※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D(改)リライト版   作:もっち~!

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上には上が

ドッスン!

 

格闘場に低音が響き渡る。百代が、ミリムに伸されている。見た目がお子ちゃまな、魔王コンビであるクルムとミリム。百代は、組手の相手を買って出たのだが…

 

「この程度で、相手になると思っていたのか?」

 

百代の鋭いケリを物ともせずに、カウンタで回し蹴りを叩き込んでいるし。

 

「まだまだ…」

 

ボロボロになっても立ち上がる百代。そこを空かさず、水面蹴りで地面に這わすミリム。ほとんど、公開リンチに近いが、誰も助けに入らない。相手を舐めた百代に非があるから。

 

その公開リンチの隣で、僕とクルムが組手をしている。ミリムよりも速度は遅いものの、ダメージは倍増かと思うくらいの、重い打撃。受け流しているのに、ダメージを貰っているし。斬った、裂けた等の外傷とは違い、見えないダメージは危険である。蓄積して、いきなり多大なダメージとして現れる場合があるのだ。

 

そして、蓄積ダメージは、治癒術や回復薬では消えない。疲れなどに分類されるらしいので、疲労回復系の回復薬でないと、ダメージを払拭できないのだ。

 

「やっかいだな。どうするかな?」

 

僕の持つ再生能力も、蓄積ダメージには効果が無い。それ故、この見えないダメージを与えて来るクルムを、最強の魔王であるミリムも恐れているらしい。

 

「イッセー!もうダメだよ。ココナツサブレね」

 

勝ちを確信したクルム。彼女に一礼して、ココナツサブレを取りに行く。最近は、リーラさんが買い込んでくれるので、食料庫へ行けばあるのだった。

 

あぁ…手足が重い…温泉でダメージを回復させていく。地下1階のトレーニング施設には温泉を併設してある。効能は、疲労回復とダメージ回復である。

 

師匠に習ったことが記されているノートに、視線を落としていく。どうすれば、ダメージを減らせるかを探す。

 

「あぁ、そうか、軌道を変えさせればいいのか。擦るように…」

 

独り言を言いながら、ノートに思いついたことを追記していく。ここには、教えてくれる師匠はいない。だから、思いついたことを小まめに文字として残し、試していくことが大切である。

 

温泉から出ると、ヴァーリが筋トレをしていた。スタミナの向上がポイントらしい。ラウンジコーナーでは幼女の魔王二人がココナツサブレに舌鼓を打っている。公開リンチは終わったようだ。

 

格闘場に向かうと、全身ボロボロな状態の百代が、置いてあった。ツンツンしても動かない。脈はまだ有るようだ。取り敢えず、医務室へ運び、着ている物を総てはぎ取り、再生カプセルに投げ込んだ。

 

再生カプセルとは、修復、再生、治癒、回復を自動で行ってくれる便利アイテムである。ここにはヒーラーがいないので、アルフガンから貸与してもらった。

 

ヒーラーは必要だな。僕もヴァーリーもセーラさんも回復術を持っているけど、本職では無いので、ここまで酷い場合、何も出来無いのであった。

 

セーラさんもヒーラーの必要性を感じているそうだけど、あの度胸満点のアーシアさんは避けたいらしい。あの人が来ると、相棒であるゼノヴィアさんも来てしまうし。

 

「シーナお姉様が来てくれると、助かるんだけど…」

 

希望は通らないらしい。案件はここだけで無いから、無理も言えない。それに、なるべく同化吸収は避けるようにと通達が来ているので、この世界とダブル人選はしにくいらしい。

 

「どうしようね、ヒーラー役…」

 

後は、現地調達かぁ。この世界のヒーラーだと、シアかな。

 

「悪魔サイドは慎重にねぇ」

 

って、セーラさん。そうだよね。だけど…

 

 

 

---アザゼル---

 

並行世界から来た者が、俺に接触してきた。並行世界から来た証拠に取り出したのは、俺の黒歴史であった。この世界のは消去したのに、図解入りで冊子にした豪華版を所持していた。

 

「これで、分かってくださいましたか?あぁ、裏切ったら、バラ蒔きますよ」

 

裏切るも何も、まだ手を組んでいない…しかし、目の前の小娘の脅しに屈する俺。

 

「分かれば良いんですよ。素直が一番です」

 

この小娘…度胸が据わっていやがる。要求は、来年度から駒王学園に3名通わせたいので、学費の支払いと保証人になってくれって言う物だった。

 

「それくらいなら、叶えてやる。ただ、訳有りの理由を聞かせて貰えるか?」

 

彼女の口から聞いた真実…兵藤一誠が生きていて、別人として生きてるってこと…それは、公に出来ないなぁ。また、狙われる可能性があるから。

 

「わかった。今後は俺を頼れ。悪いようにはしない」

 

「あぁ、悪い心が芽生えたら、堕天した理由を公表しますよ」

 

何?なんで、それを知っている…黒歴史の中でも一番の黒歴史だぞ!

