---イッセー---
ベースキャンプに呼び出されたので、戻ってみると…虚ろな表情の少女がいた。
「イッセー、1週間くらい、彼女の看病をしてあげてくれないか?」
シュウさんからの思いも寄らない指令が出た。
「僕がですか?同性のヴァーリの方が良くないですか?」
「癒やしのオーラはイッセーの方が上だよ。関係を持ってもいいからね」
ちょっと…それは…
「まだ、ダメかな。僕は別件があるので、ここにはたまにしか寄れないと思う。困ったことがあったら、フィアかナヴィにいってくれ」
僕は少女と二人っきりになった。この娘、どこかで見た覚えがある…どこだっけかな…以前はこんなに温和な表情じゃなかった気が…はて?
少女の手を僕の手で包み込む。そして、闇を払う祝詞(のりと)を唱えた。
「ねぇ、あなたは誰?」
一心不乱に祝詞を唱えていた僕の耳に、少女の声が聞こえた。祝詞を中断して、少女を見た。あっ、この娘は…
「僕はイッセー・ヨハネです」
「私を助けてくれた方の息子さん?」
息子というと語弊がある。なんて言えば…そうだ、
「弟子です。あなたのお名前は?」
「私はリアス・グレモリーです。ずっと、手を握ってくれていたんですね。暖かい気持ちが甦ってきました。ありがとう」
リアスさんの笑顔…かわいいなぁ。うん?では公園で駒を入れたリアスさんは誰?
「もしかして、サーゼクスお兄さんの妹さんですか?」
「兄を知っているんですか?」
「ちょっと待っていてね」
僕は部屋を出て、サーゼクスお兄さんを連れてきた。
「リーア…会いたかったよ」
「お兄様…」
二人は抱き合い泣いていた。この部屋に来る前に、お兄さんから事情を聞いた。僕が以前会ったリアスさんは、クローンらしい。ここにいる彼女には、僕が入れた駒が入っていなかったそうだ。
「なぁ、イッセー君。リアスの友達になってくれるかな?ここにいる間だけで良いから。君も忙しい身だから、贅沢は言わないからね」
「勿論オーケーです。お兄さんの妹さんが悪い人な訳がないですから」
---シュウ---
アジュカさん、ファルビウムさん、アザゼル、ミカエルさん、ガブリエルを集めて、ここまでに判明した情報を知らせた。
「サーゼクスとリアスがクローンだったのか?」
アザゼルですら驚いた事実。
「あぁ、僕も驚いたよ。本物二人は僕達のベースキャンプに匿っている。見つかると消される可能性が大だからね」
「そうなると、グレモリー家は人工生命体とクーロン体の生産技術を持っているってことかな?」
「そうなります、ミカエルさん」
「シュウ君の情報を元に、ディオドラは密輸していたことが判明して、今取り調べ中だ。ミカエルさん達に申し訳ない」
アジュカさんは凹んでいた。
「ディオドラがリアスを手に入れた経緯はどうなんですか?」
「密輸品に混じっていたらしい…誰かが混入させたようだ」
「そうなると、黒幕はリアスに、恨みを抱く人物の可能性がありますね」
「可能性はある」
「グレイフィアさんは本物ですか?」
「わからない。会えないんだ。グレモリー邸を捜査したいが、一応魔王輩出家なので、なかなか、手が入れられないのが現状だ」
「そうなると、アルマスさん、ヴェネラナさんも本物かどうかわからないってことですね」
「そうなるな」
「実際のところどうなんだ?シュウ、人工生命体は倒せるのか?」
アザゼルから質問が飛んできた。
「完全体になっていたら、難しいかも。相手が魂の宿る生命体なら、僕は無敵だけど、魂のない生命体らしいし、魔力攻撃、物理攻撃も効かない上、弱点が寿命の短さだけって、作戦が練れないです。有効と思える作戦は、ソイツだけ時間の経過速度を上げるくらいしか、思い浮かばないです」
「可能なのか?その作戦は?」
「僕と誠とイッセーの三人で行えば可能かな。あとトスカ辺りも必要かもしれないな」
「トスカって者の能力はなんだ?」
「結界を張る能力です。ソイツだけの空間を作らないと、時間系の攻撃はできないです。あぁ、あくまで1体って想定ですよ。複数体いたら、追従が難しいな」
「やはり、完全体が作られる前に、人工生命体の研究施設を破壊しないとダメだな」
「完全体のクローンなんか作られたら大変だよ。あと、九鬼家のことは何か、わかりましたか?」
