逢いたい…あの人に…もう一度だけ…
私の願いが届き、光の糸が垂れてきた。これを上れば、あの人が…喜びを抑えながら、上っていくと…一人の少年がいた。
「パンドラ様ですね。僕に力を与えてください。この世界を統べる力を…」
私はパンドラの筺に封印されていたようだ。筺を見ると、それはパンドラの筺では無く、この星の礎のようだ。それを開いたと言うことは、この星の滅亡へのカウントダウンが始まったと言うことか。脳裏にある考えが浮かぶ、危機的な状況になれば、あの人がきっと現れるはずだ。そこに希望を見いだした私…
---シュウ---
イッセー達からの定時連絡が無いらしい。姉ちゃんから、案件先に連絡が入った。何か起きたのか?順調に年輪を刻んでいたはずだが…姉ちゃんの元へ転移した。
「アカシックレコード上、何の問題も見えないのよ」
僕も記録を調べて見た。いや、問題が見えないのでは無い。これは問題を見えなくされているようだ。
「このノードから先に枝が無いのは変だろ?」
どんな局面でもifはある。枝はifの数だけ生えるのだ。だけど、枝が無いのは、選択の余地がない局面になっているってことである。
「あっ!本当だ」
「姉ちゃん、また爆睡していたんじゃ?」
僕の姉ちゃんは、大事な局面な時に、爆睡していることが多い。
「いや、それは…」
目が泳いでいる。確定だよ。このノードで、何かが起きたのだろう。ノードは選択肢のある場合に発生する。たぶん、選択の余地のない事態は、このノードの時点で起きたようだ。
「ちょっと、行ってくる。支援を頼む」
「わかったわ。亘が帰還するまで寝ないよ。本当だよ」
いや、きっと、大事な局面で爆睡するはずだ。だって、姉ちゃんだもの。
◇
問題のノードに転移した。そこは、一見何も問題の無い世界が広がっていた。イッセー達の家へ向かう。だけど、全員出払っていた。どこへいったんだ?少なくても莉愛とセーラ、後リアスが留守番しているはずだが。
書き置きやメモもすら無い。なんの前兆も無く、何かに巻き込まれたようだ。ソーナの家に向かったが、彼女達も留守であった。みんなで出かけた先で、何かがあったのか?この世界の聖域へ転移した。セラフォルーとミカエルに話を聞くためである。が…ここも留守だと?何かがおかしい。何がだ?
こういうときは、アザゼルだな。アザゼルのマンションへ転移した。だけど…アザゼルもいない。はて?何か起きたのか?空気に同化して、冥界へ転移した。
◇
冥界は、新しい魔王の誕生にお祭りムードになっていた。新しい魔王?誰がなったんだ?
「さすがは魔王ミリキャス様の娘様だ。魔王にふさわしいな」
「あぁ、まったくだ」
街で得た情報。ミリキャスの娘?あれから、随分と時が経ったのか。その間、イッセーは何も連絡をしていないってこと…これは何かあったのは確実である。その娘はミリキャストと誰の子供だ?気になり、魔王の間へ転移した。
魔王の間では、ミリキャス、サーゼクスの他、知らない女性が二人いた。ミリキャスの妻と娘か?って、グレモリー家で魔王を独占しているのか?
「ナツ、魔王就任おめでとう」
「ありがとうございます、祖父様」
「冥界はグレモリー帝国として、この星を統べることになる」
「えぇ、お父様。人間は地上界という牧場で飼われ、我々悪魔の血肉になるのです」
「ミリキャスは頭が良くて助かる。適度な間引きであれば、人間共は平和を満喫し、人口も安定するしなぁ」
「いえ、総てはメイビスのおかげですよ」
メイビス?メイビスだと…僕の知っているメイビスと顔が違う。どういうことだ?
