---シュウ---
空飛ぶベースキャンプを手に入れて、今イッセーととある場所に向かっていた。
「どこへ行くんですか?」
いつも一緒にいるヴァーリ達がいない為、少し不安げな様子だ。イッセーの問いをスルーして、
「前に渡したお守りを出して」
イッセーは、いつも身に付けている夜天の書を出した。僕はそれを受取り、いくつかのページに魔法陣を書き込んだ。書き込み作業が終わると、夜天の書に念を送ると、
「管制人格 リインフォースです」
と、一人の女性が現れた。
「リインフォースに命じる。イッセーに必要と思ったら、今書き込んだ魔法陣を発動してくれ」
「わかりました、マイマスター」
と、女性は頷き、彼女は書物に帰って行った。僕は夜天の書をイッセーに返した。
「『封印無効』、『結界無効』、『神器無効』の無効シリーズを魔法陣化できたので、書き足したよ。イッセーの必要だと思われる局面で、書物の管制人格が発動してくれる」
「ありがとうございます」
イッセーは頭を下げた。
「これから先、いつも僕が一緒にいるかわからないからね。僕の能力でイッセーにない物は、なるべく譲渡していきたいんだ」
「で、どこに向かわれているんですか?」
「バベルの塔…そこで、イッセーに引き継ぐ物があるんだ。相手は、僕にくれるって言ったんだけど、イッセーに持っていてほしいんだ」
「バベルの塔って、まだあるんですか?」
「砂嵐に護られるようにそびえ立っているよ。キャッスルドランがないと行くのが大変だったかも」
「シュウ、目的地点に着いたぞ」
キバットバットの声がした。
「イッセー、メリアを鎧として具現化して」
イッセーはメリアの鎧を纏った。そして、僕は
「キバットバット、黄金のキバを貸してくれないかな」
キバットバットが黄金の鎧を貸してくれた。
「この先、建物まで砂嵐がひどいんだ。フルアーマー状態で顔も覆って」
僕とイッセーはフルアーマー状態で、砂嵐の中に身を投じた。目の前は砂だらけ。砂嵐の中にある、砂嵐に擬態した塔の波動を探知しながら、歩みを進めた。そして、ようやく門の前に辿り着いた。
僕が手をかざすと、門は開き、中へと入った。僕達は待ち人の待つ部屋に向かった。塔の中ほどにエレベーターがあり、それに乗り込んだ。
「シュウさん、このバベルの塔って、最近できたんですか?」
あぁ、文明の利器があるからねぇ。
「いや、古代だよ。ここは人間が作ったものではないから、こういう文明の利器があるんだよ」
「人間ではないって?」
「その当時の神だよ。現代用語に訳すると異星人って風になる」
「宇宙人?」
「そうだよ」
ピッキーン!
と、音がして、扉が開き、エレベーターを降りて、廊下を進み、奥の部屋に入った。
「お待たせ!浩一君」
『シュウさん、遅かったですね』
目の前のカプセルに収まった人物に声を掛けると、カプセルに設置していあるスピーカーから声がした。
「彼が、兵藤一誠君だ。この子に引き継いでもらえるかな?」
『適性が合えばそうします。駄目な場合は、適性が合うシュウさんにお願いしますよ』
「了解だ!」
イッセーの手の平を、カプセルに付いているスキャナーに当てた。
しばらくすると、
『シュウさんの読み通りです。彼に引き継いで貰います。後のことは、よろしくお願いします』
「わかった」
僕は、祝福の聖剣を取り出して、カプセルの中の人物の魂を自由にしてあげた。彼の魂は光輝いて、イッセーの周りを飛び回り、そして消えた。
魂が消えると同時に、イッセーの目の前に、一匹の黒豹が現れた。
「イッセー、彼はロデム。変幻自在な存在だ。彼を含めて3体の下僕と、この塔をイッセーが引き継いだ」
「下僕と塔?」
突然の事できょっとんとしているイッセー。
「イッセー様、私はロデムと申します。以後、よろしくお願いします」
ロデムが女性の姿に変身をした。
『シュウ、まさか、これって維持神が作った物か?』
メリアの声がした。
「そうだよ。この世界の維持神が、この世界に遊びに来るときに使った、宿泊施設だ。先程の魂の者は、この塔が認めた、この塔の管理人だ。認められるには様々な条件があるんだ」
「この声の主は?」
ロデムが質問してきた。
「創造神と知り合いのドラゴンだ」
「メリアですか?ゾラートですか?」
『私はメリアです。何故、知っているのですか?』
