03/09 誤字を修正
---シュウ---
久しぶりに本拠地の自分の部屋で、溜まっている書類の整理をしていく。例のグレモリー家の案件の推測をまとめていく。たぶん、黒幕は…
イッセー達の今後の予定を書いた書類を、誠に渡した。
「死ぬ気じゃないですよね?息子の事はずっと面倒をみてくれるんですよね?」
僕は頷けなかった。
「誠、今度の相手は、ちょっと分が悪いんだ。仲間は巻き込みたくない。その書類は、僕の身に何かあったら、誠が実行をしてくれ。ごめん…約束が果たせなくなりそうで…」
僕は、転移の間に向かい、ある場所に向かった。
転移した先は、イッセーの世界の冥界の魔王領。魔王3名、アザゼル、ミカエルさんが揃っていた。
「グレモリー家に襲撃を掛ける。僕一人で行く。だから、魔王は大公の身柄を頼む」
「まかせろ。研究施設はグレモリー邸の地下にある。壊滅をしてくれ」
ファルビウムさんに頼まれた。僕は頷いた。
「完全体がいるかもしれないけど、できる限り戦ってみるよ」
ベースキャンプにナヴィを置いて、念話で状況を連絡するようにしてある。ベースキャンプのガードは、僕の子供4名に託した。
「大王家が絡んでいるかどうかが、把握できなかったよ。セラフォルーさん、動きそうな場合は、牽制してみてください」
「了解!」
「ミカエルさん…」
「わかっているよ。万が一の時は、君を…ロストさせる。アザゼルと確実に行うから、安心してくれ」
「シュウ。生きて帰って来いよ」
「あぁ、アザゼル。そうしたい…時間だ。いってきます」
僕はグレモリー邸の前に転移した。
グレモリー邸は静まりかえっている。門番がいなかった。すんなり、屋敷の中に入れた。そして、リアスの部屋に向かう。
部屋の中にクローンリアスが息絶えていた。口の周りは血だらけで、部屋の中は死臭に満ちあふれていた。こいつらの栄養元は肉か。たぶん、眷属にした者達を摘まみ食いしていたのだろう。クローンリアスの検死をすると、寿命を全うしたようだ。中に入っている人工生命体を取り出し、密閉容器に入れた。まるで、動かない。
僕は、密閉容器をアジュカさんの所に転移させた。それから、部屋にある暖炉を調べる。ここにスイッチがあるみたいなんだけど…ないなぁ。倒れかけているスコップ状の物を、置き直そうと手にすると、暖炉が動き階段が出現した。僕はその階段を降りていった。
長い廊下を歩く。研究所の位置はグレモリー邸の真下ではないみたいだ。30分以上歩いただろうか?やっと扉が見えてきた。位置を確認すると、大王家の地下か…ナヴィに魔王達に伝えてほしいと指示をした。
扉を開けて、中に入ると…
「ようやく来たね。化け物君」
サーゼクスクローンのバラバラ死体を食べている一人の人物が立っていた。
「君は?」
「俺は鳴神一成だ。最強のクローン体という器に入った完全体となった人工生命体だよ。化け物君」
完成しちまったのかぁ…
「最強のクローン体ってなんだ?」
資料になかったし。
「グレートレッドとオーフィスの細胞を何度も掛け合わせた、最強のドラゴンだ」
はぁ?どこかで聞いたような話だが…ふと、僕はこの部屋の隅に高く積まれている、見てはいけない物をみてしまった。グレートレッドとオーフィスの身体が切り刻まれて積まれていた。
「細胞を得るのに切り刻んだのか?」
「そうだよ。時には食べて、身体の中からも吸収しようと試みたんだ」
僕の中で、何かのスイッチが入った。
「あと、兵藤家と式森家の血を混ぜて、禁忌の意味を知ったよ。すごい核分裂だよ。最強のドラゴンの肉体に、その禁忌なパワーも取り込んだ。更に、悪魔と天使の禁忌な組み合わせも試したよ。その結果、僕、鳴神一成は誕生した。新しい神だ。この世界を統べる神だよ。ははは」
