※この作品はR-18です。

ハイスクールD×D(改)リライト版   作:もっち~!

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想いの行方

---シュウ---

 

グレモリー卿夫妻に土下座をしている。

 

「すみませんでした…護り切れずに…僕の判断ミスです」

 

「頭を上げてください。シュウ様…」

 

リアスの件を詫びた。またも、リアスに苦痛を与えてしまった。

 

「でも…」

 

「娘の事をお願いできますか?」

 

グレモリー卿から、意外な言葉が返ってきた。

 

「シュウ様が娘に、優しく接してくれている事へ感謝しています。私達夫婦は、娘をあのような素直な娘に育てられなかった。真っ直ぐな娘に育ててくれて、感謝しています。出来れば、このまま、娘を頼めませんか?」

 

「それは…僕のいる世界へ連れ帰るってことですか?」

 

「それも含めてです。クリスという息子を授けてくれたのに、更にお願いするのは、失礼かもしれませんが」

 

「彼女の意志にまかせるという選択で良いですか?」

 

「かまいません。娘がこの世界にいたいのであれば、この世界に置いていってください」

 

「わかりました。意志確認をして、ご返答をします」

 

 

 

---イッセー---

 

あの日から数日経つが、リアスは未だに帰って来なかった。

 

「団長に訊いても、状態を教えてくれないし、どうなっているんだ?」

 

クリスさんの表情は険しい。リアスを容易く攫われた上、団長により強制排除されてしまったから。

 

「あの場合、どうすれば良かったんだ?」

 

「クリスさん、次どうします?相手は団長ですよ」

 

イッセさんが、終わった事より、次の事を気にしていた。次の相手は団長のチームだった。

 

「そうだったな…くそっ!」

 

いつも冷静な印象のクリスさんは荒れていた。

 

「団長相手だから、数で攻めた方が良いと思うんですが」

 

確かに、狙いが多い方が良い。数が少ないと狙い撃ちでボコられる可能性は大だ。

 

「サイラオーグとのゲームを見た限り、開幕フルバーストは避けないと」

 

あれは誰が相手でもダメなレベルだ。ガイアさんのホーリーアロー、シルキーさんのダイヤモンドダスト、ゼノヴィアさんとアイズさんの飛ぶ斬撃、新顔のメイド姉妹の攻撃が開幕フルバーストで撃ち込まれた。フィールドに穴がボコボコ開く威力。イッセさんのフルバーストでも穴が開かない強度なのに…続いて兵藤先生の禁手の強化バージョン…妄想美女軍団が赤いハーフアーマーを着て、襲い掛かる。逃げ惑う相手、そこに、待ち構えていた剣士達が斬り込んだ。

 

フルバースト地獄をかいくぐり、リアスさんの前まで辿り着いた禁手したサイラオーグは、団長に宿るモンスター軍団によりフルボッコされ、終わった。団長は直接手を下していない。

 

「最初のリスト通りで行く。リアスの穴はロスヴァイセさん、お願いします」

 

ロスヴァイセ先生が頷いた。

 

「問題は対策だな。団長の弱点なぁ…」

 

あっ、そう言えば…

 

「イッセさんが暴走した時に聞いたんですけど、エナジードレインをしている際、エネルギーの上限に達する前に魔法を撃ち出して減らせって。上限に達するとダメージを負うらしいです」

 

と、報告を上げた。

 

「そうか…透過するのは物理ダメージだけだ。あとの属性攻撃分はエナジードレインで吸収されるはずだ。で、今の団長の上限値は低い。全員で一斉に団長にフルバースト出来れば…」

 

クリスさんの顔が少し綻んだ。

 

「団長のいる場所まで行くのが難しいかな」

 

「いや、作戦タイム中に、団長の本陣を取り囲む。そして、開始直後に開幕フルバーストする」

 

イッセさんの不安へ答えを示したクリスさん。

 

作戦タイム中に移動は認められている。敵と出逢っても、抗戦は禁じられているから、取り囲むことは可能だ。

 

「索敵で団長の居場所だけを把握するんだ」

 

開幕バーストなら、敵に見付かっても、たぶん、こっちの方が速いからいけるのかな?