「ミリキャスが私を救ってくれた。その恩返しですよ」
メイビスと呼ばれた女が微笑んだ。こいつ…その女の記憶を読んだ俺は、驚愕した。あの時、息絶えたメイビスのようだ。自殺行為故、僕が助けられなかったメイビスが、今ここにいた。
そうか、神であったメイビスであれば、アカシックレコードの改ざんは出来る。でも、なんで、メイビスがここにいるんだ?少し探って見るか。他にも自殺行為をしたヤツが蘇っているかもしれないしなぁ。
◇
冥界でイッセー達のオーラを探す。捕らわれているかもしれないからだ。うん?ヴァーリ、セーラ、リアスのオーラを感じとれた。その場所へと向かった。そこは、大奥のような場所であった。ヴァーリ達は全裸で、飼われていた。そして、ミリキャス、サーゼクスの肉便器にされている。
「どうした。もっと歌えよ。ほら、リーア」
サーゼクスに責められて、あえぎ声をあげるリアス。これって、近親相姦では無いのか?ミリキャスはヴァーリとセーラに奉仕をさせていた。他の飼育部屋も見て回ると、ソーナ、シア、セラフォルーなど、知り合いが全裸で飼われていた。エサに媚薬と麻薬を混ぜて与えているようだ。ミリキャスって、こんなくそ野郎だっけ?
『お父様…』
ガイラの声…
『ナザリックへ向かってください』
地下墳墓?この世界にもあるのか。僕はガイラに言われた通り、ナザリック地下大墳墓へと向かった。この世界のナザリックは、堕天使領にあった。堕天使達を顎で使う不死者達。いや、この堕天使達も不死者のようだ。アザゼルはいないのか?墳墓の中に足を踏み入れた。
『団長…』
ドラゴニールの声…声の聞こえた方へと歩みを進めていく。辿り着いたのはモルグであった。人骨が山のように積み上がっている。イッセー達はやられたのか。
『何が遭ったんだ?』
『ミリキャスに食事会に招かれ、男性陣にはサマエルの毒、女性陣にはデーモンダストが食事に混入されていて…』
転生ドラゴンであるイッセー達には即死性の毒で、女性達には女神でさえも肉便器にできる強烈な媚薬か。メイビスの知識だな。
怒りの炎が僕の中で芽生え、僕の中で何かはずれた。その瞬間、空気が一瞬揺らいだ。
「シュウ…同化吸収したぞ」
背後からアインズの声がした。
「全員の記憶を訊き取れ。何が起きたのかを至急に把握しろ」
「分かった」
アインズがモルグを出て行った。
「兄さん、全軍にスクランブルを掛けたよ」
ヤマトの声がした。
「イッセー達を蘇らせる。このモルグを隔離して、浄化だ」
「了解」
---ナツ・グレモリー---
この星に於いて、私達に刃向かえる勢力はもういない。お母様が呼び出した下僕達の戦力を前にして、最早誰も逆らうことは出来無い。全長1キロある最恐なるドラゴン、天使属性を持つ悪魔、そして2匹の邪龍だ。その上、私は悪魔と神のハーフである。向かうところ敵無しである。
「これで、鬼畜な騎士団に対抗しうる軍備は整ったわ」
彼らの駐留部隊は滅ぼした。団長の娘は、お父様の肉便器である。いわゆる人質だわ。手は出せまい。
「相手は鬼畜よ。人質なんて、意味は無いわよ」
と、お母様。あの鬼畜に殺された女神である。それをお父様が蘇生の儀で、蘇らせたのだ。二人は同じ目的の為に、結ばれ、私が生まれたのだ。そう、私はこの星を救う救世主になる運命なのだ。
「きっと倒してみせます。私は救世主なんですから」
「そうね。きっとなれるわよ」
お母様も期待されている。期待に沿う。そして、この星を平和な星にしてみせる。
---シュウ----
あのメイビスが蘇ったということは、この星のメイビスは同化吸収されたのだろう。僕は星の礎を封印している場所へ急いだ。星の礎は、この星を作るにあたり、リセット前の皆の心を収めたカプセルのような物である。この星のカーネル部分に置いて有るのだが、地殻変動により、割と浅目の場所に、蓋を開放した状態で見つけた。誰かが、この星に引導を渡したようだ。思いが消えた星は、生きる力を失っていく。それは、星の寿命が近いということである。せっかく、ここまで育てたのに…なんてことをしてくれたんだ。
