---イッセー---
冥界のグレモリー邸に着いた。みんなで手分けしての掃除。グレモリー夫妻が地上での生活をしたことで、この屋敷には普段誰もいないので、埃や塵が溜まり放題溜まっていた。
ヴェネラナさんの指揮で、割と早く掃除は終わった。その頃になると、使用人の方々が戻ってきて、食事の支度など、身の回りの支度をしてくれ始めた。
居間では、クリスさんがうなっていた。
「う~ん、鍛錬メニューはどうするかな…」
剣士組は沖田先生、魔法使い組はマクレガー先生、ドラゴン組は…
「イッセーとイッセの組手は、冥界では禁止だからな」
っと、警告された。組手に寄る衝撃波が危険になりそうだと、僕もイッセさんも心配をしていたし。まぁ、意外ではない。その代わりの鍛錬方法が思い浮かばないようだった。
「ドラゴンはドラゴンに鍛えてもらえば、どうかな?」
グレモリー卿から提案がなされた。そうなるけど…どのドラゴン?
「タンニーンはどうかね?」
「いや、たぶん…ダメだと思う…」
クリスさんが答えた。
「タンニーンじゃ役不足なのかい?」
「いや…イッセは踏みつぶして殺したことがあるし…」
クリスさんの言葉を聞き、血の気の失せた顔でイッセさんを見るグレモリー卿。当のイッセさんは、
「若気の至りですよ…ははは」
と、苦笑い…
「う~ん…強いドラゴンの当てはあるけど…呼びたくないなぁ…」
あぁ、団長のとこのチームドラゴンですね。見返りが怖そうだよね。
「じゃ…基礎体力作りにしよう。いいな、イッセー、イッセ」
頷くしかない僕達。僕達としても、団長のチームは呼びたくない。タダで終わらないから…
---クリス---
アジュカさんに呼び出されて、彼の城に赴いた。そこにいたのは…
「団長…何しているんですか?」
「うん?アジュカさんに、ドラゴンの駒講座…」
アジュカさんが、ノートを手に持ち、団長の言葉をメモしていた。これはこれで貴重なシーンだと思うけど…
「クリスさぁ、この世界に永住する気は無いかな?」
団長の口から、予想だにしていなかった事を告げられた。
「えっ?それは…僕は…用無しってことですか…」
目から涙が湧き出てきた。
「そうじゃないよ~。お前みたいなヤツを放し飼いにはしない」
へ?涙が引っ込んでいく…
「クリスにも、ベースになる世界を持って欲しいんだよ。僕には僕のベースになる世界がある。あのアウロス学園のある世界だ。ヤマトにもイッセにもイッセーにもだ。でも、クリスは、追放されたに近くて、ベースになる世界が無いだろ?だから、この世界をベースにしないかって思うんだ。この世界のグレモリー夫妻は、今まで接してきたどの世界にもいない優しくて暖かい悪魔だと思うから」
それは僕もそう思っています。本当の両親だったら、どんなに良いかって…でも、僕には…
「グレモリー卿がさぁ、夕麻ちゃんを嫁さんに迎えても良いって」
え…いいの?純血堕天使だけど…
「それがネックだったんだろ?クリスは。夕麻ちゃんに首ったけだもんな。でだ、グレモリー家はクリスが継げ。リアスには魔王を目指してもらう」
あぁ、そうなりますよね…リアスは以前、魔王候補に担ぎ出された時に、次期当主の座から離れたし、一度死んでいるし…
「で、ソーナも魔王を目指して貰うのはどうかな?」
「でも、シトリー家の跡取りはどうなります?」
「そこが問題ではある。姉のセラフォルーは同化吸収状態だから、僕以外アウトオブ眼中だしなぁ」
いや、ソーナもそれに近いですが…
「僕の種をソーナに入れるか?シルキーが出たら怖いけど…」
シルキーさんは、危険が一杯だ…僕の聖属性攻撃が効かないハーフ悪魔だし。
「まぁ、出たとこ勝負かな。ガイアと見合いも有りだけど、アイツは既に魔王だから…う~ん」
ガイア君は女性に関心が無いでしょ?その分、弟のアリス君がエロ神2代目路線に向かっている気がするんだけど。
「まぁ、その辺りはソーナの意向もあるから、決め打ちは出来ないけどな。まぁ、方向性はそんな感じだ。クリスの件は、お前がグレモリー卿に返事をしろよ」
まぁ、そうですね。
「その場合、フィアとレイベルはどうなりますか?」
フィアは僕の世界のグレイフィア、レイベルは僕の世界のレイヴェルだ。僕が団長と旅立つ時、一緒に付いてきたのだ。
「レイベルは、この世界のレイヴェルと同化吸収が無難だろう。人質でグレモリー陣営に来ているんだろ?話をして納得したら、同化吸収して。ダメなら、僕の方で預かる。フィアは、僕と共にいたいそうだから、現状のままだ」
「わかりました。その方向で動いてみます」
「あとさぁ、レーティングゲームなんだけど、僕のチームも出るかも♪」
はぁ~い?耳を疑う僕。今、何て言った?
