投稿後、次話との辻褄合わせの為の修正をしています。
---イッセー---
久しぶりに自分の世界へ帰還した。しかし、そこには、ここを出る時にいたメンバーの一部がいなかった。あの激戦の世界で、戦線離脱をした者が多かったのだ。
「ほぉ~、良い面構えになったな、イッセー♪」
リビングに向かうと、父さんに声を掛けられた。団長とクリスさんの代わりに、僕の父さんと母さんが常駐することになった。
しかし、この場にいてもおかしくない、おじさん達の姿が無い。シアさん達も不審がっているようだ。
「あぁ、あのバカ親兄弟か?玄関の外でのしてある」
なるほど…シアさん達は玄関の外へと出て行った。
「で、この家は、俺達兵藤誠、一香が今後をまかされた。みんな、よろしくな!」
戻って来た皆を顔を見回す父さん。
「じゃ、今日は休養日にして、身体を休めろ。明日からは平常営業にするから」
各々の部屋へと向かい、それぞれがのんびりと過ごすことになった。。
「父さん、団長は?」
僕はその場に残り、団長の行方を尋ねた。
「有望な弟子を見つけて、つきっきりで面倒を見ているらしいぞ」
有望な弟子?僕は?
「お前は、それなりに完成形なんじゃ無いのか。そのお前を倒せるように弟子を鍛えているんだろうな」
どこか、父さんの顔は嬉しそうだ。
「弟子を鍛える気力があるのは、元気な証拠だよ。さて、イッセーよ。手合わせするか♪」
嬉しそうな顔の父さんに頷く僕。
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この世界の脅威は、団長がこまめに来て、掃除をしてくれたようで、事件らしい事件は起きないで月日が流れた。
しかし、平和は長続きしないものだ。
ドンドンドンドン!
激しく叩くノックの音で、平和な時間は終わりを告げた。ドアを開くと、知らない紅髪の少女が倒れ込んで来た。全身に酷い怪我を負っている。回復チームを呼び出し、治癒術を試みてもらった。
「あ…お願い…です…伝説の…騎士団…に…伝えてください」
意識が戻ると、女性は譫言のように、何かを伝えようとした。
「何をだ?」
咄嗟に、父さんが応対した。
「みんなを助けて…」
「おい!誰にやられたんだ?」
「ドラゴニール…」
その名を聞いて、固まる僕達。あいつ…消えたんじゃ無いのか?
「欲にくらんだ者達…封印の間…パンドラの箱…開けた…」
おい…あの封印を破ったのか?魔物達が開放されたのか?母さんが、ナヴィさんに確認をした。
『この世界では無いようです。この世界の封印は、聖騎士により護られています』
と、ナヴィさんから報告が戻って来た。じゃ、どこの世界だ?
『欲に目がくらんだバカがいて、分岐を新たに作ったようだよ。まったく…くそっ!』
綾香様から念話が届いた。怒りが載っている。相当怒っているようだ。
『亘はすぐに動けない。イッセーのチームでスクランブルしてくれ!』
命令が下った。って、僕のチーム?
「ねぇ、父さん。僕のチームって?」
「うん?留学組だろ?」
各々、この世界の時間を満喫していたが、父さんが招集を掛けた。我が家に集まってきた留学組達。
「スクランブル指令が下りた。すぐに現地にいって欲しい」
父さんが指示を出したのだが…
「俺はいかない。式森家の次期当主だ。そんな危ない世界へは行かない」
和樹が、この場を去った。
「俺もいかない。イッセー、悪い…兄を一人残していけない」
龍牙君も去って行く。その後も…残ったのは、ヴァーリと百代だけ…留学しただけでは、戦場へ行く決意は芽生えないのだろう。
「3名で行ってきてくれ。俺と一香は、この世界に常駐なんだよ」
父さんの目はくやしそうだ。
「わかった。行って来るよ」
回復した紅髪の少女から話を聞き、情報を収集する。ヴァーリと百代は遠征の準備をし始めた。回復役がいないので、回復薬を大目に効率よく持ち運ぶ為だ。
少女の名前はガイラ…名前を聞いて、誰の子かの予想が付いた。彼女の母はリアス・グレモリーで、父親は伝説の騎士団の団長だと言う。で、ドラゴニールの素性だが、彼女の弟で有り、根の優しい魔王であったらしいのだが、聖騎士達の護衛をして、ある遺跡で何かに取り憑かれ、性格が変貌したそうだ。
「何に憑かれたんだ?」
「まじん…」
「魔人?」
「魔神です。魔属性の神…」
魔神かぁ…って、何だ、それ?
