---イッセ---
違う世界の自分に出逢うのは、妙な気分である。師匠とあがめるシュウさんの勧めで、他の世界で自分に足りない部分、自分の弱さを見つめて鍛えることを念頭に、シュウさんのガード対象、この世界の兵藤一誠の影武者になることにした。
この世界の自分は、優しい顔立ちで、女性経験がないそうだ。自分と違う。俺は、どっちかというと、シュウさん並の性癖だから…まぁ、誇れることではないけど。
これからの住まいになる家は、シュウさんの本拠地ほどではないが、見事なカオスっぷりだ。それにいい女もいっぱいいるし…って、この世界では極力性欲を抑えよと、課題を出されているけど。
「よろしくお願いします」
イッセーが手を差し出してきたので、握手した。
「あぁ、よろしくな」
「そうそう、イッセ。イッセーは穏やかな顔付きだが、お前より強い。それが感じとれたかな?」
コイツが俺より強いだって?全然わからないや。
「わからないのか?それがお前の弱点だ。相手の強さを読み取れらず挑む、そういう所を直してほしい。器的に見ても、イッセーの方が上だ。ハイブリッド人間なイッセは、ドラゴンの器に魔人の血を持つイッセーには、劣るんだよ。まぁ、そういうことを読み取れないイッセーはステレス性もあり、良い点なんだけど」
ドラゴンの器に魔人の血?いや、魔人ってなんだ?俺の世界にはいなかった種族だぞ。
「ただね、イッセにもイッセーよりも優れている部分もある。女性の扱い方、エスプレイへの情熱とか。僕的には買っている部分だよ」
笑顔でそう言うシュウさん。買っている部分が…少し凹む。
「イッセー、女性問題はイッセに相談してみな。経験豊富だからな」
もっと戦闘関連で認めて貰わないと…トレーニングルームに向かう俺。
---シュウ---
白音とギャスパーとオーフィスが、僕の前に来た。
「どうしたんだ?」
「お兄様も学校に通えばどうですか?」
白音の口から、僕の想像を超える提案がなされた。
「僕が?なんで?」
「お兄様は、高校を卒業してませんよね?出席日数も少ないし」
そういえば、高校1年の秋に天界で暴れて、高校2年の秋に異世界に飛ばされたんだっけ。
「お兄様の最終学歴って、中学卒業ですよ。それでいいんですか?」
良いも悪いも、学歴に関係無い仕事だし…
「小猫ちゃんは、シュウさんもハイスクール生活を満喫してほしいんですよ。シュウさんが通えば、オー君と忍ちゃんの暴走の抑制になるでしょうし」
う~、確かにハイスクール生活は満喫したいなぁ…でも、イッセに示しがつかない生活になりそうだしなぁ。
「もう一人にも同じ提案してあります」
もう一人?僕と同じ中卒ってことか?誰だっけ?って、考えこんでいると、僕の隣に転移陣が現れて、見知った人物が転移してきた。
「ヤマト、どうしたんだ?」
「もう、シュウさんが高校に通うから、暴走しないように補佐してって…はぁ、確かに僕も中卒ですけど」
あ?僕とヤマトも高校へ?誰の発案だ?
「私の発案よ」
って、白音達の後ろから黒幕が現れた。
「リアス!なんで、また…」
僕の世界のリアスは、勝ち誇った顔で、僕らに説明しだした。
「二人とも、楽しいハイスクール生活を送って来なかったでしょ?シュウもヤマト君も復讐をするための日々だったし。だから、この際だから、この世界でハイスクール生活を満喫してほしい。あなた達二人なら、多少の壊滅的な状況でも楽しめる技量があるだろうし」
いや、紅髪が言っていることは正しい。僕もヤマトも反論を挿む余地がなかった。
「ヤマト君のことはリアさんから相談を受けたし。彼女の家、悪魔の傲慢さのせいで、ヤマト君を復讐鬼にしてしまったことに、今も心を痛めているの。私は同じリアス・グレモリーとして、彼女の想いを実現してあげたいのよ。シュウの第1夫人として、命じます。鷲尾ヤマトは、シュウ・ヨハネ・鬼門と共に、この世界の駒王学園で、ハイスクール生活を満喫し、兵藤一誠君をガードしなさい」
紅髪には命令権はないのだが、言っている意味はわかるので、僕もヤマトも頷いていた。きっと、リア同様、リアスも心を痛めていたのだろう。
「あと、ヴァイラからシュウへ伝言。たまには帰ってきなさいって」
帰っていいの?
