---アジュカ---
「2戦目も総力戦か?」
アザゼルに、訊かれた。
「そのつもりだが…う~ん」
「サイコロとかは?」
「シュウ様が不戦敗を選ぶ」
「なんで?」
「価値が13」
「まじか…」
頷く俺。
「それはトラウマだな…アイツの世界の悪魔は腐っているな」
同感だ。2個のサイコロで13という合計値は出ない。
「じゃ、アイツ一人で、クリスの方だけサイコロは?」
「うん?」
「いや、アザゼル。そこはクリスの方は13固定での方が良いな」
と、ファルビウム。
「あぁ、それなら…受けてくれるかな?」
早速、シュウ様へ連絡をして承諾を受けた。
「それなら出られるそうだ」
「一人でも強ぇ~んだろうな。アイツは…」
強いと思う。彼らの団長なんだし。
---シュウ---
「どうしたの?」
ヴァイラに訊かれた。
「クリス戦をサイコロのハンデマッチだって」
「えっ?サイコロ?シュウ、ダメでしょ?」
心配そうなヴァイラ。
「う~ん…僕は一人固定で、クリスサイドは13固定だって」
「クリス君達、不利じゃない?」
「たぶん…でも、見たいんだろうな。この世界の魔王達とアザゼルが」
「あぁ、そういうことなのね。それは見たいでしょうね。クリス君の方は、まだ戦っていない未知のチームで、あなたの方は、ば、じゃなくて…トンでもないチームだから」
ヴァイラはうっかり「化け物チーム」と言いそうになり、言葉を選んだようだ。気を遣わないでいいのに。僕は化け物だから。
「で、どうするの?」
「何が?」
「彼女達…」
「達?」
リアスの件以外にもあったっけ?
「はぁ?この世界の私は?」
あぁ…
「ヴァイラに丸投げ…」
「あなたの問題よ!」
怒ったようにいい放つヴァイラ。
「シーグヴァイラに関しては、自信が無い…」
「まだ、気にしているの?」
哀しそうな目で見るヴァイラ。気にならない訳が無い。
「そう…いつまで、うじうじしているの?シュウらしく無いぞ!」
そうだな。僕らしく…そうだ!車椅子からヴァイラを抱え上げた。
「えっ、え?どうしたのよ~、ねぇ、シュウ!」
ベッドに横たえて、全裸にして、見るだけプレイ。最近の僕らしいプレイだ♪寝たきり生活、車椅子生活が長かったので、彼女の身体には筋肉が、申し訳ない程度にしかついていない。隣にいてくれていた当時の面影は少ない。
「こんな貧弱な身体を見ても、何も感じないでしょ?」
いや、そんなことは無い。僕は僕に出来ることをヴァイラにする。昔のヴァイラを思い出す。あの頃の…記憶の奥底の引き出しをたぐり寄せ、開けて…
『願望達成』
僕は脳裏に浮かんだ術を発動した。ヴァイラの身体は、淡いピンク色の光に飲み込まれて行く。しばらく経つと光は霧散していった。
「えっ…シュウ…何をしたの…」
ヴァイラは、自分の身体を手で確認していく。張りがあるけど、しなやかな乳房。舐めていて愉しい乳首…そこには僕の好きなパーツが一杯あった。
「まさか…」
ヴァイラはベッドの上で上半身を起こした。
「起きられる…」
ベッドから脚を下ろし、自力で立ち上がる。
「立てた…」
喜んでいるヴァイラ。僕は静かにその場から転移をした。
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「どうしたのよ~。ヴァイラの傍にいなくていいの?」
目の前の紅髪が言った。
「なぁ、僕はリアスを護れたのかな?」
「へ?」
驚いたような声をあげる紅髪。
「どこの世界の私を?」
「目の前のだ!他に誰がいるんだ?」
「私?」
考え込む紅髪。
「う~ん…後悔が後を絶たない人生だけど、シュウのおかげで生きているよ。そういう意味では護られたのかな?」
「そっか…」
「この世界の私の事で悩んでいるの?」
「護れなかった…痛い思いを3度も味合わせてしまった…」
紅髪リアスが、僕を優しく抱きしめてくれた。
「でも、彼女に夢と希望を与えているよ。でねぇ…私にも与えて欲しいんだけど」
リアスの唇が僕の唇と重なった。僕を抱きしめたまま、ベッドに誘導して、この僕を押し倒してきた。
「今日は、たっぷりと私に、夢とか希望とかを教えてくださいね、あ、な、た♪」
僕は相談相手を間違えたようだ…
---大公アガレス---
突然、シュウ様が転移してきた。雰囲気がいつもと違う。どうしたんだ?