「自分の血を呑ませる事で、どんな種族も魔神族にしてしまうんです」
交配繁殖では無いのか…吸血鬼みたいだな。
「心臓は二つあり、二つとも潰さないと死なないの…」
やっかいだな。
「能力はフルカウンター。直接的な物理攻撃だけダメージが入るけど、ダメージを入れるのが難しい…」
接近戦でしか戦えないのか…う~ん…
「君の世界の俺達はどうしているんだ?」
父さんが訊いた。首を横に振る彼女…ダメだったのか。
「ドラゴニールの能力は?」
「ドラゴンの笛…イッセーさんは私を助ける為に龍化して、ドラゴニールの手下に…御免なさい…」
僕に謝る少女。
「イッセー、龍化は出来無いぞ」
どうすればいいんだ?そうなると、ダークドラゴンが敵にいるってことだ。
「誠さん、一香さんは、龍化したイッセーさんを助ける為に、喰われました」
最悪なシナリオだ。この世界は、そこに向かうのか?
「鳴神はどうした?」
「私をこの世界へ飛ばしてくれました。父さんに…楽しかったよって、伝えてくれてって…」
アイツは最後まで戦っているのか…
「たぶん、ダメだと思う。鳴神さん以外、残っていなかったから…うっうぅぅぅう~」
泣き崩れた少女。
「イッセー、最悪だな」
って、ヴァーリ。
「あぁ、最悪だよ。父さん、この世界の封印を頼むよ」
「わかった。頼まれたよ」
僕、ヴァーリ、百代、ガイラの4名で最悪な世界へ転移した。
---式森和樹----
「お前みたいなヘタレに、この家は継がせない。この家から出て行け!」
父さんが激高していた。イッセーの家での出来事を話した結果だ。
「だって、生きて帰れないかもしれないんだよ。そんな場所に行ける訳ないだろ?」
「お前ってやつは…こんな平和な世界で、温室育ちを望むお前に、継がせない!」
「平和なんだよ。なんで、戦う準備をする必要があるんだ?」
俺に呆れたような表情になった父さん。
「平和だから、失敗を恐れずに鍛錬出来るのだろ?何故、分からないのだ?平和で無くなってから鍛錬しても遅いのだぞ!」
「父さんの息子である俺以外に、継げる人材はいないでしょ?」
余裕を持って言ってみた。結局、俺が継ぐことになるはずだ。
「兵藤言成君に継がせようと思う。イッセー君の息子だ。お前らの師匠のお墨付きだしな」
えっ?イッセーに息子がいるのか…あの歳でか?
「正式な手続きを進める。彼は兵藤家の次期当主でもあるが、兵藤家の現当主にも話はついている」
そんな…
「なんでだよ?実の息子だよ、俺は」
「才能無し、根性無しのヘタレに、この家の将来は任せられない。未来がそんな状況だと、いずれこの世界は戦いの毎日になるのだろうし」
俺は、どうすれば良いんだ?
---神城龍牙---
ドスン!
アニキに殴られ吹き飛ばされた。
「お前、何、逃げてきたんだ?俺は、そんなヤツに護られたく無い」
「いずれ、この世界は、暗黒の時代になるんだ。俺はアニキの傍で戦いだけだ」
未来から来た少女の話を伝え、イッセー達の話をすると、アニキが攻撃をしてきた。
「ふざけるなよ!お前は俺の友人の弟子を見捨てた弱虫だ。そんなヤツに護られたく無い!」
そうだよ。恐いんだ。俺を瞬殺したイッセが、戦線離脱する戦場なんて、行ける訳が無い。いや、足手まといになるだけだ。
「足手まといだと!行ってみないとわからないだろ?なんで、イッセー君をガードしきらないんだ?!おい!!」
ズドッ!
アニキの剣が俺を襲った。咄嗟に避けようとしたが、腕に刺さった。
「ははは、この程度の攻撃も避けられないのか。お前は、鍛錬を真面目に熟したのか?そうだな。その程度の腑抜けは、イッセー君も迷惑に違いない」
アニキは俺置いて、どこかへ去った。
---イッセー---
転移をした先、見た事の無い魔物達で溢れていた。僕達は鳴神のオーラを探索した。生きていてくれ…
戦闘…僕はエクスカリバーを手にして、百代は拳を武器にして、ヴァーリはガイラをガードして戦う。フルカウンターする魔神がどれかわからない。なので、用心して、直接攻撃だけをしていく。
「おい!キリがないぞ!」
「百代!油断するな。血を摂取するなよ!」
「そうだな」
見た事のないドラゴンも多数いる。僕達の倒した敵は、生きている敵のエサになるようで、仲間を躊躇なく食べている敵。救われない世界だな。
「見つけた!」
ヴァーリが鳴神を見つけたようだ。その場所へ移動する。
鳴神はボロボロになっていた。
「ガイラ…お帰り…」
上体を起こして、ガイラを抱き締める鳴神。
「ただいま…3人しか来てくれなかった…」
悲しそうに報告する彼女。
「上出来だよ。イッセーが居れば、来てくれるよ。俺の恩人がな」
