---イッセー---
「厄介な敵だぞ。今回のはな」
シュウさんのリクエストで、イベリコ豚の叉焼丼と味噌汁で夕食をしながら、シュウさんから、現況をきいた。
「厄介って?」
「バンパイアだ」
「「吸血鬼?」」
ヴァーリとリアスが驚いている。
「対応策として、ギャスパーとヴァレリーをガードに付ける。この世界の者とは同化しているので、頼りになるかもな」
お二人と挨拶を交わした。僕とヴァーリは、既にアウロス学園で面識があった。お二人ともハーフバンパイアでデイウォーカー(太陽の下でも灰にならないバンパイア)であった。
「まぁ、バンパイア相手にはバンパイアが一番だ。僕もバンパイア案件が終わるまで、食客になるので、リクエスト出すから頼むよ、イッセー」
番犬代わりにと、ハティとスコルも連れて来てくれた。今度の案件はデカイ予感。ガイアさん達も来ているし、ギンガさん達もいるし。
「デカイって事はない。ただ、厄介なんだよ。バンパイアはねぇ」
僕の心を読んで、シュウさんが返答していくれた。
「教会の戦士の養成所があっても、襲ってくるんですか?」
ヴァーリが質問をした。
「あぁ、エクソシストではバンパイアは倒せない。逆に喰われる可能性大だ。教会の知識が古いせいもあるけどね。現代のバンパイアはニンニクくらいで避けられない。ギャスパーなんか、特訓でニンニクをクリアできたし」
ドヤ顔のギャスパーさん。
「十字架だって、見せただけではダメだ。ギャスパーなんか十字架に磔にしても大丈夫だったし」
少し蒼い顔になったギャスパーさん。シュウさんに、惨い実験をされているのかもなぁ。
「で、ギャスパーやヴァレリーのようなデイウォーカーだと、太陽の光でも死なないし」
「たしかに、養成所で習ったことと違いますね」
「だから、バンパイアハンターという職業があるんだよ」
「実際問題、どう対処すれば良いんですか?」
「皆殺しにして良いなら、シルキーのダイヤモンドダストに勝る攻撃はない。流石のバンパイアも挽肉状態にされると、再生はできないから。あと、ガイア達のホーリーアローも有効だ。そうそう、イッセーのライトニングナックルもな。皮膚などの身体の外側の耐性は上がっているが、内側は弱点だ。貫通攻撃は有効なんだ」
「私達はどうすれば良いですか?」
リアスが質問した。
「リアスの剣に、滅びの力を具現化か、炎を具現化すれば良いと思う。ヴァーリは草薙の剣で確実に首を刎ねろ。あと、ハティとスコルに任せるかだ」
「こんなに小さな犬でも大丈夫なんですか?」
彼らの事を知らないリアスが、質問した。
「敵意のないことが、わかっているから、この状態だけど、敵意ある相手だと、本性を顕すよ。神喰狼としての本性がねぇ」
「えっ?狼…」
リアスは固まった。そんなリアスを気遣って、甘える2匹。
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深夜、突然何かが格闘している音で目覚めた。得物を装備して、音のする方へ向かうと。ハティとスコルが大きな白い犬と格闘をしていた。
なんだ?この白い犬は?
