---イッセー---
パーティー会場は、大きなホテルのような場所で、行われるそうだ。グレモリー邸から馬車で向かう僕達。団長達は馬車移動せずに、どこかに行ってしまったけど。団長と一緒に行けると思っていたリアスは、どこか寂しげである。
会場に着くと、団長達は既に会場入りをして、待合室で飲み食いをしていた。おいおい…
「おぉ、やっと来たか♪」
「どうやって、ここへ?」
クリスさんが訊いてみた。
「うん?転移術だよ。ヴァイラが車椅子だからね。馬車には乗れなかったんだよ」
団長はヴァイラさんに目配せをした。
「分かってますね、団長。問題は起こさないでくださいね」
イヤな汗のような物が吹き出し始めた、クリスさんが言った。
「僕、問題なんか起こした事無いよ♪」
問題を問題として認識していない団長。それが問題である。
少し時間が経つと、デビュー式典の参加眷属及び王が、別室に用意されている準備室に集められた。僕達もそこに向かう。今回参加する眷属がほぼ総ているので、混雑気味だ。ソーナ達は既に来ていた。彼女達の方へと歩み寄ろうとしたとき、誰かの怒号が発せられた。
「てめぇぇぇぇ~!どこの馬の骨だ?」
怒号を放つチャラい男。怒号を放たれた人物をみると…あぁ、早速。あれ?なんでいるの?
「はぁ?僕が馬の骨に見えるの?目が悪いんじゃないの?あぁ、頭の悪さが伝染したんだね♪」
挑発しているし…
「見たことねぇが、てめぇ~はどこの眷属だ?」
チャラい男をスルーして、胸元が強調されたドレスを着た女性を、気遣うトラブルメーカーな団長。
「おい!話聞け!てめぇ~!俺様を舐めているのか?」
「うるさいなぁ。舐めるなら、彼女のクリちゃんがいい♪お前なんか、舐めたくも無いよ!」
ドレスの女性は、頬と耳を真っ赤にして俯いた。相当頭に来たのかチャラい男は、拳を団長へと放ってきたが、いつの間にか、団長を護る為なんだろうけど、リアスとソーナが盾となり男の前に立ちはだかった。リアスは滅の力を具現化した装備を纏い、ソーナは氷の力を具現化した装備を纏っていて、リアスは男の拳へと滅の拳を放ち、ソーナは氷の剣で男の腕を峰撃ちした。男の拳は滅せられ、腕は凍り付いている。
何が起きたのか、わからないチャラい男は、固まっている。滅せられた上に、氷り漬けでは、痛さも無かっただろうな。
「私達の師匠に失礼な言葉を浴びせるのは、万死に値する」
「私達の師匠に拳を向けるのは、言語道断だ!」
と、リアスとソーナは男を睨み付け、口上を述べた。
「リアス、ソーナ♪女性はかわいい方がいい。でも、戦士は判断力勝負だ」
誉めているのか、よく解らない団長の言葉、視線はドレスの女性をロックオンしているようだけど。
「大丈夫だった?僕はシュウ・ベルゼブブです」
と、名乗っている団長…ベルゼブブ眷属として出場するのか…
「はい♪私はシーグヴァイラ・アガレスも申します」
若いヴァイラさんだったんだ…だから…
「まずいな…ベルゼブブって名乗ったような。アジュカさんと取引しているんじゃないのか」
違う事が気になっているクリスさん。あぁ、そうですね。それ、確定だと思います。
そして、時間となり、式典への会場へと向かう。冥界でTV放映されているそうだ。僕達の姿を捉えようとするカメラ達。
「本日、レーティングゲームへ、今年デビュー予定の若手の眷属達に集まってもらいました」
司会らしき悪魔が、式典を進行し始めた。僕達と向かうようにして、悪魔の上層部の面々と魔王様4名が座っている。
「デビュー予定なのは、シトリー眷属、バアル眷属、アガレス眷属、アスタロト眷属、グラシャラボラス眷属です。尚、諸事情により、正式なデビューが出来ない、グレモリー眷属、ベルゼブブ眷属にも集まって頂きました」
諸事情…まぁ、言える内容では無いので、これで良いのかな。リアスが死んだことは、内緒の話であるし。
「では、王の皆様に、今後の抱負を語って頂きましょう」
チャラ男ことゼファードル・グラシャラボラス、サイラオーグ・バアル、ディオドラ・アスタロトは、「最強の悪魔になる」だった。この場においての決まり文句だったのだろうか?
で、女性陣は…シーグヴァイラさんは「有能な悪魔を目指す」、リアスは「強くなって、憧れの人に認められたい」で、ソーナは「優しい魔王になりたい」だった。
「魔王だと、なりたくて成れる物ではない。たとえ、姉が魔王だとしてもだ!」
と、否定的な意見が上層部から、聞こえてきた。とても悔しそうなソーナ。
「おい、今後の抱負を訊いておいて、否定するって、どういうことだ!」
あっ、ここで動くの?団長は立ち上がり、上層部の前へと出て行った。
「貴様、アジュカ様の養子風情のくせに、生意気だぞ。身分を考えろ!」
「養子風情…?魔王様の身内に対して、言葉遣いがなっていないな~♪」
「おい!衛兵!こいつをつまみ出せ!」
衛兵が、武器を片手に団長を取り囲む。しかし、取り囲んだ衛兵達は、皆意識を喪失させて倒れた。
「うっ!貴様、何をした?」
驚きの表情の上層部の悪魔。
「はぁ?戦ったら負け。だよね?ファルビーさん♪」
笑顔で頷くファルビーさん。これって、魔王様達と何かを仕組んでいるのか?