「鳴神…」
「イッセー…いい面構えになったなぁ。俺は主のソーナを護れなかった…愚か者だよ」
寂しそうに言葉を吐く鳴神。
「どうして、こうなったんだ?」
「欲に目がくらんだバカがいたんだよ。それが嘘とも知らないでな。首謀者は聖騎士団だ。アイツらは戦いの場が無いと仕事がないんだよ。だから、敵を作ったんだ。封印されている災いを起こしたんだ。バカだよ、人間は…」
魔なる敵がいないと戦う場の無い聖騎士団。彼らの戦いは聖戦と呼ばれ、彼らは英雄になれるのだ。勝てばの話ではあるが…
「異種族共存は、この世界では無理だったんだ。あのバカ兄弟が仕切っている限りな」
まさか…あの神王と悪魔王がやらかしたのか…
「あぁ…」
僕の心を読み返事をした鳴神。
「エロ神への借金を返す為に、お宝の眠る封印だと想い、聖騎士団の口車にのって、パンドラの箱の封印を解いたんだよ。人間では封印の間に入れないからな」
何をしているんだ、あの人達は…
「あの二人も解除中に気づいただろうな。禁忌の封印を解いているってことにさぁ。でも、途中で封印解除の術は途中では止められなかった。あの二人ではな」
そうだ、知らせないと。
「手遅れだ。お前が戻ってきた翌日に、アイツらはやらかしたんだ。お前の父親に叩き出されたことで、借金をチャラにして、対等な立場になろうとしたんだ」
え?じゃ…僕の世界は…最悪なシナリオに向かっているのか…
「そうだ。ガイラの父親は?」
「エロ神はリアス、ソーナに種を渡していた。最悪なシナリオに向かったことに気づいた二人は、子供を作り始めたのはその時だ。子供を使者として送り出す為に。寂しさを紛らわす為に。そして俺は、ガイラとシイラの二人の子守り兼教育係になったんだ。エロ神のお陰で、子供を持つ幸せを知ったよ。自分の子供では無いけど…自分の子供のように育てた。でも…ソーナの子のシイラは護り切れなかった。くそっ!ソーナに世話になっていたのに」
「ごめんなさい」
ガイラが鳴神に泣きすがった。
「ガイラは悪く無い。俺が力不足だったんだよ。俺が倒した魔神の血を浴びて…飛沫が口か鼻に入ったようだ。シイラは魔神化してしまった。そんな彼女を俺の手で倒した…」
ガイラを抱き締め泣いている鳴神。
「どうすれば倒せるんだ?」
「龍化はするな。ドラゴニールに下僕化される。この世界にいたイッセー、龍牙は軍門に下っている。そうそう、ドラゴニールに取り憑いているのは魔神だ。アイツを退魔出来れば、ドラゴニールが戦力になってくれるはすだ」
退魔能力を持つ者はいない。最悪だな。
「兎に角、エロ神が来るまで、ガイラを頼む。コイツだけが生き残りんだよ」
「鳴神もだろ?」
「俺は、時間を稼ぐ。お前達はバベルの塔を目指せ…」
「先生!先生!え…死なないでぇぇぇぇ~」
ガイラが鳴神の異変を感じ、呼び掛けるが…鳴神は…遺体を埋めて、その辺に落ちている材料で墓標を作り、4人で祈りを捧げた。
『エロ神に魂を貰ったんだ♪転生が出来るんだ。ガイラ、生き延びて、俺を…新しい世界で俺を見つけてくれ』
僕達の脳裏に響く、嬉しそうな鳴神の声。鳴神の魂が天へと昇っていく。それをガイラは涙目で、見つめていた。そして、見えなくなった頃、
「じゃ、行くぞ。バベルの塔へ!」
僕達は敵に見付からないように、バベルの塔を目指した。
---リシアンサス---
イッセー君と共に行けなかった。招集の掛かった時、我が家では、父親が長期に渡って、行方不明になっていたから。
「どこへ行ったのよ」
母達が怒り心頭である。留学から帰ってきた日、イッセー君のお父さんに、団長への借金を払わないと、イッセー君の家には、出入り禁止と言われた上、叩き出されたそうだ。たしかに、叩き出されていたよな。夏休みの終わりの風景を思い出した。
「借金返済の工面では?」
出禁の解除を目指して…有り得る。はぁ~。
「そんなアテあるなら、留学中にすれば良いのに…」
父親の奥様方が会話している。ちなみに私の母親を含め3人の妻がいる父親。ネリネの父親も行方不明らしい。二人で借金返済の工面行脚に出たのかもしれない。まったく、あの父親は…
って、学校へ行かないと。冬休みは終わったんだから。留学を共にした仲間達と集団登校をして学校へ。その仲間の中に、イッセー君、ヴァーリ、百代はいない。現地へ出撃したと誠さんから聞いた。
「シアちゃん、元気出しなよ。きっと、元気な顔で帰って来るよ」
リアスに言われた。
「そうだよね。直ぐに帰ってくるよね」
イッセー君の顔を思い浮かべた。でも、その時、この世界では、最悪のシナリオへのスタートが静かに切られていた。