03/15 誤字を修正
---イッセー---
セーラさんのダメージは大きかった。滅の力で斬られるってことは、斬られた部分がロストすることであるから。一度殺されている為、生に固執する力が弱いらしい。そんなセーラさんをリアスが世話をしていた。
「ごめんなさい。私の母の為に…」
「リアスのせいじゃ無いわよ。父様が来てくれれば、治るわよ」
斬られた部分の血管がロストし、斬られた部分より先の組織は壊死していた。
「セーラ、斬るよ」
「莉愛、お願い…」
壊死した箇所を莉愛さんが、ロストさせていく。それに伴い、セーラさんの纏うオーラは弱々しくなっていく。
「大丈夫?」
リアスが、心配そうにセーラを見つめている。ロスト部分は回復術だけでは治らない。修復術、創造術が必要になるのだ。
「大丈夫よ。リアス、あなたは、アナタらしく生きなさい。私の分もねぇ」
「そんなことを言わないでください」
セーラさんの手を握るリアス。俺達は見ているだけだ。セーラさんを救える者は、ここにいない。僕達のチーム以外、違う案件に向かったそうだ。なので、援軍が来るのに時間が掛かるらしい。
「はぁ~、なんか疲れた。少し眠るわ」
セーラさんが寝息を…苦しそうな寝息だ。意識が混濁しているようだ。どうする。
「セラフォルーさん、セーラを氷漬けにしてください」
莉愛さんが、涙を堪えて願い出た。これ以上苦しまないように、氷で封印して貰うのだろう。
「いいんだけど、問題は低体温で彼女の体力が保つかな…そこが心配だよ」
莉愛さんも分かっているのだろう。だから、涙を堪えて…いや、もう涙が決壊したように溢れ出ている。
『リアス…セーラと共に、氷に封印されてくれるかな?』
ガイラさんの声だ。
「あっ!そうですね。私の回復術で、低体温での体力の低下を抑えれば良いんですよね。やらせてください、ガイラさん」
そして、セーラさんとリアスは抱き合うようにして、封印された。団長が来てくれるまで…
---アジュカ---
セラフォルーから報告があった。セーラとリアスを氷の封印で閉じ込めたと。セーラの症状が良く無いらしい。延命処置で、回復術の使えるリアスを一緒に封印したそうだ。
「そんなに悪いのか?」
「うん…一度、殺されているから…死を受け入れ易いらしいの」
並行世界において、リアスを溺愛する兵藤一誠に、首を折られて殺された少女。
「生きて欲しい。グレモリー家に2度も殺されてはダメだよ」
グレモリー家は終わっただろうな。ヴェネラナは捕縛してある。シトリー邸の敷地内で、シトリー家の客人に重傷を負わせた罪でだ。グレモリー卿は、リアスを死に追いやった自覚は無いし、サーゼクスは愚か過ぎる選択をした。
「アジュカ、どうするんだ?」
「兵藤夫妻の暗殺犯の件か?公表は出来ない。メイビス様が絡んでいるんだ、冥界の判断だけでは無理だ」
問題が山積みだな。どうするかだ。
---ヴェネラナ・グレモリー----
この私が牢にいれられている。大王家であるバアル家の娘なのに…
「叔母様…どうして、シトリー邸の敷地内で、シトリー家の客人を斬ったのですか?」
甥のサイラオーグが面会に来てくれた。
「リアスを返してくれないから…私からリアスを奪ったのよ」
「聞き捨てなりませんね。リアスは誘拐されたのですか?」
「誘拐とは違う…総ては、サーゼクスの凶行が引き金なの。私は大罪の悪魔に成り下がった。でも、リアスだけでも返して欲しい」
「誘拐でなく、奪ったとは?まさか、命を奪われたのですか?」
「似て非なる物だけど、命は奪われたのは確かよ」
「わかりました。俺がソイツらの首を献上しますよ」
サイラオーグが頷き、出て行った。だけど…
ガッシャーン!
何の前触れも無く、金属の打撃音がした。目の前に、鎧がボロボロになったサイラオーグが転がっていた。
「この世界のバアル家もクソなのか?!」
サイラオーグの首根っこを掴み、勢い良く壁に投げ捨てた男。
ガッシャーン!
サイラオーグの意識は無いようだ。顔面が潰れている。その顔が有った場所を勢い良く踏み込んだ男。サイラオーグはまったく動かない。
「お前が、吹き込んだのか?」
男と目が合った。どこまでも続く闇のような瞳、吸い込まれるような感覚。全身が疼き始めた。これは何?
