---クリス---
和平会議も無事に終わり、次のイベントは、冥界でのレーティングゲームのデビューパーティーだっけかな?でも、リアスはあんな状態だし、見合わせて、夏休みは自宅で過ごそうと思っていたのだが、イッセが企画を持って来た。
「リアスに想い出をプレゼントしようと、冥界へは豪華列車で行き来しませんか?団長とも話しはついています」
と…
「豪華列車?僕の魔王専用列車よりもか?」
兄さんがイッセにきいた。
「ヨダレ物の豪華列車です。初代ルシファー専用列車と初代レヴィアタン専用列車と初代ベルゼブブ専用列車(改)ですよ♪」
「えっ…それは興味があるが、残存しているのか?」
「この世界には無いでしょうね。初代ルシファー専用列車は俺の世界から、残りの2つは団長の世界から持ち込みます」
「イッセ君…そんな貴重な物を持ち出して、大丈夫なのか?」
父さんが心配そうにイッセにきいた。
「大丈夫です。俺と団長の所有物ですし」
「「はぁ?」」
父さんと兄さんが、驚いたような表情で固まっていた。
「俺は俺の世界ではルシファー家の当主ですよ。団長は初代レヴィアタンとカテレア・レヴィアタンの主で、冥界の英雄として、養子に入ったベルゼブブの称号を得ています。問題無いです。だから、リアス、俺達と冥界に行こうぜ!」
「私の為に…あ、ありがとうざいます…イッセさん」
リアスはイッセにお礼を言い、頭を下げた。
「あと、2日もすれば、車両が届きます。それから、皆で冥界へ行こう♪」
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特別車両の話を聞いて、各勢力の者達が、一緒に同行したいと名乗りでた。
「この機会を逃したら、この先乗る機会がないだろう。だから、乗せてくれ~」
と、アザゼル。
「本来は冥界に行ってはいけないんですが…」
と、ミカエルさん。
父さんと相談した結果、僕達の他に、アザゼル、ミカエルさん、魔王4名、大王家、大公家の現当主とした。定員がそんなに多くはないって理由で。
出発前日、車両の内覧会を、冥界上層部の方を招待して、執り行った。
「クリス達の団長はすごいんだな…」
冥界に持ち込む前の団長所有の車両を見て、父さんが言葉を漏らした。レヴィアタン専用車両は繊細な置物が多数設置されていて、見ていて飽きない。
「露天風呂車両もあるのか…」
団長設計のベルゼブブ車両は、団長の好みをベースに、残っていた設計図から、改築する形で作られたようだ。
「うん?このバーラウンジは…」
初代ルシファー車両を見ていたアザゼルが、怪訝な顔つきになった。
「ここは拷問室だよ。俺の世界の初代ルシファーは残虐趣味で、悲鳴をBGMにお酒を飲んだらしい。だから、床には当時の血痕とか血だまりの痕とかが、あったり♪」
「その割には、明るい室内ですね」
室内のオーラを感じとったミカエルさんが、感想を漏らした。
「団長が浄化してくれました。一応、この列車で行く旅は、俺のルシファー家の稼ぎの柱でもあるのでね」
「君達の団長は、英雄なのか?」
冥界の上層部の方々にきかれた。
「まぁ、人それぞれの見方で違うと思います。善と悪は立ち位置により、逆の意味になるのと同じで。英雄と言う方もいれば、アザゼルのようにラスボスと言う方もいますからね」
と、説明する。そんな僕の説明を補足するように、
「旧魔王派の間で伝承されてきた、あの話ですよ」
って、義姉が説明すると、頷く方々。
「あぁ、あの英雄なのか…」
団長の話は、各勢力へと広まり、検証作業などがされていた。この冥界に於いては、旧魔王派の間で伝承されて来た話と一致する箇所が多いことから、ほぼ事実と認定されていた。
「英雄はどこに旅立ったんだ?」
「僕のいた世界です。数ある並行世界の1つに飛ばされたんです」
「そして、クリスと出会ったのね」
母さんが感慨深そうに言った。
「だが、彼のいた世界は寛容だな。その程度でベルゼブブの名を渡したのか?」
懐疑的な上層部な方。
「その程度ではないです。団長はリアス・グレモリー、ソーナ・シトリー、シーグヴァイラ・アガレスと結婚をして、リアスとの間に出来た子供が魔王になったんです。これって意味有ることでしょ?」
目が点のようになり驚く上層部の方。
「そうなると、義理の父、義理の兄、義理の姉、息子が魔王で、大公家の婿なのか…」
義理の姉が元魔王って言うのは、知らせていない。
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出発前夜、リアスに呼ばれた。彼女の部屋に向かう。
「クリス兄さん…シュウさんにお礼がしたい…」
って…え?危険が一杯だけど…
「たぶん惨たらしい死体だったんでしょ?顔なんか尋常では無いくら歪んでいただろうに。それを治してくれたんだよね?目を逸らさずに…」
まぁ、治療箇所から目を逸らしての治療は難しい。
「その上、あんなに貴重な車両を2編成も…お礼がしたい。どうすれば良い?」
どうって…淫獣に妹を差し出すのは気が引ける…どうしたもんかな。
『レーティングゲームに、出てくれれば良い』
って、団長からの念話が届いた。リアスを見ると、彼女にも届いたようだ。
「それではお礼になりません」
『それでいいんだよ、リアス。君の元気な姿を見せてくれ♪』
「そんな…私では供物になりませんか?」
はぁ?そんな覚悟を持っていたの?
