---イッセー---
懐かしい駒王町に家ができた。広さは、僕の世界の家と同じくらいだ。しかし家の造りが多少違っていた。1階部分には玄関が二つある。1階部分はグレモリー家の持ち分で、ジオティクスさん、ヴェネラナさん夫妻が冥界から移り住むという。そして、僕達の住居部分は2階から上で、地下にはトレーニングルームを完備している。
この仕様にクリスさんは戸惑った。しかし、ヴェネラナさん、リアスの粘り強い説得で了承して、クリスさんは、グレモリー一家と共に住むこととなった。
高校への通学組は、僕、兵藤一誠の他、リアス・グレモリー、ヴァーリ・ルシファー、イッセー・ルシファーである。リアスは死亡した事実を魔王様達の協力でなかったことにして、留学扱いで、僕と同じ学年になった。
「ルシファーを名乗るのはどうなんだろう?」
っと、ヴァーリが疑問の声を上げた。
「本名でいいんじゃないかな。イザイヤとトスカは日本名を名乗らせるけど」
と、クリスさん。
しかし、朱乃さんと木場、トスカは同化吸収したことで、この世界の時間軸よりも、見た目の歳が上になった為に見送られた。
「賑やかで楽しいな」
と、ジオティクスさん。ヴェネラナさんより、事実を知らされ、クリスさんの心を癒やすことに協力したいと申し出てくれた。両親、妹に囲まれた生活に戸惑うクリスさんであったが、徐々に心穏やかになれていった、
高校入学まで、後半年という時間軸で、ソーナ、セラフォルー姉妹がグレモリー家を訪れた。クリスさんは2階へと避難をしてきた。
---リアス---
「リアス、今までどこで留学をしていたの?」
ソーナが心配そうな顔で、私に質問をしてきた。セラフォルー様を見ると、申し訳なさそうな表情である。
「人間界の色々な場所よ」
予め、聞かれるであろうことは、問答練習をしていたので、口ごもることなく答えられた。
「何の為の留学?」
「人間の考え方を学ぶ為よ。これから3年間、大学まで進むと7年間は人間界で生活するんですもの」
「ふ~ん。で、リアス、眷属集めは順調かしら?」
「眷属?集めていないわ。必要ないもの」
「なんで?」
不思議そうな顔をするソーナ。
「では、ソーナは何で眷属を集めているの?」
逆に質問をした。今の私には眷属を持つ権利はない。もし、有っても、集めないだろう。今の処遇に満足している。イッセーの眷属であることが、今の私の自慢出来ることだし。
「そうね…レーティングゲームに勝つ為かな。それによって、悪魔としての地位も上がるし」
「私はレーティングゲームに興味がないの。王である者は、戦わないで済むのも不公平だし」
ここでの暮らしで、考え方は変わった。王であるならば、部下を護る為に強くならないといけないものだと、理解したから。イッセーの師匠は、今も鍛錬を続けている。仲間を失いたくないという理由で。
「不公平って?王である者は、指揮力が試されるんだと思うけど」
「目の前で眷属が痛めつけられても、そう言えるの?」
「そうならないように、眷属を鍛えるのよ。それも王の手腕の見せ所だと思う」
たぶん、ソーナの考えとは並行線のままだと思う。彼女のように、悪魔の世界しか知らないのは幸せだろうか?自分には害が及ばない戦いをする…今の私には出来ないことだ。
「ねぇ、じゃぁ、ソーたんの眷属と、リアスちゃんのチームで戦ってみたら?」
って、セラフォルー様が提案をしてきた。父上、母上の顔は怪訝な顔付きになった。
「戦力を探るんですか、セラフォルー様?」
セラフォルー様の目的は、チームクリスの戦力を、見極めることのように思えた。
「考えすぎだよ、リアスちゃん。どちらの言い分が正しいか、ゲームでケリをツケたらって思ってね」
クリス兄様に念話で確認をする。兄様も私と同じ見解のようで、乗る気ではない。
「私はいいですよ。リアスのチームと戦います」
ソーナはやる気があるみたいだ。セラフォルー様はアジュカ様を呼び出し、ゲームの準備をしている。
「リアス君、いいのか?」
アジュカ様に確認された。
「乗る気がしません。セラフォルー様の策略のような気がしますから」
「リアス、机上の空論で、私にあれこれ言っていたの?人間界に留学して、口だけ達者になったのかしら」