筺の中を確認する。ルシファーを納めたはずなのだが、どこにも見当たらない。そうか…メイビスの身体はルシファーの物か。だから、顔が別人になっていたのか。
『メイビスを助けあげて、シュウ…』
ルシファーの声がした。
「この星はもうダメだな」
「ごめんなさい。守れなかったわ」
ルシファーの魂を回収した。また、ゼロからやり直しのようだな。いや、まてよ…僕はある物を筺の中に入れ、蓋を閉めた。これで、星の寿命は元通りになるはずだ。
『それを入れちゃうの?』
ガイラが呆れている。また、ゼロから始めれば良いんだ。メイビスとの思い出よ、さらば…
『怒られるよ~』
ガイラが気にしてくれている。だけど…あのメイビスは、あの時のメイビスでは無い。あの時のメイビスが、こんなことはしない。僕のジャマなんかしなかった。
『だけど…何か理由があるのよ』
理由?星を護る事以外に、大切なことは無い。
『そうだけど…』
ガイラと会話中に、ナザリックのモルグに戻り、イッセー達を蘇生した。この世界の木場と匙もいた。
『お客さんが来たぞ』
アインズに呼ばれた。入り口付近へ転移すると、見覚えのある邪龍2匹がいた。こいつらも蘇生されたのか。そうなると、あいつらも、いそうだな。
「アインズ、中に入っていろ」
「わかった」
アインズがナザリック内の王の間に転移していった。僕は僕に掛かっているリミッターを解除した。そして、邪龍に触れていき、浄化し灰化させた。次はアレか?目の前にものすごくデカイドラゴンが現れた。セーラを殺してくれたドラゴンである。コイツも灰化させる。後は?聖属性の悪魔か?
---ナツ・グレモリー---
鬼畜野郎が現れた。ナザリックを簡単に占領し、私の戦力達を簡単にロストしていた。声が出ない。なんだ、コイツ…
「ナツ、あなたは、彼を怒らせた。どうするの?」
他人事のように言うお母様。
「お母様の力で、アイツを消し去ってください」
お母様は最強の女神である。あんなヤツなんかに負けない。
「もし、私がやられたら、ナツはどうするの?」
何を言っているんだ?お母様が負ける訳が無い。
「娘達は返してもらうぞ」
えっ?振り返ると、あの鬼畜がいた。無表情でお母様を見ている。
「シュウ…」
「お前なんか知らない。娘達に乱暴しやがって…許さないからな」
ズゴッ!
「うっ…」
お母様の顔が潰され、壁に叩きつけられた。お母様の顔から煙りが立ち昇っていた。
「どうした、くそ女神。そんな物か?僕の大切な思い出を汚した罪は重いぞ」
お母様の身体がみるみるボロボロになっていく。そして、やがてミンチ状態に…
「次は、お前だ!」
どこまでも暗く、冷たい視線。蛇に睨まれた蛙状態な私。
「はぁ?失禁するラスボスなんて見た事無いぞ」
股間が生暖かい…って、なんで私がラスボスなの?この鬼畜がラスボスのはず…
「どうした?まだ何もしていないのに、腰が抜けたのか?」
床に座り込んでいる。立ち上がれない。膝が笑っている。なんだ、この威圧感は?
「お父様とお祖父様が、お前を消してくれるわ」
強がりを言っておく。そして、遠視でお父様達の様子を見ると、二人共既に圧搾されていた。
「…」
悲鳴も涙も出ない。なに、コイツ…どんな殺され方されるんだ…
◇
ここは?魔王の居城にいたはずなのだが、知らない場所にいた。ここは…どこ?真っ暗で、何も見えない、何も聞こえない、何も感じ無い。やがて、なにやらヌメヌメする物が全身に絡み出した。足首に絡まり、開脚されていく。触手プレイなのか…お父様が肉便器達にされてきた拷問…私に火の粉が降りかかるのか。
股間に無数の吸盤が張り付いてきた。タコが相手なのか…何かが体内に侵入してきた。タコなのか?本当にそうなのか?
