---誠---
一誠、ヴァーリ君、リアス君の待つ部屋に向かう。足取りは重い。ヘタに隠し立てするより、真実を伝えた方が良いと思うのだが、団長を心底から信頼し、懐いている彼らに伝えるには重い事実である。
彼らのいる部屋に入った。
「どうしたの?父さん。そんなに思い詰めた顔をして…」
一誠…俺の醸し出すオーラで、三人共何かを感じとっていた。
「団長がダメージを負って、しばらく休養することになった。団長が復帰するまで、俺が君達の後見人として、援助していくことになった」
言葉で聞いて、三人とも悲痛な顔付きになっていった。
「団長が怪我をするって?再生能力は効かなかったの?」
「無敵の団長が、休養するほどの相手ってなんだったんですか?」
「まさか…私達、グレモリー家のせい?」
矢継ぎ早に質問が飛びだし、リアス君の表情は崩れていった。俺は、リアス君を優しく抱きしめた。
「グレモリー家は関係なかった。心配しないで良いから。君の両親達を無事に探しだすよ。団長は戦いに行く前に、捜査結果をまとめ上げてくれたから、それに基づいて、捜査をしているからね」
「ねぇ、父さん。団長の相手って?」
「人工生命体の完全体だ…俺は現場にいなかったが、一香が作戦に参加したそうだ」
「母さんが?」
「たった一人で完全体に挑んだそうだ。俺達、仲間を無駄死にさせないように…」
しまった…涙が…
「団長らしいよね」
息子の言葉に少し救われた。そうだな、団長らしいな。俺達には「一人で抱え込むな」って言っているけど、土壇場の相手には「一人で」挑んできた団長。そのたびに、心に傷を負っているらしい。そんな素振りは見せないけど。
「なんで、休養するほどの重症なの?」
「外傷はない…精神的ダメージのようだ」
話すべきか?
「え?鬼畜と呼ばれても、化け物って呼ばれても、スルーする団長が負った精神ダメージって?」
あぁ、話さないとダメだろうな。
「完全体と戦うに当たって、戦闘に特化した生物、団長も化け物としての完全体になったんだそうだ。その見た目が…ヴァイラさんでも目を覆うくらいの惨たらしい姿だった。ヴァイラさんに目を覆うように見られて、団長の精神にダメージが…」
ここまで話して、状況を理解した三人。
「クールダウンして、元の姿に戻れば、復帰してくれますよね?」
「ヴァーリ君、その通りだ。俺にはしばらくの休養って、伝言が来ている。ウソをいう団長じゃないことは、団員である君達にはわかるよね。だから、しばらく待ってほしい」
「父さん、次の鍛錬先は?地上じゃないよね?父さんが狙われるから」
一誠、正解だよ。団長はそこまで考えて、今後のスケジュールを決めておいてくれたんだ。
「次は、オーディンの所だ」
「オー爺ちゃんの所?久しぶりだな、僕の事を覚えてくれているかな?」
ヴァーリ君とリアス君は、オーディンの事がわからないようだ。まぁ、行ってから説明しよう。
---アザゼル----
シュウの世界のソーナが、アイツが戦地に赴く前に、まとめ上げてくれた書類を、持って来てくれた。
アイツの戦力から、捜索チームとして、2チームを派遣してくれた。ソーナが率いる部隊。そして、リアスの率いる部隊だ。その2チームにプラスして、アイツの子供4名も参加してくれるそうだ。
「捜索して見つける者は、グレモリー卿夫妻と、グレイフィア、シルヴィア姉妹、ミリキャスだ。あいつの資料によると、グレモリー邸の地下の牢屋、グレモリー領の辺境の廃城が候補にあるが、大王家、大公家も捜索範囲を広げる。シュウのチームはグレモリー領を頼む。大公家、大王家は、魔王達で頼む」
それぞれが、分担された場所に散っていった。俺は、情報を集約係として、この魔王領の魔王の間に置き去りだ。堕天使の総督がうろうろしていたら、反発されるもんな。
バアル家、アガレス家が、クーデターに走った経緯は…悪神ロキにそそのかされてって。バアル家とアガレス家は、ルシファー家と同じ系譜を辿っているのに、魔王になれないのは、おかしいだろうと焚きつけ、大公、大王という名誉職に近い職権しかないのは、現魔王達が恐れているからだと、勇気づけていたようだ。
心の内を読めるアイツらしい捜査方法である。さらに、アイツは人間界で用いられているDNA捜査の手法も取り入れ、行方不明だった者の死体から、証拠となるDNAを見つけ出し、冥界サイドが集めたDNAと比較して、犯人を割り出したのだ。
現在、療養中のアイツから、伝言もあった。この世界のオーフィスとグレートレッドを救えなかった事…彼らの意志を継いで、魂をアイツの世界のオーフィスとグレートレッドに同化させた事を詫びていた。魔王達やミカエルとも話し合ったが、アイツが詫びることではないって結論に達した。悪いのは、あの2匹からDNAを採取するために、切り刻んだヤツラだ。そして、それを食べた人工生命体だ。そんな事で心を痛めるなよと、直接言ってやりたがったが、アイツは面会謝絶の休養中だそうだ。どんだけ、傷を負ったんだ。俺達はアイツに恩を返せるのか?
