---シュウ---
今日は面会日で、誠、一香、一誠、言成と会いに、兵藤家本家一行様がベースキャンプに来ている。とても賑やかだ。
そんな中、僕は源氏と別室にて話しをしていた。
「ユグドラシル計画について、教えて欲しい。あの計画はまだ生きているのか?」
「いや、生命を創り出す事は難しいので、止めたぞ。成功しても、長生きできない上、能力のコントロールも制御できない場合が多いからな」
「関わっていたのは、神族、魔族、兵藤家、式森家だけか?」
「そうじゃ」
僕は資料の束を源氏の前に置いた。
「僕達の情報網で集めたんだけど、いまだに続いているみたいだけど」
資料に目を通す源氏。
「まさか…わしは知らんぞ。誰が関わっているのじゃ?」
「兵藤誠輝一派とグレモリー家で研究・開発が進んでいるようだけど…知らないって、本家当主としてどうなのよ?」
「すまない。いまだに兵藤家を一枚岩のようにできていないのが現状じゃよ。一誠の安全はまだ保障できぬ」
「その誠輝って人物は今どこに?」
「行方不明じゃ。ここ数日兵藤家の者と式森家の者の行方不明者が多いのじゃ」
「グレモリー家で最強の人工生命体を作っているみたいだから、材料にされた可能性が大だな。研究施設の場所と残っている資料を全部提出してください。大事になる前に、潰せる部分は潰しますから」
「わかった…」
「人工生命体の弱点は?」
「寿命の短さだけじゃ」
「最悪じゃん…一誠と言成には幸せになってほしいのに…」
完全体になっていたら、どう倒せば良いんだ?魂も心も無い、魔力吸収、再生能力有りの化け物みたいだし。
-------
面会時間が終わり、兵藤家本家一行様が帰られた。僕は、アジュカさんの家に転移した。
「すみません。急用だったので、アポを取らずに来ました」
「いや、いつでも来てくれ。君といると心が落ち着くというか、なんか懐かしい気分になれる」
「アジュカ父さんには、随分と可愛がってもらいましたから、オーラが染みこんでいるのかもしれません」
アジュカさんは微笑んでいた。アジュカ父さんが僕を見る時のように。
「今日、お伺いしたのは2点ほどお聞きしたいことがありまして」
「何かな?」
僕は、リアスの駒を10個取り出した。
「僕の仲間に入れられたリアスの駒です」
「こんなに入れたのか…」
「それでですね。リアスは『僧侶』の眷属をまだ持っているのですが、ここに2個あるのはおかしくないですか?」
「通常のルールでは有り得ないことだが…リアスは例外だ」
「なんで?」
「上層部の支持を得たサーゼクスがルールを改訂してしまった。リアスだけ、ルールに縛られないという特記事項でね。グレモリー家の使用人はすべて、リアスの下僕だ。サーゼクスすら下僕にしてしまった最悪の悪魔だ。リアス・グレモリーという悪魔は」
「冥界はリアス・グレモリーが仕切っているんですか?」
「そういうことだ。表だっては仕切っていないけどね」
源氏に見せた資料をみせた。
「これは…」
「たぶん、思っていた以上に、最悪なシナリオで未来に向かっているようです」
「阻止できるかね?」
「阻止するために、この世界に来ていますから。でも、その完全体を倒す自信はないです。完全体になる前に潰さないとマズイです」
「手伝えることはあるかな?」
「研究所が冥界にあると思うんです。探してもらえませんか?」
「わかった。俺の部下にやらせる」
「先程の話しで、サーゼクスさんが、リアスの眷属になったって言っていたけど」
「あぁ、あれには俺も驚いたよ。リアスの命令通りサーゼクスが動いていたからな」
「有り得ない。たとえ、『王』の駒を使ってもリアスにはサーゼクスさんを眷属にできないと思います。もしかして…」
僕は、ある人物の魂を招魂した。すると魂は出現した。
「やはり…」
更に、魂の情報から身体を創造した。その姿を見て驚愕するアジュカさん。
「なんだって…」
僕は魂を入魂した。しばらくすると、その人物は意識を取り戻した。
「あれ?ここは?アジュカ、ここはどこだ?」
「サーゼクス!お前、死んでいたのか」
アジュカさんは驚いていた。いや、僕もだ。リアスに殺されたのだろう。そうすると、あのサーゼクスさんは、人工生命体だ。
「おかしいな、部屋で寝ていたはずなんだけどな」
