再度戦争へ介入
---シュウ---
地上では、悪魔、天界、堕天使、魔人による4大勢力戦争が起きた。事の発端は、メイビスとルシファーの口ゲンカから始まったのだが…
前回はしょぼい編成での乱入であったが、今回は5大勢力戦争に格上げした。そう、ファントムドラグーンが参戦したのだ。
圧倒的な戦力を前にして、敗退する4大勢力達。
「停戦に応じてやるよ。条件を飲めばな!」
僕を睨みつける各勢力のトップ達。悪魔はルシファー、天界はメイビス、堕天使はアザゼル、魔人族は長老である。停戦に向けて、僕を含めた5名で話し合いを行うことになった。僕達の戦力の前では、彼らは何も出来無かったからだ。
「トップはそのまま、続けていいぞ!あと、メイビス、ルシファー…何が言いたいかわかるな」
睨みながらも、頷く二人。
「領有権については、配った書類に目を通してくれ」
戦争開始前と変わらない領有権。
「おい!お前達、勝ち組は何を得たいんだ?」
アザゼルに訊かれた。そう、そこには僕達の領地が書かれていなかったから。
「次元の狭間を貰う。後、制空権だな。後、次に戦争を起こした勢力は確実に潰す。いいな!」
僕の出した裁定に、怪訝な表情のトップ達。まぁ、勝ち組として、得することがあまり無いし。ここで、彼らにだけ事実を話した。
「宇宙神様からの命令…なんで、そんな神格階位の方が…」
神格階位に敏感なメイビスに訊かれた。
「だから、この星はリスタートなんだよ。同じ過ちをさせない為に、僕達が乱入したんだ。だから、過ちを繰り返さない限り、この星から奪う物は無い」
証拠ってことでは無いが、魔人族の長老には、前回の周回で得た、魔人族の長の手形を見せた。アザゼルには、あのクリティカルな呪文を唱え、メイビス、ルシファーには前回手に入れた二人のマン拓を見せた。
「鬼畜…こんな物を取ったの?」
怒りに震えるメイビス。
「何しているんだ、お前は…」
呆れて固まるルシファー。
「前回の周回の証拠を開示したことで、納得してくれたかな?」
魔人族以外のトップ達は、それなりにダメージを負ったようだ♪で、この5名で定期的に会議を行う決まりを作った。
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メイビスとルシファーを神隠しにすると、あのバカ親兄弟が台頭してしまうので、今回は、そのまま、トップでいて貰うことにした。
ゼロからの介入なので、色々設定を弄れた。チームドラゴンのメンバー達は、伝説でいたという都市伝説を流して、この世界としては産まれないようにした。手違いで産まれた場合は同化吸収してもらい、年齢を若返らせていく。
各勢力に、禁止事項を予め伝えることもした。クローン体、人工生命体対策である。勿論、リリン、ロキのこともね。
「なぁ、地上に家を持ってくれないか?話のあるときに連絡がしづらいんだが」
って、アザゼル。
「どこかに良い物件って有る?」
「日本の駒王町という場所を、異種族共存地域にする。そこはどうだ?」
ありがちな設定であるな。まぁ、ありがちな設定は間違いないと思うので、それで手を打った。建物は、僕の世界の僕の家とほぼ同じ間取りである。違うのは、リビングの壁に埋め込まれたドアの行き先だ。各勢力のトップの部屋へのドアになっている。しかも、僕の家からの一方通行である。
家に常駐するメンバーは、チームドラゴンと、親衛隊程度の予定である。僕の理想であるので、そうは成らない予感があるけど…
---メイビス---
ルシファーと今後の対策を話し合っていた。先の戦争の原因は、あの鬼畜野郎にバレていた。
「他の勢力にバレるとマズいぞ」
「マズいよね…」
あの男の口は、どこまで信用出来るんだろうか?