一人で資料を見ながらアレコレ考えていたら、時間が結構経っていた。まだ、連絡がない。既に消されたのか?
---シュウ第1夫人 リアス---
グレモリー邸の地下の牢屋にまだ、辿り付けない。私やお兄様のクローン体が一杯いて、手こずっていた。滅びの力が相手だとこんなに厄介だったのかぁ。
「部長の滅びの力でどうにかなりませんか?」
イッセーに言われなくても、出来るならとうにしているわよ。
「部長、なにか策はないんですか?」
祐斗に言われなくても、有れば実行しているわよ。
「リアスさん、膠着状態ですよ」
小猫。アンタ冷静すぎるわよ。私はこんなに混乱しているのに。
「あらあら、リアスは手一杯みたいね」
朱乃、もっと雷光を撃ち込みなさいよ。
「はぁ…リアス部長。僕が停止しますから、その隙に、撲滅してください」
ギャスパー、あんた、シュウと共に活動しているからって、態度がエルすぎない?
「「部長じゃダメだ。ギャ~くん(すけ)、あなた(お前)が指揮を執って(くれ)!」」
---シュウ第2夫人 ソーナ---
辺境の城の内部はクローン体で埋め尽くされていた。リアスの方もそうなんだろうけど、大丈夫かな?あの娘、実戦から遠ざかっているけど。
「椿姫、カウンターで相手の攻撃は全部はじきなさい」
「園長、了解です」
「匙、相手の魔力を吸い取って、味方に譲渡していって」
「園長、了解です」
「翼紗、相手の足元を攻撃して、ヒットアンドウェイで良いから」
「園長、了解です」
みんな、シュウの仇討ちのつもりで、全力で動いてくれていた。私の眷属達は、いまいる自分は、シュウのおかげっていう気持ちを持っていた。
「ベンニーア、クローン体でも消せる?」
「園長、消えるのもいれば、消えない固体もいますね」
「消えないのは、人工生命体の可能性があるわ。注意して!」
「了解です」
これは、長丁場になるかな?そんな不安が過ぎり始めた頃、いきなり、目の前の敵が爆ぜていった。
「母さん、遅くなりました。シルキー・鬼門・シトリー、参戦します♪」
頼れる娘が参戦してくれた。広域殲滅攻撃で、敵を爆ぜさせていく。うん?シルキーの攻撃でも爆ぜない奴がいる。あれが人工生命体か?
