---イッセー---
修練所に通い始めて1ヶ月くらいしたある日、下宿にシュウさんがいらした。
「イッセーとヴァーリにプレゼントを持ってきた。やっと錬成できたんだ。イッセーには『真なる聖剣』エクスカリバーと魔法の鞘のセット、ヴァーリには『聖なる龍喰剣』草薙の剣だ。本物をコピーして錬成したから、本物に比べて威力、能力は多少落ちるけど、まぁ問題ない程度だ。剣の鍛錬なんだから、自前の剣がないとな。遅れて、ごめんね」
「「ありがとうございます」」
僕とヴァーリは深々と頭を下げた。
「か、軽い…」
「ヴァーリ、草薙の剣は、聖属性のドラゴンスレイヤーだ。対悪魔、対ドラゴンに絶大な威力を誇るけど、それ以外に対しても威力は抜群だ。それに妖刀の技法で刃先を錬成してあるので、折れないからガンガン行けよ」
「僕のは重い…」
「イッセーの方は、7本の聖剣エクスカリバーを、1本に錬成した本物のコピーだ。この世界では、唯一本物のエクスカリバーになる。鞘は必ず身に着けておけよ。物理攻撃を防いでくれるからな」
「はい」
「あと、エクスカリバーの7つの能力も付帯しているので、使えるようにしておけよ。特に、破壊・擬態・祝福は重要だぞ」
「はい」
「じゃ、がんばれよ。些細な事でも、異変があれば、ナヴィに報告を忘れるなよ」
シュウさんは、転移して去っていかれた。
僕達は、贈り物を早速持参して、修練所に向かった。
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「イッセー、その剣は…」
僕の得物を見て、ストラーダ先生とクリスタルディ先生が、驚いていた。
「今朝、シュウさんからプレゼントされた剣です。自前の剣で修練しないさいって」
「い、いや…そうじゃなくて…それってエクスカリバーだよな?」
「7本のエクスカリーを、1本に錬成したそうですよ」
「はぁ?それって、本物?」
「はい。シュウさんが、まがい物をくれる訳ないじゃないですか」
「では、教会とバチカンで保管してあるのは…」
「ニセモノなんでしょ」
「見せてくれ…いや、見せてください」
僕は、剣をクリスタルディ先生に手渡した。
「なんだ…重い…こんなの扱える自信がない」
ストラーダ先生も手に取り
「これが本物の重さなのか…あぁ、7本分の重さがあるのか。えっ、この鞘も本物か…文献で見た事のある魔法の鞘にそっくりだし…」
「剣と鞘はセットで本物だそうです」
「我々に寄付してくれないか?」
「そんなこと言うとシュウさんが来ますよ…って、来ましたよ」
先生達の後ろにシュウさんが転移してきた。
「寄付する訳ないだろ?苦労して手に入れたのを、なんでお前らに簡単に寄付をすると思うのだ?それとも、お前らは生徒の私物を、強引に奪う気か?」
シュウさんが得物を抜いて構えた。
「この世界のクリスタルディは、どの程度の腕なのか、少し打たしてもらうぞ。これでも元教会に戦士だからね」
「え…その剣?物凄く神々しいのと禍々しいが…」
「僕の愛用の刀だ。妖刀の村雨と村正だよ。ふふふ」
え…このオーラって…シュウさん、キレているよ、ナヴィさぁ~ん
「物凄く息苦しいのだが」
ストラーダ先生の呼吸が荒くなってきていた。
「それは、お前らの鍛錬が足りないのでは?高い地位に胡座をかいて、鍛錬せずにエラそうな事を言っていただけなのでは」
「く、クリスタルディ先生。禍々しい方の刃先は、触れただけで即死ですから、注意してください!」
一応、注意しておいた。妖刀村正…死神が宿る刀で、別名『魂喰刀』といい、刃先に触れた者の魂を喰らう刀だ。
「まさか、『魂喰刀』か?」
「クリスタルディ君、正解だ。ふふふ」
立っているのも辛くなってきたのか、しゃがみ込む先生達。
「なんだよ。イッセーの物を奪おうとした罪を裁く前に、終わりかな」
いや、奪おうとしていない…いたのか?シュウさんは心の内が読めるし。おい、先生達、それはアウトだよ。
先生達の大ピンチの場面に転移陣が発現して、そこから見た事のない女性の人が現れた。
「シュウさん、落ち着いてください」
「うん?なんで?ガブリエルがいるんだ?」
女性の頭の上に輪が浮かんでいる…天使様?
