---イッセー---
「で、下僕である私達は何をすれば良いの?」
メイビスさん達が僕を睨んでいた。僕が下僕になれって言った訳じゃないのに…
「台所廻りと、部屋の掃除、あと洗濯かな?」
「はぁ?それは召使いの仕事よね?私達は下僕って言われたのよ!」
う~、下僕って持ったことないから…
「どういう仕事が良いですか?」
逆に質問をする僕。あきれているメイビスさん達…
「色々あるでしょ?う~そうねぇ、例えば夜のお供とか…きゃっ♪」
真っ赤な顔をして顔を隠すメイビスさん。
「性の奴隷ってヤツですか?う~、僕はそういうのを持ったことないし…どうしよう…」
困った…
「もしかして…未経験なのか?」
ルシファーさんが聞いてきた。
「いや、そんなことはないですが…自分からは…はぁ…」
凹む僕。
「なるほどな。私達をお前の下僕にした理由が、なんとなくわかったよ」
と、ルシファーさん。
「え?どういう理由なんですか?」
「お前を女性慣れさせる為なんだろう。残りの二人は、そっち系は問題ないみたいだし」
あぁぁぁ…いや…獲物を狙うような目付きで僕をみるルシファーさん。
「これから、毎日日替わりで相手をしていく。助けられた恩だ。いいなぁ、みんな」
ルシファーさんが、僕の代わりに役割分担をしてくれたみたいだ。
---メイビス---
イッセー君とイッセ君の鍛錬の様子を見ている私達下僕一同…二人とも、龍化をしての手合わせを続けていた。飛び交うドラゴン特有のオーラ。まともに喰らったら消滅するような威力だ。
「あんなに強いのに、なんで強くなろうとしているの?」
二人の鍛錬を見守るクリス君に、尋ねてみた。
「目標としている人が、立ち止まらないで鍛錬を続けているから」
目標って絶対神様よね…比べちゃダメでしょ?
「僕達の目標の人は、僕達と違って戦闘スキルを全く持たずに産まれたんだ。でも、その後、護りたい存在を護りきる為に、努力を重ね、色々な物を失って、強くなったんだ。僕達は、その精神を忘れてはいけないし、見習わないといけない」
「ふ~ん。そうだ、ロキと何か因縁があるの?」
戦争に乱入して、私達を殺そうと者、悪神ロキの話になると、怒りを露わにする彼ら。
「シュウさんとメイビスさんを狙撃したのは、アイツだ。そのせいで、二人は僕達の前から消えたんだ」
並行世界の私は、ロキに狙撃された…
「実際は狙撃では、なかったらしいけど、タイミング的に狙ったのは確かだ。色々な世界でロキは敵だ」
怒りに震えるクリス君を、後ろから優しく抱きしめるルシファー。
「この世界では、私がお前らを護る。だから、気にせず、やりたいことをやり遂げなさい」
並行世界とは言え、孫ができた訳だからな。
「孫?今もいるでしょ?ひ孫もいるはずですが」
と、クリス君。呆気に取られたルシファー。
「孫はリリンに殺されて、リリンはひ孫に殺されるだろうな…」
「マジかぁ…なぁ、ひ孫と孫を救えないか?」
ルシファーがクリス君に頼む。
「居場所がわからない。いや、駒王町にいるかな…たしか、一誠の友達になるはずだったから…おぃ~イッセー」
鍛錬中のイッセー君を呼ぶ。
「どうしました、クリスさん?」
子供姿になり戻って来たイッセー君。
「お前、ヴァーリと子供の時に、友達だったよな?」
「そうです。ヴァーリとオー君と…そうだ、朱乃さんを助けなきゃ~」
取り乱し始めたイッセー君。朱乃さん?誰だ?
