---イッセー---
第一のイベントは終わった。次は、お爺ちゃんへの顔見せか…今までは師匠が間に入ってくれていたけど…今回は自分でしないとダメである。
兵藤家本邸の地下道にある祠へ出向いた。そこで待っている。暫く待つと、老人が降りて来た。毎日の見回りが日課らしい。僕を目にして固まる老人…兵藤家当主である兵藤源氏である。
「生きておったのか…」
「人間では無いけどね…」
「禁忌のせいか?」
頷く僕。それだけで、僕が何になったのか、予想できた祖父。
「そうか…その能力で乗り切れたのか」
「まぁねぇ」
「ここに住むか」
「仲間と暮らしている。でも、叔母さん達、お姉さんにも会いたい」
祖母からは、お姉さんと呼ぶ様に指導されている。
「そうか。では、お前の部屋を用意する。そこへ転移して来い」
「ありがとう、おじいちゃん」
「困ったことがあれば、儂を頼れよ」
「うん」
◇
で、早速頼って、立ち技最強女である川神百代のいる道場へ通い始めた。兵藤家で突出すると狙われるので、百代の処にしたのだ。祖父も納得済みである。
「イッセー!貴様ぁぁぁぁ~!」
道場に百代の怒号が響き渡る。百代のケリ、拳をことごとく、受け流しているのだ。
「くそぉぉぉ~!今日こそ、仕留めてやるぅぅぅぅ~!」
高速剣技持ちとの鍛錬で、動体視力が鍛えられたようで、百代の攻撃がよく見えている。それに豪打持ちとの鍛錬で、耐久性も鍛えられているので、百代の本気のケリ程度では、怯まない。万が一、怪我をしても、再生能力があるしねぇ~。
「なんで、勝て無いんだよぉぉぉぉぉ~!」
もう少し、受け流しを流暢にしないと…反省点が今日も多いなぁ。百代は勝ち負けでの判断であるが、僕は技の完成を目指している。
僕を睨みつける百代。バトルジャンキーでなかったら、ガールフレンドにしたいルックスである。
「イッセー…お前は、どこの中学だ?」
「通っていないけど…」
戸籍が無いので通えない…お金も無いし…
「え?!なんで?」
バトルジャンキー顔から、素の顔になる百代。
「訳有りで、通えないんだよ」
「友達は?」
「百代がいるだろ?それで充分だよ。後、一緒に暮らしている仲間もいるし」
「仲間?」
「運命共同体って言えばいいのかな」
ヴァーリとセーラさんの顔を浮かべる。
「そうなのか…」
いつもの百代と違う。どうしたんだ?
「なぁ、彼女になってもいいよ」
はぁ?バトルジャンキーな彼女は、お断りである。
「なんで?」
「うん?私では不満か?」
「見た目は好みではあるが…」
「何が問題なんだ?」
「そのバトルジャンキーな性格かな?」
「う~ん…わかった。改善する。だから…」
これは百代流の告白か?
◇
ベースに戻り、ミリムと鍛錬。百代と比にならない。重いパンチが軽々と飛び出てくる。さすが、最強の魔王様だ。受け流す度にダメージを貰う。要するに受け流しが不十分であるのだ。
後回し蹴りが飛んで来た。いつ覚えたの?お尻狙いのようで、しゃがんでの回避は無理のようだ。なら、上へ飛び出した。え?
目の前にミリムの拳が…
ズッドーン!
顔面に撃つ込まれた豪腕…撃沈した僕。再生するから問題は無いんだけど、痛いのは嫌いである。
「イッセー、ココナツサブレ、買ってきてね」
「あい…」
負けたら、買うって約束で、稽古を付けて貰っている。
---川神百代----
最近、イッセーのことばかりを考えている。どうするれば勝てるのか、どうすれば、彼氏に出来るんだろうか。はぁ~。
漸く自分より強い男に巡り会えた。この機会を逃すのは、ダメである。どうにかして、抱き締めて、唇を…きゃぁ!なんてことを妄想しているんだ。私は…
イッセーと同じ学校へ通う作戦は失敗した。まさか、通っていないとは…
「大和、口説きたい男がいるんだが、どうすればいい?」
幼なじみの直江 大和に訊いてみた。
「はぁ?百代に好きな男が出来たのか?どんな男だ?」
「私よりも、遥に強い奴だよ」
「百代よりもか?化け物じゃないのか?」
「いや、れっきとした人間だよ」
大和より、いくつか策を得た。
---イッセー---
兵藤家本邸にある僕の部屋へ転移した。祖父に呼び出されたのだ。
「イッセー、お前の戦いが見たい。千人組手をしてくれないか?」
「僕は当主になれませんよ」
兵藤家の千人組手は当主への登竜門って聞いた事がある。
「わかっておる。娘達がなぁ、お前の勇姿を見たいとせがんでなぁ~」
あぁ、ここにもバカ親がいたんか…はぁ~。
祖父の用意してくれた道着に着替え、道場へと足を踏み入れた。
「今日は、千人組手をする。挑むのは…イッセーじゃ」
僕の名前を聞いて、響めく道場内。僕は兵藤家において、どんな存在なんだ?
