---クリス---
地上へ来た…状況は一変していた。ドラゴニールによる支配地域だったはずだが、ドラゴニールの各部隊が敗走していた。
どういうことだ…こんな短期間で…
地上には戦力が皆無だったはずだ。兵藤家、式森家は後一歩で全滅まで追い込んだはず。なのに、彼らは生き生きと戦っていた。死を覚悟してという感じでは無く、心強い味方の存在が感じられた。
自宅へと向かう。義理の両親の家、グレモリー邸である。そこも一変していた。警護の部隊がいたはずだったのだが、誰もいない。何が彼らを襲ったのだ?
「あら?ヘタレのクリスさんじゃない♪」
声の主…目を見開いて驚く。ここにいなかった人物が、威風堂々と僕達の前に現れたのだ。
「リアス…」
「はぁ?か細い声ですね。へたれの元最強悪魔さん♪あと、私はリアスではないです。私は代羽莉愛。この星の悪魔王になる者ですよ。ふふふ♪」
悪魔王…何を言っているんだ?ドラゴニールに勝てる訳ないだろ?団長すら…
「トスカ、防御レベルをあげて!」
「了解です」
「ヴァレリー、ギャスパーのバロールモードを封じて!」
「了解です♪」
ヴァレリー…ギャスパーの顔がみるみる泣き顔になっていく。
「ヴァレリー…どうして…ここに?」
しかし、ギャスパーの問いはスルーされた。
「朱乃さん、ギャスパーをお願いします。私はヘタレの方を捕縛します」
「了解です」
ここに…この場にいないはずの者達が、僕達に対峙している。
「幽閉されていたはず…ぐっおっ!」
早い…莉愛の動きが見えなかった。腹部に一発入ったようだ。ギャスパーは無抵抗で、捕縛された。人質が相手では戦えないだろう。
「ここまで、クリスがヘタレだったとは…」
懐かしい声…声の主を見ると、レイナーレが立っていた。どうして、ここに…
「レイナーレ、ヘタレを捕縛してください」
「了解!縛るのは得意よ。散々縛られてきたし…あの変態ヤロ~にね♪」
変態ヤロ~?それは…でも、死んだはずだろ?賢者様は…目の前の者達に混乱している僕達は、グレモリー邸の地下にある牢屋へ、ぶち込まれた。
「二人への罰ですが、団長からの加護は剥奪、ファントムドラグーンに於いての階級を剥奪、丁稚からの鍛錬のし直しになります」
アーシアさんに宣告された。
「今のファントムドラグーンの団長は莉愛なのか?」
疑問をアーシアさんにぶつけた。命令系統のトップに莉愛がいるようだから。
「はぁ?団長が、莉愛さんを跡目にする訳無いでしょ?クリスさんには失望しましたよ。では♪」
アーシアさんが去って行く。あの言い方って…生きているのか?賢者様は…
---リアス---
それは突然起きた。誰かに、後ろから抱きつかれ、胸を弄られている。
「え?誰?なんで、私…」
「迎えに来たよ♪これは健康チャックだたよ」
シュウの声…
「うんうん乳房の張りがあるし、健康そうだな♪」
え?そんな健康チェックの仕方ってあるんだ…
「目を軽く閉じて」
いわれた通りにする。眩しい光に包まれたのか、瞼を光が透過してきた。そして、光が消えると、
「もう目を開けて大丈夫だよ」
瞼を開くと…笑顔のお祖父様とお祖母様様とお母様がいた。みんなに抱きつく私。
「シュウ様、ありがとうございます」
お祖父様がシュウにお礼を言っている。
「グレモリー卿、お礼はまだいらない。いや、終わっても要らないからね。これは僕の仕事であり、誰かの為にしていることでは無いから」
「ありがとうございます」
お祖母様もシュウへ頭を下げている。
「後はサーゼクスの部隊だけかな♪」
「あっ!師匠♪クリスを捕縛しましたよ~。ねぇ、ご褒美をください」
紅髪の女性がシュウに抱きついた。
「よしよし」
シュウが彼女の頭を撫でている。
「お子様じゃないんだからさぁ!もっと、有るでしょ?」
「約束したし。総てが終わるまで、手は出さないって♪」
「おい!この鬼畜ヤロ~!キスくらいいいでしょ?」
「はいはい♪あぁ、リアス、彼女はお前の叔母の莉愛だ」
え?彼女が叔母さん?
「お前の父親のクリスの妹だよ」
「あ!叔母さん…」
「いや、叔母さん呼びはしないでぇぇぇ~!」
「莉愛オバサン♪」
「師匠には言われたくない!」
なにやら、この家は賑やかになったようだ…
---ドラゴニール---
おかしい。定時連絡の時間なのに、誰も報告に来ない。何が起こっているんだ?反乱か?誰が扇動しているんだ?