『ごめん…弱々しい女性には手を出さないんだ。もっと強くなれ!そうしたら、僕の方から君が嫌がっても食べるよ♪』
って、団長らしい返事が届いた。
「そうか…強くならないとダメなのね…虐めがいが無いとダメってことよね。うん♪がんばって、虐めがいのある女になる~」
なんかダメダメな抱負を語るリアス。団長にかかわった女性って、なんでドエム化していくのだろうか?
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冥界への旅当日。プラットホームには、見送り?いや車両を見るために、大勢のギャラリーが来ていた。団長所有の車両は、既に帰りの為に、冥界へと移送されていた。車両に乗り込む、僕達とソーナの眷属達。
「私も良かったのですか?」
ソーナが尋ねてきた。
「いんじゃないの?セラフォルーさんが迷惑をかけているし」
団長に所払いをされた、団長の世界のセラフォルーさんは、ソーナの姉に同化吸収されていた。
客車部分に座り、発車の時を待つ。行きに使う初代ルシファー専用車両は、残っていた設計図からの復刻版で、当時働いていた者達から、当時と遜色の無い造りといわしめたそうだ。
スプリングなどが入っていない座席。腰に来そうだ。走り出さないと、他の車両への移動はダメらしい。準備中っていうのが理由なんだけど。
僕のいるボックス席には、僕の他、イッセ、リアス、ソーナがいた。リアスはノートに鍛錬メニューを書き込みながら、メニューをイッセに相談しているようだった。団長とする為に強くなりたいって、物好きだよな。
「クリスさん、私は将来どうすれば良いですか?」
ソーナが質問をしてきた。
「どうって?したいことをすれば良いと思うけど」
「はぁ~したいことが無いんです…リアスのように強くなりたいって気持ちが無いというか。リアスのような目に遭ったら、きっと私は戦いをしようと思わない」
まぁ、聖水プレイはきついだろうな。
「あの時、私は眷属を助けられなかった。リアスが代わりに、あんな目に遭ったというのに」
リアスに負い目を感じているソーナ。
「リアスに以前言われた、眷属を護れるくらい強い王になりたいって、わかった気がします。私は眷属を護れなかった。由良にも巡にも辛い目に遭わしてしまった。リアスにも…」
ソーナの言葉は、リアスの耳にも届いているはずだが、あえて聞こえていないかのように、イッセと話し込んでいる。
「僕は僕の世界でソーナ達の成長を見ていない。なので、助言できる立場では無いけど、団長の世界のソーナさんは強い人だった。苦境に喘いでも、愚痴をこぼすこと無く淡々とすべきことをこなしていた。今、団長の為に、一緒に戦える戦士を育てている。でも、君には君の進むべき道があると思うんだ。並行世界において、まったく同じ人って少ないと思うし。リアスがいい例だ」
ギロっと僕を睨むリアス。
「団長の世界のリアスさんは、ダメダメ悪魔だった。戦えない、指揮が執れない、回復は薬頼みで…でも、団長はそんなリアスさんを大切に思っている。イッセの世界のリアスは、悪魔に産まれたことを後悔している。イッセと同じ種族で産まれたかったと…そんなリアスがイッセは愛おしいんだ」
イッセの頬がピクついた。何か言いたいのか?