「落ち着け、イッセー。まず、ヴァーリを救う。そのあと、姫島朱乃・朱璃を助けに行こう。で、ヴァーリはお前だけで救え。僕とイッセはルシファー家の者だから…リリンに対して躊躇してしまうと思うんだ。だから…」
「了解です」
「問題は、どう探すかだ。イッセー、ヴァーリの自宅を覚えているか?」
「覚えています」
「今から行って、ここに連れて来い。頼むぞ!」
「はい!」
イッセー君は、トレーニングルームから出て行った。
---イッセー---
久しぶりの駒王町。行方不明になっているので、誰にも見付からないように、ヴァーリの自宅に向かう。たしか、この家だったかな?表札が出ていない家。中から、血の臭いがするような。もう始まっているのか?僕は、急いで家の中に入った行った。
リビングらしき部屋は血に染まっていた。リリンの前には恐怖の表情をしているヴァーリがいた。ヴァーリの前には彼女の両親の死体が転がっている。僕にも優しかったおじさんとおばさん…それが、無残な姿で転がっていた。
「ヴァーリ、大丈夫か?」
「い、一誠君…来ちゃダメだよ…」
感情の籠もらない声で、僕に声を掛けてきたヴァーリ…顔は涙と血で塗れていた。
「おい、ヴァーリに何をしちゃがる?」
「ほぉ~、ハナタレヴァーリのくせに、ボーイフレンドがいるとはなぁ」
ヴァーリに向けて、デカイ魔法陣を展開したリリン。僕は、ヴァーリの前に立ち塞がる。
「ダメだって…一誠君…」
「ハナタレヴァーリと共に消えろ!」
発動された魔法。僕はそれを受け止めて吸収する。
「何?魔法が効かない…貴様、何者だ?」
屋根を突き破り、特大の魔法陣を僕達に向けて展開してきた。あんなにデカイとヴァーリを護れない…。僕はヴァーリを抱えて、その場から転移した。
---アザゼル---
駒王町の一軒家が、前触れ無く大爆発を起こした。誠殿の家といい、この町では争いが起きているようだ。何が蠢いているやら。現場検証をすると、人間1体、ハーフ悪魔1体の死体が出て来た。誠殿の家では悪魔2体、堕天使1体だったなぁ。悪魔とどこの勢力が戦っているのだろうか。この街を取り仕切っているグレモリー家に聞かないとダメかな?
---イッセー---
ヴァーリの身体を、ルシファーさんにお風呂で洗ってもらった。埃、血液、涙などで、汚れていたから。洗い立てのヴァーリの身体をチェックして、怪我を治していく。
「一誠君…ありがとう…」
布団に横になり、少し落ち着いたヴァーリに言われた。
「ごめん、遅かった…」
おじさんとおばさんは救えなかった。ルシファーさんは、ヴァーリの傍にいて、優しい眼差しで彼女を見ていた。
「すまない…私の息子のせいで、君にも、イッセー君にも嫌な思いをさせてしまって…」
「あなたは…」
言葉に詰まるルシファーさん。
「ヴァーリ、彼女はルシファーさん。君のお祖母さんだよ」
「お祖母さん…」
笑顔で頷くルシファーさん。
「ここは?」
「僕達の家…今日からヴァーリも一緒に住むことになる」
「一緒に?」
「ダメかな?」
「嬉しい…一誠君に毎日会える…」
ヴァーリに笑顔が戻った。
------
数日後、朱乃さんを救出に向かう。朱乃さんの家の周囲に式神を展開させて、侵入者をチェックしていたのだが、侵入者を確認したと、式神より連絡が入った。
僕達は朱乃さんの家に向かう。僕が転移したのは、朱乃さんの前、刀が振り下ろされた瞬間だった。僕は、身体で朱乃さんを庇った。
「え…一誠君…」
「朱乃さん、助けに来たよ」
斬られた身体が痛いけど、再生能力でなんとかなるかな?
『ゾラート、ネメシス頼む!』
ドラゴン2体を召喚して、朱乃さん、朱璃おばさんの周囲に防御結界を張った。
ゾラートとネメシスが、襲撃者達を屠っていく。僕もエクスカリバーを手にして、飛ぶ斬撃で敵を屠っていく。動く度に治りかけた傷口が開いて痛い…どうにかならんか?