「ここを作られた神が、封印されたあなた方の封印が解かれ、暴れた時のために、残りの2体の下僕を作り出していました。怪鳥ロプロスとポセイドンという2体の古代ロボットです。でも、彼が…イッセー様が、あなた方を使役されたのであるなら、私達は必要ないですね」
「いや、イッセーを護るために、力を貸してくれ。その為に、引き継いだのだからな」
「わかりました。イッセー様、必要な時に召喚してください」
ロデムはイッセーに、跪いた。
「様でなくて、敬称なしでいいです」
「ロデム、彼に従ってくれな。こんな子供が、様呼ばわりでは、目立ってしまうから」
「わかりました。イッセー、シュウさん」
「じゃ、イッセー、帰ろうか。用件は終わった。引き継ぎが終わったことで、これからはここへ、転移魔法でいつでも来られるし」
僕とイッセーはキャッスルドランに転移した。
「シュウさん、僕の前の塔の主はどうなったんですか?」
イッセーが聞いてきた。
「彼は寿命を全うしたんだけど、後継者が見つからなかったので、あのカプセル型の生命維持装置の中にいたんだ。そして、今日イッセーに引き継ぎ、彼は心配事無く、天に召されたんだ」
僕とイッセーはしばらく黙祷を捧げた。
「あの塔は、どんな機能があるんですか?」
「ナヴィの機械版だ。世界中の情報を集めてデータベース化してある。今後、リアを経由して本拠地で解析できるようにする。イッセーも必要な情報はナヴィに聞いてくれ。ナヴィにそのデータベースのアクセス権を与えてあるから。あと、キバットバットよ、僕がこの世界にいない時は、キャッスルドランを、イッセーが使えるようにしてくれないかな」
「わかりました。マイマスター」
「キャッスルドランも頼むな」
『グァー』
「ということだ、イッセー」
---イッセー---
シュウさんが、この世界とは違う赴任先に出かけてしまった。まぁ、いなくても、平和なら問題はないんだけどね。
しかし、こういう時に限って、問題は近寄って来たりする。
バチカンの戦士に遠征命令が下った。地中海に浮かぶとある島で、遺跡が見つかったらしいので、それの調査だそうだ。僕達戦士は、万が一魔物が出た場合に、研究者達のガードをすることになるらしい。
ギャスパーさん達、吸血鬼組とキバットバットさんは、遠くから僕をガードしてくれるそうだ。全員、ディウォーカーで、コウモリ形態になれるので、大抵の場所は追尾できるそうだ。ヤバい系の魔物の場合は、キャッスルドランさんと、ロデムさんが参戦してくれるらしい。少し安心だ。
僕と、ヴァーリ、リアスは、バチカンの戦士として、イリナ達と現場に向かった。
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到着した遺跡は、外周を塀で囲っていたような痕跡があった。中心にはデカイ塔があった痕跡が残っていた。うん?この配置は、どこかで見たような…記憶を頼りにある場所に向かった。そこには神殿風の建物の痕跡が残っていた。
「イッセー、どうしたのだ。ここに来たことがあるのか?」
ストラーダ先生に聞かれた。
「来た事はないんですけど、話には聞いていたというか…もし、あの場所だったら、中心の塔の地下は行かない方が良いですよ」
「どういうことじゃ?いま、調査隊が地下への降り口を探しているんだが」
「まずいって…魔物の巣窟ですよ、地下は…止めてください」
ストラーダ先生は慌てて、中心地に向かっていった。僕達は神殿風の建物の跡地で、地下へ向かう入り口を探した。
話に聞いていた場所に、階段を見つけて、降りていった。地下は大広間で、玉座らしい椅子にミイラ状態の人物が座っていた。あの場所かどうかの証拠を探すと、本棚に書物が入っていた。密封された空間だったおかげで、風化せずに読める状態だ。
一番新しいそうな書物に目を通すと…
『主神ウラノスは悪神ロキの手で命を絶たれ、主神の鎮魂の祈りは届くことがなくなり、迷宮都市オラリオは、もう駄目だろう。悪神ロキは高見の見物をしている、逃げ惑う住民。それを助けようとする戦士達。無限のごとく湧き出てくるアイツらの前では、我々は無力に等しい。私も地上に出て、戦いに参加しようと思う。ここの記録は後世まで残るように、この場所を封印して置く。これを見た者よ、蓋は開けるな! フェルズ』
あぁ、やはり、ここは…目を閉じると、アイズさんが浮かんだ。