ソーナから言われたくない言葉を言われた。机上の空論?そんなことは無いけど…思い悩んでいた私の隣に、兄様が来てくれた。兄様は私の頭を優しく抱きしめてくれ、
「売られたケンカは買えと、団長に言われていますから、ソーナ・シトリーよ、そのケンカは買う。ハンデ無しでいいよな、セラフォルーよ!」
「おい、クリス君。殺すなよ」
と、アジュカ様が兄様に言った。
「全力で戦わないと失礼になると思います。ですので、やるからには全力でやります」
「はぁ?誰?あなたは?」
「僕はクリス・グレモリー。リアスの兄です」
兄様から初めてそう言われた。何か嬉しい気がする。
「リアスちゃんの兄?サーゼクスちゃんだけでないの?」
セラフォルー様が、父上、母上に視線を移した。
「サーゼクスはグレモリー家を出た者だ。今の私達の夫婦の息子は、クリスだけですよ、セラフォルー様」
父上は穏やかにそう告げた。
「アジュカさん、仮想フィールドの準備をしてください。ルールは総力戦でお願いします」
「わかった…セラフォルーよ、結果がどうあれ、恨むなよ」
アジュカ様はいくつかのモニタ用の魔法陣を操作して、仮想フィールドを作り上げていった。
「駒王学園を模したフィールドにした。クリス君の本陣は旧校舎、ソーナ君の本陣は生徒会室にした。参加者を転移してくれ」
アジュカ様は、仮想フィールドへ向かう転移陣を二つ発現した。
「リアス、行こう」
クリス兄様と仮想フィールドに転移した。
---クリス---
作戦タイムは30分。その間に作戦を伝える。
「参加者のポジションだが、
【王】僕、【女王】ギャスパー、【戦車】姫島朱乃、トスカ、【僧侶】白音、ヴァレリー、【騎士】イッセー、イッセ、【兵士】リアス、祐斗、クロウ、ヴァーリ、アジとする。作戦は、開始直後にギャスパーが『時間停止』をしてくれ。相手の力量を知りたい。動ける者がいるのかどうかだ。リアスとヴァレリーをトスカの結界で護れ。祐斗、クロウ、アジ、白音さんは結界周辺のガードだ。朱乃は、椿姫の長刀に雷撃をしてくれ。イッセーとイッセはドライグのカウントを今から始めて欲しい。開始直後に敵の本陣にドラゴンショットを倍化の加護で増幅して、同時に撃ち込んでくれ。この世界の仮想フィールドの強度を知りたいからな。後、ヴァーリはイッセー達のガードだ。要らないと思うけど、用心の為だ。開始前だけど、攻撃メンバーは、空中で待機だ。以上」
「「了解!」」
攻撃陣は空へと飛び出した。
---セラフォルー---
アジュカちゃんの発現させた、観戦用モニタの魔法陣を見ている。リアスちゃんのチームのメンバーがよくわからない。
「メンバー表を貰うのを忘れたわ」
と、呟く。
「で、ファルビウムに報告でもするのか?」
アジュカちゃんの視線が冷たい。
「いや、今後の為に知りたいじゃないの」
「何の為だ?刺激しないで欲しいと伝えたはずだが」
「刺激なんかしてないわよ。リアスちゃんの考えが間違っていることを、教える為の処置よ」
突然、空気が重くなった気がする。なんで?
「今度はなんだよ~。イッセー達はいないのか?アジュカさん、説明してくれるかな?」
知らない子供が現れた。いや、一誠君の小さい頃にソックリな子供だ。
「すまない…シトリー眷属が、クリス君のチームにレーティングゲームを仕掛けてしまったんだ」
アジュカちゃんが、その子供に謝っていた。なんで?どうしてよ~
「この世界のシトリー姉妹もバカ姉妹なのか?もう、睡眠の度にこれじゃ…安眠したいのに」
「本当にすまない」
アジュカちゃんは丁寧に頭を下げている。何で?
「もしかして、クリスの…」
ヴェネラナさんが声をかけた。
「この世界のグレモリー夫妻は、優しくて誠実な方々で良かった。クリスがお世話になっております。一応、アイツの上司のシュウ・ヨハネ・鬼門です」
「もしかして、神シュウ様ですか?」
ジオティクスさんが声をかけた。えっ?神…
「いや、僕は神であることを否定して生きています。単なるエロ好きの子供ですよ」
神であることを否定?何を言っているのだ、この子供は…
「シュウ様…俺はあなたと同じ時を生きたい。願いを叶えてもらえませんか?」
アジュカちゃんがトンでもないことを言い出した。あ…アジュカちゃんの憧れの者って、彼なのか?