「僕の世界のリアス姉さんは、ダメな方へ行け行けな悪魔だった。眷属に相手にされず、眷属から信用されず、でもねぇ、僕には優しかった」
窓の外を見ると景色が流れていた。話し込んでいて、発進したことに気が付かなかったようだ。窓の景色に、記憶に残るリアス姉さんの顔を重ねて見た。
「副団長の世界のリアスさんは、悪魔としての理不尽な振る舞いを反省して、悪魔を辞めた…」
「ねぇ、その私は、悪魔を辞めてどうしたの?」
リアスが質問してきた。理不尽の果ての結果が気になるのか?
「生き物として生きることを止めた。アンドロイドっていう、機械人間になった。理不尽さで迷惑を掛けた副団長と、共に生きる為に、イレギュラーな存在となったんだ」
「…」
過去の理不尽さが頭を過ぎったのか、無言になって固まったリアス。
「世界によって、生き方は様々だ。この世界のソーナは、自分のやりたいように生きれば良い」
「やりたいように…シュウさんと共に戦いたいです」
「それは無理だ。ソーナでは戦闘力が足り無い」
「どうすれば、補えますか?リアスの眷属になれば良いですか?」
「えっ?私はイッセーの眷属だよ。私には眷属はいない…」
ソーナの言葉に、戸惑うリアス。
「はぁ?ソーナ。お前の眷属はどうするんだ?」
怒気を孕んだ言葉を浴びせるイッセ。
「お前を信じて、お前の眷属になった、アイツらを見捨てるのか?シュウさんは、そういう仲間に冷たい態度は嫌がるぞ」
そうだよ。誰よりも仲間想いの団長。仲間を死なせない為に、鍛錬を続ける団長。仲間を軽んじる行為は、ダメだよ。
「じゃ~どうすれば…」
顔伏せて泣いてしまったソーナ。どうするかな…
---イッセー---
ラウンジでまったりする。ギャスパーさんは、段ボールの箱に入り寝ている。白音さんは猫化して、僕の腿で寝ている。巡と由良が僕の肩に頭を載せて、寝ている。う~ん、僕は寝られる状況にはなかった。目の前のヴァーリから冷たい視線が…
「どういうことかな。イッセー君♪」
「どういうって…気づいたら、こんな状況に…」
「白音さんはいいとして、肩に載せている娘は?」
「う~ん…どうして僕なのかな?」
「何かしたのかな、君は♪」
楽しそうに僕を、言葉で苛めるヴァーリ。いつから、ドエスになったんだ?シュウさんの影響か?
「拷問ルームで、優しく拷問してあげようか?」
「え~っと…死んじゃいます…」
「死なない程度にだよ~♪殺したら、シュウさんに躾られちゃうもん♪」
いや、既に拷問にあっています。その刺すような視線…心が痛いです。
---アザゼル---
バーラウンジでグラスを片手にまったりと。ミカエルとこうして飲むのは久しぶりだ。堕天使になって初めてかな?しかし、拷問器具のコレクションが凄い。実際に使っていたのか、血がこびりついている箇所も多い。
「このお酒も、あの当時のですな」
と、アガレス卿。
「うん、懐かしい。天界から盗んできた酒を、こっそり飲んで怒られたっけ」
って、バアル卿。
「悪魔は列車で旅が出来るとは、羨ましい。天界じゃ、階段移動だしなぁ」
ぼやくミカエル。しかし、この拷問車両は窓が無い上に、防音だという。外の状況がまるでわからない。
「帰路のベルゼブブ車両の露天風呂車両が、気になりますな」
っと、グレモリー卿。あぁ、俺も気になる。混浴なのかな?シュウのだから、混浴な気もするけど…
「いや、レヴィアタン専用車両も興味あります。あの装飾は見ていて飽きませんし」
アガレス卿がグレモリー卿に伝えた。
「クリスに出逢えて良かった…こんな体験ができるなんて。この世界に永住してくれないかな。リアスと一緒にならなくても良いから。あの堕天使の彼女と一緒になって良いから…クリスの子供…孫が見たい…」
グレモリー卿は本音を、ぼやいているようだった。
『その願い、考えておく』
っと、シュウの声が聞こえた気がした。グレモリー卿の顔がほころんだように見えた。