「シルキー、ガイア!横方向を頼む!」
「「了解!」」
団長の横に並び立つ、長男、長女。
「アリス、透過したら、除去して」
「了解!」
団長の後ろに立つ、次男。
「シーナ、仲間に怪我人が出たら、頼む」
「了解です♪」
僕達の後ろに立つ、次女。団長親子が悪魔の上層部の方々と対峙した。あっ、そういえば、悪魔の頭の固い上層部の方々って、転生人間にされているんじゃ…高飛車な態度ってことは、気づいていないのか?
「おい、貴様…何をするつもりだ?」
「冥界向けの全国放送だろ?この際、レーティングゲームの闇の膿出しをしようと思ってね♪アジュカさん、後よろしく」
団長の声により、立ち上がり、前に進み出たアジュカさん。膿出しって、何?
「プロの王の間で、ゲームにおいて想定されていない、王の駒という違法な駒が横行していました。当初は、噂レベルだったのですが、彼、私の養子であるシュウに頼んで、実態の調査、違法駒の回収をしてもらい、駒の存在、闇ルートでの高値売買、ゲームの勝敗の賭け、その為の八百長試合などの違法行為を、多数確認できました」
あぁ、それで、団長はこの世界に、ちょくちょく来ていたのか。納得した僕。
「違法な王の駒を解析した結果、賭のレートにより、本来の能力の10倍から100倍くらいに能力が、この違法駒により上乗せされることをも、わかりました。」
ざわめく観客席。上層部席の奥の方、たぶん位の低い上層部の方達にも、動揺が走っているようだ。
「調査の結果、残念なことに、プロの上位10チーム中、序列1位のディハウザー・ベリアル君以外、使用していました」
「「うそぉぉぉぉ~!」」
観客席から悲鳴のような声が、多数聞こえる。
「尚、違法な駒は見つけ次第、回収してありますので、今後はルール改正も含め対処していきます」
「おい!回収だと?いくらで買ったと思っているんだ?!」
一番偉そうな上層部の方が、アジュカさんに噛みついた。
「あぁ、あなたの息子さんからも回収済みです。シュウには『強奪』の術が有りますから、気づかれずに抜き取って置きました。なので、最近、プロのゲームでの荒れた試合が多いのは、その為です」
「あっ!『強奪』!」
突然、何かに気づいた団長は、術を発動した。怒り捲っていた上層部の方から、何かが現れて、団長の手に移動した。
「生放送で、違法駒を摘発しちゃったよ♪」
と、手にした違法駒を、カメラの方へと向けた。あ、ははは…計画的だったんですね。
「お前…返せ!それは高価なんだぞ!」
上層部席から、飛び出した違法駒使用者。が、すぐに衛兵に取り押さえられた。
「そうそう、さっきの準備室でも2本、抜き取って置いたんだ♪」
ポケットから違法駒を2本取り出した団長。それで、あそこにいたのか?
「シュウ、誰から抜いたのだ?」
アジュカさんが問うた。
「チャラ男と、むっつり君♪」
はっとした、ゼファードルとディオドラ。
「魔王排出家って、お金有るんだね♪」
ファルビーさんとアジュカさんの顔から、血の気が引いていく
「この二人には違法駒無しで、デビュー戦を戦ってもらえば良い。ふふふ」
痛めつける気、マンマンな団長。
「そうだな…そうしよう、シュウ…」
立ち直れきれていないアジュカさんが、団長の提案に乗ったようだ。
「違法駒を使っていた者は、自首をするように。そうでなければ、駒を解析して、持ち主を割り出し、それなりの罰を受けて貰う」
会場全体がざわついている。ゲームに潜む闇を目の当たりで見たからだろうか。
「で、今回のゲームだが、勝ち点方式にする。勝てば1ポイント、負ければマイナス1ポイントだ。参加チームが奇数なので、ゲームの無いチームはマイナス2ポイント、反則負けはマイナス3ポイントとし、その合計ポイントで順位を決める。マッチメイクの方法は、戦いたい相手を投票してもらい、希望に沿った相手との戦いになる。戦いを避けるのも作戦だが、避け続けると最下位になるので注意するように」
会場はざわつき続けていた。なんでも異例なルールだと、ソーナが教えてくれた。
「で、毎日1試合行い、すべてTV放映する。冥界の新人の実力をしってもらう為だ」
そんな舞台に僕らが立っていいのだろうか?
「では、順番に戦いたい相手を発表してくれるかな?」
って…
ゼファードルは回避と、初戦から逃げを打った。まぁ、あんな怪我ではどうにもならないだろうな。サイラオーグは、なんと団長を指名、ディオドラはクリスさんを指名し、ソーナ、シーグヴァイラさん、クリスさん、団長は「誰でも良い」だった。これにより、サイラオーグVS団長、ディオドラVSクリスさん、ソーナVSシーグヴァイラさんが決定した。
「初戦だし、総力戦で良いな?」
と、アジュカさん。後で聞いた話では、サイコロだったら不戦敗で良いって、団長が駄々をこねたようだった。団長の世界での、王の価値13の出場禁止経験が効いているようだ。