---リアス・グレモリー---
そして、冥界…イッセー達はシトリー家に宿泊しているようだ。
「どうしたの?彼氏はどうしたのよ?」
母がせっつく。だけど、そんな者はいない。
「だから、いませんって…」
そこに客人がやってきた。イッセー達だ…はぁ?
「この度は、夕食会へのお招きありがとうございます」
セーラが代表して挨拶している。誰が招待したのだ。
「そう、あなたが、シトリー家の遠縁の方なのね」
って、母が応対している。まさか、母が招待したのか…
「まぁ、そんなところです」
やって来たのはセーラ、イッセー、ヴァーリであった。
「まぁ、お話は、お食事の後にしましょうね」
晩餐会が始まった。あの3名は冥界のマナーを知っているようだ。
「シトリー家でマナーは学んだのかしら?」
「いえ、ルシファー家です」
って、ヴァーリ…はぁ?ルシファー家って…廃絶されたのでは?母も父も怪訝な顔付きになっていった。
「どういう意味ですか?もうルシファー家の血縁者は、いないはずですが」
「まだ、私とリリンがおります。私達の留守中に粛清でもしましたか?」
ヴァーリが挑戦的な視線を、私の両親へ送った。
「リリン様は、行方不明のはずだ」
「私達の家にいて、執事をしてくださっていますよ」
「まさか…」
「私の本名はヴァーリ・ルシファーです。お忘れなく、お願いします」
ルシファー家の生き残りなの…グレモリー家よりも遥か上の順位である。そのルシファー家のヴァーリすら、あのシトリー家のセーラの眷属に過ぎない。セーラは何者なんだ?
「ねぇ、イッセー君は兵藤一誠君では無いの?」
母が訊いた。
「僕はイッセー・ヨハネです。人違いですよ」
「そんなはずは無い。その瞳…引き込まれそうな瞳、一誠君のはずよ!」
「グレモリー夫人、決めつけは困ります」
セーラが話に割って入った。
「アナタとは話していないわ!」
「私の眷属に色目を使うのは、止めて下さい」
セーラは母に対決姿勢である。
「シトリーの遠縁の者は、黙っていなさい!」
「グレモリー家はいつだって、わがままですよね!はっきり、言います。私はグレモリー家は大嫌いです」
大嫌い…理由は?どうして…
「グレモリー夫人、我が主であるセーラを興奮させないで貰えますか?今は、戦う時では無いですから」
イッセーが口を開いた。戦う?グレモリー家と?なんで?
「では、ハッキリをさせましょう。妻の無礼は謝罪しますが、君達は何者かな?」
父が合図をすると衛兵が雪崩れ込んできた。生け捕りにするようだ。
「なるほど、晩餐会は偽りで、私達を捕縛する計画ですね。愚かなことを…」
ヴァーリが哀れんでいる表情である。
「おい!引っ捕らえよ!」
「「はっ!」」
だけど、衛兵が動いた瞬間、3人の姿は消えた。転移したようだ。
「何?結界を破ったのか…」
父の残念そうな声。
---イッセー---
セーラさんの読み通り、僕達を捕縛する為に、晩餐会を開いたようだ。
「グレモリーのやりそうなことよ」
鼻で笑うセーラさん。
「許せない。セーラちゃん達を捕縛って…」
セラフォルーさんが、ヒートアップしている。ここは、聖魔界にあるセラフォルーさん、ミカエルさんの家で、二人の為に、師匠が作りだした仮想空間である。
「まぁ、手の内が分かったし、良かったのでは?」
って、ヴァーリ。この世界のルシファー家も、粛清対象のようだった。
「前魔王家は粛清の対象か。悪魔らしい発想だな」
って、ルシファーさん。