「シュウの家は、私達の世界のアウロスの家でしょ?帰りなさいよ。ヴァイラだけでなくて、みんな心配しているんだからね。ヴァイラもだいぶ精神が安定してきているし」
で、言いたいことを言い終わると、仕事があるからって、自分の世界に戻っていった。僕の本妻、紅髪リアス。
---イッセー---
高校生組が呼び出されて、シュウさんから爆弾発言が飛び出した。
「シュウ・ヨハネ・鬼門と鷲尾ヤマトも駒王学園に通学することになった」
はぁ?一番の問題児でしょ?シュウさんって…小猫ちゃんから聴いた話だと、シュウさんはあまり学校に通っていなかったそうだ。いや、我が家にクラスメートは何人いる状態なんだ?カオスすぎるハイスクール生活が始まろうとしていた。
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そして、入学式。集団登校状態の僕達。集団登校なんか小学校以来だな。入学式の式典。配られた式次第の通りに進行していた。だが、突然シュウさんから、警戒を示すオーラが流れ出した。何に反応したんだ?
壇上にはソーナさんと知らない男子生徒がいた。生徒会からの祝辞だそうだ。ソーナさんが生徒会会長で、知らない男子生徒は生徒会副会長だそうだ。名前は鳴神一成と紹介されていた。
シュウさんから念話で連絡が届いた。
『鳴神一成は人工生命体の完全体だ。なんで、ここにいるんだ?』
っと…死んだじゃないかったの?完全体って…そんな僕らの動揺を読み取ったのか、その鳴神一成から念話が僕達に届いた。
『話し合いが必要だな。式典、オリエンテーションが終わったら、お前らのボスだけ、生徒会室に来い』
と。こんな場所で戦闘になったら、この学校だけでなく、付近一帯は壊滅するだろうな。
式典が無事?に終わり、僕達のクラスの教室に向かう。席順は自由と黒板に書かれていた。
なので、教室の後ろの方を陣取る僕達。
そんな僕達に視線が…うん?知った顔がいる。
「エステスさん、カリンちゃん、久しぶり」
知り合いに声をかける僕。
「この学園に通えば、また会えるかなって。あの時はありがとう。命を救ってくれて」
と、エステスさんにお礼を言われた。
「ねぇ、なんで…鬼畜がいるの…」
カリンちゃんは震えていた。あっ、浮遊大陸で鬼畜とよばれているシュウさんとクラスメイトになったからだな。
「シュウさんは、鬼畜だけど、優しいから」
「優しい?ダウトよ!」
「ねぇ、何をされたの?」
「言えないことよ~」
僕はシュウさんに近寄り、
「カリンちゃんに何をしたんですか?」
って、尋ねてみた。
「うん?あっ…浮遊大陸で会った少女かぁ。空を飛びたいっていうから、上空3万メートルくらいまで連れていって、空中遊泳をさせて、地面すれすれで助けただけだよ」
それは鬼畜な行為でしょ…
「鬼畜な行為かもしれない。でもねぇ、飛べる能力持ちであれば、生命に危機が迫ることで、能力が現れるんだよ。その点、彼女は飛行能力はないのがわかった。それを彼女の両親に伝えたら、なんか怒られちゃって、戦闘になったんだけど、誠の古い知り合いみたいだったから、半殺しにしてから回復してあげた。あと、わかったことは、あの親子は、杖がないと魔法を行使できないようだ」
シュウさん的には親切心からだったのね。いやしかし、ヤリ方が…
「はぁ~い、私語は止めてね」
担任となる先生が来たようだ。
「このクラスを最低1年間担当する、シルヴィア・ルキフグスです。よろしくね」
「え?シルヴィア叔母さん?なんで…」
突然、リアスが声を上げた。リアスの叔母さん?
「リアス・グレモリー。学校では、叔母さんと呼ばないで。先生と呼びなさい」
ルキフグスって…あっ、リアスの義理のお姉さんのグレイフィアさんと同じ姓だ。
「理事長であるサーゼクス・グレモリーの奥方が、私の妹になります。このクラスの一部生徒の複雑な問題も把握していますので、何かあれば、私に相談してくださいね」
って、先生の視線はシュウさんに向けられていた。
「先生、クラスメイトの自己紹介とかはないんですか?」
って、窓際の前の方にいるクラスメイトから質問があがった。
『イッセー、あいつが、お前の従兄弟の式森和樹だ』
って、シュウさんから念話が届いた。僕の従兄弟?式森姓だと母さんの兄弟の子供かな?