僕は、この書物を空間の裂け目の保存庫にしまった。そして、地上に出た。、
「イッセー、遅かった。地下から魔物が湧き出て来たぞ」
魔物相手に剣を振るっているストラーダ先生の声を、耳が捕らえた。
僕達もそれぞれ得物を構えて、魔物達と交戦し始めた。しかし、斬っても、斬っても切りがないくらい出てくる。そして、段々と強くなってくる魔物達。下の階層から上がってきているのだろう。
シュウさんだったら、どうするんだろうか、こういう局面って…よく、考えるんだ。なにかヒントは…フェルズさん…
あっ…『蓋』だぁ…開けたのだから、閉じれば良いはず。メリアの創造の能力で、中心地の塔の跡地を大きな蓋で閉じた。すると、魔物は出てこなくなり、今いるヤツラを倒せば良いだけになった。
「イッセー、よくやったぞ」
ストラーダ先生に誉められた。
そして、魔物を全滅させることに成功…でも、僕達、戦士団にも犠牲者が多く出てしまった。僕にはシュウさんのような力はないので、仲間を甦らせることはできない。
「イッセー、ここはなんの遺跡なのだ?」
ストラーダ先生に問われた。そこで僕は、地下で見つけた書物を渡して、内容を説明した。
「イッセー、この文字が読めるのか?」
「読めます。シュウさんの仲間に、ここの都市にいた人がいますから」
「でも、時代が違うぞ…あぁ、あの者は、時空移動ができるんだったな。ここは、悪神ロキに滅ぼされた都市なのか」
この世界のオラリオはそうみたいだ。フェルズさんって、ウラノスさんの眷属の人だし。世界によって多少違う結末になるらしいし。この世界でのラスボスは悪神ロキなのかな?
調査団の人々は無事で、僕達は、あの神殿風の建物の跡地の地下に、案内をした。残り少ない戦士で、ガードをする為に調査団の人々を囲うように配置された。僕とリアスとヴァーリが担当するエリアは真っ暗だった。なんでと思う位。
調査団の方々の声が聞こえたが、一瞬の静寂があり、その後眩しい光の渦に巻き込まれて、気が付いたら、知らない場所にいた。
なんだ?ここは?目の前に知らないエルフの女性がいた。
「召還できたわ」
「召還?」
「そう、私の下僕達よ」
「はぁ?君は誰?僕はイッセー・ヨハネだ」
「私は、ルクシャナ、下僕達よ」
「下僕?なんの事?ここはどこ?」
「あなた達を魔界から召喚して上げたのよ。感謝しないさい」
「魔界?僕達は迷宮都市オラリオにいたんだけど…」
「はぁ?なんで?」
「なんでって、言われても…どんな魔法陣を使ったの?」
ルクシャナさんが見せてくれた。これって、ランダムに強制転移させる奴だ。
「これって、ランダムの地点の者を強制転移させる魔法陣だよ」
「あなた、魔法陣が判るの?」
「僕の師匠は魔法陣を作ることが出来るから、多少は習っているんだ」
「あなたの師匠って?」
「シュウ・ヨハネ・鬼門だけど」
「げっ…あの鬼畜かぁ?」
「えっ?知り合い?」
「私を散々弄んで、私のスレンダーな身体に興味を示さなかったのよ…」
胸が小さすぎるからだよ…なんて言えないよなぁ。
「僕達を下僕にしたら、シュウさんが乗り込んでくると思うけど」
ルクシャナさんは、ビクっとして、顔が蒼くなっていった。
「ごめんなさい。ごめんなさい。もう指で弾かないでください、ごめんなさい…」
あぁ、シュウさん、エスプレイはされたんですね…
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ルクシャナさんが落ち着いてきたので、質問した。
「で、ここはどこですか?」
「エルフの国ネフテスの首都、アディールにある私の家よ」
「って、どこですか?」
「ハルケギニアの近く」
「そこもわからないなぁ」
僕も少し落ち着いてきたので、今居る場所を見回すと…え?なんで?これがあるの?
「ねぇ、なんで、僕の父さんと母さんの写真があるの?」
ルクシャナさんが、僕の見ていた写真を見て、
「えっ、誠お兄さんと一香お姉さんの息子さん?真ん中の小さい子が私よ」
僕の両親は、ここに来ていたようだ。
「そうなのかぁ。ねぇ、私をあなた達の住んでいる場所に連れて行って。人間の住む世界って興味があるのよ」
「はぁい?」
「あなた達が帰るのに道案内が必要でしょ?」
確かに必要だと思います。リアス、ヴァーリと相談して、了承した。