「おい、そこの神もどきよ。どっちが狂気に満ちているか、試そうぜ」
「はぁ?鬼と天使の化け物風情が、勝てる訳ないだろう」
目の前の相手は紅色に黒いラインの入ったフルアーマー姿になった。
「グレートレッドの強靱さとオーフィスの無限な力を具現化した鎧だぜ。そして、魔人の特性も、兵藤家、式森家の能力も極限まで上げているんだ。お前に勝ち目はない」
僕は本来の姿に変容した。そう、戦うためだけの生物に。
「醜い姿だなぁ。強い者は、俺のように姿も美しく無いとダメなんだよ」
相手から膨大なエネルギーのドラゴンショットが撃ち込まれてきた。僕は真面に喰らった。
---アジュカ---
地鳴りがして、次の瞬間、強烈な揺れを感じた。窓の外をみると、バアル領の方できのこ雲が立ち上っていた。ついに始まったようだ。
彼から送られたきた密閉容器の内容物を分析を始めた。
---ファルビウム---
地鳴りがして、立っていられないほどの揺れを感じた。振り返ると遠くの方でキノコ雲が見える。俺は、自分の職務を全うしないと、アイツに顔向けができないなぁ。
そして、大公アガレス殿を捕縛した。
「何をするのですか?ファルビウム様」
「アガレス殿、クーデターを計画しましたね?グレモリー家に罪を着せて」
「なんの事ですか?えん罪ですぞ」
「証拠を見つけました」
「証拠?なんのだ?」
「行方不明だった式森家の者の死体がしていた眼鏡のレンズから、貴方のツバを検出しました。どこで接触したんですか?」
我々、悪魔の上層部の者だけ、試験的にDNAを登録制にしてあった。シュウの策略で。それを使い、犯人特定の捜査を行っていたのだ。
「まさか…あのDNAのサンプリング試験って…」
ワナワナ震え始めたアガレス殿。
「そういうことです。じっくりと、話を聞かせてもらおうか」
「はぁ?話すことなぞない。人工生命体は、我々を裏切って、独自に動いているんだ。我々が作りだしたのに、我々を統べると宣言しやがったんだ」
アジュカに大公の捕縛を伝えた。
---鳴神一成---
膨大な威力のドラゴンショットを連発で、あの化け物に撃ち込んでやった。そろそろ、塵も残っていないかな。ははは
煙が消えるのを待つ…なんだと…目の前には、不敵な笑みを浮かべるアイツがいた。次は、魔法だ。式森流の壊滅魔法を連続で撃ち込んでいく。
「おい、てめぇ!その程度か?最強の器って名前だけなんじゃないのか?ふふふ」
研究施設が跡形もなく壊れていく。俺は地上に出た。地上では、サイラオーグ・バアルが立っていた。
「あの化け物は倒せたのか?」
「式森流の壊滅魔法の連打だぞ。倒れないわけ…え?なんで?」
なんで、アイツ…無傷のアイツが不敵な笑みを浮かべて、目の前に現れた。
「なんだ、ビビリオーグが仲間なのか。まぁ、大王家と大公家がつるんでいるのは、わかっていたけどな。ふふふ」
「おい、無傷だぞ…」
サイラオーグ、お前に言われなくても見ればわかる。くそっ…ならば、兵藤流の格闘術だ。接近戦を仕掛ける。ケリや手刀を無数に撃ち込む。アイツは不敵な笑みを崩さずに、身体の色々なパーツが爆ぜようとも、みるみる再生していた。この化け物め!
「おい、鳴神よ。見切ったよ。僕が考えていたより、弱いな」
「俺が弱いだと?」
「あぁ、弱いんだよ。お前の敗因を教えてやるよ。オーフィスとグレートレッドにした仕打ちのせいだ」
「あれをしたのは俺ではない」
「喰ったのはお前だろ?なぁ、お前の身体から、あの二人を除くとどうなると思う?」
除く?何を言っているんだ、この化け物は?