 

「ふふふ」

 

小悪魔のような笑みを浮かべる少女。コイツの親の顔、見てみたいな、クソっ!

 

『呼んだか?』

 

空気が一変した気がする。なんだ、この畏怖感…半端無いぞ…堕天使の総督である、この俺が恐怖を感じている。膝が笑い、腰が抜ける。そんな感覚である。

 

『お前が呼んだのだろ?娘の親の顔が見たいと…』

 

おい、この娘の親って…ラスボスか…

 

『ラスボスってことは無いだろ?そんなチンケな存在では無いし』

 

小娘の隣の転移してきた鬼…コイツはマズい…この俺の本能に死亡フラグが立ちまくっている。

 

「娘が何か問題でも起こしたか?」

 

「そんなことはありません…」

 

うっ…殺される…いや、確実に死ねるレベルである。鬼の視線は鋭すぎる。

 

「じゃ、娘達を頼むよ。ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード総督!」

 

そう言い残し、鬼は転移していった。鬼が消えた瞬間、空気が元に戻ったようだ。生き返った気分だよ。

 

カシャ!

 

え?シャッター音。なんでだ?

 

「ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード総督って失禁するんですねぇ~」

 

うっ!また俺に黒歴史が産まれた瞬間だった。

 

◇

 

恐怖体験を旧友であるミカエルに話した。

 

「あぁ、君も会ったんだね」

 

って、ミカエル。何?

 

「僕達も会っているんだよ」

 

ミカエルとセラフォルーも、鬼に会ったことがあるそうだ。

 

「結婚祝いに、天使と悪魔が共存できる空間を作ってくれたんだよ」

 

って、嬉しそうに語るミカエル。そう言えば、そうだな、天界では悪魔は住めないし、冥界では天使は住めない。かと言って、人間界にも住めないよな。悪魔と天使が夫婦って、人間には知られたくないだろうし。

 

「僕達夫婦は、彼に感謝だよ、だから、彼と彼の娘さんが、望むことはなるべくしてあげたいんだよ」

 

って、ミカエル。

 

 

 

---リシアンサス---

 

両親にホームステイを勧められて、人間界へと来た。久しぶりである。地図を片手にステイ先を探す。私の両親が大変お世話になった方の娘さんの家らしい。ヒーラーを探しているとの情報を得た父が、私の派遣を決めたそうだ。

 

ここかな?表札に『兵藤/代羽』ってある。呼び鈴を押して、用件をメイドさんに伝えた。

 

家の中に入ると、あの時の彼がいた。ナナシさんである。

 

「私はセーラです」

 

この家の責任者らしき少女に、紹介状を手渡した。

 

「あぁ、父様が手配してくれたのね。わかったわ。私達のチームのヒーラーをお願いするわ」

 

チーム?あの時、私達を護ってくれたのって…彼らなのかな。

 

「チームメンバーを紹介するわ。私がリーダーのセーラ・シトリー・鬼門よ。シアとは従兄弟になるわね」

 

え?従兄弟…あぁ、シトリー家だとそうなるのか。

 

「後、前衛のイッセー・ヨハネと川神百代、後方支援のヴァーリ・ヨハネ。メイドはリーラ。よろしくね」

 

ナナシさんの本名は、イッセー・ヨハネって言うんだ。

 

「よろしくお願いします。リシアンサス・シトリーです。シアとお呼びください。専門はヒーラーです」

 

「リーラさん、彼女を部屋に案内してください」

 

「わかりました。こちらへ、どうぞ」

 

部屋に案内して貰うと、私の荷物が運び込まれていた。部屋はワンルームでトイレとシャワーがあるだけで、キッチンは無い。

 

「食事は1階です。大浴場は地下1階です」

 

とリーラさんが教えてくれた。地下にも設備があるんだ…

 

 

 

---イッセー---

 

待望のヒーラーは来たが、シアだった。

 

「父様が手を回してくれたみたいなの」

 

今回も、師匠は裏で暗躍しているようだ。

 

「これで、多少の怪我でも安心ね」

 

多少の怪我なら、現状でも治せると思うのだが…

 

 

今夜の相手は百代である。

 

「イッセー!投げ技地獄を味合わせなさい」

 

って、セーラさんの指示。百代の攻撃をかいくぐり、投げ技を連発していく。

 

「投げっぱなしで、臨戦態勢を解かないようにして!」

 

セーラさんの指示に従っていく。確かに、直ぐに臨戦態勢を取らないと、相手が複数の場合、危険である。だが、投げっぱなしの場合、投げられた方のダメージは凄まじい。2,3回投げ放すと百代は、動けなくなっていた。

 

「シア、回復して!」

 

「はい」

 

ぎこちない動きで百代に近寄り、回復術を掛けていく。

 

「もっと、スムーズに掛けられるようにして。戦場だったら、二人共死んでいるわよ」

 

「はい…」

 

シアの声は震えていた。恐怖を感じているのだろう。

 