「アジュカさんがさぁ、出てみたらって。リアスの枠が空いているから♪」
それは…無理…相手はいませんよ…
「え?イッセを倒せなかったし。うん、いい勝負になると思うけど」
「ダメです。無理です。あれは暴走イッセだからでしょ?」
「う~ん、そうか…まぁ、そういうサプライズもあるってことでさぁ。うん、じゃ、また来るね~♪」
って、転移していかれた。
「あ、アジュカさん…ダメですって…」
「う~ん。そうだよねぇ。仮想フィールドの強度が保たないと思うからダメって言ったんだけど、シュウ様が、耐えられるフィールドを作るって…どう作るのか見たくて、許可しちゃった。ごめんね♪」
興味を優先にして、犠牲を考えていない魔王様。誰が戦うんだ?
---イッセー---
アジュカさんの城から戻ってきたクリスさんの顔色が、もの凄く悪い。
「クリス兄さん、どうしたの?何かあったの?」
リアスが心配そうに、クリスさんに寄り添っていた。
「あ…あぁ~レーティングゲームなんだけど…団長がサプライズ参戦するかもって…」
「「え~!」」
悲鳴にも似た叫び声の大合唱。いや、無理でしょ?誰が戦うのさ…
「イッセと再戦…」
「えっ?俺?無理無理…暴走状態で互角ですよ。通常時なんか、勝て無いです」
真っ青な顔のイッセさん。
「拒否の方向で交渉してみる。多少の見返りは覚悟しないとダメだけどな」
誰かを供物で…そうなりますよね。
「あと、リアスとソーナの方向性を決めた。二人共魔王を目指してくれ」
顔を見合わせて驚くリアスとソーナ。
「ど、どうしてですか?」
寝耳に水なソーナが質問をした。
「やりたいことは、団長と共に戦いたいんだろ?その団長がソーナにそう指示したいそうだ。無理強いはしない。考えておいてくれ」
「私…別に魔王なんか…」
リアスも戸惑っていた。
「リアスには、優しくて思いやりのある魔王を、目指して欲しい。この世界を最悪な方向に行かないように、手綱を持って進んで欲しい。で、グレモリー家の跡取りは僕がなる。父さん、母さん、よろしくお願いします」
グレモリー夫妻に頭を下げたクリスさん。
「そうか…彼が話をしてくれたんだね。うん、クリス、レイナーレさんだっけ、彼女の名前は?彼女と二人で、グレモリー家を頼んだよ」
あぁ、純血堕天使の夕麻ちゃんとの結婚を条件に、夫婦縁組ってことなのかな?