『イッセー、俺を纏え!』
アルビオンが助け船を出してくれた。僕はアルビオンを纏った。そして、
『ハーフディメンジョン』
を発動して、敵を小さくしていく。これって、動かないで良いので、傷口が塞がっていくのが良い。小さくなった敵はネメシス、ゾラートが屠っていった。
『イッセー、床下に行ったぞ』
イッセさんから念話が届いたので、結界に入れたままの朱乃さん親子と共に、空に飛び出した。ゾラートとネメシスが僕をガードするように、飛び出してきてくれた。
『イッセー、このまま転移をするぞ!』
クリスさんから指示が入ったので、朱乃さん親子と共に転移をした。
-------
傷口は塞がったけど、激しく動くと開くので、鍛錬は禁止にされた…クリスさんからの反省点を言われた。転移する前に鎧を着て行けと。確かに、鎧を着ていれば、こんな怪我しなかったよね…とほほ…凹む僕。
僕をルシファーさんと少し元気になったヴァーリが看病してくれた。朱乃さんもショックから立ち直ると、看病に参加してくれるように。
クリスさんから朱璃おばさんに、現況と今後の事が話合われた。しばらく、ここで一緒に暮らして、信用できる勢力と友好関係が築ければ、その勢力の統轄する地域に、戻すという事らしい。
「バラキエルは信用できます」
バラキエルさんは朱璃さんの旦那さんで、朱乃さんの父親だ。
「でもなぁ、あそこのトップが信用できない」
バラキエルさんは堕天使組織の幹部で、その組織のトップはアザゼルという堕天使である。
「確かに…アザゼルは…」
言葉にキレがなくなる朱璃おばさん。
「アザゼルには痛い目に何度も合わされたからな」
っと、イッセさん。何回か実験台にされた経験があるそうだ。
「どこの組織が信用できるんだ?」
クリスさんは悩んでいる。
---アザゼル---
今度はバラキエルの家が襲われた。家は大破していた。家の中には襲撃者達の死体がゴロゴロ。バラキエルの嫁と娘がいたはずなんだが、二人の遺体はなかった。攫われたのか?
立て続けに起きる大規模な襲撃事件。現場のある駒王町を管轄するグレモリー家と魔王、堕天使、天使の各勢力のトップが集まり、情報をまとめることにした。どこかの勢力が情報を隠している可能性もあるが、なるべく穏便に事を進めないとな。
---イッセー---
傷が癒えてきたとある午後、僕は駒王町にある公園にいた。ベンチに座り、まったりとしていると、傷だらけの白い仔猫が寄ってきた。僕は仔猫を抱き抱えて、傷を癒やしてあげる。かわいいなぁ。飼おうかな…ヴァーリや朱乃さんも喜んでくれるかな、などと考えていると、女の子二人と大人の女性がやってきた。
「あぁ、可愛い猫さんだぁ~」
僕から仔猫を奪い取る紅髪の少女。
「何するんだよ。人の物を取るなんで、泥棒だろ?」
僕は、彼女に抗議をした。
「はぁ?ここはグレモリー家が統轄する町よ。ここにあるものは全部、グレモリー家の物なのよ」
「はぁ?何言っているんだ?おかしいだろう?」
彼女に抱かれた仔猫も嫌がっているようで、彼女を引っ掻いた。
「痛い!何するのよ!お前なんか、消えてしまえ!」
滅びの力を具現化して、仔猫に攻撃をしようとする彼女。
『強奪』
僕は、仔猫を取り戻して、優しく抱きしめる。
「サイテーな女だな。お前は」
「能力持ちなの?私の眷属にしてあげるわ」
紅髪の少女が悪魔の駒を取り出して、近づいてきた。
「もう、やめなさい。リアス!」
お付きの女性が、リアス・グレモリーの行動を止めた。
「はぁ?シルヴィアはお付きのメイドでしょ?命令しないで頂戴!」
もう一人の黒髪の少女は、成り行きをあたふたとして見ているだけだ。
「お前は何様だ?総て、自分の物?強欲にも程があるだろ?」
「人間風情が、何を言っているの?私はグレモリー家の次期当主なのよ」