「一人でケリつけようと思ったけど、仲間を呼ぶわ」
目の前に龍門が2つと、獣門が1つが発現した。何をする気だ?俺にドラゴンとか獣では勝てないぞ。目の前の化け物の思考がわからない。
門が一斉に開くと…俺の身体に異変が起きた。身体の外装が無くなった。身体が膨張していく。魔人の血が急激な速度で核分裂を起こしていく。
「き、貴様…何をしたんだ…」
「キバットバット、黄金の鎧を貸してくれ」
目の前のアイツの腰あたりに、コウモリが近づくと、光の渦に飲まれていくアイツ。渦が消えると黄金の鎧を身に纏っていた。
「この世界のオーフィスとグレートレッドは、残そうと思っていたんだ。だけど、あの惨たらしい死体を目にしちゃったし、彼らの魂が一緒に戦いたいって言うんだよ。僕がしたことは、僕の世界のオーフィスとグレートレッドを召喚して、お前の取り込んだ彼らを同化吸収させたんだ。オーフィス、アポ、力を貸してくれ!」
アイツにオーフィスとグレートレッドが溶け込んでいた。
---シュウ---
鳴神は、いつ核爆発を起こしても、おかしくない状態だった。なんでも取り込めば良い訳ではないんだ。まして、取り込んだ者にあの仕打ちは、魂を冒涜する行為だぞ。能力は魂がなければ、ただの能力なんだ。魂を込めれば、それが倍々の威力に化けるんだよ。
魔人の細胞の核分裂が、アイツの身体の許容限度を超えた場合の核爆発に備えて、黄金の鎧を纏った。それから、蒼天の書に念をこめてツヴァイを召喚した。
「ツヴァイ、僕に力を貸してくれ」
ツヴァイは頷いて、僕と融合をした。さらに紫天の書に念を込めて、アギトにシステムU-D(特定魔導力を無限に生み出し続ける『無限連環機構』)を起動してもらう。
「おい、そこの最強生物よ。無限の闇の力を喰らえよ、本来の魔人なら吸収しきれたかもしれないけど、今のお前にとって、核爆発の起爆剤になるんだよ。ふふふ」
僕は、鳴神に『ダークアロー』(闇属性の矢)を撃ち込み、それを避雷針代わりにして、『ローリングサンダー』(聖属性の雷撃)を連続で流し込んでいく。僕の気力が続く限り…
---セラフォルー---
目の前で、完全体とシュウとが戦っている。彼らを囲う形で、トスカさんが防御結界を張ってくれた。さらに白音さん、黒歌さん、ロスヴァイセさん、ルフェイさんなど、チームシュウの魔法使い陣が色々な体系で防御結界を張り重ねていく。
シュウから念話で指示が出たそうだ。「核爆発しそうなので、囲ってくれ」って。でも、これだとシュウはどうなるんだ?
「団長は、たぶん大丈夫でしょ…たぶん…」
と、半ば泣き声に近いヴァレリーさん。彼女は万が一の時の、蘇生要員だそうだ。
いきなり耳がキィ~ンとしたかと思ったら、防御結界の中は真っ赤だった。ついに核爆発を起こしたようだ。
「あぁ、結界がもたない…」
トスカさんの悲鳴にも似た叫びが聞こえた。彼女は、もう一度、防御結界を張りに行ってくれた。
「みんな、援軍を連れてきたわよ」
え?ソーたんの声?でも、なんか違う。
知った顔…いや、歳を重ねているみたいだ。シュウの世界の仲間かな?
---ヴァイラ---
もう!なんでも一人で背負うなって、言っているのになぁ。あの人ときたら…
アウロス学園の教師陣を引き連れて、あの人をサポートをしに来た。防御結界内のエネルギー量は凄まじい。
「一誠、倍化しきったら、どんどん譲渡していきなさい」
「了解です」
「ソーナ、シトリー眷属でみんなを一斉に転移させる魔法陣を設置して」
「了解です」
あんなエネルギー量を浴びたら、全員消滅してしまう。シュウのオーラは幾重にも張った防御結界のせいでわからなかった。無事だよね?…無事でいろよ!