「叔母さん、あいつらは任して!」
ヴァイラの娘、シーナが重力系攻撃で、人工生命体を潰していく。
「父さんが、器に強度がない奴は、潰せばいいって♪」
聞けば、子供達は人工生命体の攻略方法を、シュウに習っていて、遅くなったのだ。
---シュウ第1夫人 リアス---
「母さん、ジャマだ!どいて!」
息子のガイアと、ヴァイラの息子のアリスが到着した。
「アリスさん、指揮をお願いします」
ギャスパーから声がかかった。
「了解です。兄さん、『ホリーアロー』で人工生命体以外は、殲滅してください」
「了解!」
悪魔のクローン体は、聖なる矢で灰となっていった。
「残っているのは人工生命体です。ギャスパーさん、バロールモードで、闇の世界へ堕としてください」
「了解!」
息子達が来てから、数分でケリがついた。私の立場は?私の心を読んだ息子ガイアが、物凄い目で睨んできた。
「母さんの立場?アウロス学園の事務員さんだ!戦闘は無理だよ。実戦から遠退き過ぎだよ。そんな母さんでも怪我したら、父さんが哀しむから、無理するなよ!」
息子が心配してくれた…なんか少し嬉しい♪
「兄さん、いいのか?」
「あぁ、喜んでいる分にはいいんだ。気分が高揚していないと、何もできない人だからね。はぁ…」
---アザゼル---
やっと、報告が上がり始めた。捜索ポイントの総てに、クローン体、人工生命体が詰め込まれていて、苦戦していたようだ。
グレモリー卿夫妻、ミリキャスはグレモリー邸の牢屋に入れられていた。随分と衰弱しているようだったが、生きていることが確認された。
グレイフィア、シルヴィア姉妹は、辺境の城の部屋に幽閉されていて、ダメだったそうだ。死体は棺に入れて、シュウの休養している場所に運び、蘇生をしてみると連絡が来た。
アジュカからの報告…大公の娘、シーグヴァイラはオヤジの悪巧みを知らなかったそうで、唯々泣いているそうだ。友達と思っていたリアスが、まさかオヤジ達の作ったクローン体って知らなかったみたいだ。今後の精神ケアをどうするか悩みどころだ。シュウがいれば、きっと手を上げて、協力してくれていただろうが…
---アジュカ---
保護したシーグヴァイラ君。どうすれば良いのかがわからなかった。ダメ元で、シュウ君に助けを求める念を送った。
しばらく経つと、イッセー君が現れた。
「シュウさんの代わりに来ました。僕のチームで面倒みなさいって、言われました」
この子は、シュウ君が一番かわいがっている弟子だったなぁ。
「君のチームは誰がいるのかな?」
「ヴァーリとリアス、あとアジとクロウです」
「リアスって、グレモリー家のかい?」
「そうです。サーゼクスお兄さんの妹さんです」
「後の者は誰だい?」
「ヴァーリ・ルシファー。ルシファー家の次期当主です」
ルシファー家?マジかい?
「後は、邪龍で、『三日月の暗黒龍』クロウ・クルワッハと『魔源の禁龍』アジ・ダハーカです」
邪龍の筆頭格を2匹ともか?
「まだ、チームと呼べるような形態ではないですけどね。あぁ、あと僕の中に【赤龍帝】ドライグ、【白龍皇】アルビオン、【無限創造龍】メリア、【幻想喰龍】ゾラート、【魔煌の絶禍龍】ネメシスのドラゴン5匹と、九尾の狐が1匹がいます」
いや、邪龍2匹でも、相当な戦力なのに…なんだ、その豪華なドラゴンの数々は…
「わかった。君のチームにシーグヴァイラ君を託そう」
「次の遠征先は、アースガルドですが、連れて行っても大丈夫ですか?」
「邪龍も一緒かい?」
「いま、確認中です。OKの返事を貰ったら、連れて行きます」
「たぶん、敵意が無ければ大丈夫だと思う」
「では、後ほど、僕の父さんが来ますのよろしくお願いします」
「誠殿か…しばらくぶりだなぁ」
「父さんも同じようなことを、言ってました。じゃぁ、僕はこれで失礼します」
そういうと、彼、イッセー君が転移していった。
---シュウ---
グレイフィアとシルヴィアを甦らせた。僕の魔力が完璧に戻っていないので、回復魔法が充分に掛けられない。しばらくは、生命維持装置に入れて、外傷などは自己治癒力で治してもらおう。精神ダメージは、もう少し待ってね…エロ行為も待っていてね。まだ性欲器官が再生されていない…しくしく