あの見慣れた笑顔のサーゼクスさんがそこにいた。僕は事情、状況を説明した。
「ぼ、僕のコピー体が冥界を支配し始めているって?本当か、アジュカ」
頷く、アジュカさん。
「まさか、お前が死んでいたとは…」
「そうなると、他にも入れ替わりがあるかもしれませんね」
「あのリアスは本物か?」
あぁ、そうだよな。あんな悪女系のリアスは初めてだもの。リアスの魂を招魂した。すると、彼女の魂は現れなかった。
「招魂しても魂が現れないので、本物です」
「そうなのか…とにかく、俺は研究施設を探すよ」
「サーゼクスさんは、僕が保護します。また、殺されると嫌ですから」
「頼む。サーゼクス、しばらく匿ってもらえ。もし俺に何かあったら、後は頼むぞ」
「アジュカ、すまない。僕の妹のために…」
僕とサーゼクスさんは、アジュカさんの家から転移した。
---神王ユーストマ---
娘から家を追い出されて数日が経った。天界で暮らしているのだが、家庭料理が恋しくなり、まー坊(悪魔王フォーベシイ)の家に遊びに行った。
まー坊の家で家庭料理をご馳走になり涙してしまった。
「神ちゃん、どうして家を追い出されたんだ?」
「事情を知らずに、娘達の恩人に噛みついてしまったんだよ。おかげで、「お父様」とは呼んでくれなくなったんだ」
「あっ、同じだよ。俺も「お父さん」って、呼んでもらえなくなったから。恩人?恩人って何をしたんだ?」
「キキョウちゃんを生き返らせてくれたんだ。娘が二人になった途端、父親の座から降ろされたというか…」
「同じだ。うちもリコリスちゃんを生き返らせてもらったんだけど…なぁ、神ちゃん、禁忌の一族がもし生きていても、もう粛正はしないよね?」
「あ?あの一族は粛正して、もう一人もいないはずだ…なんで、そんな事を聞くんだ?まー坊、何かを知っているな?」
「魔王様、それは話していけないといったはずですよね」
ネリネちゃんとリコリスちゃんが、まー坊に詰め寄っていた。
「あっ…神ちゃん、聞かなかったことにしてくれ~」
「いや、そういう訳にはいかん。あの一族がまだ残っているのであれば、粛正しないといけない」
「魔王様、もし彼らが粛正されたら、私達はこの家を出て、尼さんになって彼らを一生供養しますからね」
え?姪っ子たちは、自分達の部屋に戻っていった。
「まー坊…どういう訳だ?」
「はぁ…聞かないでくれ…娘達と縁を切られる…」
「大事な事だ、粛正相手を見つけたのか?」
「すまない。神ちゃん、言えないよ~。だって、娘達の恩人なんだからさぁ…」
「恩人が粛正相手なのか…」
「あっ…聞かなかったことにしてくれ、神ちゃん。恩を仇でなんか返したくないよ」
「あぁ、たぶん、うちの娘達の恩人も同じ人物だろうな。こんな神ですら持っていない能力を行使できるんだから…まー坊、どうしよう…」
悩み始めた俺とまー坊。すると目の前に一人の若者が転移してきた。
「バレたんならしょうがない。僕は『神殺し』シュウ・ヨハネだ。僕を粛正するなら、この世界の神はすべて殺す!」
はぁ?ヨハネって粛正相手じゃないか。『神殺し』って…絶対神様の遣い人かぁ…
「そうだよ、ユーストマよ。お前より、僕の方が神格階位が上だ。ヤハウェよりも上だ。それでも僕を殺すと言うのであれば、絶対神様から頂いた二つ名『神殺し』を実行するだけだ。どうする?ふふふ」
「いや、ちょっと待ってくれ…え?神を殺しても罪に問われないのか?」
「最高神未満の神は、神と名乗っている種族なので、神族を殺しても罪にならない」
「神ちゃん、なんか凄いことを言っているよ、この人…」
まー坊は怯えた表情をしている。たぶん、俺もだろう。
「僕の母さんはお前ら神族に殺されたんだからな!」
「それは、すまない事をした…」
なんだ、この死を予感するような冷たいオーラは…えぇ…殺される…助けてくれ~
「粛正した者も助けを求めたと思うが、お前らは死んで当然って感じで殺してくれたよな」
いや、その通りだ…けど…
「けど、なんだ?悪い事をせず、隠れて生きているだけなのに、見つけ出して殺した、お前らは何者なんだ?恩を仇で返すお前らの方が、よっぽど罪人だと思わないか?」
「神ちゃんは役目を果たしただけです。たぶん…」
まー坊、言い訳は効かねぇよ。こいつ、マジだ…
「シュウさん、おじさんを許しあげてください」