「そうなると、今ルシファーさん達が生きていることがバレると、マズいですよね?」
「グレモリー家を筆頭に、私達を粛清するだろうな」
それは避けないと、鬼が降臨しそうだ。
「ヴェネラナを調教するか?」
って、ルシファーさん。まぁ、リアスに似ているから、責めがいはありそうである。
「攫ってくる?」
セーラさんが訊いた。
「イッセー、強奪しなさい!」
メイビスさんが決断をした。僕はヴェネラナ・グレモリーを、この場へ強奪した。いきなりの強制転移で、きょとんとしているヴェネラナさん。
「よぉ、久しぶりだな、ヴェネラナ」
ルシファーさんが声を掛けた。
「え!ルシファー様…」
ルシファーさんに跪くヴェネラナさん。
「粛清するんか?」
ヴェネラナさんの顔から血の気が失せていく。ルシファーさんがプレッシャーを掛けているようだ。
「まさか…そんなことは…」
「お前、我が娘に、失礼な事を言わなかったか?」
「娘?まさか…」
ヴェネラナさんはヴァーリを見て固まった。
「私の娘だ。私は彼女を認知している」
「どなたとの子ですか?」
「神メイビスとの間に出来た、奇跡の子だよ」
「メイビス様は女神ですよ…」
「だから、どうした?女性同士でも、愛情が深ければ生まれるのだ。それ故、ヴァーリは奇跡な子なのだ。文句あるのか?」
「私も認知しています」
メイビスさんがヴェネラナさんに声を掛けた。
「生きていらしたのですか?」
「えぇ、セーラとイッセー達に救われてね」
メイビスさんもプレッシャーを掛けたのか、ヴェネラナさんの腰が抜けたようだ。
「イッセー君は、兵藤一誠君ですよね?」
誰もその問いには答えない。まだ、時期では無いから。だけど…
「そうですよ」
って、ミカエルさんが答えた。
「ですが、兵藤一誠君は粛清対象です。死んだ事にしておいてくれませんか?」
正直に理由を告げた。
「そのような理由が有るのですか…わかりました。このヴェネラナの胸の内にしまっておきます。もう1つ、お聞かせください。セーラという少女は、どうしてグレモリー家を憎むのですか?」
「それは、セーラ・シトリーはリアス・グレモリーを愛する者に、殺されたからよ」
魔王リアスさんが答えた。その目は、悲しみに満ちていた。彼女が一番、グレモリー家の理不尽さを知っているからか。
「リアス…どうして、ここに?」
「私はリアスであって、リアスでは無い。私は父に殺された経験のあるリアス・グレモリー。グレモリー家の矛盾を知っているし、殺される苦しさも知っている」
セーラが魔王リアスさんに泣きすがった。
「ヴェネラナよ!ここにはイレギュラーな者達がいる。お前が保護をしろ!」
ルシファーさんが言い放つと、ヴェネラナさんは、強制転移され、この場から消えた。
---ヴェネラナ・グレモリー---
信じられない者達を見て、信じられないことを聞いてしまった。つまりは、グレモリー家の招いた種なのか?身内には深い愛情を注ぐことを心情とするグレモリー家。しかし、それ以外の家系の者達には、強気であり、上から目線である。
サーゼクスがルシファーの姓を授かった時、ルシファー姓の残党を粛清した。サーゼクス以外が名乗れないように。それはサーゼクスへの愛の証であり、ルシファー家の事を顧みない行いであった。
イレギュラーな者達…この冥界にいれば、いずれ粛清される運命の者達なのであろう。一誠君も含めて…兵藤誠殿、一香殿は憧れであるが、その息子は脅威な存在に過ぎないのだから…悪魔は罪深い生き物である。どうすれば、罪を購えるのだろうか?