「アジュカさん、魔王であるうちはダメです。この冥界を良くすることに注力をしてください。代が代わり、引退をされたのであれば、受け入れはするようにしますから」
「わかりました。全力で彼らをサポートします。ですから、お願いします」
「わかった。で、供物にそこのバカ魔王を喰っていいかな?」
私を指差す少年…はぁ?私を喰う?どういうこと?
「手荒なことはしないでくださいね」
アジュカちゃんは、拒否してくれなかった。次の瞬間、どこかに強制転移された私。
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「この世界のセラフォルーはどんな感じなんだ?」
目の前に、あの子供が立っていた。
「お前は何者だ?」
「名乗る程の者じゃない。その程度の存在だよ」
私は目の前の得体の知れない子供に、氷系の魔法を撃ち込んだ。しかし、真面に直撃したはずなのに、平然としている。なんで?
「僕には魔法攻撃は一切効果無いよ。魔法しか攻撃の手段の無いセラフォルー、お前には負けることは無い」
と、告げられた。魔法が効かない?何者だ、コイツは…
肉弾戦を仕掛けて行く。接近戦は得意ではないだけで、出来ないわけではない。パンチやキックを放っていくが、これも効果が無い。なんだ、コイツ…
「僕には物理攻撃は一切効果が無いよ。息を切らしているみたいだけど、無駄な努力だよ。ふふふ」
魔法も物理攻撃も効かない?どうすれば、ダメージを入れられるのだろうか?言いし得ぬ恐怖が襲ってきた。背筋に冷たい物が走る。少年の姿が変容していった。人間の子供の姿だったのだが、目の前にいるのはガタイの良い鬼がいる。しかも、天使の翼を展開していた。
「鬼で…天使…有り得ない…」
「ねぇ、純血悪魔であるセラフォルーが、聖属性である僕に抱かれるとどうなるかな?興味津々なんだけど、ふふふ」
こ、殺される…こないで~
彼の両手が私の胸に伸び、乳房を鷲掴みにした。えっ…服も下着も透過をして、素肌を鷲掴みにしている。彼の手の平から聖属性のオーラが感じ、ピリピリしている。恐怖がぶり返してきた。言いし得ぬ恐怖…何やら興奮し始める私の身体。
「ふ~ん、この局面で、グジュグジュになっているようだけど」
胸を鷲掴みにしたまま、私を持ち上げ、下腹部の臭いを嗅いでいる鬼…
「止めて~嗅がないで~」
目の前の鬼に対して、泣き叫ぶ私。
「ねぇ、ここに聖属性の肉棒を突っ込んだら、どうなるかな?興味津々なんだけどさぁ、ふふふ」
「お願い…止めて~」
命乞いをする私。
『ホーリーニードル(聖なる針)』
彼が呪文を唱えると、身体中の筋肉が弛緩をしていき、悶々としていく。
「聖なる針をさぁ、悪魔の女性の性感帯の感度を上げるツボに撃ち込んでみた。効果テキメンだね」
聖属性のオーラを纏った針の刺激で、私の身体は大変なことになっていた。
「あっ…止めて~」
私の中に彼の肉棒がゆっくりと入って来た。聖なるオーラを纏った肉棒の刺激が、たまらない。なんとも言えない刺激で、抵抗することができない。むしろ受け入れているのかも。
「痛っ…あぁ…あぅ…」
目の前が真っ白になっていく…
---アジュカ---
ゲーム開始直前になって、彼とセラフォルーが帰ってきた。セラフォルーの姿は見るもおぞましい姿になっていた。涙、鼻水、ヨダレで、汚れきった服。何をされたのだろうか?黒髪だった彼女の髪の毛は真っ白になっていた。どんだけ、恐怖をもらってきたのか。
「そろそろ、開始かな」
彼がきいてきた。
「えぇ、そろそろです」
システムモニタ用の魔法陣のタイムカウンターが、ゼロになったところで、アナウンスをした。
『作戦タイムは終了。ゲームを開始だ!』
しかし、ゲームは一瞬で終わってしまった。ソーナ君の本陣が跡形もない状態で破壊されたのだ。何が起きたのだ?