「プライミッツ・マーダー。人食い犬だ、イッセー。そうなると、この家の周囲はバンパイアに囲まれているな」
「家に招き入れなければ、バンパイアは一見の家には入れないって、アレですか?」
「誰かを攫う為に、犬を送り込んだのだろう。イッセーっていう言葉に反応したみたいだ。狙いはイッセーか。そうなると黒幕はヒュームだな」
「あの人、まだあきらめていないんですか?」
「そうみたいだな。コイツを片付けるぞ」
シュウさんは、獣門を開いて、彼らの親のフェンリルを召喚された。流石の魔犬も神喰狼三匹相手では分が悪く、逃げようとした瞬間に隙が生じた。その一瞬を逃さずにシュウさんが村正で仕留めた。
僕達の格闘音で、リーラさんやリアス達もこの部屋に集まってきた。
「こ、こんな大きな犬が…どこから侵入したの?」
「リーラ、戸締まりは?」
「しました」
「そうなると、床を破って来たな。念話でシルキー達を集結させている。ここの者は家の外に出るなよ」
「「了解!!」」
---バンパイアの隠れ家---
「遅いわね。プライミッツ・マーダーはどうしたのかしら」
アルトルージュはいらだっていた。人食い犬ゆえ、どんな相手でも短時間のうちに、護衛の者を喰らい、目的の人物を攫うことをしてきたから。そう、今日に限っては、だいぶ時間が経っていた。
「リィゾ、フィナ。ちょっと、様子を見てきてくれるかな?」
アルトルージュは、配下の騎士達に命令をした。
「「了解です」」
騎士2名は、イッセーの住んでいる家に向かった。
しばらくして、ドアが開いた。
「どうだった?」
ドアの方を見ると知らない人物が、プライミッツ・マーダーの首を持参してきた。
「お宅の飼い犬か?夜中に人の家に侵入するって、どういう調教をしているのかな?ふふふ」
「えぇっと…あなたはどなたですか?」
この場から、逃げ出したくなるオーラの波が、押し寄せて来て、アルトルージュは混乱し始めていた。
「お宅の従者達はミンチになったけど、肉団子にしてお土産にした方が良いかな?ふふふ」
「あっ…あのぅ…どういう意味ですか?」
アルトルージュの目の前に転移陣が現れて、挽肉の山が転移してきた。所々に配下の者が着ていた衣類の破片が見えた。
「…あなたは、何者?」
「はぁ?そちらから名乗るのが、筋じゃないですか?夜襲を仕掛けたのはそちらが先だし」
目の前の男は、アルトルージュに近づき、身体中を触り始めた。
「殺すには惜しいなぁ」
警戒心をまったく感じない男の首筋に、噛みつき吸血をした…したはずだった…でも…
「無駄だよ。僕の身体には血液がないから。いくら吸っても疲れるだけだぞ」
「え?…あなたは何者なの?」
アルトルージュは、産まれて初めて恐怖というものを感じた。自分の常識でわからない生物に。
「ほぉ、なかなか良い乳房だな」
「えっ?」
いつの間にか全裸になっているアルトルージュ。胸と大事な場所を手の平で隠す。
「どう?僕達の仲間にならないか?このアジトは取り囲んだよ。それとも全裸で逃げるか?ルーマニアまで一人でさぁ。ふふふ」
産まれて初めて、目から涙がこみ上げてきた…もう配下の者は誰もいない。一人で逃げて、一人で生きなくてはいけない。
「一人では寂しいんじゃないか?どうする♪」
また、ドアが開いた。
「はぁ…シュウさん。こんなことだと思っていましたよ。まだ尋問していないんですか?」
シュウの後で、ギャスパーがあきれた表情をしていた。
「だって、形の良い乳なんだよ、ギャスパー…」
「だから、女性相手にシュウさんはダメって言ったのに…あれ、アルトルージュじゃない」
「ギャスパーの知り合いか?」
「はい。僕と同じハーフなんですが、デイウォーカーではないんです」
「えっ、ギャスパーって…ギャスパー・ヴラディ?」
「そうです。お久しぶりです。ヴァレリーもいますよ」
ヴァレリーも入室してきた。
「なんで、全裸なの?シュウさん、味見したんですか?」
「まだです。ギャスパーに止められました…はい」
「ヴァレリー、アルトルージュだよ」
「あ、本当だ。元気そうだわね」
「ヴァレリー…その血の通わない生物の仲間なの?」
「う~、私達の上司です…かわいい娘に目がなくてねぇ。敵であろうと好みだと味見しちゃうのよ。困ったことにねぇ。ははは」