「クリス、決断してくれて、ありがとう」
ヴェネラナさんが、優しくクリスさんを抱きしめた。
---ソーナ----
シトリー邸に戻り、両親に将来の方向性を告げた。
「魔王を目指すの?目指してなれる物ではないぞ」
と、父上。
「この家はどうなるの?セラフォルーも魔王で、次期当主がいなくなるじゃない」
って、母上。そうだよね、それが問題だ。リアスの場合は次期当主にクリスさんがなってくれるようだけど、シトリー家は…
「もし、魔王に選ばれる前に、私に子供が出来れば…」
「うん?ソーナ、婿候補の男性がいるのか?」
「え…えっと~ね…片思いだけど…」
「そうか…期待しているよ。次期当主問題さえ無くなれば、ソーナの好きにして良いからね」
って、父上…片思いなんだよ…相手は子持ちの多妻な彼…
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部屋で、物思いに耽る。やる気の出る方向性ではあるけど、次期当主問題が重くのし掛かる。どうすれば良いのだろうか。
『あなたのしたいようにすれば、後悔が無いわよ』
って、聞いたことの無い女性の声がした。いや、この声って…
『私の場合、上層部全員に否定されたけど、彼が支持してくれた。上層部と戦ってくれた。だから、今があるの。だから、後悔は無いの。まったく後悔が無い訳ではないけどね。あるとすれば、彼と過ごす時間が…永遠に一緒にいられると思っていたのに、それが叶わなくなったことかしら。一緒にいることができた時に、やってあげたかったことが出来ずにいるからね』
そうだ…並行世界の私…彼の奥様…
『あなたは、あなたの後悔が無い人生を送れば良い。彼は無理強いはしない。むしろ後押しをしてくれるわ。もし、彼のことを本気で愛してくれるなら、私はあなたを応援します。それが、彼の妻の務めだから♪』
「他の女性に取られても平気なんですか?」
『平気ってことでは無いけど、彼が元気に戻って来てくれるのであれば、孤独になるようなことが無いように、近くに彼のことを想ってくれる女性がいてくれることを願う』
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うん?寝ていたようだ。今のは夢だったのだろうか?もう、彼の奥様の声は聞こえない。ふと、顔をあげると、目の前に彼がいた。
「よぉ!寝顔に見とれていたよ♪」
え…見ていたんですか…
「今、あなたの奥様の…」
「みたいだね。心配なんだろう。並行世界の自分がね」
私の言葉を遮り、彼が遠くを見るような目で宙を見ながら言った。
「私と結婚してください」
唖然としたような表情の彼。
「これはまた、ストレートだね。付き合ってもいないのに、それでいいのか?」
それは…そうだけど…
「君にプレゼントがある。僕の種だ。僕が化け物になる前に取り出した種だよ」
丁寧に包装されたカプセル状の物を手渡された。
「それを君の子宮に植えれば、子作り完了だ。手軽だろ?ただ、高校を卒業しないと芽が出ない。植えるか、植えないかは、君にまかせる。それじゃ、ねぇ」
転移しようとした彼に縋り付く。
「えっ?なんで?」
私の行動に驚く彼。
「お願いがあります。あなたの手で植えてくれませんか…」
普段言えないような台詞が、すらすら言えていることに自分も驚いていた。
「それって…意味がわかっているのか?」
彼の問いに頷く私。
「もう子供ではないんですよ。その意味はわかっています」
彼に抱きつき、身体を合わせる。彼の頬に自分の頬を合わせて、彼の温もりを感じ取る。彼が指を鳴らすと、私と彼は全裸になり、肌を合わせていく。
「あっ…」
彼の指先が敏感な場所に触れた。それだけで、暖かい物が身体から湧き出て来た。
「感じ易いようだね」
「あぁ…」
彼の胸板に乳首の先端が触れただけで、全身が蕩けていくようだ。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
息づかいが荒くなっていく。胸の奥が締め付けられるようで苦しい。
「お願い…もっと…」
おねだりしている私。彼の肉棒を口に含み、私の温泉の湧き出る割れ目を、彼の口へと晒してみる。