「人外ではない。寿命も人間と同じです。ただ、金と政治力で世界を支配している感じはします」
ミカエルさんから報告がなされた。
「ヒュームの行動なんだけど、北欧の結界の張られている地域に行ったらしいよ」
「たぶん、バンパイヤの国だと思います」
「それって、バンパイヤとバンパイヤハンターが、手を結んだってことかな?」
「ミイラ取りがミイラですね。ヒュームという者は天界でも監視してみます」
この日の4勢力会議はお開きとなった。
---イッセー---
抱き枕として、リアスに気に入られたようだ。少しずつ動けるように、リハビリの手助けをする毎日。寝るときは、僕を抱き枕にして寝てしまう。つい、髪の毛に触ってしまったら、
「いいよ。イッセーだったら、何しても良いわ。その代わり、私専用の抱き枕だからね」
って…嬉しいやら、悲しいやら。
予定していた1週間が経った。僕は留学先に帰らないといけないのだが、
「私も一緒に行く!」
って。フィアに相談してもダメで、ナヴィさんにシュウさんを呼び出してもらった。
「あ?それは予想外だ。そうか仲良くなれたか。うんうん♪」
「で、どうします?リアスを護れませんよ。」
「ヴァーリと同じ転生天使にする。剣を一緒に習って来い。リアスもヴァーリも冥界では次期当主って地位だから、イッセーは二人のナイト(騎士)になってあげろよ」
「努力します」
「あちらには、ギンガとスバルを派遣している。なにかあれば、ナヴィが誰かしらを派遣するから、取り敢えず、留学を続けろ」
シュウさんが、リアスに詳しい話しをして了承を取り付けて、彼女を転生天使にした。
「リアスにはライトセーバーをプレゼントだ。魔力を注ぐと刃先が現れる。課題は滅びをの力を剣として具現化することだ。できるかな?」
「努力します。イッセーの隣で、戦えるようになりたいです」
「それは、心強いな。では、いってらっしゃい!」
僕らは、下宿にしている家に転移した。
「ただいま」
「「おかえりなさい、イッセー(様)」」
リアスを、ヴァーリとリーラさんに紹介した。
翌日、三人で鍛錬所に出向いた。イリナ達に転生天使としてのリアスを紹介した。ヴァーリとリースがリアスに基本姿勢、基本動作を教えてくれた。
僕は、今日も重いエクスカリバーが軽く感じるように、太刀筋を研究していく。デュリオさんも一緒になって考えてくれている。
「もしかして、使い方が違うのかな?7つの能力が詰まっているはずだから、それぞれをイメージして振らないと、たぶん能力ごとに太刀筋は違うはずだよ。擬態だと鞭のようにしなるけど、破壊だとガチガチに固いし」
デュリオさんから、目から鱗のアドバイスをもらった。そうだよね。刀身は1つだけど、能力が7つ入っている訳だから。書物庫から、エクスカリバー関連の古い書物を借りてきて読んでみる。
「イッセーどん、この文字が読めるのかい?」
え?読めないの…これって…神格文字だぁ…しまった、普通に読んでしまった。
「え?イッセー君、君は神格文字が読めるのか?」
ストラーダ先生も驚いている。
「うっ…シュウさんに叩き込まれていますので…読めないと、シュウさんの仕事を手伝えなくなるので…」
『シュウさん』という言葉で、ストラーダ先生は顔色が悪くなっていった。
「そうか…あの者は…そうだったな。気分が悪いので、これで失礼する」
「なにかあったのかい?」
あの時いなかったデュリオさんに、説明した。
「それはいないで良かったかも。神王様の心を折るって、君の保護者はすごいねぇ」
って、苦笑いしている。
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久しぶりの休日、リーラさんと食材のお買い物。リアスはヴァーリに会話を習っているので、僕達にはついてこなかった。
彩り鮮やかな野菜、果物が並ぶ市場。どんな料理を作ろうかとワクワクしていた。露天売りがほとんどで、日本でいう八百屋さんみたいな感じの店構えはない。
変わった野菜を少し買っては試食して、この国の味を模索していく。これはこれで楽しい作業だ。
買う物は買ったし、帰ろうと思ったとき、
「化け物、死ね」
って、声が聞こえた。声がした方へ、僕は向かった。マシンガンが発射される音がして、女の子が被弾していた。