ネリネちゃんが、彼の前に立った。
「許せないと言ったらどうする?」
ネリネちゃんを見る彼の視線は、とても優しいオーラで満ちあふれていた。
「私達の身を捧げます。だから、許してあげてください」
「いや、それは困る。君達は君達の人生を幸せに生きろ」
彼がネリネちゃんの頭を優しく撫でると、彼女の身体が優しいオーラで包まれていった。浄化能力持ちかぁ。
「神王に告ぐ、ヨハネ一族を粛正対象からはずせ。禁忌は破られた。もう粛正は意味をなさない。獣の数字は我の手にある。ヤハウェに伝えよ。天界、神界で、獣数字と神喰狼を解き放ってもよいぞと。悪魔王に告ぐ、リアス・グレモリーの眷属を全員解放しろ。このままだと、冥界は滅びるぞ。では、ご機嫌よう♪」
彼は一礼すると、死のオーラの消失と共に忽然と消えた。
「彼は、本物の神だぁ…」
---ヤハウェ---
神王ユーストマから『神殺し』よりの伝言を聞いた。禁忌は破られていたのか…粛正は無意味だな。獣数字と神喰狼を手中に入れているのは厄介だ。たぶん、戦力はもっとあるんだろうし。
「ユーストマよ、ヨハネ一族の粛正は今後しない。そのように伝えよ」
「伝えないで良い。僕はここにいるから」
聞いたことのない声。声の主の方と見ると、見知らぬ青年がいた。
「初めまして。聖書の神ヤハウェよ。僕が『神殺し』シュウ・ヨハネだ」
「ここは結界が張ってあったはずだが…」
「僕には結界、封印は無意味だ。そういう能力を持っている」
ユーストマが強制転移させられていた。
「さぁ、僕にその身を捧げろ」
ふふふ、私は神か英雄以外とは交われないのを知らないのか?愚か者め。衣を脱ぎ捨て、彼の身体に纏わり付く。それなのに彼の肉棒が…え?なんで?…
「僕は神でも英雄でもないけど、女の神を抱けるんだよ。交われないと思い込んで、身を捧げただろ?僕は絶対神様の心すら読めるんだよ。ふふふ」
私の膣の中に入ってきた彼の肉棒は、私に彼の印を刻み付けていった。そして、私の口からは、はしたない声や言葉が出て来た。彼に私の身体は支配されたのだ。
彼の舌が私の乳首を舐め上げていく。それだけで、身が焦がれていく。身体の中の熱い物が外へ出ようと躍動している。彼の肉棒が3回くらい往復しただけで、思考が停止していった。そして、
「また、かわいがってあげるよ」
って、彼の言葉を聞きながら果てた。
---イッセー---
ベースキャンプの新たな住民となったサーゼクスさんは、フィアさんがお気に入りだけど、殴られたり、蹴られたりして喜んでいるのが、僕には理解できなかった。フィアさんからも理解しなくて良いと注意をされたし。
でも、サーゼクスさんから、悪魔のこと、冥界のことを色々習うことができた。フィアさんの前以外だと、子供好きな良いお兄さんなんだけどなぁ。
家に戻ると、呼び鈴が鳴った。玄関に行くと…シアさん、キキョウさん、ネリネさん、リコリスさんが立っていた。
「やっぱり、この家で正解だったんだ」
「ようやく、見つけましたよ」
「私達はイッセー君とシュウさんの味方だから」
「父親面したヤツラから、守ってあげるから」
え?どういうこと?シュウさんは今いないし…
「どうしたの。イッセー」
ヴァイラさんだ。
「ほぉ、イッセー、モテるわね♪」
「ヴァイラさん、そういう訳でないです」
ネリネさんがヴァイラさんを指差して、驚いている。
「シーグヴァイラ・アガレスさんですか?」
「ふふふ、よく分かったわね。あなた達の彼女より20くらい上だと思うけど」
「いや、面影とオーラで…」
「違う世界から来たのよ、私とシュウと子供達はね。イッセーはこの世界の子だけど」
彼女達をリビングルームに通した。
「あのですねぇ。父親らしい人に頼んで、私達でシュウさんとイッセー君を守ろうと思うんです」
僕ではなくて、ヴァイラさんに趣旨を説明しているシアさん。
「ふぅ~ん、心強いお姫様達だわね。でも、あなたたちは戦えないでしょ?どうやって守るの?」
シュウさんと共に、幾多の戦場を駆け抜けた、シュウさんの元相棒のヴァイラさん。言葉からも力が感じられる。
「私達が、傍にいれば、悪魔と天使は襲ってこないかと思います」
「公園で、はぐれ悪魔に襲われたのに?イッセーが助けなかったら、今ここに、あなたたちはいなかったわよ」