「う~、それは難しいかな。自己紹介したい人はいるかな?」
誰も手を上げない。
「じゃぁ、挨拶代わりに戦いたい人はいるかな?」
って、言うと後方を占めていた僕を含む一団が全員手を上げた。
「どうする?式森君。彼らのお相手をしてくれるかな?」
「いいですよ。式森流の魔術をお見せします。全員相手でも良いですよ」
って、すごい自信だな。僕達全員を倒せたら、ラスボス認定されると思うんだけど…
「全員は無理だな。戦闘用の仮想フィールドの強度が足りない」
って、シュウさん。
「式森君、僕達の中には魔法の類いが効かない者もいるが、肉弾戦をできるのかな?」
「式森流の魔術が効かない?ふざけたことを言うなよ」
「一香は僕に一度も勝てていない。その意味はわかるよな?式森家次期当主さん。わからないようであれば、次期当主の座は返上するんだな」
事実、僕の母さんはまだシュウさんに勝てたことはなかった。
「一香叔母さん?お前は何者だ?」
「はいはい、そこまでにしてね。教室では。じゃ、戦闘フィールドで話し合ってきなさい」
って、式森君とシュウさんが強制転移されていった。僕達の目の前にあった黒板が、仮想フィールドの様子を写し出した。戦闘観戦用のモニタにもなるのか?
---シュウ---
目の前の獲物は、言葉を発することなく転移後すぐに、幾重にも魔法陣を展開しだした。僕は慌てることなく、彼の展開していく総ての魔法陣の内容を書き換えて、無効化していく。アジやルフェイに比べたら、展開速度は遅く、書式も分かり易く、無効化作業がしやすい。
「なんだ、たった50個か?思ったよりも少ないなぁ」
アジやルフェイクラスだと、瞬間で数百くらいは展開してくる。
「え?なんで発動しないんだ?」
目の前の獲物は、自ら展開した魔法陣が、まったく発動しないことに慌てていた。
「だから、言っただろう?お前に足りないのは、実戦経験だ。この程度の実力では生き残れないぞ」
僕は『マホトーン』を唱えた。
「お前…何をした」
「式森君の魔法を封じ込めた。次の一手はどうするんだ?肉弾戦か?」
彼は空間から剣を取り出したが、手にした瞬間に消滅した。
「なんでだよ…」
「もしかして、エクスカリバーを魔法で生成しておいたのかな?残念だな。僕の仲間が本物を持っているから、同化吸収されたんだよ。で、次の一手は何かな?」
頭を項垂れて、小刻みに震えていた。悔しさからか?コイツからは恐怖を感じているオーラは感じられないし。
しばらく、考え込んでいた彼は、詰んだことを実感したのか、土下座をした。
「すみません。負けです。大口を叩いて、申し訳ありませんでした」
彼は光に包まれて霧散した途端、次の相手は転移してきた。誰だ?こいつは?
「神城龍牙です。お相手をしてもらいましょうか」
あぁ、九十九屋の弟か。お手並み拝見かな?