あぁ、この紅髪ならば、あの悲惨な未来は訪れるなって思った。
「グレモリー家のお嬢様、では一緒に来て貰いましょうか?」
突然数名の悪魔、堕天使が現れた。はぐれだな。
「あなた達は?」
「あなたのお兄様に頼まれまして、お連れしろとね」
リアスは、はぐれ悪魔の放った鎖で拘束された。お付きのシルヴィアと、黒髪の少女、たぶんソーナも一緒に。僕にも鎖が飛んで来たが、ゾラートが防いでくれた。
「ほぉ、お前は能力持ちか?どこの勢力だ?」
僕は仔猫を服の中に入れて、聖剣を手にした。
「名乗る程の者ではないです。彼女達を解放してください」
「はぁ?お前一人で何ができるんだ?俺達上級悪魔と堕天使相手に何が出来る?」
飛ぶ斬撃を放ち、はぐれ悪魔を灰にしていく。
「聖属性の攻撃だと?お前は天使サイドか?」
上空から、はぐれ一行様に向けて、聖なる矢の雨が降り注ぎ、はぐれ悪魔はすべて灰に、はぐれ堕天使は大怪我を負った。
『サーゼクス達が行ったぞ、撤収してくれ』
って、イッセさんから連絡が入り、僕はその場から転移した。
---アザゼル---
三勢力で会議している時に、大規模な戦闘が起きたようだ。俺達は現場に向かった。そこには大量の聖なる矢が刺さったはぐれ堕天使の集団と、泣いているグレモリー家、シトリー家のお嬢様と、呆然と立ち尽くすグレモリー家のメイドがいた。
「何が起きた?」
グレモリー家から輩出された魔王のサーゼクスが、メイドのシルヴィアにきいた。
「助けてくれた…リアスが理不尽なマネをしたのに…あの子が私達を助けてくれた…」
「あの子って、誰だい?」
「知らない男の子。能力持ちの人間。はぐれ悪魔をすべて灰にしてくれた…」
悪魔を灰に?天使サイドか?天使長のミカエルを見た。
「いや、僕は知らないです。配下の者に人間の男の子っていないし…」
「サーゼクス、これではっきりしたな。はぐれ悪魔、堕天使の集団とどこかの勢力が争っているってことだ」
「あぁ…問題はどこの勢力で、俺達の味方なのか、敵なのかだな」
「敵ではないだろう?お前の高飛車な妹を助けたんだぞ。そうだろ?」
「そうだな。どこの勢力か、心当たりはないか、アザゼル?」
魔王サーゼクスが俺に意見を求めてきた。
「聖なる矢を使えるのは天使だけだ。俺達堕天使は光の矢だからな。だが、天使サイドが悪魔を助けるのもおかしな話だな」
見当がつかない…いや、ついている。たぶん、みんなもある人物達の顔が浮かんでいるはずだ。
「生きているってことか?誠殿、一香殿、一誠君親子が…」
「それしか考えられないだろ?たぶん、狙われているから、姿を出せないのだろう」
「シルヴィア、男の子は一誠君だったのか?」
「分かりません…もっと小さい時にしか会っていませんから」
「そうなると、朱乃達は一誠と一緒かな?」
---イッセー---
家に帰り、服から仔猫を捕りだして、抱きしめた。
「ごめんね、怖い思いをさせて」
「かわいい、猫さんだぁ~♪」
ヴァーリが、仔猫を優しく抱きしめた。
「どうだった?イッセー」
クリスさんにきかれた。
「あの紅髪だと、あの結末も納得です。この世界のリアスって、横暴すぎます」
「そうか…悪魔サイドはダメだな。天使サイドか、残るのは…」
天使サイドは…シュウさんの敵だからなぁ…たぶん、クリスさんもイッセさんも、その事が頭にあるので、踏み込めないようだ。
「あと、どこの勢力がある?」
「闇雲家は?」
「この世界には無いみたいだ」
無いのかぁ…
「このままでもかまいませんよ」
っと、朱璃おばさんが声を掛けてきた。
「ここで、皆さんと暮らすことに不満を持っていません。朱乃のお友達の一誠君、ヴァーリちゃんもいるし、ここなら安全ですしね」
「私もお母さんと同じです。ここで一緒に暮らすことに不満はありません」
と、朱乃さん。