「あのマン拓も危険だ。冥界でバラ蒔かれたら、ダメージがデカイ」
「それは私もそうよ!天界で撒かれた…」
神としての権威は失墜するだろう。
「で、どうする?」
「身体で払う?」
「他に何かあるか?」
欲が無い男ほど、タチが悪い。取り敢えず、彼の新居に向かった。アザゼルが、アイツを地上に住まわせることに成功したそうだ。次元の狭間に住まわれたら、話したい時に逢いに行けないから。
「どうしたんだ?二人揃って…」
「先の戦争の責任を話に来ました」
「責任?特に何も罰を与えない。いや、与えないことが罰だよ」
「それでは示しが付かない」
「誰に対しての示しだ?」
「それは…」
勿論、自分に対してである。
「あぁ、言い忘れたが、僕は心が読めるんだよ。メイビス♪」
うっ!耳が熱い…くそっ!恥ずかしいなぁ…自己満足ってバレてしまった。
「で、身体で払いに来たのか?なぁ、ルシファー」
ルシファーの顔が真っ赤である。心に思ったことは、総て筒抜けのようだから。迂闊に妄想なんか出来無いぞ…
「特に、お前達二人には興味は無い」
興味無いのにマン拓を取ったのか…
「あぁ、言い方がマズかったな。この世界のお前達二人には興味は無い」
「ちょっと、待って!違う世界の私達には興味はあったの?」
ルシファーが質問していく。
「そうだな…メイビスとは一緒に暮らした」
え…一緒に…暮らした…
「結婚指輪もあげた」
指輪?結婚…したんだ…
「私の最期はどうだったの?」
気になったので訊いてみた。
「ダークドラゴンに喰われた。ほぼ丸呑みだよ。胃袋から救い出した時には、全身の皮膚は総て解けて無かった。筋肉には噛み痕が多数残っていたよ」
どこか遠くを見つめて、静かに語ってくれた。看取ってくれたんだ…
「生き残ったルシファーには責任を取ってもらった。この星の種の一部になってもらったんだよ」
驚いた表情のルシファー。
「肩口から片腕が、ダークドラゴンに喰われて無かった。その勇敢さを星に与えて貰ったんだ」
「この星は私で出来ている…んだ…」
「まぁ、そんな感じだよ。想い出が深い分、この世界の君達には興味が無い。コピー体に見えるから…」
前の周回では私達のことを、想っていてくれたようだ。私は、いやたぶん、ルシファーも、彼を見る目が変わったと思う。
---兵藤誠---
相棒の一香と様々な場所、神格系を旅する毎日。鎖国したような家に籠もっていた日々とは比べ物にならない程の充実感だ。色々な種族の友達も増え、色々な情報に接して、日々を満喫している。
そんな時、5大勢力戦争の勝ち組の話を聞いた。表の歴史では4大勢力戦争で、結末は痛み分けってことになっているが。実際はもう1つ勢力があり、そこが一人勝ちしたそうだ。
「で、どんな奴らなんだ、アザゼル」
情報をもたらしたのは、堕天使の総督のアザゼルだった。
「幽玄龍騎士団って言う勢力だ。4つの勢力で手を組んで戦ったんだが、勝ち目がまるで無かった」
アザゼルは、あの戦争時、既に堕天使の総督であり、遭い塗れたそうだ。
「どこに行けば会えるんだ?」
「駒王町に家があるぞ」
駒王町?俺達の家の傍ではないか…住所をアザゼルに聞き、向かうことにした。
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見た目大きな一戸建てである。3世代住宅って感じかな?呼び鈴を押すと、メイドが応対してくれた。このメイド…種族が分からない。人間では無いのは確かであるが…
俺と一香はリビングルームに通された。そこには高校生くらいの青年が、ソファに座っていた。
「これはこれは、現代の英雄の兵藤誠さん、一香さん夫妻では無いですか?」
コイツ…種族が分からない。こんなことは今まで無かった。勝ち組は、俺の知っている種族では無いのか?
「そんなに睨まないでください。男に興味は無いですから」
目の前の青年は、一香の全身を舐めるように見ていた。
「5大勢力戦争の勝ち組の騎士団に会いたいのですが、呼んで頂けますか?」
目の前の青年は笑っている。何がおかしいのだ?