そして、千人組手は始まった。兵藤流格闘術とは、魔法を使わない戦闘を想定しているので、素手相手で刀や銃の使用も辞さない脳筋ぶりである。それ、卑怯って言わないか?
そして、無事に千人組手を終えた僕。
「どうじゃ、皆の者。イッセーは次期当主には成れぬが、イッセーを迎えて貰えるかな?」
祖父の言葉に、門下生達は僕へ頭を下げて来た。これはどういうことだ?
「イッセー。皆の者の総意じゃ、今後も道場へ来てくれ。歓迎するぞ」
歓迎されても、僕の流儀に合わない戦闘術なんですけど…
◇
翌日、祖父と共に、式森家を訪れた。
「数馬君、コイツが孫のイッセーじゃ」
「生きていたのですか…姉さんの忘れ形見のイッセー君…」
感慨深そうに僕をみている数馬。
「でだ。式森の魔術をイッセーに教えてくれないか。こいつにも式森の血は流れているんだし。どうかな?」
いや、既に、式森流魔術はマスターしていますけど…
「わかりました。姉さんの才能を、どこまで受け継いだのかを見てみたいです」
「で、なぁ…コイツは次期当主には出来ない。数馬君、わかっているな」
「才能があってもダメなんですよね。もったいない…わかりました。その条件でお預かりします」
って、式森家でも鍛錬をするようだ。
---式森数馬---
う~ん…もったいない。こんなにも才能を受け継いでいるのに、次期当主に指名できないとは…息子である和樹には無い、多彩な魔術の数々…次期当主の座を譲りたい逸材であった。
和樹にとって、魔術の鍛錬よりも、女性とのコミュニケーションが大切なようだ。秘められた魔力は膨大であるのに、宝の持ち腐れである。
「次期当主?興味無いよ。宮間家への養子でも構わないから」
宮間家とは、和樹の彼女の家である。宮間家も魔術師として、名門である。
「お前なぁ…」
「平和な世の中だよ。魔術なんか使う機会は、あまりないよ。僕は夕菜と一緒にいたいんだ。そのイッセーって奴に当主の座を譲る」
って…魔法を練習するより、女性と乳繰り合いが大切らしい。嘆かわしい…
---イッセー---
百代のいる道場を訪れた。今日の百代は様子がおかしい。
「なぁ、今日の勝負、私が勝ったら、お前を彼氏にする。負けた、彼女になってやる」
うん?どっちにしても彼女になるのか?
「拒否する。神聖なる武術に、そのような色恋沙汰を混ぜることは出来ない」
それで、師匠と同じ道を歩みそうだし。
「何!何が不満なんだ?私はイッセーの為に何でもできるぞ!」
何でも?う~ん、溜まっているし…
「じゃ、僕の性の奴隷になってくれるかな?」
「はぁ?」
固まる百代。一緒にお風呂場へ…百代の目の前にアレを出した。
「舐めて♪」
「えっ!」
「何でも出来るんでしょ?」
「あっ…あぁ…」
そこまでの覚悟はなかったようだ。このくらいにしておくか。
「今日はもう帰るよ。鍛錬する気力が萎えたから」
道場を後にした僕。
---川神百代---
大和をボコっている。
「おい!完璧な作戦ってどういうことだ?イッセーは、呆れて帰ってしまったではないか!」
「うそっ!そんなはずは…」
ぼこっ!
腹部を抉るケリ。
「うっ…そんなバカな…」
コイツが参謀ではダメだな。後、誰かいないか?う~ん、恋愛マニュアルなる本を購入するか。
---イッセー---
「高校は通うからね」
って、セーラさん。
「駒王学園の高等部に、私とヴァーリと、イッセーで通うのよ」
リアス達のいる学校では?