王の間を出て、城内を見回る。ハーレム部屋は手下の死体の山だけあり、女達が誰もいない…まさか、急いでリアスの部屋へと行くと、リアスもいなかった。まさか、リアスが扇動したのか?人質達の所在を確かめるが、誰もいなかった。
何?どういうことだ?リアスには戦力が無い。誰が味方をしたのだ?サーゼクスの部隊と、クリスの部隊に、城へと戻るように命じた。しかし、クリスの部隊とは連絡が取れない。やられたのか?元最強の悪魔はヘタレだし。でもギャスパーがいたはずだ。どうしたんだ?
---サーゼクス---
帰城命令が下された。急いで、城へと戻る。その途中、この場にいない者達と遭遇した。
「アジュカ…ファルビウム…脱走したのか…」
元魔王2名が、行く手を遮るように立っていた。
「脱走というか、救い出されたんだよ。ファントムドラグーンによってな」
遠い昔に存在した騎士団の名前を出してきたアジュカ。
「もう無いはずだが…」
「ふふふ♪勝手に無くすと、怒るわよ♪」
どうして…ここに?グレイフィアが笑顔で俺も見ている。しかし、その目は笑ってはいない。
「あぁ、私がここにいるので、驚いているようね。この裏切り者がぁ!」
目の前の3名は怒りのオーラを纏い始めた。マズい、戦わないと、こっちが危ない。部下達に戦闘用意と号令を掛けた。
ズッド~ン!ズドーン!
何かが部隊に撃ち込まれてきた。
「ファントムドラグーン所属チーム開幕部隊、見参!」
飛ぶ斬撃が地面を抉り、部隊を破滅的状況へと追い込んでいく。青髪の剣士と赤髪の剣士の二人だけなのだが、その剣戟の威力は半端無い。
「ファントムドラグーン所属チーム剣豪、見参!敗走はさせません!」
後方から斬り込まれている。選抜部隊なのだが、手がつけられない剣士達が、迫ってきた。羽を展開して上空に逃げようとするが、上から狙撃され、落とされた。
「ファントムドラグーン所属チームウィッチーズ、見参!制空権は取らせて貰いました」
過去の騎士団じゃないのか…
「よぉ~!サーゼクス、久しぶりだな♪」
もういないはずの人物が声を掛けてきた。
「ファントムドラグーン団長、シュウ・ヨハネ・鬼門だ。全軍スクランブルだよ♪借りを返しに来たぞ」
うっ…軽く腹部を蹴られたはずなのに、上空へと蹴り出された。
『エアスタンプ』
圧縮空気により、地面へと叩き付けられた。
「あれあれ、血反吐か?お前に血があったとはなぁ。『四肢損壊』」
手足が潰されていく。激痛が全身を走り回っている。
「グレイフィア、使い物にならなくしていいか?」
「えぇ、シュウ様の調教済みでは、コイツのプレイはお触り程度ですもの♪」
『男根喪失』
何…男としてのシンボルがぁぁぁぁぁ~!
「この術をすると、今後、尿は臍から出るからな♪」
アジュカ達が苦笑いしている。俺はどうなるんだ?
「お前への罰は、その姿でここに放置だ。生きながらえて、再会出来たら、どうにかしてやるよ。撤収だぁ!」
彼から撤収命令が出ると、俺の目の前から忽然と姿の消した最強の騎士団達…
---ドラゴニール---
ついにサーゼクスからの連絡が途絶えた。どこかの勢力に襲われたようだ。どこの勢力だ?堕天使も天使も鬼も人間共も壊滅させた。ドラゴン共は全部配下にした。後は戦える種族なんかいないはずだが…
くぞっ!
ドラゴン共を城の周囲に展開させて配備した。最強の種族ドラゴンに勝てる種族など、いないはずだ。
「後は、お前だけだぞ…ドラゴニールよ♪」
この場にいないはずの者が声を掛けて来た。お前は…ロストしたはずだろ?
「おいおい、勝手にロストさせるなよ」
危険だ。最凶最悪な危険生物が目の前にいる。だけど、俺はさらに上を行く最強な悪魔だぞ。うげっ!
腹部に激痛が走り、背中が壁に叩きつけられた。
「どうした?最強の悪魔なんだろ?これで、終わりは無いだろ?」
なんだ?攻撃が見えなかった。うっ!
また背中に激痛だ。投げられて床に叩き付けられている。どうして?攻撃を透過出来無いんだ?
「はぁ?お前に『透過』能力なんか無いだろ?」
何を言っている。有ったから制圧出来たんだろ?
「あぁ、僕が復活した時に、僕の能力は全部返してもらったよ♪」
返した?何?