「相手の力量が分からないに、ケンカは売らない方が良い」
「うっ…ダメっ!」
一香が床にしゃがみ込んだ。何をした?青年を睨むが、
「本当の恐怖を感じたことが無いようですね」
え?空気の質が変化した。これは高山の薄い空気じゃないか…一香は身を捩って悶えているし。
「何をしたんだ?」
「別に…何、苦しそうな顔をされているのですか?」
俺の本能が逃げろと言っている。こいつは危険だ。一香の傍に行き、転移術を発動した。が…
「あぁ、あなたの魔法は無意味ですよ。ふふふ」
コイツ、『無価値』持ちなのか…ならば、遠方からの接近戦を仕掛けた。が…
「何をしてるのですか?素振りですか?ふふふ♪」
一香の口からヨダレが垂れている。何をされたんだ?それよりも、コイツ、ダメージがまるで入らない。
「まさか…『透過』持ちか?」
笑っている青年。
「もう、やめてぇぇぇぇ~!」
一香の悲鳴で、彼女に視線を移すと、十字架に磔にされていた。全裸でだ…いつの間に…
「ではマジックショーでも披露しましょうか?彼女の種族を悪魔にして、この聖なるオーラを纏わしたロザリオで、割れ目を弄ぶと、どうなるでしょうか?」
いや…それはダメ…それ以前に種族変更だと…有り得ない…えっ!一香から悪魔のオーラを感じる。アイツの手にしたロザリオからは聖なるオーラがダダ漏れるくらい強力なオーラを発している。
「やめろ!なぁ、やめてくれ!一香が死んでしまう」
「かまわないですよ。死体とヤルのはオツな物だし♪」
コイツ、狂っている。止めようとと思うが、『透過』能力で掴めない。そうこうしていると一香の傍に達したアイツ!
「痛っ!ダメ…死んじゃうって…いやぁ…」
え…息絶えた一香。その彼女と交わるアイツ…
「止めろ!」
背中から、アイツに拳を叩き込んで行く。
「お前はバカか?『透過』持ちにそんなことをすれば、僕の前の獲物の死体が損壊したぞ」
アイツが退くと、腹部が貫通している一香がいた。俺が殺したのか…絶望からか、意識が遠のいて行く。
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頭が痛い…ここはどこだ?ベッドの上にいるようだ。視線を横に向けると、一香がベッドの上に寝ていた。あれは、悪夢だったのか?
「よぉ!目が覚めたか?」
アザゼルがいた。
「どういう状態だ?」
「蘇生術って言うのを見ていた」
蘇生術…
「誰が死んだんだ?」
「お前達二人だよ、誠殿」
俺達二人…死んだのか…
「で、種族変更って言うのも見せて貰った。今、検査機器で、種族を確認したよ」
種族変更…悪夢で聞いた言葉だ。
「確認?」
「お前達二人は、転生ドラゴンになったんだ」
俺達がドラゴン?ドラゴンになった実感は無い。一香は一香の姿だし。
「アザゼル、正確に伝えてよ。お前達の身体の強度を、ドラゴン並にしただけだ。ドラゴンの能力は付加させてはいない」
「なんの為に?」
「そうだな…来る未来の為にだ。お前達の禁忌の予防って言えばわかるか?」
禁忌の予防…兵藤家の者と一香の式森家の者の間に、子供を作ってはいけないって、アレか?
「そうだ。子供が生まれる時に、母体諸共暴発する危険があるからだ」
「どういうことだ?」
「兵藤家、式森家の歴史を調べろ!アザゼル、後は頼むぞ!」
「わかった」
アイツが去って行った。
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堕天使の施設を退院して、それぞれの家の歴史を調べた。元々は同じ家系だったようだ。格闘戦が得意な者達で兵藤家を興し、魔術、魔法が得意な者達で式森家を興したそうだ。で、禁忌の意味だが、兵藤家、式森家の者の間に産まれた子供は、先祖還りにより産まれる瞬間に、膨大なエネルギーを発するらしい。先祖還りしなかった者は、どちらかの能力しか持てないが、先祖還りした者は両家の能力を持ち、更にプラスアルファーな能力が付加するらしいのだが、人間の器ではそのエネルギーに絶えられないらしい。
だから、転生ドラゴンにしたようだ。って、いうか、なんでアイツは、この情報を知っているんだ?前当主であった俺と一香ですら知らなかった事実を…
「アザゼル!アイツは何者なんだ?」
「知らない方が良い話ってあるんだぜ、誠殿」
知らない方が良い話だと?
「知れば、命の保障は出来無い。そういう類いの話だ」
トップシークレットってことか…
「いいじゃねぇか、これで子供が授かれるんだから」
そうだが…
「そうだな。現時点では誠殿の敵では無い。それだけは言っておく。将来的にはわからないがな」
アイツの目指す方向が違えば、敵になるってことか…
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そして、一香との間に子供が生まれた。俺と一香の名前を一文字ずつ取り、『一誠』と名付けた。親子三人で色々な場所へ出掛けた。悪魔が住む冥界、天使が住む天界、各神格筋の本拠地など、行く先々で、一誠は可愛がられた。俺達親子に取って幸せな時間だったと思う。
でも、その幸せな時間は終わりを告げようとしていた。