「マシンガンの前では、さすがの化け物も形無しだな?苦しそうだな、今楽にしてやるよ」
マシンガンを構える男性数名。僕は女の子の前に立ちはだかった。
「そういうのって、良くないよ」
「お前は誰だ?そこをどかないと、お前も蜂の巣だぞ」
「どかない」
「なら、お前も死ね!」
エクスカリバーに手をかけたその時、目の前の男の人達が爆ぜた。いや、爆ぜたように見えた。
「私の弟にマシンガンって、酷いだろ?」
僕に向かってVサインをしているシルキーさんがいた。
「お前らも化け物の仲間か?」
「化け物で悪いか?」
ピストルを構えた男の人の腹に、光の矢が刺さった。
「休みの日だから、弟と妹に会いにきたら、そんなチンケな武器で何するんだ?」
ガイアさんだ。
「お前ら、覚えていろよ」
黒い車が数台、この場から走り去って行った。
「いや、今晩にはケリはつけるよ。よぉ、イッセー。また、ガールフレンド作ったのか?」
「いえ。知らない女性です。咄嗟に助けに出ちゃいました」
「そうか。良い行いだよ。アイツらは僕らにまかせてくれ。アリスが追尾しているから、アイツらの住処がわかったら、急襲するよ」
ガイアさん達は楽しそうに、この場を離れた。僕は助けに入った、女の子に声をかけた。
「大丈夫?…じゃないよね。被弾してたもんな」
被弾した箇所に手をかざして、弾丸を『強奪』して抜いていく。そして、彼女の気を操作して止血した。そして、傷口をヒール能力で治していく。
「凄い…弾丸で撃たれたのに、治っていく」
「ごめんね。もっと早くできれば良いんけど、ヒーラー要員でないので、この程度しかできないんだよ」
「これで充分だよ…私はエスデスだ。よろしくね」
「僕はイッセー・ヨハネです」
「さっきのはお兄さんとお姉さん?」
「そうです」
「凄い…人間を爆ぜさせるなんて…」
と、彼女を会話していると、警官が集まってきて、僕達を捕縛して警察につれて行かれた。状況を説明しても信じて貰えず。僕達を化け物呼ばわりしている。
「お前達を祓ってやる。最強のエクソシストを呼んだからな」
それって、まさか…
入室してきたのはデュリオさん。
「なんで、イッセーどんがいるんだ?」
「僕達を化け物扱いして、エクスカリバーを没収されちゃいました。シュウさんが知ったら、この国は消えますよ…」
真っ青な顔になったデュリオさんが、警察のお偉い人にかけあって、僕達の釈放とエクスカリバーの返還を頼んだ。が、僕達の釈放は認められて、エクスカリバーは、研究機関に寄付するようにいわれたそうだ。
事の重大性を判らせる為に、ストラーダ先生達も駆けつけてきてくれて、交渉してくれている。
「よぉ、イッセー。取り戻したよ。お前の愛剣を」
シュウさんがエクスカリバーを片手に持って、近寄ってきた。
「どうやって?」
「目には目をだ。強奪されたら、強奪仕返す。それだけだ。あと、マフィアの抗争に割って入るとは、イッセーよ。でかしたぞ。たんまりと慰謝料を貰ってきたからな。ふふふ」
「あなた達は、何者?」
エスデスが聞いてきた。
「僕は化け物で、イッセー達は大切な仲間だよ。お嬢さん」
「じゃ、私は化け物仲間かな?」
「君は、化け物ではない人間だよ。ただ、神器という超越した力を持っているだけだ。氷系統の力だろ?」
「そうです。なんでわかったの?」
エスデスは驚きの表情を顔に浮かべた。
「僕は魂を鑑定できる能力を持っている。それに化け物だとこういう事ができないと認定しないよ」
シュウさんは魔物の翼を展開した。
「え…翼があるんだ…化け物って…」
「そういうこと。だから、君は化け物ではない。人間として誇りを持って生きなさい」
彼女の頭を優しく撫でるシュウさん。エスデスから闇のオーラが消えていき、彼女の表情が明るくなっていった。
「ありがとうございます。また、会えるかな?」
「運命的な出会いであれば、また会えるよ」
エスデスは、帰って行った。
「さて、イッセー。僕はスタッフドビーフが食べたいのだが」
「え?牛肉を買っていないです。イベリコ豚ですけど…」
「そうなのか…じゃ、焼き豚で」
「醤油がないです…」
「持ってきたよ。あと、日本酒とゴマ油とタコ糸…」
シュウさんと共に帰宅すると、家の前にリーラさんとヴァーリとリアスが待っていてくれた。夕飯の支度しなきゃ…