「私も…優しいお祖母さんに出逢えたし、毎日一誠君と会えるんだもの、むしろ嬉しいし」
と、ヴァーリが、仔猫の毛を撫でながら言った。
「だけど、いずれ、どこかの勢力と手を組まないとなぁ…」
クリスさんが頭を抱えていた。
「ねぇ、バラキエルおじさんと手を組むのは?」
と、僕が声をかけた。あることを思い出したのだ。
「堕天使とか…でも、アザゼルがなぁ…」
「アザゼル対策の呪文を思い出したんです。シュウさんに、この呪文でアザゼルの精神を破壊できるって♪」
「あぁ…あれかぁ…」
イッセさんも思い出したようだ。
「あれを唱えれば、並行世界から来た証明にはなるな」
「イッセー、交渉に行けるか?」
「はい」
------
そして、僕は朱璃おばさんと、バラキエルおじさんに会いに行った。
「朱璃…」
おばさんの姿を見て、おじさんは泣き崩れた。
「もう、泣き虫なんだから♪」
おじさんに抱きついたおばさん。
「で、おじさん。なんで、一人で来てくれなかったの?約束違反だよ」
「うん?一人で来たはずだが…アザゼル、お前…」
予想通り、カモが付いてきた。
「悪いとは思ったが、どんな勢力かなって、興味があったんでね。すまないな、バラキエル」
「ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード総督らしいですね」
一瞬にしてアザゼルの顔から血の気が失せた。威力抜群だ♪
「おぃ、今なんて言った?」
「オツムが弱くなりましたか?ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード総督♪これの意味わかりますよね?ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード総督なら、僕の正体も大体ね」
「あぁ…まさか…並行世界から来たのか?」
「正解です。ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード総督」
「なぁ、頼む。もう言わないでくれ…俺の黒歴史…」
「なんなら、その当時のイラスト入りの詳細図もバラ蒔きましょうか?」
「降参だ…そちらの条件を飲む…」
威力抜群で心が折れた堕天使のトップが凹んでいる。
「僕達の条件は友好関係を持てる勢力を作ることです。その際、僕達のことは秘密にしてもらいます。いいですね!」
「わかった。そちらの条件は総て飲むから…」
「了解です。少しでも約束を破れば、アザゼルさんの身は破滅と思ってください♪」
「まず、どうすれば良い?」
「秘密が漏れないような会合場所を作って下さい。あとの条件、話はその後です。他の勢力が感づいたみたいなので、これで失礼します」
「じゃ、あなた、またね♪」
僕と朱璃さんは転移した。
---アザゼル---
「おい、アザゼル。誰と密会だ?」
魔王サーゼクスが声を掛けてきた。
「バラキエルだ」
目の間には呆然と立ち尽くすバラキエルがいた。
「お前達は、こんな場所で密会する間柄ではないだろ?おい、どこの勢力と話をしていたんだ?」
「なんの話だ?どこの勢力とも話はしていない。それよりも、お前らは俺達を張っていたってことか?」
ここ、バラキエルの家のあった場所の周辺には、幾重にも結界が張られていた。アイツらが張ったようだ。その結界を破って侵入してきた悪魔達。
「朱璃と朱乃を攫った勢力と交渉すると踏んでいたんだ。で、どこの勢力だった?」
言えねぇよ。こっちは黒歴史を握られているんだからな。
「おい、お前ら悪魔が朱璃達を襲ったんじゃないのか?」
バラキエルが突然キレた。
「何を言っているんだ?俺達が何で?」
「お前の妹は、結構強引に眷属を作ろうとしているそうじゃないか。俺の娘も狙ったんだろ?誠殿、一香殿の息子さんも狙った可能性があるよな?現場には必ず、悪魔の死体があるのはどういう訳だ?」
