」
う~ん、当主の間では、私は当主で有り、父では無いと教えているのに…
「お前、学校で問題を起こしているそうだな?」
「問題?何の話だ?」
「執拗に特定の生徒へ、嫌がらせをしているそうじゃないか」
「特定?あぁ、あの偽物か?」
偽物?
「どう見ても、式森の血は入っていないようだよ。アイツは兵藤一誠のダミーだな」
「ダミーだと、どうなんだ?本人は別人だと言っているそうではないか」
「紛らわしい奴は消えた方がいいんだよ」
消すのか?
「紛らわしとは、どういう意味だ?」
「兵藤一誠は死んだで、良いじゃないか。俺は式森の次期当主なんだよ。なのに、兵藤一誠に継がせたいって、あぁ言う紛らわしい奴がいるから、そんな待望論が出るんだ。いっそ、消えた方が平和だと思わないか、ねぇ、父さん」
一誠君の暗殺に、息子が絡んでいるのか?それは由々しき事態である。
「お前、消すって簡単に、口にするな!」
「はぁ?何、怒っているんだよ。俺は最強の魔術師だよ。恐れる者はない」
一誠君に、式森の魔法は通じない。知らないとは愚かなことである。
『なら、殺してみろよ!』
鬼が降臨したようだ。空気が一変していく。呼吸するのがつらい。
「何者だ?式森の本家にケンカを売るだと!」
『先に売ったのは、お前だろう?』
目の前に一誠君が現れた。
「貴様…どうやってここに?」
「あんな結界は、紙キレ同然で、効果はないよ」
式森家の強固な結界で護っている屋敷。そこに、苦も無く現れた一誠君。
「殺し合いでもするのか?まぁ、お前に殺される自信はないけどな」
以前に会った時よりも、逞しく、堂々としている一誠君。どう見ても和樹に勝ち目は無い。
「ふざけるなよ!『焼き尽くせ!炎の龍よ!』」
炎の龍が一誠君に向かっていく。って言うか、家の中でそれはダメだろう。家が燃え始めた。炎の龍は一誠君の全身に巻き付き、絞め上げていく。
「この程度か?って、家が燃えているぞ。お前はバカか?」
私もそう思う。家の中で何をバカやっているのだ?
「吠え面かくなよ『突き刺せ!稲妻の槍よ!』」
屋根を突き破り、雷撃の槍が一誠君を襲った。
「この程度で死ぬ訳ないだろ?」
「何?もう詫びても許さないからな。『殺せ!闇の魔人よ!』」
何も起きない。一誠君に闇属性は意味無いんだが…
「なんだよ、不発か?じゃ、僕のターンだね」
炎の龍も雷撃の槍も、一誠君の身体に吸収されていく。あれが、魔人の力か…
『ウォーターミスト』
燃え広がっていく炎が鎮火していく。魔法も使えるのか。
「で、次はどうするんだ?」
和樹は床の間に飾ってあった刀を手にした。
「剣術で屠ってやる。この化け物め!」
「じゃ、僕も」
空間から剣を取り出して、鞘から抜いた。その瞬間、空気が鳴動し、家が崩れていく。
「来いよ、和樹!」
あれは聖剣エクスカリバーか…
「やめろ!和樹!あの剣はマズい!」
振っただけで生じる聖なる波動。その波動は、悪魔を灰にする威力で有り、人間程度では燃えてしまう。
一誠君と和樹の間に立った私。
「子供のケンカに、親が参加ですか?」
一誠君の背後に鬼が降臨してきた。
「ここは引いて下さい」
が、背後から和樹の声が…
「『滅びよ!地獄の業火!』」
鬼と一誠君を飲み込む炎の塊。
「ノーカウントと見せかけて、攻撃か。式森家はロクでも無いなぁ」
炎の塊の中で、平然としている一誠君と鬼。
「何…この化け物め!『存在を呪え!天の裁き!』」
天空からの雷撃が鬼と一誠君に、降り注いでいく。
「だから、何だ?」
式森流としては禁術スレスレの攻撃魔法を受け、平然としている二人。
「何…なんだ、コイツらは…『消し飛べ!流星雨!』」
ついに、和樹が禁断の術を発動した。神の領域と言われる魔術で、地表に有るあらゆる物を消し去る究極の奥義である。
「これはダメだろう」
鬼が術の発動を止めた。
「何…何で、発動しない?」
「数馬!禁断の魔術を人間が行使した場合、どうなるか知っているよな?」
鬼を怒らせたようだ。
「はい…人間であることを、辞めないとダメです」
「え!!」
和樹が驚いている。散々、教えたはずだ。最後にどうしてもダメな場合以外、使うなと…
「では、お前の息子は愚か過ぎる。単なる亜人として生きるが良い」
「はっ!」
命だけは残してくれた。だが、単なる亜人という種族は、能力を持たない反面、寿命だけが長い種族である。ゴブリンとかドワーフなどの亜人の種族であれば、それなりに能力があるのだが、単なる亜人では…