「そこにいるイッセー君が、救難信号を出したのよ。あなたがキレているって」
「うっ…確かにキレていたよ。だって、今朝、イッセーにプレゼントした物を、この二人は奪おうとしたんだぞ!普通、キレるだろ?」
苦笑い状態の天使のガブリエル様。
「そっ、そうかもしれませんが、ここは1つ穏便にお願いします」
また転移陣が発現して…この局面に出て来たら、ダメな人が現れた。
「どいつだ?戦士養成所の道場破りしたバカは?」
「バカ神王?」
「私はバカではない…えっ…」
神王のおじさんは、シュウさんと目が合うなり、顔色が悪くなっていった。
「おぉ、そうか。やっと娘達の養育費を払う気になったのか?」
「あぁ、神王様…シュウ様がキレる要因を増やさないでください」
ガブリエルさんが神王のおじさんにキレた。この局面を収拾つけられる人って、いるのかな?ヴァーリは震えて、僕の腕にしがみついていた。稽古の順番待ちをしていたイリナ、ゼノヴィア、リースは尻餅状態ですすり泣いている。腰が抜けたんだろうな。あの死を感じさせるオーラは慣れるまで、僕もあんな感じだったし。
「はぅ…あんなに払えないって…」
「そのせいで、娘達には働きながら勉学をさせているよ」
「なんて事を…」
「嫌なら、この場で、直ぐに払えよな!」
「いや、それは…」
「それに、僕の事を道場破りって言ったよな。おい、そこのバカ親王よ」
「いや、すまない…事態が…」
「お前ら、バカ兄弟が、この世界をダメにしているのかな?ふふふ」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
神様をビビらせて、謝罪させるって…シュウさんって、ラスボス向きなのか?
「おい、そこの盗人教師よ、どう落とし前をつけてくれるんだ?」
怒り心頭のシュウさんの横に転移陣が、また発現して、今度は知っている人が出て来た。
「はぁ…お兄様。みんなが固まっていて、迷惑なんですけど」
「えっ…白音…どうして、ここに?」
「ナヴィさんから連絡があって、お兄様がキレてしまって、誰にも止められないから、止めてきてって…迷宮都市から急いで帰ってきました」
「うっ…それは。ナヴィの良い判断だねぇ…ははは」
シュウさんの唯一の弱点、白音さん登場で、シュウさんがタジタジになっている。
「もう、いいでしょ?イッセー君以外、お兄様のオーラで心が折れているみたいだし。二度と逆らうマネしないと思います。仕事に戻ってください。お兄様は、イッセー君に過保護すぎますよ!もう少し、私をかまってくださいにゃん♪」
必殺の白音さんの笑顔…シュウさんのオーラが平常なレベルになっていった。そして、得物をしまった、シュウさん。
「じゃぁ、がんばれよ、イッセー、ヴァーリ。そこの神族の王、教師2名、二度とキレさすなよ?次は即死を覚悟しとけよ」
僕達への励ましと、キレた原因への脅し文句を残して、白音さんと転移していったシュウさん。
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シュウさんが帰っていかれた後、ガブリエルさんが、神王のおじさんと先生二人を正座させて、説教を延々としていた。
腰を抜かしたイリナ達に近寄ると
「イッセー君、来ないで…お願い…」
イリナが顔を真っ赤にして、僕が近づくのを制止させた。他の2名も、顔が赤い…なんでだ?