「母上…」
リアスが入って来た。
「どうしたの?」
「イッセーを捕まえないで…殺さないで」
私に泣きすがる娘。この子も、あの引き込まれるような瞳に、引き込まれたのね。私がそうであったように。
「彼は…シトリー家の客人よ。グレモリー家として、手は出せないわ」
そう思っていた。だけど…
---イッセー---
シトリー家の屋敷を取り囲む悪魔達。リーダーはグレモリー卿のようだ。
「イッセーなる者、セーラなる者と、ルシファーを名乗る者を出して貰おうか、シトリー卿よ!」
「我が家の客人を、差し出せと申すのか?」
「彼らは危険だ。粛清すべきだよ」
「「粛清すべし!」」
この世界の兵藤家は粛清されたのだろう。ルシファー家も。そして、正体不明である者も、その対象のようである。
「もう粛清をするなどと、時代遅れなことをするでは無い」
シトリー卿が説得をしてくれているが、強硬な態度である粛清派の悪魔達。
「ルシファーを名乗れる者は、魔王だけである。あんな偽りのルシファーは粛清すべきだ!」
「「そうだ!粛清すべし!!」」
どうするよ。これ…
「天使と姦通した悪魔も粛清すべきだ」
「セラフォルーを粛清すべし!」
なんか、粛清の範囲が広がっている。
「その娘達も悪魔では無い。粛清すべきだ」
「シトリー家は粛清すべし!」
急に空気の質が変異した。鬼が降臨したようだ。非常事態って事だな。
「粛清すべきは、何かに憑依されているグレモリー卿じゃ無いのか?」
憑依されている?
「貴様!何ヤツだ!」
「「粛清すべし!!」」
鬼に攻撃をし始めた悪魔の皆さん。
「しょうがねぇ~なぁ。『身体停止』」
苦しみ出す悪魔の皆さん。激痛が10秒ごとに倍化する術である。この術では、死ぬ事は無いそうだ。死んでお終いにはしない鬼の責めであった。
「姿を現せ!憑依したる者よ!『真実の鏡』」
グレモリー卿から何かが、飛び出して来た。あれは、魔物のようだ。グレモリー卿はその場に倒れた。魔物は逃げようとするが、闇の沼に沈んでいった。
「あれは?」
シトリー卿が鬼に跪いて訊いた。この世界のシトリー家は、名の無き神を信奉していた。
「悪魔に憑依する魔なる者だよ。魔が差すと憑かれるようだ。サーゼクスかわいしで、魔が差したのだろう」
「残りの者達は?」
「便乗しただけで、取り憑かれてはいない。シトリー家の後釜狙いだろうな」
「助かりました」
「イッセー達を頼んでいるんだ。これくらい、何でもないよ。じゃ、また来るよ」
鬼は帰って行った。って、後始末はどうするんだ?
---アジュカ---
グレモリー家がシトリー家を粛清しようとしたらしい。だが、未遂で終わったそうだ。シトリー家には、異世界から来た者達を客人として、扱っているからだ。彼らが動いたようだ。
「サーゼクスよ、いつだって、問題を起こすのは、グレモリー家では無いか」
ファルビウムがサーゼクスを睨んでいる。
「ファルビー、もっと言ってよ!私も粛清対象にされたのよ!」
セラフォルーは偽りの魔王として、粛清対象らしい。まぁ、ミカエルと姦通して、子供がいるからなぁ。
「ルシファーはサーゼクスだけいれば良いって、グレモリー家はルシファー家の残党を粛清したそうじゃ無いか。なんで、黙っていたんだ?」
これを旧魔王派が知れば、大問題である。
「魔王としての俺には関係無い。俺はグレモリー家を出て、ルシファーの名を継いだんだ」
「ルシファーさんも、粛清対象なの?」
魔王では無い者の声だ。あの少年が、魔王以外は立ち入れない魔王の間にいた。
「初代ルシファーは、先の大戦で死んだんだ。粛清のしようが無い」
「それは、私が生きていたら、粛清するのか?」
え…固まる俺達…この声は…ルシファー様の声である。