 

「よし、タイミングを合わせる練習を、ゲームまで続けよう」

 

 

 

---アジュカ---

 

「お前達は知っていたのか?」

 

サーゼクスが俺とアザゼル、ミカエルに訊いてきた。

 

「ここにいる者で知らないのは、サーゼクスとファルビウムだけで無いか?」

 

と、アザゼル。アイツの言っているのは、初代ルシファー様とメイビス様の件だ。

 

「お前の両親も知っているはずだけど…」

 

「えぇぇぇぇ~!父上と母上もかぁ…」

 

「後は、シトリー姉妹と大公アガレス殿だ」

 

「何で言ってくれなかったのだ?」

 

ファルビウムが訊いてきた。

 

「事実を知る者は少ない方がいい。そうだろ?リアスの件を、考えればわかるだろ?」

 

リアスが死んだことを、結果的にバラしてしまったサーゼクス。

 

「しっかし、何だ?あの戦力は…解説席で唖然としちまったよ」

 

と、アザゼルがぼやいている。あまりの事で解説が出来なかったのだ。

 

「あのサイラオーグを瞬殺って…で、シュウは手を出していないし。どんだけ、強ぇんだ、アイツのチームは」

 

強化した仮想フィールドが、容易く壊された。それも開始直後に。

 

「開幕フルバーストって…フルバーストしすぎだよ。あれは…たぶん、俺でも消えるレベルだ」

 

アザゼルは頭を掻きむしっていた。俺達の想像を超えたレベルだった。尊敬する人物なのに、戦慄さえ覚えた。あれが、最強の部隊の実力なのか。

 

「あれでも、本気で無いのが恐いぜ」

 

そう、シュウ様は攻撃をしていない。女王は非戦闘員だった。ハンデ戦だったのだ。

 

「厄介なのは、あの召喚術だな。伝説級のドラゴンや魔物のオンパレードだったし。アイツの言っていた魂に宿る仲間でも、星を壊滅って本当だな。あんなのを解き放たれたら、この星は終わるぜ」

 

アザゼルは、戦力を分析した結果を、教えてくれた。

 

「まぁ、一番の衝撃は、赤龍帝だ。あんな使い方って有りなのかってな」

 

シュウ様に後で聞いた話なのだが、妄想してオカズにした女性達を実体化出来る、人工神器を与えてあるそうだった。

 

「アザゼルは、あれを作れるのか?」

 

「無理だ…創造能力が無いと無理だ。創造能力さえも術式化しているのがすげぇ~よ、アイツは」

 

「次の1戦はどうなるかだな。異世界チーム対決」

 

ファルビウムの興味はそっちか。

 

「クリスのチームは、襲撃されたから、実力がわからなかったが、あれだけの攻撃を防げるとは、中々だと思う。その後に、アイツが現れて、すんなり消し去ったのは驚いたけどな」

 

そう、クリス君達を助ける為に強制排除をして、シュウ様が、一人で戦った。空を埋め尽くした魔法陣をほぼ総て書き換えて…

 

「攻撃魔法を喰らっても、問題無いって、ほぼ無敵だろ?」

 

無敵だと思う。その後が凄い。食人生物を2体出し、喰わせていた。TV放映は襲撃された時点で、放映はしなかったが、俺達だけでモニタリングしていた。

 

「とにかく、アイツを敵にしないことだ。それしか手は無いぞ。この星を護るには」

 

 

 

---大公アガレス---

 

娘はもうゲームどころでは無かった。異世界から来た娘からの言葉に、打ちのめされていた。即答出来なかった。心に迷いが生じた。そんな自分が許せないでいた。

 

どうして良いかと悩んでいると、異世界から来た孫達が転移してきた。

 

「「お祖父様、こんにちわ」」

 

その二人を見て、固まる娘。

 

「あの人の子供…お父様…何で知り合いなの?」

 

私に詰め寄る娘。

 

「彼が逢わせてくれたんだ。ゲームの始める前にね」

 

「お父様、あの人を知っていたんですね?」

 

娘はワナワナと震えている。

 

「お祖父様に、怒りをぶつけるのは筋違いですよ」

 

シーナが娘に釘を刺した。

 

「あなた達に、何がわかるの?」

 

「わかりますよ。私達は母様が、壊れていくのを見ているから」

 

はっとした娘。そう、彼らの母親は彼の真の姿を見て、壊れてしまったんだ。そして、自ら命を絶とうとしたと言う。

 

「そう…だよね。私の今後を見ているんだものね…どうすれば良いの…」

 

怒りが鎮まったものの、今度は悩み始めた娘。

 