ごく自然に自らを慰める。その結果、気持ちが晴れやかになっていく。
「おい!お前達が殺したのに、セーラ達が殺したと思わせるとは、罪が深いよな」
身体の中で何かが蠢く。恐怖で身体が興奮していく。
「死なせない。冥府も天府も、お前の魂は出入り禁止だ。そうだ、お前に不死の呪いを掛けてやろうか?醜くなっていく身体を見つめて生きろよ!」
男が消えた。その代わり、私は牢から出て、サイラオーグの身体を愛し始めた。
---アジュカ---
牢屋は酷い状況であった。壁が何か所も壊れている。閉じ込めていた罪人達は、一人を除いて、消えていた。牢の柵は総て外され、そのうちの4本は、サイラオーグの四肢を壁につなぎ止めていた。その瀕死のサイラオーグとヴェネラナが交わっていた。この女が、総てしたのか?遠巻きで取り囲む。何をされるか、分からないからだ。
「何をしている。サイラオーグが瀕死なんだろ。早く助けなさい」
大王バアル様がみえた。固まる俺達をかき分け、惨劇の現場を目にした。
「何…ヴェネラナ…お前が、サイラオーグを…」
大王バアル様も固まった。だが、直ぐに正気に戻られ、
「アジュカよ。状況はわかった。ヴェネラナは私が捕縛する。息子を頼む…」
「わかりました」
二人を引き離そうとする大王バアル様に、襲い掛かり抵抗するヴェネラナ。滅の力で、バアル様の身体を斬り刻もうとするが、どうにか取り押さえたようだ。
「おい!救出しろ。手早くだ。ヒーラー要員は止血をしろ!」
指示を出していく。柵を抜いた時に大量出血が予想されるからだ。
---ファルビウム---
シトリー邸を訪れた。客人達に会う為だ。
「何のようだ?」
現れた男からは、畏怖なるオーラを感じる。名の無き神かぁ…いよいよ、ラスボスが登場か。
「サイラオーグの件、あれは、お前がやったのか?」
「だとしたら?」
ここは冷静に行かないと…
「あそこまで、痛め付けることは無いだろ?」
「お前は、アイツが何をしようとしたか、知っていて、言っているのか?」
空気の質が変質していく。重い…その上、痛い…何をしたんだ?
「僕の娘を殺しに行こうとしたんだぞ。許せる訳無いだろ?」
「理由も無くか?」
「いや、理由はあった。だが、ヴェネラナの嘘の情報に基づいた理由だ。許せると思うか?」
何?嘘の情報だと…
「リアスが目の前で自殺したなんて、甥に言える訳無いよな。だけど、僕の娘に、リアス殺しの罪を被せるのは、お門違いだと思わないか?」
あのセーラって娘が、リアスを殺したと言ったのか…
「娘は、ヴェネラナに受けた傷が原因で、危篤状態だった。そんな娘を殺しに行こうとしたんだぞ!お前は許せるのか?!」
許せないだろうな…いくら、俺が悪魔だとしても…
「アイツはグレモリー家のせいで、1度殺されているんだよ。首根っこを押さえられて、首をへし折られたんだ。苦しかっただろうな。なぁ、悪魔はどうして、こんな惨いことを平気で出来るんだ?」
「いや、俺には出来無い…そんな惨いことは…」
「師匠!ダメ…止めて下さい!」
男に抱きつくリアス…男の動きが止まった。
「出て行ってください…もう、師匠に苦痛を与えないで!」
リアスが滅の力を暴走させていく。この男を止める気か?
「ファルビーよ。こんな弱々しい少女が、必死になっているのに、お前は見ているだけなのか?」
滅びの力を真面に受けても、平然としている男…コイツ、マズいレベルだ。逃げよう。だが、転移は出来なかった。
「逃げるのか?逃がす訳無いだろう?なぁ、戦おうぜ!殺し合おうぜ!」
殺される…
---イッセー---
団長を大人しくさせた。皆ヘロヘロである。異世界魔王2名がボコられていた。戦っても勝て無いと思った魔王リアスさんは、どこかへ連絡をしていたのだ。
そして、俺とヴァーリで団長と対峙するも惨敗だ…ガイアさんとドラゴニール、鳴神さんの3名でどうにか、クールダウンさせる事に成功はしたが、溜まる物が溜まり過ぎて、違う意味で危険な状態に…ヴァーリの顔からは血の気が失せている。団長の視線がロックオンしているようだ。
そこにやっと援軍がやって来た。ヒナタさんとミトさんだ。二人の尽力で溜まった物を出し尽くして貰い、現在眠りに着いている。
「父様がキレたのねぇ」
修復、創造、回復されたセーラさんが、団長の手を握り絞めている。
「師匠…」
リアスは団長を見つめている。団長は、必死に攻撃をするリアスを、傷つけない様にしていたそうだ。
「これは当分、起き無いかな?」
ヘロヘロなミトさん。屍姦と蘇生を何度もされて、全身が筋肉痛らしい。
「ラスボスは、団長かな」
溜息を吐くヒナタさん。団長を倒すには、好みのタフな女性が必要のようだ。
『父様は、セーラだけで無く、みんなが同じ状況でもキレますよ』
ガイラさんの声だ。ヴァーリは既に眠っている。
『セーラ、ヘマは2度としないでね』
「はい…」
セーラさんは凹んでいた。滅の力を甘く見ていたようだ。
『あと、リアス…ありがとう。あなたの行為で、父様は冷静でいられた』
「いえ…私の方こそ、すみません。母が取り返しのつかないことをして…」
『そんなこと無いわ。取り返しはついて、セーラはここにいるわよ。ヴァーリがへたばったのは計算外だったけど』
ヴァーリは依然スタミナ不足のようだ。
『シア…イッセーを頼みます』
「はい…期待に沿えるよう、がんばります」
こうして、冥界に波乱をもたらした連休は終わった。
◇
そして、学校…連休疲れが…くぅ~眠い…
「転入生です。名前は、代羽リアスさんです。皆さん、仲良くしてくださいね」
転入生がいるのか…代羽って言わなかったか?