「つまらない結果だな…アジュカさん、僕は帰るよ。ドエス上司、つまらない事で転移させるなよ」
っと言い残し、彼は転移していった。
ソーナ君とシトリー眷属は全員、医療機関に強制転移したようだ。あの一瞬で、ソーナ君だけでなく、眷属も倒されたようだった。
転送陣から、クリス君達が戻って来た。
「父様と母様の前で、勇姿を見せられなかった」
凹むクリス君。
「兄様、ソーナ達が弱すぎたのよ」
と、リアス君が宥めている。グレモリー夫妻は、そんな二人の子供を暖かく迎えた。
「アジュカさん、こういう展開は、もうカンベンしてくださいね」
っと、一誠君に言われた。
「そうだね…たぶん、もうケンカは売らないと思うよ」
俺は、部屋の片隅に置かれたセラフォルーを差した。
「君達の師匠が来てね、セラフォルーはあのザマだよ」
「えっ…団長が来たんですか?また、キレていたんでしょう」
俺は苦笑いをした。
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一誠君達の家から立ち去り、セラフォルーを医療機関に運び込んだ。その足でソーナ君達の元を訪れた。
ゲーム開始後、2,3秒で全滅させられたことに、ショックを隠せないソーナ君。
「信じられない…なんで負けたの…」
負けたことを受け入れられないようだ。
「ソーナ君。これに懲りて、もう彼らと戦おうと思うなよ」
と、釘を刺しておく。
「彼らは何者ですか、アジュカ様」
「戦ってはいけない者達だ。戦闘力の次元が違いすぎる。セラフォルーも重体だよ」
「えっ?お姉様が…」
目を見開いて驚くソーナ君。
「あぁ…あんなにボロボロなセラフォルーは初めてみた。彼らの師匠と戦った結果だ」
「どんな状態なんですか、お姉様は…」
負けたことよりも、姉の状態にショックを受けたようだ。
「髪の毛が…真っ白になっていた。余程、怖い思いをしたんだろうな。怪我とかはしていないようだ。恐怖心に飲み込まれたようだよ」
「そんな…魔王なのに…」
彼らから見たら、魔王なんか、ちっぽけな存在だよ。
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意識が戻り、退院をしたセラフォルー。魔王の間に呼び出して、何が起きたのかを、俺、サーゼクス、ファルビウムの前で話してもらうことにした。
退院したセラフォルーの髪は、染め上げて黒髪にはなってはいた。
「何をされたんだ?」
軍事担当のファルビウムが質問をした。
「聖属性の攻撃でいたぶられた…私の魔法も接近戦も効かない…攻撃が一切効果なかった…私のフルバーストさせた魔法を受けても平然としていたよ、アイツは…」
「セラフォルーのフルバースト魔法を受けてもか?」
ファルビウムが驚きの声を上げていた。
「魔法攻撃、物理攻撃、どちらも効果無しと言われた。完璧な防御だわ…攻撃手段が浮かばない」
一誠君達の師匠の防御力…防御力というには語弊がある。攻撃無力化の能力持ちなのか?
「彼の身体は、あらゆる物を透過できるみたい。服や下着を透過して、素肌を触られた。それも聖なるオーラを帯びた手や肉棒で…」
セラフォルーの目は遠い処を見ているようだ。精神がだいぶやられているようだ。
「アジュカ…彼らは何者なんだ?セラフォルーをここまで破壊するって…」
ファルビウムの顔からは血の気が失せていた。体験談を聞いただけでも恐怖心に襲われるって…
「だから、言っただろう。戦ってはいけない勢力だと。セラフォルーのようにイタズラに刺激するのが、一番危険だと思う」
サーゼクスは、死を予感させるオーラを思い出したのか、顔色が悪い。
「危険だと思わないのか、アジュカは…」
「彼らを危険視する者の方が危険だと思う。仕掛けなければ、何もしてこない。ケンカを買うことがあっても、売る事はしない。そういう勢力だ、ファルビウム」
「なぁ、もし、冥界の全勢力で戦ったとして、勝てるのか?」
「もし、この星にいる者が全員で戦っても勝て無い。彼らは一人でも星を1つ壊滅できる能力がある。今、この世界に来ているのは、彼らの一部だ。もし俺達の方から戦いを挑み、彼らの本隊が来れば、一瞬でこの星は無くなると思う」
「そんなヤツラが、なんで、この世界に来たんだ、アジュカ!」
「それは…時期が来れば、彼らから話すことだ。俺からは言えない」
「ファルビウムよ、魔王なんか彼らから見たらちっぽけな存在だよ」
と、サーゼクスが穏やかに言った。
---イッセー---
グレモリー夫妻は、僕らの父さん、母さんのような存在になっていた。僕達には両親がもういない者が多かったから。グレモリー夫妻の深い愛情に癒やされていた。