『時間はたっぷりあるぞ。醜態プレイを見せてみろよ。失禁魔王よ』
脳裏に響くアイツの声…醜態って…失禁魔王じゃない…
『失禁でなく脱糞なのか?それは見たく無いなぁ』
いや、私だって、したくない。って、ここはどこよ~!
『星の誕生を見守る衛星だよ。知的生命体が現れるまでの40億年、ヒマなんだよ。お前と遊びながら、時間を過ごすこにしたんだよ』
40億年も、醜態プレイをするのか。絶望的な境遇になりそうだ。って、待てよ。悪魔はそんなに長く生きられないはず。
『残念だが、お前は悪魔ではなく、転生ド変態にした』
ド変態って種族だっけ?はて?
---メイビス---
ミンチにされた後、再生してくれた。私も、ルシファーも、イッセー君もだ。でも、私と共に生きたイッセー君ではない。私と修羅の時を共にしたイッセー君では無い。
「お前、反省していないのか?」
ルシファーが詰め寄る。
「反省?するようなことはしていないわ」
「また、リセットさせておいて、よく言うわ」
彼は、この世界を何度もリセットしている。次こそはと、意気込みながら。しかし、最悪な結末からの脱却は、なされていないそうだ。
「お前の娘、ド変態すぎるぞ!」
ナツを気に入った彼。少しは恩返し出来たかな?
「恩返し?出来ていると思うのか?お前は仇で返したんだぞ!」
そうだっけ?記憶が曖昧である。そういうことにしておこう。
「いい加減で、ちゃらんぽらんで、娘にそっくりだな」
それを言うなら、娘が私にそっくりなんだと思う。
「ルシファー、このバカ女親子を頼めるか?」
「私でも、ダメだと思うぞ」
ルシファーが弱音を吐いている。なんせ、地獄から戻って来た女神だしなぁ。
---シュウ---
ナツは引き取ることにした。今回のメイビスの行為は許せるものでは無い。僕に逢いたいから、事件を起こしたらしい。グレモリー家を巻き込んで。ミリキャスが、封印を解いたのは予想外であるが、復活した後のメイビスの行為は、とても許容出来る物では無い。アカシックレコードを弄り、イッセーやセーラ達に苦痛を与え、聖域に侵攻するなど、罪は多々ある。
「お前に、罰を言いつける。同化吸収させる」
「受けます。で、どこの世界の私かな」
メイビスの姿が一瞬揺らぎ、そこにメイビスではなく、ラフタリアが現れた。
「シュウ様、何かご用ですか?」
「特に用は無い。星の成長を見守る仕事で、ヒマなんだよ」
身構えるラフタリア。見た目は20代前後であるが、中身は子供である彼女。背伸びをしすぎていたので、先日躾をした結果、夜の営みはまだ早いと理解してくれたのだった。
「抱き枕にはなりますが…責めないでください」
見た目は大人でも、アレの器官は子供の為、痛かったらしい。
「善処するよ」
メイビスの心と精神と魂を、ラフタリアに吸収させたのだ。これで、あのメイビスは、二度と転生も蘇生も召喚もされない。あんなメイビスは見たく無いのだ。
「あぁ、あそこに見えるド変態とは友達になってくれ」
タコと戯れるナツを指差した。ラフタリアのチームは今の処、キールとフィーロ程度しかいないし。
「あの子も背伸びしたのですか?」
「そういうことだ。ラフタリアもタコと遊ぶか?」
激しく首を横に振るラフタリア。
◇
セーラは当分、使い物にならない。リアスともども静養だな。イッセーとヴァーリは、息子と過ごさせるかな。気分転換は必要だと思う。次の周回では、どんな苦難が待ち受けるんだろうか、この星の世界は…
目の前に青々とした球体が浮かんでいる。次回は、土壇場で介入するかな。最初から介入がダメなのかもしれない。この星の魂達も反省をしているだろうし、最悪な結末から脱却するまで、リセットしまくる覚悟の僕。
今後は、ルシファーに最高神を任せて、定期観察をすることにした。
未完です(^^;
最期の事案がうまく再現出来無いorz