「まだ、悩んでいるんです。どうしたら良いですか?シーグヴァイラを」
あぁ、私の娘の為に思い悩んでいるのか。と、言われても…
「私も…どうして良いのかわかりません」
「一人娘だし、連れ出すことは出来ないですよね?」
「できれば…」
「リアスは、魔王として育てる為に、留学扱いで連れ出します」
なんと…う~ん…
「グレモリー卿は納得されているんですか?」
「納得も何も…依頼をされました。僕の配下のクリスが次期当主として、夫婦養子入りした関係でね」
あぁ、そういう事情なのか…だが、うちでは…
「僕は僕の世界のヴァイラを殺しました。だから、自信が無いんです」
いや、あれは殺したのでは無い。でもシュウ様は…それは、シーグヴァイラと言う悪魔を、気にかけてくれているのであろう。ならば、私も決意せねば…
「では、我が娘シーグヴァイラを育ててくれませんか?」
驚いた表情のシュウ様。
「今度こそ、シーグヴァイラという悪魔を、大成させてください。次期当主として育ててもらう為に留学扱いでお願いします。必要なら、シュウ様の養子でもかまいません。あの子を鍛えてください。お願いします」
彼に頭をさげて頼む私。
「わかりました。自信が持てなく、マズイと思ったら、帰宅させます。それで良いですか?」
「勿論です。代わりにって言うのも変ですが、時たま、孫達に会いたいのですが…」
「了解です。子供達もアガレス様に懐いております。節目節目に向かわせます」
これで、娘も喜んでくれるだろう。
---シュウ---
グレモリー卿にもお受けする旨を伝えてきた。ソーナの部屋に向かうと…何故か、ヴァイラがいた。
「来ると思ったわ。リアスに相談して、後悔したようだから」
その考えは正しい。後悔した。リアスの問題は解決したようだけど、僕の抱えていた問題は何1つ解決しなかった。
「で、次はソーナかなって」
久しぶりに見るヴァイラの勝ち誇った表情。
「ソーナに相談♪」
「ちょっと…私をスルーするの?」
ヴァイラが割り込む。う~ん、ヴァイラじゃ荷が重い気が…
「養子…いや、養女を取ろうと思うんだけど」
「まさか…この世界の?」
ソーナ、ビンゴだ♪
「なんで、養女?」
「僕のいる世界に連れて行くのに…シルキーと同じ扱いにしたいから」
「躾けるのね…で、相談って?留学なら受け入れるわ」
「シトリー姓でもいい?」
「ダメ!それはダメだよ、シュウ君。ヨハネ姓でいいでしょ?」
「狙われる危険性がある」
「護ってあげなさいよ」
「二人だとキツいかな?僕は、あの世界でまだ小学生だし」
「「二人?」」
ヴァイラとソーナが驚いている。何か、驚く要素があったかな?
「リアスと誰?」
「シーグヴァイラだよ。ヴァイラじゃ荷が重いだろ?」
「あぁ…そうね…その二人だと私かぁ…あっ、鬼門姓は?」
「いや、ミドルネームの問題だよ。名前は被らないようにして、イレギュラー扱いにする。そうだな、シーグと莉愛にするかな?」
「塔城はどうなの?」
白音のか…
「それはダメだ。躾できなくなりそう」
白音を思い出してしまうし。
「う~ん、考えさせて」
即答で無いソーナは、僕の意見通りにしてしまう。それは避けたい。ソーナの気持ちを大事にしたいから。
「いいや…ソーナ、ごめん。忘れていいよ」
「え!どうして…」
動揺するソーナ。何か動揺する事を言ったかな?
