---アザゼル---
「うん?イッセーを朱乃の家に遊びに行かせたいって?」
「あぁ」
「何か起こるのか?」
「あぁ、アイツの初仕事だ。紹介してくれないか」
「留学の話はどうなったんだ?」
「なしだ。ここで修行をさせると、冥界、天界に存在がバレる可能性が大だから」
「そういうことなら、しょうがないか」
「初日に調べたければ、調べろよ」
特務機関の団長は捨て台詞を残して転移していった。
その3日後、イッセーがグリゴリに来た。
「よく来たな。イッセー。大歓迎だぜ」
朱乃の父親のバラキエルには、特に事情を言わず、イッセーを2,3日泊めて欲しいと頼んだ。朱乃と同い年くらいだったから、OKはすんなり貰えた。友達のいない朱乃の気分転換になれば嬉しいらしい。
「まず、身体検査だ」
「うん?神器を調べるの?」
「よく分かったな」
「シュウさんが、アザゼルおじさんのすることを予想していたよ」
ちっ、アイツ…
「僕の神器は、『神愛護珠』『時空・次元航路』『赤龍帝の籠手』『白龍皇の光翼』『強奪』『無限創造龍の錫杖』『幻想殺しの籠手』の7つ。宿るドラゴンは、【赤龍帝】ドライグ、【白龍皇】アルビオン、【無限創造龍】メリア、【幻想喰龍】ゾラート、【魔煌の絶禍龍】ネメシスの5匹で、あと九尾の狐が1匹だそうです」
「シュウが調べたのか?」
「はい、僕の魂から聞き取りをしたそうです」
あっ、ネクロマンサーだったなぁ。グリゴリへの留学は確かに意味がないみたいだ。
「赤と白がいて…最強クラスのドラゴンばかりかぁ」
「僕なんかまだまだです。シュウさんのドラゴンにネメシスが謝っていましたもの」
あ?邪龍筆頭のネメシスより上?
「確か…リヴァって呼ばれていたかな?」
リヴァ?それって、リヴァイアサンかぁ。おぃおぃ…
「でもドラゴンの順位が変わって、今一番強いのは、真龍と龍神の子供だそうです」
はぁ?グレートレッドとオーフィスの子供がいるのか…アイツのチームの戦力が知りたいぞ!
「それで、僕の初仕事の場所へ案内してもらえませんか?潜入先の人達と仲良くなるのも鍛錬のうちって言われてきました」
潜入?いっぱしのコマンダー気取りか?俺は、バラキエルを呼び出した。
「よぉ、バラキエルよ。この子を2,3日預かってほしいんだ。頼むぞ」
「わかった。朱乃に話したら喜んでいたよ。イッセー君だっけ?さぁ、行こう」
バラキエルとイッセーが転移していった。
---バラキエル---
我が家の玄関を開けると、朱乃が走ってきた。
「この子がイッセー君?私、朱乃。よろしくね」
イッセー君と朱乃が握手をしていた。朱乃の後からは朱璃が現れた。
「この子を2,3日預かることになった。頼むな、朱璃」
「はい、あなた」
「イッセー君を、頼むぞ。俺は仕事に戻らないといけないんだ」
俺は、グリゴリに戻った。
---朱璃---
朱乃の喜びようはすごかった。イッセー君はそんな朱乃に、タジタジで目が泳いでいるようだ。
「朱乃、少しは落ち着きなさい。イッセー君は来たばかりなんだから、一息休ませてあげなさいね」
私が口を挟むと、朱乃はイッセー君がタジタジになっていることに、漸く気づいたようだった。
「ごめんね。お友達が来るなんて、初めてだったから…」
「いえ、喜んでもらえて嬉しいです」
一緒におやつを食べた後、バトミントンとか鬼ごっことかをして遊んだみたい。外から帰ってきた二人にお風呂に入るように言った。
---イッセー---
朱乃さんとお風呂に入ることになった。女の子とお風呂なんて初めてだ。いや、もっと小さい時にイリナと入って以来だけど、あの頃は異性を感じない年頃だったので抵抗はなかった。でも、今は…
「イッセー君、身体を洗ってあげる」
朱乃さんに身体を洗ってもらう。視線が朱乃さんの胸に行ってしまう。背中を洗って貰っている時に、とても柔らかい物が背中に押し当てられている感じがした。
「あのぅ~」
「気持ち良い?私の胸の感触って」
後ろを振り向くと、笑顔の朱乃さんがいた。断ると、雰囲気が悪くなる気がしたので、なされるままでいる僕。
「今度は私の胸を洗ってね♪」
え?胸?それは…泡立てたスポンジで胸の谷間、乳房、乳首を洗っていく。時々艶めかしい声が聞こえて、動揺する。
「今度は背中の翼を洗ってね」
翼…それならライザーさんの翼を洗っていたので、経験有りです。
「なかなか、翼を洗うのがうまいのね」
「学校で先輩の翼を洗っていましたから」