「イッセー、帰るぞ」
「はい!師匠」
二人は帰ってくれた。
「なぁ、父さん。どういうことだ?俺は人間で無くなったのか?」
力無く頷く。
「もう、お前は魔法も使えない。単なる亜人という種族だ。人間で無くなった以上、次期当主にもなれないんだ。このバカ者が!」
手遅れである。この世界に君臨する鬼を怒らせた結果であるから。
---イッセー---
式森家からのちょっかいは消えた。だけど、懸念材料がある。話では訊いているバカ親の娘達である。
前回の周回で、終末へのトリガーを引いたバカ親2名。その娘達は、ヴァーリを見殺しにしたらしい。彼女達がいれば、ガイラさんは魂を捧げないで済んだそうだ。それは、ヴァーリ、セーラにとって、忘れてはいけないことのようだ。
「アイツらが来たら、リアスとサイラオーグ、後、ヴェネラナで対処して欲しい」
「わかりました」
ベネさんが、鬼に頷いた。
「セーラとヴァーリが暴走しそうな時は、ルシファーよ。お前がどうにかしろ」
「はい、そうします」
師匠の抱える案件は、ここだけで無いので、留守の時もある。僕を連れ出して、案件に行く時もあるし。
まぁ、準備に越したことは無い。
---リシアンサス---
久しぶりに人間界に来た。小さい時はよく訪れていたのだけど、ある事件以来、訪れることはなくなった。訪れていた当時、父と母が懇意にしていた人間の家族がいたのだけど、何者かに惨殺されて、訪れる相手がいなくなったのだ。
しばらく来ない間に、風景は様変わりしていた。だけど、記憶に残る街並も多少、残ってはいる。
人間界にいる友人を訪ねる事にした。えぇっと…こっちだっけかな?住宅街は迷路に思える。似た建物ばかりで、目印にならないし。
苦労の末、目的の家を見つけた。
魔王サーゼクス様と奥様のグレイフィア様がお相手をしてくれた。あれ?リアスはどこ?
「あの…リアスは?」
「うん?いや…ちょっと、留守なんだよ」
サーゼクス様の様子がおかしい。基本的に嘘が下手な魔王様であるから。
「どこかへ行かれているのですか?」
「遊びに行っているだけですよ」
グレイフィア様が、サーゼクス様に睨みを入れたように見えた。
「どこにですか?」
「人間の友人の処よ」
人間の友人?有り得ない。私の知る限り、リアスは人間に対して傲慢であったはずだ。人間を友人にすることなぞ、有り得ない。
サーゼクス様の家を出て、リアスのオーラを探って見る。う~ん?どういうこと?リアスのオーラを2つ感じる。何故?そのオーラの出所を探し出してみた。
表札には『鬼門』と掲げられている。この家から、リアスのオーラを2つ感じるのだ。うん?ソーナもいるようだ。他にも知らない悪魔のオーラを感じる。ここは悪魔の家なのかな?安心して、敷地へと入り込んだ。
ズン!
入って直ぐに、首に衝撃を受け、意識が狩り取られた。
◇
朦朧としているけども、意識が覚醒してきた。ここはどこ?四つん這いになり、何かが私の中で蠢いている。舌は引っ張り出され、話すことは出来無いようだ。
「まさか、忍び込んで来るとは…」
「油断ならないわね」
知らない女性が二人話している。あぁぁぁ…胸を揉まれている。うぅぅぅ…感じる…
「コイツ、どうする?」
「このまま、飼育でもいいけど」
飼育って…何で?あぅ…全身の力が抜けていく。
「イッセー、どう?」
「気持ちいいよ。マシュマロみたいだし」
私に何かしているのはイッセーと言うらしい。一誠?まさか、死んだ筈では…
「じゃ、これを付けておくか。脱走防止に」
黒髪の少女が、私の首に首輪を嵌めた。なんで、こんなことを…
「じゃ、今度は私が遊んでいいかな?」
「姉さん、壊さないでよ。イッセーの捌け口にするんだからね」
先程の少女が、黒髪の女性に向かって、言葉を掛けた。その女性は、私を引き起こし、舌を口に含み、抱きついて来た。全裸で…
そっちの趣味は無いんだけど…
グジョグジョ
下腹部からいやらしい音が聞こえる。女性相手に濡れている私。そんな…
---魔王フォーベシイ---
人間界へ遊びに行ったシアちゃんと連絡が取れなくなった。心配になった俺はシンちゃんこと、大天使のユーストマと人間にやってきた。
「オーラを感じ無いな。どこかに封印されているのかもしれんな」
シアちゃんは、どこかの勢力に捕まったのか?