「うごっ…うぅ…うぅ~ん」
口に頬張っていて、喘ぎ声がうまく出ない。でも、彼の舌により、私のソレは活発に機能しているようだ。身体の芯が熱い…
「うっ…」
身体に電流が走ったような感触があり、全身の筋肉が緩んでいく。私の口から、彼の肉体の一部が解放され、彼は、割れ目から私の内部に入ってきた。一瞬の痛み、直ぐに追いかけてくる快感の波。快楽の海に溺れ始めた私に、あのカプセルが植えられた。
「もっと…ください…」
意識が戻ると、ベッドで一人寝ていた。枕元には1枚のメモ…
『根付くまで大人しくね♪またね♪』
と、書いてあった。根付くことを期待しながら、余韻を愉しむ私。
---リアス---
ソーナの顔付きは、何かが吹っ切れたようで、晴れ晴れしていた。
「どうしたの?」
「うん?ふふふ」
思い出し笑いをするソーナ。こんな彼女は初めてだ。
「何か、いいことがあったの?」
「うん♪」
何があったのだろうか…なんか、悔しい。
「彼にねぇ…子種をもらったの♪」
意味が分からない私。クリス兄さんの頬がピクついていた。
「ソーナ…なんてことを…」
イッセーがソーナの顔を見て、血の気が引いていた。イッセさんの顔も強張っている。
「後悔したくないんです!」
「いや、だからと言って…その結果どうなるか考え無かったの?」
え?何の事を話しているの?みんな…
「結果は、アレでしょ?」
「いや、そうなんだけど…前例があって…その組み合わせは最悪なんだよ」
「最悪?」
「あぁ、俺の天敵なんだよ、それ…」
イッセさんが、ソーナを怖がっている。なんで?
「天敵?」
「最悪な悪魔が出るぞ…今回は最高かもしれないけど…」
と、クリス兄さん。
「ねぇ、みんな!何のことを話しているの?」
蚊帳の外に置かれたような私の感情が、言葉に乗って爆発した。
「あぁ…リアス、落ち着いて聞いてくれ。ソーナが団長と交わって、子宝の種を植えられたんだよ」
って…一瞬、頭の中が空白になる私。しかし、直ぐに思考が動き出し、理解をした。
「なんで?私も希望していたのに…ソーナ、ズルいわよ~!」
ソーナに掴みかかろうとした私の前に、クリス兄さんが割って入り、私を優しく抱きしめた。
「落ち着け…ソーナの場合は、あれしか方法が無かったんだ。次期当主候補がいないと、彼女は前に進めないから」
あ…そう…怒りにまかせた感情が萎んでいく。そうだね、私にはクリス兄さんがいる。でもソーナには…でも、ズルい…
「リアスは強くなったら、強引にされるから、強くなれよ。オススメはしないけど」
って、クリス兄さんが、私の耳元で言う。そうだ。強くなったら、強引に…きっと、ソーナにはソフトタッチだったんだろうな。私はハードタッチを望もう!
「で、イッセさんの天敵って?」
ソーナが冷静に、イッセさんに質問していた。あの冷静さは見習わないとな。
「俺を瀕死にしたんだ…ソーナと団長の間の娘がな…」
えっ…何だ、その強さは…
「悪魔とドラゴンに対して猛毒な攻撃を持っているんだ。その毒は装甲の厚さなんか関係なく、命を削っていくんだ…」
ここに至って、事の重大さを知らされたソーナの顔から血の気が失せていく。
「で、頭はセラフォルーさん並な為、団長の命令以外は理解しようとしない。その上、ソーナの冷静さと団長の冷徹さを併せ持ち、最終破壊兵器だよ」
最悪じゃん…それって…
「でもねぇ、今回も同じとは限らない。ソーナの頭脳を持っているかもしれない。これは産まれてみないとわからないけどね」
って、クリス兄さん。
「そ…そうですよね…あぁ…」
クリス兄さんに相談せずに進めるから…彼女は後悔しているみたいだ。
「出産予定は?」
「高校を卒業後だそうです」
え?お腹の中にいる期間が長く無い?
「そうか…タイマーを仕込んだのか」
タイマー?
「団長の奥様2名は高校2年で出産をされて、大変だったみたいだから。出産時期を調節できるタイマーを入れたんだと思う」
それは便利だ…私も欲しいなぁ…
「リアス…僕の立場を考えてくれるかな?」
そうだった。跡取りとして夫婦縁組をするんだよね。私は子供を作らなくても…でも、欲しい…