そうだ。
「セラフォルーさん、氷で結界を覆って貰えますか?冷却しないとダメかもしれません」
「わかったわ!」
あと、できる事はなんだろう。考えないと…
「アイズ、氷のドームに風を当てて、冷やしていって」
「了解です!」
「シルキーも、シトリー家なんだから氷系の魔法使えるでしょ?あぁ、ダイヤモンドダストみたいな破壊系はダメよ」
「了解!」
「アジ、できる限り多くの冷却系の魔法をよろしく」
「了解!」
「ギャスパー、防御結界の最後の1枚にヒビが入ったら、結界の時間を止めて。逃げる時間を稼いで」
「了解」
防御結界のドームの周りには、たくさんの仲間が展開していた。一人の仲間と、この世界を救うために。
シュウ…
---一香---
私にはスクランブルはかからなかったけど、心配でヴァイラさんと共に来てしまった。私も冷却魔法をいくつも展開して、目の前のドームを冷やすことに協力をする。
器が保たない魔人の血の最期…人ごとではない。イッセーもあんな風になっていたかもしれない。いや、イッセーを身籠もった私かもしれない。
ドームの中の赤みが減って来た。煙も白かったものが黒っぽいものになり、煙の合間からは稲光が見え隠れしていた。
---アザゼル---
シュウの仲間が総動員して来たらしい。知った顔が年輪を重ねた顔になっている。これだけの人数がいるのに命令系統はしっかりしていた。現場に混乱はおきていなかった。それぞれが、まかされた仕事を淡々とこなしている。彼らを見習わないとなぁ。
ミカエルは天使達を引き連れて、上空から冷たい空気を誘導しているようだ。天候系の神滅具持ちがいるとか言っていたものな。
ドームの中は冷やされてきた。『強奪』持ちが中の空気を少し取り出して、放射線量をはかっている。測定の結果、放射線量は安全の範囲だそうだ。
いよいよ、防御結界を少しずつ、除去していった。ドームの中は焼け野原状態だった。そこにいたはずの者の骨すら残っていない。シュウはどこだ?
焼け野原をみんなで捜索をしていく。
---ヴァイラ---
シュウ…防御結界をはすした激戦の跡地は、見渡す限りの焼け野原だった。あの人の影はどこにもなかった。ダメだったの?…今回は…うん?念話で何かを言っている。何?誰?
ナヴィからの念話だった。シュウが次元の狭間で見付かったそうだ。フルアーマーをオーフィスとアポが抱えて、ベースキャンプに運んだそうだった。
でも…フルアーマーの中は…化け物が入っているらしい。化け物はシュウらしいのだが、アポが言うには見ない方が良いってことだ。そんなに惨い姿なのだろうか?
私達はベースキャンプに転移した。
そして、皆を代表して私が対面することに。フルフェイスの頭部をはずすと…目を覆ってしまった。ごめんなさい、シュウ。こんなおぞましい顔とは…
キバットバットにお願いして、アーマーを脱衣してもらった。おぞましすぎる姿、これがシュウの本来の姿なのか。確かに、私でさえ目を覆ってしまうフォルム…ごめんなさい。
「ヴァイラ、別れよう…僕は一人で生きるよ」
私の心の中を読んでしまったシュウ…ごめんなさい。
「いいよ…僕は随分前に死んだような者だから…」
「もう、普通の姿に戻れないの?」
「時間がかかると思うけど、戻るはずだ。でも、この姿を見ちゃったら…もういいよ…」
「よくない。戻って来てね。絶対だよ。じゃないと…」
彼の腕に縋った。
「わかった。いずれ戻るよ。誠には、休養が終わったら戻ると伝えてくれ。忍、僕をキャッスルドランに運んで…なんか疲れたよ」
忍ちゃんが現れて、キスショット姿になり、シュウを抱きかかえた。そして、オーフィス、アポ、キバットバットと共に、転移していった。