「サーゼクスよ、どうなんだ?お前、ルシファー家にケンカを売るってことだな?」
「亡霊ですか?消えて下さいよ…うっ!」
ルシファー様に滅びの拳を撃ち込んだサーゼクスだったが、逆に右腕を滅せられた。
「偽りの魔王は、お前だろ」
魔王リアス…滅なる力を剣として具現化していた。あのイッセーという者は、聖剣を手にしていた。あの聖剣は…危険だ…身体が焼け付くように痛い。刃面から、高濃度の聖オーラが浸み出ている。鞘から抜いただけで、悪魔に対してダメージが入るようだ。
「売られたケンカは、全量買い取りが、ヨハネ家の方針でね」
セーラというシトリー家の者が、そう宣言した。ヨハネ家だと…
「セーラちゃん」
セラフォルーがセーラの横に立った。
「全面戦争でも構いませんよ。何度も、お父様を呼び出す世界なんか、滅んだ方がいいし」
全面戦争…ヨハネ家とか…
「ヨハネ家だと?知らないなぁ、そんな家系は」
サーゼクスがセーラと対峙した。
「そう…じゃ、死んでから後悔しなさいよ、悪魔風情共よ!」
空気が鳴動している。何が起きたんだ?空を見上げると浮遊城が現れた。あれは伝説の城、きゃっする・ドランか…まさか…コイツらの正体って…
「サーゼクス!謝るんだ!早く!!」
あの城は、星の終末期に現れると伝承にある。それは、この星自体を破壊する戦力を有する軍団を抱える王の城であると、言われている。
「こんな偽物に、謝れと言うのか?」
「コイツら…ファントムドラグーンだ…」
いかなる敵にも怯まない軍団…ファントムドラグーン。懇意にしている最高神のシヴァによれば、入団資格は最低限魔王を一人で屠れる戦闘力だという。そんな戦士が100名以上在籍しているそうだ。上位の戦士ともなると、単身で星にいる生物を殲滅出来るらしい。
「うっ!なんだとぉぉぉぉ~!」
ファルビーには通じた。だが、サーゼクスは知らないようだ。アイツらの脅威を…
「サーゼクス、早く謝れ!グレモリー家のせいで、この世界を無くすつもりか?」
俺達の危機感はサーゼクスには届かないようだ。
「チェックメイト!次にアクションをした時、この星は消えるわよ」
セーラが宣言をした。彼女の眷属達は、微動だにしない。こうなることを予見したのだろう。来たる未来のビジョンが見えるヨハネ家の者達なら可能である。
「おい!どういうことだ!」
アザゼルが転移してきた。堕天使領からも浮遊城が見えたのだろう。
「お前ら…セーラをキラしたのか?バカか!」
アザゼルは、彼らの正体を知っていたようだ。そうなると、ミカエルとセラフォルーもか…
「謝罪をする。ファントムドラグーンの団長とお目通しを願いたい」
俺はセーラに声を掛けた。
「私が代わりに、話を訊きます。この案件の責任者は、私ですから」
セーラが一歩前に出た。コイツ…否定しないのか…、鬼畜と呼ばれている騎士団ってことを…
「サーゼクスを魔王から悪魔王へ格下げする。それでどうだ?」
ファルビーが停戦条件を挙げた。
「俺を格下げだと!」
「簡単に片腕を滅せられたんだぞ。お前の勝てる相手では無い。謝罪をしろ、サーゼクスよ!」
ファルビーがサーゼクスに言い放った。
「戦いたいなら、戦えばいいわ。こっちは売られたケンカに、全員ウズウズしているんだから」
次のアクションで冥界は終わる。その位の火力はあるだろう。冷静そうに見えるコイツらはバトルジャンキーのようだ。まずは俺達を瞬殺か…
「どうすれば、停戦に応じて、くれるんだ?」
俺が彼らの停戦条件を訊いた。
「ルシファー家、ヨハネ家、兵藤家、シトリー家を粛清対象から外しなさい。簡単なことでしょ?」
兵藤家?では、イッセー・ヨハネは兵藤一誠君なのか…責任者であるセーラがヨハネ家ってことか?