「なぁ、お前も兄貴と同じでエロ好きかな?」
「僕は兄とは違う。ファフニールよ、力を貸してくれ」
彼は黄金色のフルアーマーを纏った。
「おい、ドラゴンの宿る鎧か?ドラゴンでは僕には勝てないぞ」
ドラゴンマスターとしてのオーラを鎧に放つと、鎧は解除されて消滅した。
「なんで?ファフニールよ、どうしたんだ?」
『龍牙、相手が悪い。目の前の者はドラゴンマスターだ。まして、アイツのバックには…』
「バックには何があったんだ?」
「知りたいのか?知ったら死ぬぞ。良いか?入学式の日に死んだら、元が取れないと思うけどな」
龍牙の目の前に獣門を4つ発現させた。門から漂ってくるオーラを感じとり、顔が青ざめていく龍牙。
「なるほどな。お前ら兄弟は、神族と人間のハーフのようだな」
「なんで、それを…」
「この獣門にそういう反応を、するのは神族の血だよ。神族が好物のアイツらの門だからね」
「まさか…神喰狼…」
「正解だ、龍牙。どうする?門が開けば、魂まで喰らうぞ。ふふふ」
溜息をついた龍牙。
「降参です。兄の指示通り、兵藤一誠君をガードします」
あぁ、兄のエロ談義仲間の力を知りたかったのか?発現させた獣門を撤収した。では、教室に戻るか
「シルヴィア先生、帰還させてください」
僕達は教室に戻った。
---イッセー---
式森君が戻って来ると、悔しさからか机を叩いていた。魔法に自信があっただろうに、あんな負け方じゃなぁ。1つも発動出来ずに、完全封殺されたから。
2試合目も、シュウさんは手を出すこと無く勝った。貫禄勝ちってところだな。3試合目に名乗りをあげている戦闘狂の仲間達。それを静かにさせたのはヤマトさんだ。
「ここでやらないで、家でやれ!学校の施設を壊すつもりか?文句のある奴は、僕がこの場で相手をしてやる。どうする?」
って。仲間達はヤマトさんの能力を知っている。家での鍛錬で、少なくても一度は体験することになっているからだ。勿論、勝てた者はいない。
「ありがとう、鷲尾君。教室内が静かになったわ」
って、先生に誉められたヤマトさん。そうこうする内にシュウさん達が戻って来た。
「お待たせ。ヤマト、問題は起きなかったか?」
シュウさんが仲間達を見回すと、一部あたふたとする者がいたりしたが、
「問題はないです」
というヤマトさんの言葉に救われた感じになった。
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クラス委員を選ぶことになり、僕ら以外の者にその職を押し付けた。数の暴力というか。委員長は葉桜清楚さんという女の子、副委員長は式森君に。
そして、今日は解散となった。シュウさんとヤマトさんは生徒会室に向かった。残った僕達は、旧校舎に行くように前もって言われていた。そこが僕達の学校での拠点となるらしい。
「ねぇ、イッセー君、一緒に帰りましょうよ」
シアさんが声をかけてきた。
「いや、まだ帰れないよ。部活動するみたいだから」
「何部?」
「オカルト研究部よ」
って、リアス。
「なんで、リアスがしゃしゃり出てくるのよ?」
シアさんがリアスを睨む。
「私が部長だからよ、シア」
二人で言い合いになっている。そんな二人を見ていた僕は、急に肩を掴まれた。
「君が兵藤一誠君か?」
僕のガード役のイッセが臨戦態勢に入っていた。肩を掴んだ人物を見ると式森君だった。イッセを腕で制して、
「そうだよ。従兄弟なんだってねぇ。僕達は」
「それは、初耳だな。ちょっと色々聞きたいことが、あるんだけど、一緒に来てくれるかな?」
「一人で?」
式森君を注視している仲間達。それに気づいた式森君は、
「出来れば…あ…出来ないのであれば、ガード役を二人位までなら、連れてきても良いけど」
って。僕はシュウさんに、事情説明する念話を送り指示を仰いだ。羽川さんとアポ君と一緒に行けと指示が来た。イッセにも指示が行ったようで、少し距離を開けてガードする旨の念話が届いた。
---シュウ---
「で、なんで。お前が副会長なんだ?」
生徒会室の奥にある生徒会会長室で、ソーナと鳴神、ヤマトと僕で話し合いをしていた。
「俺は、もう戦えない。お前に器を破壊されたようなものだからな。そこで、生き残る手段として、戦闘能力を総て破棄して、生命力に変えたんだ。そんな俺をシトリー家が拾ってくれて、ソーナの側近として雇ってくれたんだ。で、ソーナが会長になるなら、側近の俺が副会長になるのは当然の流れだと思わないか?」
「ソーナ的にはどうなんだ?」
「どうって…イッセー君に害が及ばないように、シトリー家で監視するのは務めかなって。戦闘能力はまったくないけど、索敵は役立つし、難しい問題が起きた場合の相談相手にもなるし、問題ないと思います」
「問題ないなら、このままでいいか。でも、問題を起こすようなら…」
「わかっている。お前の戦闘力は理解している。手は出さない、絶対にな。俺的には長生きして、いろいろ体験したいだけなんだ。だから、お前らにも協力をする。約束するから」
それなら、いいか?ヤマトに視線を向けると、「いいんじゃないですか」って感じで頷いていた。
「でも、シュウさんが学生として入学するなんて、ウルトラCですよね。ラスボスが現れても安心だわ」
って、ソーナ。
さてっと、イッセーの元に向かうかな。