「あぁ、イッセー君。あの時は、ありがとう。あ、シーグヴァイラさん、私達って、私達でないんです」
「あぁ、親バカ親父が絡んでいるのね。はぁ…そういうのって、シュウは良く思わないわよ。彼は親と一緒の時間が短かったからね。そこのドアに隠れている、親父2匹出て来なさい」
レイピアを取り出して、構えているヴァイラさんと、臨戦陣形になった4兄弟さん。
「ちょっと…待って…バレていたのね…」
玄関のドアが開き、彼女達の父親達が現れた。
「イッセーが言っていたでしょ?命を狙われているって。家にいても安心できない生活って、あなた達は想像したことある?」
「すまない。ないな。一応神王だし」
「俺も悪魔王だから、ないな」
「私達、家族にとっては、自宅だって戦場の内なのよ。それに対して、気安く守ると言う、あなた方の娘さん達に、あなた方はどういった教育をしているの?気持ちだけは貰っておくわ。シュウが言ったはずよ、貴女たちは貴女たちの人生を幸せに過ごしてほしいってね」
「そうだけど…」
あぁ、彼女達が泣いているよ。ヴァイラさんを見ると、笑顔を返してくれた。
「イッセーもそうだけど、私達は簡単にやられないように鍛えているの。実際問題、私達より強くないと護れないわよ」
「お手合わせを願えるかな?」
神王のおじさんがヴァイラさんに言ったけど、次の瞬間、『ウルティマウエポン』が神王と悪魔王のおじさんに炸裂していた。そして、2体の煙を上げた死体が出来上がった。
「なんだよ。もう終わりかよ。僕の大事な人を、口説くからだよ」
シュウさんの声がした。
「その程度の強さで僕らを護るつもりだったのかい」
「「お父さん(さま)」」
シュウさんは蘇生させた。
「俺達、死んだのか…一瞬で…」
「で、僕の出した条件は飲んでくれたのかな?悪魔王よ」
「他の者の眷属に関しては、悪魔王としても手が入れられない」
「本人の意志確認せずに眷属にしても、リアス・グレモリーだけは問題ないってことかな?」
「…」
「え?リアスちゃんだけ、特別なのはおかしいよ」
ネリネさんが声を荒げた。
「悪魔王は、書類を見ずに承認したそうだな。愚かな王だ。お前が承認した決定事項は、破棄できないと魔王が教えてくれたよ」
「魔王?誰に?」
「言えないよ。協力者の名前はね。そういう生活をしているんだ僕達は」
「そうか内通者がいるのか…」
「神王のところにもいるよ」
「え?あのスナイパーか?」
あれは、ガイアさんとシルキーさんだけど…
「ふふふ、リアスの問題を棚上げにするならば、5大勢力戦争を再開するか?もしするならば、僕らは停戦に走ることをせず、全力で叩くからな」
「うぅ~、わかった。善処するから、待ってくれ。時間をくれ」
「時間?そんなにないぞ。リアスがユグドラシル計画の最終形、完全体の人工生命体を作り終わった時点で、この世界は崩壊する。仕様書を見る限り、完全体は、僕らでも倒すのは厳しい気がするんだ。倒せなかったら、この世界はリセットするからね」
「リセットって…」
「破壊神に世界を破壊する指令を出す。そして、創造神に世界を0から作り直してもらい、維持神に同じ過ちを起こさないように、問題箇所を修正しながら、世界を維持してもらうんだ。その権限は僕にあるからね」
「絶対神様の意志を継ぐ者かぁ」
「そういうことらしい。まぁ、僕は僕の世界でのんびり暮らせれば、この世界のことはビジネスライクでやらしてもらうだけだ」
「君達が手を掛けてきたイッセー君はどうなる?」
「うん?誠と一香と一誠と言成と神メイビスは、僕らの世界に引き取るよ。本人達との意志の確認も取ってある」
「ちょっと待て!誠殿と一香殿と神メイビス様は生きておられるのか?」
神王のおじさんが大声を上げた。
「ノーコメントだ。まぁ、死んでいても蘇生すれば良いだけだしね」
「そういうことかぁ…生きているのかと思ったぞ」
神王のおじさんは勘違いをしてくれていた。その方が良いはずだ。
------
翌日、家の両隣に、神王家と悪魔王家が引っ越していた。これには、シュウさんは、苦笑いしていた。
「あいつらは、どこの世界でも両隣に来たがるな」
って。
両隣に引っ越して来てもらったおかげで、この家への直接の攻撃が防げると、ヴァイラさんに教えてもらった。