確かに、それは一理ある。
「おい、サーゼクス。こいつの妄想は正解なのか?」
「ハズレだ。確かに妹は強引な事をしている。だが、それは悪魔として当然の行為だ。悪魔とはそういう生物だからな」
「で、朱乃を狙ったのか?一誠君を狙ったのか?貴様ら…」
手を出そうとしたバラキエルを止める。
「止めろ。ここで、二度と血を流すな、バラキエル!」
「そうだった…とめてくれて、ありがとう、アザゼル。だがなぁ、お前ら悪魔の傲慢さは許さないからな!覚えておけ!」
「アザゼル、一つ言って置く。もし、朱乃君、一誠君を眷属にすることがあったら、魔王の名において、解放する。これは約束する。妹の傲慢さは、俺の目にも余る部分がある」
---イッセー---
僕の目の前には緑の髪をした男性がいた。
「で、君の話を信じろと?」
「信じて貰う他ないです」
何か、信じて貰える証拠の品ってないかな?記憶をフル回転で精査していく。何か…あっ…そうだ。
僕は、今や僕の愛用の装備となった、ライトニングナックルを取り出して、お見せした。
「これは?」
「僕の師匠が、義理の父親に貰った物です」
目の前の男性が、僕のお見せした装備を、何かの装置で調べた。
「信じられない…でも確かに、これには俺の印が内部にある。これは、間違えなく俺、アジュカ・ベルゼブブが作った物だ」
彼は、大事そうに装備を返してくれた。
「信じよう、君の話を。そうか、俺は並行世界で父親になったのか。複雑な気持ちだよ。そうだ、信じた証を君に与えるよ」
僕の額に何かの印を記してくれた。
「俺の印だ。君はアジュカ・ベルゼブブの息子だ。いいよね?これからは、イッセー君と呼ぶことにする」
「嬉しいです。憧れの人と同じ父親が持てるなんて♪」
「で、どうすればよいかな、イッセー君」
「このままだと、最悪なシナリオから出られないんですよ。最悪、アジュさんが失脚されるかもしれないし」
「それは由々しき事態だ。避けたいなぁ。リアス・グレモリーの教育かぁ。どうするかな…」
--------
家に帰り、今日の収穫をクリスさんに報告した。
「そうか、アザゼルとアジュカさんの信用は得たのか。あとは、天使サイドだな。メイビス、誰か信用できるヤツいないか?」
「ミカエルか、ガブリエルかな?話しやすくて、信用できるのはね」
「でも、どこで接触しましょうか?」
僕は問題を提起した。天使一人だけにどう接触すれば良いのだろうか?天使って、地上に遊びに来ないよね?
「天界で警備がうるさくない場所はある?」
クリスさんが、メイビスさんに尋ねた。
「えぇ~無いよ~」
「エデンの園はどうなっている?」
「エデンの園?荒れているかな?あぁ、あそこは警備が手薄かな?」
「イッセー、エデンの園だ。転移座標をナヴィから手に入れておけ」
「了解です。で、どうやって、呼び出します?」
僕とクリスさんでメイビスさんを見つめた。
「え?え?私?どうしろと言うのよ~。死んだことになっているんだよ?」
「なら、恨めしい声で呼び出してよ。あと、証拠の品は、メイビスの羽を1つもらって持っていけ」
僕はメイビスさんの翼から、羽を1つもらい、仕舞っておく。
数日後、転移座標を手に入れた僕は、エデンの園に転移した。
-------
エデンの園は荒れ果てていた。時間を持てあましていた僕は、メリアの力を借りて、整備をしていた。湖の底を掃除して、知恵の樹、生命の樹の廻りの雑草を取り除き、枯れ枝を剪定して整備をしていた。
「君かな?僕を呼び出したのは?」
振り返ると、穏やかな顔の人がいた。
「久しぶりにメイビス様の恨めしい声を聞いたよ」
僕はメイビスさんから預かってきた物を渡した。