「イッセー君、よろしくね」
あっ!あれ?リアス…なんで?
『冥界のリアスは死んだと認定されているの。彼女、転生天使よ。忘れたの!』
セーラさんから怒りの念話。あぁ、そうだった。
そして、休み時間…
「う~ん、疲れが取れないよねぇ」
シアとリアスが魔術書を見ながら、検討をしている。連休疲れを取る術を探しているようだ。俺はまだいい。ヴァーリがダメだった。セーラさんも本調子では無い。
「たぶん、イッセーの…癒やしの力で…」
俺の力?あったけ?疲れた脳細胞は、上手く機能しない。
そして、放課後…
「部室に行くよ。オカルト研究部の部長に、私がなったから」
って、セーラさん。理事長はセラフォルーさんになった模様だ。
部室に向かう。オドオドするリアスをセーラさんが、抱き締めている。
「大丈夫。リアスも私がフォローするからね」
「はい…ありがとうございます」
そして、部室へ…
リアスに戸惑う、元リアスの眷属達。朱乃さん、小猫ちゃん、祐斗君。
「リアス…なのよね…」
「はい…」
朱乃さんの問い掛けに、小さな声で反応するリアス。
「問題は、眷属問題よね。現状のリアスは、イッセーの駒を入れた転生天使なの」
「じゃ、僕達もイッセー君の駒を受け入れれば良いのですか?」
セーラさんの言葉を受けて、祐斗君が質問をした。
「まぁ、取り敢えずは入れ替えないとね。イッセー入れ替えて。兵士の予備の駒も使っていいから」
セーラさんの指示で駒を入れていく。三人から、リアスの駒が抜けて行く。
「問題は、レーティングゲームには、出られないってことかな?悪魔のゲームに転生天使はまず出られない。現状ではねぇ」
いや、たぶん、シアもアウトだろう。俺とヴァーリですら危ないし。
「考えようによっては、出られる者だけで、チームを作るかだねぇ」
その場合、『王』はセーラさんになる。シトリー家の血を持ち、オーラが正常値であるからだ。俺ではオーラが異質であるし。
「でも、セーラじゃ戦え無いよね?」
って、リアス。問題はそこである。セーラさんを護れる眷属がいないと苦しい戦いが予想される。かと言って、セーラさんのチームメンバーの異世界の魔王2体は入れられない。万が一、セーラさんがやられた場合、暴走確実だからだ。
「どうするかねぇ」
「シアを『王』にするのは?」
何と無く俺が呟いた。
「あぁ、それは有りかな。シア、駒セットを持っている?」
「持っていますが…」
「魔王の娘なら出禁には出来ないだろう。そこに眷属としてリアスを入れる。イッセーとヴァーリはアウトだと思うけどね」
「朱乃はどう思う?」
「えぇ、シアなら問題無いと思います」
「じゃ、リアスは『僧侶』で、後は同じポジションでいいかな。鳴神先生は『兵士』でお願いします」
「わかった」
回復役が2名要るがバランスは取れていると思う。
「セーラは『戦車』で入ってくれ。作戦参謀として、いて欲しい」
と、鳴神さんの要望。
「私、足手まといになりますよ。戦え無いし」
「大丈夫。みんなでフォローしますわ」
って、朱乃さん。
「えぇ、護り切りますよ」
って、祐斗君。
「にゃ~」
小猫ちゃんがセーラさんに抱きついて居る。眷属問題は解決か?