「悩んでも答えは出ませんよ。一歩踏み出せるかどうか、それだけの問題ですから。悩む要素は無いです」

 

彼らは娘に一枚のビデオディスクを差し出した。

 

「これは僕達からのプレゼントです。複製品なので画質は少し悪いですけど。僕達の世界での、父様の最後の戦いが記録されています。参考になれば良いですけど」

 

そう言って、私と共に、娘を一人にするかの如く、部屋を出て行く孫達。

 

 

 

---シーグヴァイラ---

 

この世界でも、起きるかもしれない未来が、記録されていた。激しく動揺している未来の私…あの人が最後の戦いへ出向く前に、合流できなかった悔しさ…見ていて分かる。こんなに彼を想っていた彼女ですら、心を破壊した彼の真の姿。恐怖を感じる。

 

後半はあの人と魔物との戦闘シーンだった。その戦いは熾烈だった。斬られても、喰われても、爆ぜられても、再生し続けて戦い続けるあの人。護りたい者を護る為に、総てを捨てて得た身体。相手が倒れるまで攻撃の手を休めない。

 

見終わって、呆然とする私。こんな風に戦ったことは無い。こんなに絶望的な相手と戦った事は無い。魔法も剣もダメージがあまり入らない相手。でも、彼は、諦めずに淡々と攻撃をしている。彼女は、こんな彼を支え続けていたのに…なんで、壊れてしまったの?

 

ビデオディスクにはまだ映像が入っていた。突然再生をし始めた。先程とは違う相手だ。彼女が指揮を執っているようだ。仲間達が結界で戦闘フィールドを囲っていた。皆必死で、幾重も結界や防御シールドを重ねている。しかし、内側から徐々に割れていく。それほど、戦闘フィールド内は熾烈なんだろう。幾重にも張るって言うことは、完全に破れれば、世界が終わるのだろうと、想像できる。だから、あんなに必死で張り続けているのだろう。

 

戦闘フィールド内、爆発を繰り返して居る。灼熱な世界にも見える。時折り、炎と煙の合間に、彼の姿を確認できる。こんな状況でも、あきらめずに戦い続けるのか。

 

見た事のない炎の色。結界が割れていく。うん?氷系の防御シールドが張られていく。戦闘フィールド内を冷やしているようだ。そして、内部が冷えたのか、防御シールドが外されていき…一面の焼け野原が見えた。炭化した地面。それ程までに灼熱地獄だったのだろう。

 

そこで映像が途切れ、

 

『この後、父様の姿を見て、母様は壊れました』

 

と、文字が浮かんだ。涙が自然に零れていく。壊れる直前まで彼を支えていたのだろう。それほど、彼の姿は見るも無残な姿だったんだろうな。そこまでの姿にならないと、あの灼熱地獄に耐えられなかったのかもしれない。

 

私はどうだろうか?この時の彼女と同じになるのかな?いや、壊れても後悔しないって選択肢もあるはずだ。彼女はもう隣で戦えないだけで、壊れた心は治ったように見える。

 

後悔しない人生…それも悪くない。悪くないが…踏み出す勇気は、まだ無い。

 

 

 

---リアス---

 

魂は器に定着したようだ。心臓も再起動した。身体中の神経が機能しだした。団長が暖かい眼差しで見てくれている。全裸な私。恥ずかしなぁ。身体の隅々を見てチェックしてくれている。恥ずかしいって…でも、神経がまだ完全に機能していないため、感じ無いのが、哀しい。

 

「良さそうだな。あとは、感覚が戻れば、ここへ出られる。もうすぐ退院だよ、リアス♪」

 

ここに、もっといたい。でも、それでは強くなれないか…

 

「無理に強くならないで良いんだよ、リアス」

 

私の身体を優しく抱きしめながら、頭を撫でてくれている彼。

 

「いいか?魔王は力だけで決まる訳では無い。だから、思いやる気持ちは持ち続けてくれ」

 

涙が零れていく。なんか別れの言葉を、言われているような気分になったので。言葉を伝えたいが、まだ発することが出来ない。もどかしい。

 

「次のゲームは、クリスのチームとだ。ここで見て行きなさい」

 

いつもの彼とは違う。何かを決心した感じがする。いやだぁぁぁ~!別れたく無いよぉぉぉぉ~!もっと、躾てください。だから…

 

 

私は彼に言葉を投げる事無く、彼は私を聖なる棺に戻し、聖堂を出て行った。

 

 

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