「なんか、子供が増えたようで、楽しい毎日だ」
と、ジオティクスさん。クリスさん、ヴァーリの過去を聞いて、涙ぐむこともあった。
「悪魔はなんとも酷い生き物なんだな。冥界で暮らして居た時には、気づかなかった。それが悪魔として、当然のことだと思っていたからな」
っと、過去の行いを反省するようなことも言う。
「それが、悪魔ですから…父さん、母さん、過去に囚われないでください。って、僕の言える話ではないですけど」
と、未だに過去を引き摺るクリスさん。
「過去は消えないよ。でも、これからどうするかが大事だと思います」
とヴァーリ。
そんな感情豊かな毎日を過ごしていた、僕達の前に、ソーナ・シトリーがやってきた。
「先日は失礼をしました。完敗です。どうしたら、あなた達のように強くなれますか?」
と…
「まず、悪魔至上主義を捨てろ。それからだ」
クリスさんが伝えた。悪魔が一番強くて偉いって考えでは、強くはなれないから。
「実際問題、悪魔より優れた種族っているんですか?」
僕達にケンカを売るような言葉を口にするソーナ。
「種族の優劣ではない、個々の考え方だ」
相手のペースに乗らずに、冷静な返答をするクリスさん。
「では、悪魔がより優れた種族ってことで良いのですね?」
「ソーナ・シトリーに問う。悪魔のどこが優れていると言うのだ?」
「全てよ。貴方のような悪魔では無い者にはわからないかな?」
「はぁ?僕は純血悪魔だけど?それすら読み取れないとは、お前は失格だな」
「えっ?」
驚くソーナ。クリスさんは聖属性のオーラを纏っているから、悪魔とはわからないんだろうけど。
「そうよ、クリスは悪魔よ、ソーナ・シトリーよ」
ヴェネラナさんが口を挟んだ。
「まさか…」
「相手の素性が読めないのに、それでも優れていると言うお前は、優れているのか?」
「あなたは、天使じゃないの?」
「僕は純血の悪魔だ。両親の名前は言えないけどね」
「なんで…どうして…悪魔なのに、聖なるオーラが纏えるの?」
「だから、僕は最強の純血悪魔なんだよ。この場で君を消し去るのは容易だよ」
顔から血の気が失せていくソーナ。
「しいて言うならば、僕の知っている一番優れた種族は、鬼と天使のハーフだ。これに勝る種族は見た事がない」
「鬼と天使のハーフ…」
「その次に来るのは、神と人間のハーフかな」
「有り得ない…そんな種族は…」
僕達にとっての現実を受け入れられないソーナ。まぁ、禁忌な組み合わせだからね。
「有り得ないと思うのは、悪魔が一番優れていると思っているからだ。現実はもっと残酷なんだよ。僕だって、師匠と呼べる賢者様にお会いするまで、悪魔が一番優れていると思っていた。そういう教育だからね、冥界って」
クリスさんにとっての賢者…異世界から飛び込んで来たシュウさんだ。
「賢者…」
「そう賢者様だ。僕の知らない世界を知っている、そして、僕の一番の理解者だ。僕は冥界で疎まれていた。純血悪魔なのに、天使の翼を持っているからね」
クリスさんは、ソーナの目の前で天使の翼を展開した。目を見張って、クリスさんを見るソーナ。クリスさんは翼を閉じた。この場にはソーナ以外に悪魔が、たくさんいたから。
「そうだな、血から考えさせてあげるよ。シトリー家の者が、ルシファー家の者に勝てると思うか?この家にはルシファーの血を持つ者が3名いるんだが…」
見張った瞳に恐怖の色が浮かびあがったソーナ。
「その僕らが言うんだよ。悪魔が一番優れた種族とは言えないとね。シトリーの者が言う言葉より、ルシファーの者が言う言葉の方が真実味があるだろ?」
「ルシファーの者…リリン以外にいるはずがない」
「それは、誤認だ。真実は全て表に出るとは限らない。悪魔至上主義って、表に出せない情報は闇に葬るんだよ。僕を冥界から追放したように…」
クリスさんの目には怒りの色が浮かんでいるようだった。
「ダメ、クリス兄様」
リアスが、クリスさんを優しく抱きしめる。
「お願い…そういう目をしないでください…」
グレモリー夫妻もクリスさんを抱きしめた。
「ソーナ・シトリーよ。これ以上、クリスを苦しめないでくれるかしら?まだ、やるのであれば、私、ヴェネラナ・グレモリーが相手をします」
「いや、私がやる。私はヴァーリ・ルシファーだ。リリンの孫に当たる。相手にとって不足はないだろう?」
ヴァーリが名乗りを上げた。
「ヴァーリ、お前はイッセーのガードだろ。こういうのは、俺の役目だ。俺はイッセ・ルシファーだ。この世界ではない冥界のルシファー家の現当主だ。これ以上の相手はいないだろ?」
「この世界ではない…それって…」
「僕は違う世界から来たんだよ、ソーナ・シトリーよ」
イッセさんがカミングアウトした。