ヴァレリーとギャスパーは苦笑いをした。
「降参です。あなた達の仲間になるわよ…全裸を見られちゃったし、うっ~」
アルトルージュは泣き崩れた。
「シュウさん、私達の友達なので、試食禁止でお願いしますね」
ヴァレリーはシュウに、きつく言い渡した。凹むシュウ。
アルトルージュが落ち着きを取り戻して、服を着たあとに、ギャスパーが尋問した。
「誰に、イッセーをさらえて言われたの?」
「ツェペシュ王よ。イッセーって少年は、人間界の王、兵藤家の者だから、バンパイアにしてしまえば、人間界を征服できるって…」
「この世界のツェペシュ家もダメだな。ヴァレリー」
「そうですね。ダメだと思います。兄と父を消してくれますか?」
「ちょっと、行ってくるね」
シュウは空間を切り裂いて、身を乗り出し、空間から身体を起こすと、生首を2つ持っていた。
「終了。間引いてきた」
床に転がるツェペシュ王と、その息子マリウスの生首。
「こ、こいつは何者?」
「僕?聖者な魔物だけど」
「シュウさん、その説明じゃ、わかりませんよ」
ギャスパーがシュウを窘める。
「この方は、僕達のチームの団長のシュウさん。鬼畜な聖者様だよ」
「なんか、すごい人なんですね…」
「そうねぇ、付け加えるなら、女性に対しては無敵な鬼畜だわ」
「ヴァレリー…その言い方は惨くないか?正解だけど…」
「え?否定しないの…」
アルトルージュはシュウとの距離を置き、ヴァレリーの背後に隠れた。
「じゃ、これでバンパイア案件は終わりだな。そのアルトルージュって娘はどうする?ヴァレリー、取り敢えず、デイウォーカーにしてあげて。このままでは、使えない戦力だ」
「了解です」
ヴァレリーは聖杯を取り出して、アルトルージュの特性を変えた。
「これで、デイウォーカー仲間だよ、アルトルージュ」
ヴァレリーはアルトルージュを抱きしめた。
「人間界での生活を学んでもらいたいから、引き続き、ギャスパー、ヴァレリーはアルトルージュとイッセーの家で生活してくれ。僕は…どこかで鬱憤を晴らしてくるから」
そういうと、シュウはどこかに転移した。
---イッセー---
バンパイア案件が済み、シュウさんはどこかに行かれてしまった。その代わりに家族が増えた。アルトルージュさんだ。ギャスパーさん達と同じデイウォーカーだそうで、人間界での生活に慣れる為に、僕達と暮らすことになった。
「なるほど…神喰狼を飼っているのね。どんな家庭なの、ここは…」
僕達の家のカオスぶりに、カルチャーショックを受けているようだ。で、自己紹介をしないと。
「僕はイッセー・ヨハネです。人間です」
「私はリアス・ヨハネです。純血悪魔だけど、今は転生天使です」
「私はヴァーリ・ヨハネです。ハーフ悪魔だけど、今は転生天使です」
「姉弟なのに種族が…」
アルトルージュさんの目が点に。
「いや、姉弟ではないです。匿われているので、仮名です」
「匿われているって?」
「命狙われているらしいんです。なので、全員シュウさんの姓を名乗ってます」
「シュウって、あの女性キラーな鬼畜?」
「そこまで酷くないと思いたいですが、そうです」
僕達は全員苦笑い。
「私はリーラ・シャルンホルスト。人間です。シュウさんに雇われたイッセーさんのメイドです」
最後にリーラさんが自己紹介した。
「ここは、訳あり家族ってことなのね。はぁ…アルトルージュ・ブリュンスタッドです。よろしくお願いします」
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それは一瞬のことだった。
ツェペシュ城で、ツェペシュ王とその息子マリウスと会談をしていた、ヒュームの目の前で、二人の首が突然消失した。
「な、何が起きたんだ?」
血の臭いに敏感なツェペシュ王の眷属が部屋の外から続々入室してきて、まず目に入ったのは、血の海。そして、ヒュームの服には血しぶきの痕。
「貴様、王達を手にかけたな!」
「俺は知らない。どうなっているんだ?」
「首をどうした?これだからバンパイアハンターは、信用できん」
襲いかかってくるバンパイア達を屠っていくヒューム。
「ど、どういうことだ?罠か…ツェペシュ王か?嵌めたのか…」
結界の張られた城内で、バンパイアとバンパイアハンターの戦いが始まった。