「お前の能力は『ドラゴンの笛』だけだ。ドラゴンを洗脳する程度の能力で、どうするのかな?」
ドラゴン達を召喚した。しかし…召喚出来無いだと…
「あぁ、お城を囲んでいたドラゴンは総て、倒したよ。チームドラゴンが♪そうそう、チームドラゴンには、お前の能力は効かない。チームドラゴンのメンバーは転生ドラゴンだからね」
ドラゴンをわざわざ転生させてドラゴンにしたのか…では、ケルベロスを召還した。
「地獄の門番ケルベロスの餌食になりやがれ!」
目の前の化け物は、何かを召還した。全身に恐怖が走り回る。ケルベロスさえも怯えている。何を召還したんだ?
「僕の仲間だよ。彼は666、獣の数字だよ♪」
トライヘキサ…こいつが…最強の生き物…俺もケルベロスも膝が笑っている。なのに、目の前の化け物は平然としている。これが最凶な化け物の本来の姿なのか?
「えっ?僕の本来の姿を見たいの?う~ん…トライ君、帰還してくれる?」
「了解!」
トライヘキサが召還陣へと帰っていた。どうして返したんだ?
「どうして?だって、トライ君が恐怖を抱いたら、僕がショックだから♪」
目の前の化け物が変化していく…なんだ、この姿は…ぐぁぁぁぁぁ~!
「おいおい、大丈夫か?見ただけで戦意消失か?それはそれでショック大だわ」
そうか…コイツの本来の姿は…恐怖その物なのか…身体中の筋肉が強張っていく。全身の血液が沸騰していく。髪の毛が軽くなっていく…ケルベロスを見ると全身白髪塗れである。逃げないと、恐怖に喰われてしまう。しかし、強張った筋肉は、俺の意志を反映してくれない。転移しないと…
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転移出来た。しかし、真っ暗な場所にだ。ここはどこだ?
「ここか?常闇の国だよ。闇の住民か、魔人の血を持つ者しか生きられない国だよ♪お前は、どちらかに該当するのかな?」
常闇だと…マズい。悪魔の俺がいて良い場所では無い。転移しないと…
「転移?出来る訳ないだろ?お前は闇系の魔術を使えない。この国では闇系の魔術以外、無効になるからな」
俺よりも壊れているヤツがいたとは…
「うん?僕の壊れているのは性癖だけだよ。ここは狂気の世界では無い。安息の場所だよ。僕達闇属性の者にとってはね♪」
闇属性…
「まぁ、ここでゆっくりと闇に飲まれて、ロストしなよ。きっと、安息な時間を得られるからさ。じゃあな~♪」
アイツの気配は消えた。誰の気配すら感じ無い。身体の感覚はまるで無い。ここから出せ!出しやがれ~!俺の意識しかいない世界。何も見えない、何も聞こえない、何も感じ無い…無が支配する世界…
俺は、ここで無になっていくのか…
---イッセー---
ドラゴニールはロストしたそうだ。二度と転生は出来無い。こうして、この世界の負の連鎖は切れたようだった。
しかし、今回の案件は、犠牲者が多かった。人質になった仲間は、全員団長の餌食に…木場さんは心が折れて、本拠での静養生活、メイビスさんは鉄拳制裁の上、本拠での静養及び謹慎処分、クリスさんとギャスパーさんは降格処分、イッセさんはイッセさんの世界で療養生活などなど。
この世界は徐々に元に戻りつつある。一気に蘇生作業が出来無い為だ。いくら団長でも、億単位の生物の蘇生作業を連続的に行うことは無理であった。合間には休憩と称して、エロ行為に走っているし。みんなは、エロ神だからねって納得はしているけど…
この世界の兵藤家、式森家の人間の蘇生が優先的に行われている。復興をする上で、大事な人材になるそうで。両家から団長を讃える神社を建立って話が出たのだが、団長が固辞した。エロ神を祀ってどうするってね。
冥界の立て直し作業も進み始めた。人間界の両家の蘇生終了後に、悪魔、堕天使、天使の蘇生にかかるそうで、まだ悪魔も堕天使も人口が少ないのが難点らしい。新魔王には、莉愛さん、シーグさん、セラフォルーさん、アジュカさんが就くそうだ。莉愛さんは念願が叶ったのだが、約束はお預け状態らしい。蘇生作業優先ってことで…合間のエロ行為にねじ込めと、団長に抗議しているのだが、団長にその気は無いんだろうな。
順調に思える復興作業であったが、問題が起きていた。クリスさんの娘のリアスが、団長の傍から離れないというか。さすがに、エロ行為中は、部屋の外にいるけど、それ以外は団長の傍に居続けている。
「どうしたいの?」
「シュウと一緒にいる」
「う~ん…」
凹む団長。団長の紅髪コレクションは増えそうな感じである。
そして、僕は本来の世界へと帰ることに…あっちの世界って、どんな人間関係だっけ?