「確かに、メイビス様の羽だ。それも最近取り出した物か。あの方は元気なのか?」
僕が周囲を警戒していたら
「大丈夫だよ。ここは今、僕しかいないことになっている。あぁ、僕は彼女の弟分でミカエルといいます。よろしくね」
「初めまして、僕は兵藤一誠です」
「そうか、誠殿の面影があるから、そうだとは思っていたよ。よろしくね、イッセー君。あぁ、ありがとう…エデンの園が見違えるようになったなぁ。そうか、手入れをしていんだな。ここって、聖域だから、手を入れていなかったんだ」
「僕の憧れの人のいた世界のエデンの園は、もっと清々しくて気持ちが良い場所です。ここは空気の流れが良くないですね。密閉しすぎかと思います」
「あぁ、聖域だから、ガチガチに閉じ込めてあったんだ。そうか、空気の流れが必要なんだな。で、僕達の出来ることは何かな?」
「最悪なシナリオを打破したいのですが、手がなくて…」
「この世界の悪魔は横暴だからね。して欲しいことは、気軽に言ってくれて良いからね。メイビス様の恨めしい声なぁ。なんか楽しそうなんだよ。まったく、あの人は演技ヘタだから、っふふふ。でも、助けてくれて、ありがとう。どんな形であれ、生きているのは確かだし」
「まだ、死んだ事にしておいてくださいね」
「了解だ。みんなの驚く顔が見たいからね♪」
ミカエルさんの部屋の転移座標を教えて貰って、帰宅した。
-------
「ミカエルはどうだった?」
メイビスさんが、帰ると直ぐに寄ってきた。
「どうって、お茶目そうなお兄さんでした」
「いや、お茶目が取り柄なんだが、ちゃんと仕事ができているか心配でね」
「う~、そうですね。似たもの姉弟って感じかな?」
「そう?じゃ、大丈夫そうね♪」
どうなんだろう?あのエデンの園の荒れ方はちょっとなぁ…
あれ?ここにはいないはずの人がいる。なんでだ?
「なんで、白音さんが?」
その人がビクっとして、僕の方を見た。
「なんで、私の名前を知っているんですか?」
なんでって…あれ?僕を知らない白音さん…どこから来たのかな?なんか、若返っているけど…
「一誠君の連れて来た仔猫だよ、その人」
ヴァーリが教えてくれた。え?あの白猫が…
「助けてくれて、ありがとうございました。でも、なんで、私の名前を知っているんですか?」
クリスさんと目が合うが、スルーされた…
『自分でどうにかしてね。予定外なんだから』
って…
「う~んっと…僕の憧れている人の妹さんにそっくりだったから…」
って、誤解されそうかな?
「それって、黒歌姉さんに憧れていたの?」
「違います。白音さんのお兄さんです」
「他の世界では、私には兄がいるんですか?」
『並行世界から来たことは知らせてある。後は、頼む』
っと、クリスさんから念話が。後はって…白音さんを僕の部屋に連れて行く。何故か、ヴァーリと朱乃さんも付いてきたけど…そして、部屋にしまってあるアルバムを取り出して見せた。
アルバムにはシュウさんと写っている物や、作戦の合間や、鍛錬の合間に撮影されているの物がある。
「この人が僕の憧れの戦士だよ」
と、シュウさんを指差した。その隣の写真には鎧を纏ったヴァーリが写っていた。
「え?私も戦士なの?」
と、ヴァーリ。
「うん、君と違って戦闘能力持ちだから。でも、君は戦士でなくて良いから。家で待っている人になってね」
僕の言葉によって、顔を真っ赤にして俯いてしまったヴァーリ。しまった。また、誤解されてしまう。
「私って大人になるとこうなるんですね♪」
っと、白音さん。
「私は…変わらないみたい…」
と、朱乃さん。いや、胸が大きくなっていくよ…とも、言えず。
並行世界では、オリジナルの(改)の登場勢力に近づける予定です(^^;
なので、バカ親義兄弟は出ないです。。
印象深かった、リアスの母親の驚くシーンが書けるといいなぁA^^;