「魔王サーゼクスの家にでも行くか」
って、シンちゃんの言葉を受けて、二人でサーゼクスの家に向かった。だが、家にはグレイフィアしかいなかった。
「グレイフィアよ、シアちゃんは来なかったか?」
「来ましたが、帰りましたよ」
帰った?どこに?
「うん?リアスはどうした?」
シンちゃんが何かに気づいた。
「リアスは、学生寮に入っていますよ」
「どこの学生寮だ?」
「いやぁぁぁあ~!やめてぇぇぇ~!」
聖属性のシンちゃんがグレイフィアに抱きつき、いたぶっている。いや、エロ心満載な気がするが。
「痛いぃぃぃぃぃ~!」
「シンちゃん、死んじゃうよ」
シンちゃんを止める俺。
「はぁ?天使程度で、グレフィアが死ぬ訳無いだろ?」
肩で息をするグレイフィア。妙に色っぽい…
◇
グレイフィアを、俺とシンちゃんで味わう。前から俺が入り、後からシンちゃんが入っている。
「おい、いい加減に白状しろよ」
シンちゃんの手がグレイフィアの胸を揉んでいる。揉む度にグレイフィアから悲鳴とラブジュースが出てくる。聖属性に感じているようだ。彼女の表情は酔いしれたような恍惚な表情である。更に性欲が湧き出てくるよ。
「おい!お前ら!俺の妻に何をしているんだ!」
マズい!サーゼクスが帰宅した。サーゼクスの姿を見たグレイフィアは膣痙攣を起こしたようだ。おぉぉぉ~、気持ち良い締まりだなぁ~。
「お前の嫁が隠し事をしているから、今訊きだしているんだよ」
「レイプしているようにしか、見えないがな」
サーゼクスがキレているようで、奴の身体から滅びのオーラが湧き出している。
「おい!グレイフィアを灰にしていいのか?リアスはどこにいるんだ?白状しろよ!」
え?天使程度では灰にならないって言ったのは、嘘か?おい、マズいって…
「リアスをどうするつもりだ!」
あぁ、シスコンなサーゼクスは、余計に怒っているんだけど、シンちゃん、大丈夫かな?そんな心配をしていると、空気の質が変質した気がする。
「何だ?何が起こったんだ?」
シンちゃんも変化に気づいたようだ。
「ユーストマよ!貴様は何をしているんだ!」
「えっ!メイビス様…」
「フォーベシイよ!そこまで堕ちたのか?」
「へぇ?ルシファー様…どうして、ここに?」
「サーゼクス、良く耐えたな」
知らない青年が、サーゼクスに声を掛けた。
「いえ…前回は失敗しましたから」
「そうか。後で、グレイフィアを新品同様にしてやるよ」
「ありがとうございます」
新品同様って?何をするんだ?
シャッ!
何かが斬られた音…グレイフィアが俺とシンちゃんの間から抜けて行く。あれ?繋がっていたのにどうして?
「グレイフィア、大丈夫か?」
青年の呼び掛けに、グレイフィアは反応していない。
「くそっ!内部被曝か…」
「え?酷い…」
ルシファー様が俺とシンちゃんを睨んでいる。
「サーゼクス…時間が掛かるがいいか?」
「お願いします。グレイフィアを、お救いください」
「わかった」
グレイフィアの姿が、目の前から消えた。転移術のようだ。
「で、メイビスよ!この不始末をどう収めるんだ?」
青年がメイビス様に詰め寄っている。
「貴様!メイビス様に対して、頭が高いぞ!」
シンちゃんが青年に攻撃を仕掛けた。だけど、効果が無いようだ。
「頭が高いのは、お前の方だ!このエロ天使がぁ!」
メイビス様の怒号。シンちゃんの顔色が変わっていく。温厚なイメージのメイビス様が、激怒しているし。
「エロ天使は堕天しないのか?」
「申し訳ありません。バカは無理です」
メイビス様が青年に頭を下げていた。
「貴様!メイビス様に、何をさせていやがる!」
今度はシンちゃんが青年に殴りかかった。ソレを簡単にいなし、制圧する青年。アイツ、何者だ?最強天使のシンちゃんに何もさせないって…
「僕は、神と天使が大嫌いなんだよ!メイビス、どう落とし前を付けるんだ?」
「すみません」
青年に土下座をするメイビス様…それって、青年の方が上位階位なのか?
「いつも言っているだろ?謝って済ませられる問題は少ないって」
メイビス様は土下座のままである。
「メイビスとヤハウェの連名で、詫び状を書き、僕とサーゼクスへ渡せ。そこにはこのバカ天使の落とし前の仕方を書いておけ」
「はい」
「で、そこのエロ魔王は、サーゼクスとルシファーに任せる。悪魔内で処分を決めておけ。僕はグレイフィアの元へいく」
青年も転移して消えた。