身体の泡を洗い流して、二人で湯船に入った。朱乃さんの柔らかい胸、ももが触れて気持ち良いです。
「どんな学校なの?」
「戦士育成学校です。護りたい人を護れるようになりたいから」
「ふ~ん、いいなぁ。私も通いたいなぁ」
あれこれ朱乃さんと話していたら、いつの間にか抱きつかれていた。
「イッセー君、今夜は一緒に寝ようね」
おぃおぃ、それって…脳裏に妄想が走り抜けていく。一応、学科で男女の営みを学んでいるけど…
お風呂から上がり、朱乃さんの翼を乾かすのを手伝う。ライザーさんの翼と構造が違うので、参考に色々見せてもらった。
「私の翼を隅々と見たのは、イッセー君が初めてだわ」
「種族によって、翼って違うんだって勉強になりました。ありがとうございます。僕の先輩はフェニックスなので、もう少し薄くて面積が狭かったです」
「不死鳥?イッセー君の学校って、異種共存なの?」
「はい、そうです。僕の目標としている人は、天使と鬼のハーフなんですよ」
「すごい有り得ない組み合わせなんだね」
「色々なハーフの方がいらっしゃいますよ。有り得ない人だと、天使の翼を持った悪魔とか」
「すっごい~。会ってみたいなぁ」
朱乃さんの目が輝いているようだった。この家でひっそりと暮らしているので、外の世界を知らないそうだ。そう考えると僕はとても幸せだ。他の世界を知ることができる。父さん、母さんやシュウさん達が色々お話してくれるし。
夕食を食べて、寝る時間になった。僕は朱乃さんの隣で寝ることになった。いつも寝るのは一人なので、1枚の布団に二人で寝るのはどうするのかを知らない。朱乃さんに言われるまま、朱乃さんの上から抱きつくように寝た。
朝、起きると僕の片手は、朱乃さんの胸を掴み、僕の口は朱乃さんの乳首を吸っていた。
「あらあら、イッセー君って、赤ちゃんみたいねぇ」
って、笑っている朱乃さん。僕はとても恥ずかしかった。
2日目、前日と同じように朱乃さんと遊ぶ。異常な事態は起きなかった。明日か?
3日目、気の流れが少し澱んでいる気がする。今日、何か起きそうだ。バラキエルさんが、グリゴリへ出かけた。午前中は何事もなく、朱乃さんと遊び惚ける。昼ご飯を食べて、二人で昼寝をして、おやつを食べて。ここまで楽しい時間を満喫できた。
けど、夕方、楽しい時間が終わりを告げた。突然、玄関が壊される音がした。僕は朱乃さんと朱璃叔母さんの前に立った。黒装束の者が数名雪崩れ込んできた。僕は、ゾラートの籠手と鎧を着て、黒装束の者から朱乃さん達を護る。刀で斬りかかれるが、ゾラートの能力で刃先を消滅させていく。ネメシスの能力で相手の動きを封じ込めて、ドラゴンショットで倒していった。
「この化け物が…」
僕の死角から斬りかかられた。その刃先を団長が受け流してくれた。
「イッセー。頑張ったな。最後まで気を抜くなよ」
「はい!」
僕は朱乃さん、朱璃叔母さんの安全を確保していく。そんな僕をカバーしてくれている団長のシュウさん。
「朱璃!大丈夫かぁ~」
玄関の方からバラキエルさんの声が聞こえた。グリゴリから援軍が来たようだ。
「イッセー!気を抜くな。こういう局面が危険なんだよ」
「はい!」
ガード対象の安全を確保していく。
「イッセー、朱乃を抱きかかえろ!」
シュウさんから指示が飛んだ。僕は指示通りに動く。それに伴って、鎧と籠手がドライグと交代した。シュウさんは朱璃叔母さんを抱きかかえていた。直後、畳の下から刃先が出ていた。床下から攻撃してきたようだ。
「ヤマト、床下だ。フェンリル親子を放て!」
会話用魔法陣に命令を下していくシュウさん。
「ライザー、制空権は取れたか?」
「取れたぞ」
ライザー先輩の声だ。
「ヤマト、そっちはどうだ?」
「床下の掃除は終わったみたい。お外の掃除も終わったよ」
「白音、敵の反応は?」
「半径2キロ、オールグリーンにゃん♪」
「作戦終了だ。撤収しよう」
僕は抱きかかえていた朱乃さんを畳に下ろした。
「イッセー君、護ってくれて、ありがとう!」
朱乃さんに抱きしめられた。そして…朱乃さんのファーストキスを頂いた。
そんな僕にも撤収命令が下された。
「ねぇ、また会えるかな」
別れの時、涙目の朱乃さん。
「もちろん。また会いましょう。もっと強くなって、指示されないで自分の力で護りたいです」
僕は手を差し出した。そして、朱乃さんと握手して、再会を約束をして、その場から撤収した。