「三人とも恐怖で、失禁したみたい」
僕の耳元でヴァーリが声を殺して教えてくれた。恥ずかしくて顔が赤らめ、異性の僕に失禁姿を見られたくないみたいだ。
説教の終わったガブリエルさんが、僕に近づいてきた。
「イッセー君だけだね。あのオーラで心が折れないかったのは。ストラーダ達の行為は許してほしい。教会関係者が、あのような事を思うなんて恥ずかしいことだわ。あと神王様が迷惑をかけて、ごめんなさいね」
「あのぅ…ガブリエルさんは、天使なんですか?」
「天使(エンジェル)より少しエラい熾天使(セラフ)よ」
「教会関係で問題があったら、私かミカエルを呼び出してね。シュウ様だと問題が大きくなりすぎる場合があるからね」
苦笑いをされたガブリエル様。
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あの日以来、僕とヴァーリは、自分の剣以外は使わないようになった。剣の重さ、重心、柄の握り具合などが異なり、異なる剣では練習にならないから。
「そんなに違うかい?」
デュリオさんに僕の剣を貸した。
「重いなぁ…イッセーどんは軽く振っているように見えるけど、これは難しい剣だね」
次にヴァーリが剣を貸した。
「うっ…これは軽すぎるなぁ。なるほど、正しい太刀筋でないと空気抵抗でこんなに重くなるのか…普通の剣では、ここまでひどくないよ」
なるほど、正しく使えないと重い、要するに正しく太刀筋で素早く振れないのか。
---シュウ---
クイントから捜査報告があがってきた。グレモリー家は九鬼財閥と組んで、クローン研究まで手を出していたようだ。人工生命体とクローン技術が融合すると厄介だな。
九鬼の刺客、ヒュームの動きも気になる。ギンガに尾行を頼んだのだが、ヤツは今ヨーロッパにいるらしい。イッセーを狙っているのか?他に目的があるのだろうか?
ある疑念が頭の隅に、こびりついて離れない。リアス・グレモリーが実の兄殺害などの非道な行為に走れるのだろうか?いくら招魂しても魂は現れない。生きている証拠なんだけど…グレモリー家がクローン技術を持っているのであれば、あのリアスはクローンで中身は人工生命体の可能性もあるのだ。
クローン研究所の研究日誌を、調べてくれているジェイルから、報告が上がってきた。リアス・グレモリーでクローン体が製造されているようだ。同じくクローン体が製造されたサーゼクスは用済みで消されたが、リアスはまだだ。違いを考える…サーゼクスは男で、リアスは女だ。玩具にされている可能性があるな。
黒幕は男か?
ここまでの報告書を持って、アジュカさんを訪ねた。
「そうだね。ここまでの報告書を見る限り、リアス君も入れ替わっている可能性はあるなぁ」
報告書の束に目を落としているアジュカさん。
「冥界を牛耳れる立場でなくて、牛耳りたいと思っている男っていますか?」
「いるよ…」
一瞬アジュカの顔が歪んだように見えた。あぁ…
「ディオドラ・アスタロトですか?」
「はぁ…アイツの『兵士』はみんなシスターなんだ…本人の承諾なんか取れないはずなのになぁ」
「冥界に元シスターが大量にいるのは、おかしいでしょ?」
「そうなんだ。おかしい。カラクリはわかるかい?」
「僕の世界では、魔王の血筋という特権で、聖女、シスターを大量に密輸してました」
「そういうことか…調査してみるよ」
「僕もディオドラの屋敷を捜索してみます。でも、ディオドラが黒幕ってことはないなぁ」
「あいつが人間と組むとは思えない」
では、誰が黒幕なんだ?
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ディオドラの屋敷に忍び込み、見つけたシスターらしき女性の魂に侵入して、記憶を見て歩く。地下室があるみたいだ。程なくして、ディオドラを見つけたので、ヤツの魂に侵入して、行動を観察し始めた。
他の者の視線があるときは紳士だが、それがなくなると鬼畜に変貌する。あぁ、僕ほどの鬼畜ではないけど、それなりの仕打ちをシスター達にしていく。
シスター達にあきたのか、ようやく地下室に降りていってくれた。そこには檻がいくつもあり…いた。リアスは檻の1つに『大の字』状態で拘束されていた。
「よぉ、リアス。気分はどうだ。ザマぁないなぁ、魔王の妹も、今や俺の性の奴隷だし。ははは」
檻に入るディオドラ。檻に入った瞬間、ディオドラの身体を『身体停止』にして、ヤツの魂から抜け出た。
「助けに来たぞ。リアス・グレモリーよ」
「あなたは?」
「お前は本物か?」
「言っている意味がわからない」
「お前がサーゼクスを殺したのか?」
「お兄様に手をかけることはしないわ」
目の前のリアス・グレモリーの魂に宿る記憶を探る…産まれる瞬間の記憶が刻まれていた。そして、イッセーと出会った記憶はない。本物だな。拘束を外して、回復魔法をかけ、身体に刻まれた闇を浄化してあげる。
「さぁ、帰ろう。サーゼクスが待っている」
リアスが拘束されていた場所に、リアスがされていたようにディオドラを全裸で拘束して、1時間後に『身体停止』の術が解けるように設定をした。
そして、リアスと共にベースキャンプに戻った。