「いや、ヨハネで行く。そうだよな。ソーナにはこれ以上迷惑を掛けられない」
「いや…迷惑だと思ったことなんか無いよ~。ねぇ、少し考えさせて。ねぇ、シュウ君」
「ソーナ、シュウがいいって言うのよ。彼に任せればいいって」
強気のヴァイラはいいなぁ。小動物のようなソーナも捨てがたいが。
「シュウ、私が付いていくわ。これでも、あなたの子供を4人とも育て上げたのよ♪」
僕の相棒が復活した。
---アジュカ---
シュウ様に言われて、アザゼルとミカエルを俺の城に呼び出した。今日の彼は雰囲気がどこかしら違う。尊敬する存在というよりも畏怖すべき存在に思えた。
「次のゲームなんだけど、僕一人と、クリス眷属全員の総力戦に変更したい」
俺達は言葉を飲んだ。それって、最終決戦では無いのか?
「で、ゲームフィールドは僕が用意する。僕の専用フィールドで行う。これなら、絶対に壊れないし♪で、本陣は無し。僕の部隊のトレーニングルールで行く。どちらかが死ぬまで戦い続けるんだ」
言葉が出ない俺達。見たかった戦闘が見られるのだが、それは死闘である。死ぬまでやる必要はあるのか?
「なので、死にそうになってのリタイヤは無い。死んだら、死体はその場に放置だ。放映できるか?」
「う~ん…難しいかな…生放送でなく、録画して編集にしないとダメかもしれません」
俺が答えた。
「まぁ、まかせる。あと、アザゼルとミカエルをハンデとして、クリス眷属にプラスアルファして欲しい」
「待てぇぇぇぇ~!俺は死にたく無い!拒否だ!」
速効で拒否したアザゼル。
「そうか…じゃ、クリス達だけを殲滅する」
「どうして、心変わりをされたんですか?」
お祭り気分で楽しもうという感じだったはずなのだが、彼からは、そのような浮いた感じが感じられない。
「そうだな…僕の骨を拾ってくれる相棒が、復活したからかな。彼女に、僕らしく行けって言われてね。後は、養女にする者達に、僕の戦いを見せたいからだ」
相棒?養女にする者達?誰のことだろうか。尋ねようとする前に、転移されていった。
---イッセー---
ゲームの前日に、アジュカさんより、今回のルールが届いた。それは僕達のトレーニングを、無駄にする物だった。言葉を失う僕達。
『シュウ様一人VSクリス眷属で執り行う。対戦形式は殲滅戦。シュウ様所有の専用フィールドにて、本陣無しの平原戦となる。作戦タイムは無し。同時転移後にゲーム開始で、戦闘不能によるリタイヤは無しとし、王が生き残った方の勝利となる』
「殲滅戦…生き残りを賭けてか…」
何か奇策で来るのか?それとも正攻法か?それによって、対処は変わる。
「開幕フルバーストは使えないな。透過されたら、同士討ちだし」
そう…吸収しないで透過って選択肢が有る団長。やっかいである。
「一番マズイのは、開始直後に空気に同化されたら、見つけられないですよ」
と、イッセさん。そうだよな。普通の場合、心拍音、呼吸音、オーラによる気配が、微量なりともあるのだが、団長は総て消せる。戦闘特化生物故に出来ることである。ちなみに、血が流れていない為、心臓すら動かないでも問題は無い。血液が無い為、酸素を取り入れる必要が無いので肺も機能しなくても大丈夫。これは問題である。
「いや、手は有る。何かの目印を吹きかけるんだ」
と、ロスヴァイセ先生。
「女性が一人犠牲になるけどね…」
交わっているもしくは襲っている時に、獲物である女性ごと、目印になる液体をぶっかけると、居場所がわかるらしい。
「では、囮以外の女性陣は、トスカさんの防御結界内で待機していてください」
「囮は、私がなります」
と、白音さんが名乗りをあげた。
「たぶん、真っ先に、私を潰しに来るはずです。だから…」
「白音さん、ありがとうございます。では、目印を付けたら、そこにフルバーストする。エロ行為中は透過していないはずだからな」
鬼畜には鬼畜な作戦って感じな気がする。
「イッセーとイッセは転移後龍化して、フルバーストの準備をしてくれ」
「「了解!」」
これで、団長に初勝利できるのかな?