「じゃ、次、イッセーとヴァーリで、極め技勝負して」

 

セーラさんは、僕達に弱点を作らせないように、効率良く鍛錬を進めていく。

 

◇

 

シアをうまく使いこなせずにセーラさんが凹んでいた。ヴァーリが元気付けるようにフォローに向かった。

 

「ごめんなさい。なんか足を引っ張ったみたいで…」

 

シアも責任を感じていた。セーラさんの的確な指示をこなせないでいたから。

 

「指揮者を凹ませるって、私はダメですね」

 

原因はセーラさんがシアの力量を読み違えただけだ。初めてで、スムーズに動けない彼女を、通常時のように指示していたからだ。

 

「後、あの時は、ありがとうございました」

 

あの時?あぁ、あの時かぁ。はぐれ者達の殲滅作戦の時だな。

 

「あれも、セーラさんの指示通りだよ」

 

「どこの勢力なんですか?」

 

どこになるんだ?所属はあの騎士団ではあるが。

 

「どこだろうね」

 

「えっ?!」

 

「僕達は僕達なりの正義で動いている。だから、どこにも属さない」

 

って、ことにした。

 

 

 

---川神百代---

 

私の自信は、どこから来ていたのだ?ここでは、誰にも勝て無い。それどころか、毎日ボロボロにされている。

 

イッセーは川神院で、手加減してくれていた。イッセーと他の者の対戦を見て、そう実感した。私の攻撃速度に合わせて、受け流していただけであった。攻撃に転じられないで、受け流すだけで手一杯と思っていたのに…違う。違ったのだ。

 

今日の鍛錬でそれは証明された。私の攻撃をかいくぐって、投げていくイッセー。私のケリも拳も、イッセーの身体に当たることは無かった。

 

それは、ショックであった。立ち技最強と皆に称されて、天狗になっていたようだ。私のメッキは剥がれ堕ちた。イッセーの彼女になってやるでは無く、イッセーの彼女にして貰うことしか出来ない。

 

イッセーの部屋を訪ねた。

 

◇

 

「どうしたんだ?」

 

イッセーが声を掛けてきた。私の価値はこれしか無いか…着ている物を総て脱いで、イッセーの目の前に立ち、

 

「好きにしてください…私の…ご…しゅ…」

 

涙が溢れてきた。あれ?なんでだ?言葉が出ない…

 

「しょうがないなぁ」

 

私にバスタオルを被せた。

 

「あれくらいで、心を折るなよ」

 

バスタオル越しに、頬を重ねてくれた。私の全裸を見ようとしないイッセー。

 

「ねぇ、私の全裸って、価値無いの?」

 

思い切って訊いてみた。

 

「眩しくて見られないよ。もっと強くなれ!僕は強い女と、強引にするのが好きなんだよ」

 

なんだ、その趣味は…少し前の私のようでは無いか…

 

「分かった、もっと強くなる」

 

イッセーの臭いが染みこんだタオルを被ったまま、自分の部屋に戻った。

 

 

 

---シア----

 

魔法書を勉強していく。もっと高位の回復魔法を、物にしたいから。百代さんの怪我が、一撃で治らなかったのだ。確かに手間取っていては、私も百代さんも、実戦だったら、死んでいただろう。

 

って、言うか…彼らは実戦経験があるのだろう。この平和な世界のどこに、実戦を積む機会があったのだろうか?

 

謎を解明する為に、イッセー君の部屋へと向かった。

 

「どうしたんだ?」

 

え!全裸で鏡の前に立つイッセー君。

 

「何しているんですか?」

 

「動きに合わせて、どこの筋肉が機能しているかを、調べていたんだよ」

 

なるほど…自分の裸に見とれていた訳では無いのね。

 

「で、何の用かな?」

 

視線がイッセー君のシンボルにロックオンしてしまった。男の子って、こうなっているんだ。

 

「おいおい、何を見ているんだ?」

 

彼は下着を着て、その裸体を隠してしまった。残念だなぁ。

 

「で、用件は?」

 

「あのぅ~、どこで実戦経験を積んだのですか?」

 

「うん?戦場だけど…他に、どこで積めるんだ?」

 

そうなんだけど…

 

「場所は言えない。守秘義務があるから」

 

守秘義務?まさか、傭兵だったのか?この歳で…

 

「それに、シアの能力じゃ、実戦に投入なんか出来ないぞ」

 

そうだけど…でも…

 

「基礎を学べ!応用には手を出すなよ」

 

何か地雷を踏んだのか、部屋から追い出されてしまった。

 

 

 

---イッセー---

 

この世界のシアが悪い訳では無いのは、わかっている。でも…僕のいなかった世界のシアが、ちゃんとしていれば、ガイラさんは死なないでも良かったはずである。いや、それ以前にヴァーリも百代も助かったのかもしれない。もしかすると、僕は存在しなくても良かったかもな…

 

その為か、どうしてもシアに当たってしまう…

 

どうすればいいんだ…

 

 

 

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