「避けては通れない道よ、いいわね、イッセー」
まぁ、避けられないよな。関わりたくもないけど。
「学費とか、保証人はどうするんですか?」
ヴァーリが質問をした。
「それらは、ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード総督が、責任を以て応対してくれるわ」
あぁ、脅しましたね。
「まぁ、イザとなったら、兵藤家と式森家が、後盾になってくれるから、心配はしないでいいわ」
「じゃ、地上に家を置くのね」
「えぇ、そうよ。一応、物件は兵藤家で、用意してくれるそうよ」
なら、安心か。
「家事はどうするの?メイビス達は連れて行けないわよ」
「そこよね、問題は…ヴァーリ一人に、負担はマズいよね。本拠に、メイドの手配をしてみるわ」
そうなると、フィアさんかな?ラムレムさんかな?
◇
入学の半年前に引っ越しをした。駒王町にある一戸建てである。
「どうじゃ、イッセー」
祖父と祖母が居間でお茶を飲んでいる。兵藤家の別宅って感じか?叔母である悠璃、楼羅と数馬が、家具の設置をしてくれていた。
「イッセーに言われた通り、地下にトレーニング施設をいれてある」
「ありがとう、お爺ちゃん」
お礼を言うと照れている祖父。
「うちの和樹も、同じ高校へ通わせる予定だよ」
って、数馬。
「まぁ、もっと、色々と磨きを掛けないと」
「いっくん、応援しているよ」
「一誠様、がんばってくださいね」
って、叔母達の声援を受けた。叔母と言っても、あまり年齢が変わらない気がする。一体、祖父のいくつの時の子供なんだ?
◇
引っ越しをして、落ち着き始めた頃、一人の女性が訪れた。
「あの、兵藤誠さんの息子さんですよね?」
見た目、外国の女性なんだけど…この世界の父さんは、ワールドワイドに女性を手玉に?
「あぁ、私は、リーラ・シャルンホルストと言います。所属はメイドの愛好団体MMM(もっともっとメイドさん)の第五装甲猟兵侍女中隊で、大尉…じゃなく、ハウスキーパーをしております。実は、誠さんに、何かがあったら息子を頼むと、生前に依頼されていました」
え?何か粛清の予兆があったのか?
「一香さんが子育ての間は、私が誠さんのパートナーでした」
仲睦まじい証拠の写真を見せてくれた。合成写真では無いなぁ。
「一誠君の元で働かして貰えないでしょうか?炊事洗濯から、マネーロンダリングや戦闘もいたしますから」
なんか、守備範囲が広いんですが…セーラさんを見ると、頷いている。受けろってことだ。
「わかりました。お願いします」
彼女を家の中に案内した。
「住民は、僕の他、ヴァーリとセーラさんです」
「分かりました。リーラです。よろしくお願いします」
深々と僕達に頭を下げたリーラさん。
◇
「ネットで調べたんだけど…」
って、セーラさんの前置き…何かダメな情報でもあるのか?
「第五装甲猟兵侍女中隊のモットーは『ご主人様の心を癒す』なんだって」
それって、この世界の父さんは、リーラさんに癒やされていたってことである。母さん以外の女性にかぁ…
「イッセーも癒やされたいのかな?」
って、ヴァーリ。あぁ、溜まってはいるけど…セーラさんに出来ないし、ヴァーリには無理は禁物である。
「まぁ、任務に支障の無い範囲でね」
って、セーラさん。こういうことに、寛容である。さすが、師匠の娘である。
◇
更に翌日…何故か、百代がやって来た。その服装を見て、固まる僕。あの学園都市にいた火織さん並の服装である。Tシャツにジーパンで、シャツの裾は結んで有り、形の良い臍が出ている。ジーパンは半ズボン状態に斬り裂いてあった。
「お前、どうしたんだ?」
「おぉ~、狼狽えたな」
「普通、狼狽えるだろ?季節を考えろよ」
それは夏場なら良いけど…今は秋の終わりである。
「あぁ~、季節感かぁ~」
バトルジャンキーに季節感は無いらしい…このまま放置をアレなんで、家に入れた。
「何しに来たんだ?」
「うん?同じ高校へ行こうと思ってね。ここに同居したい」
セーラさんを見ると、頷いている。受け入れるようだ。
「わかった。受け入れる。だけど、無茶はするなよ」
「あぁ、ゆっくりと責めるよ」
何を責めるんだ?