---シュウ---
ゲーム当日。控え室には、僕らしさを見せる為に、ゲストを4名招待した。ヴァイラ、リーラことメイビスの相棒二人と、莉愛とシーグの養女二人だ。
「シュウ…どうするんだ?」
ヴァイラが心配そうに見つめている。
「僕らしい戦いをする。そうだな…ファントムドラグーン隊長の悪夢の道化師で行こうかな」
「そのチーム名は…ダメです」
リーラが泣きそうな顔をした。
「アイツらが使う前に使う。アイツらを護る為に必要なことだ。僕がラスボスになれば良い」
心配そうにみつめる莉愛とシーグ。
「大丈夫だよ。いつも通りだから」
二人を抱き寄せて、頭を撫でる。
「オーフィス、忍、彼女達のガードを頼む♪」
「「は~い♪」」
とびきりの笑顔で返事をしてきた二人。彼女達の頭も撫でておく。後悔しない為にも。
「じゃ、行くか♪」
フィールドに出ると、クリス率いるグレモリー眷属が勢揃いしていた。リアスの穴はロセでカバーか。
で、マイクパフォーマンスな時間。マイクを握る僕。
「ど~も~♪ファントムドラグーンこと幽玄龍騎士団の団長の【悪夢の道化師】シュウ・ヨハネ・鬼門です」
クリス達が響めいている。こういうのは早い者勝ちだよ、クリス♪
「今日は、僕の戦いを間近で見てもらう為に、4名のゲストを招待しました。ご紹介します。僕の相棒のシーグヴァイラ・アガレス・鬼門です」
威風堂々な態度で入場してきたヴァイラ。その姿…車椅子では無く、自分の脚で歩いている彼女に驚くクリス達。掴みはオーケーだな♪
「次に、イッセー・兵藤の世界の神のメイビス・ヨハネ・鬼門です。彼女も相棒の一人です♪」
リーラというメイド姿で登場したメイビス。
「さて、次に紹介するのは、この世界の未来を託され、僕の養女となり、修行を積む決心をした勇気ある若者です。莉愛・ヨハネ・鬼門とシーグ・ヨハネ・鬼門です♪」
リアスとシーグヴァイラが、堂々とした姿で登場し、クリス達に動揺をもたらしている。まぁ、これも作戦のうちだよ、クリス♪
---イッセー---
団長は、入場に於いて、精神ダメージ攻撃で揺さぶってきた。『ファントムドラグーン』は僕達が名乗るはずだった物だ…それを…
「みんな、団長はラスボスを演じてくる。気を付けろよ!」
クリスさんから注意喚起の指示が飛ぶ。そうだ…あの二つ名は悪役を演じる場合に、使っていたはず。
そして、ゲストが登場しだすと…あのヴァイラさんが、昔のヴァイラさんと変わらぬ姿で登場した。回復、癒やしの術がまるで効かなかったはずなのに…
「まずいですね。団長は新たな魔法体系を、手に入れたのかもしれません」
と、ロスヴァイセ先生が呟く。新たな魔法体系…僕達の知らない場合、誰も書き換えられず、まともに喰らう事になる。
そして、僕の世界のメイビス…団長の家族となっていた。やっと、一緒になれたんですね。おめでとうございます、メイビスさん。
次の人物で、クリスさんが固まった。リアスが団長の養女として登場したのだ。
「なんで…僕が養子になったからか?僕が護れなかったからか…」
クリスさんの怒りのオーラが増幅していく。まさか、これをさせる為に、団長は…
「なんで…賢者様…なんで…」
拳を握り絞め、下を俯き、怒りを溜め込んでいく。
「イッセー、クリスさんは闇墜ちするぞ。気を付けろよ」
と、イッセさんが、僕だけに聞こえるように、囁いた。
そして、それぞれの想いが交差し、ゲームはスタートする。