---シュウ---
丁度、一誠が産まれたタイミングで、ヴァーリを甦らせた。ガイラに渡した神滅具の中に魂を保存していたのだ。
ルシファー姓を名乗らせたいので、ルシファーとメイビスのDNAを融合させて、受精卵を作り、魂を入魂してから、神滅具を持たして、ルシファーの子宮に着床させた。
「私が母親か?」
「そうなると、父親はメイビスだな」
「いやよ!私も母親がいいよ~」
三人で生まれて来る子供を楽しみに待つ。さすがに、メイビスが父親とは言えないので、父親は僕ってことにした。
産まれた子供は、魔属性で天使の翼持ちの女の子である。知能、記憶はあの当時のヴァーリのままなので、念話での会話は出来るスーパーベビーである♪
『イッセー君の傍にいたいよ~』
赤子では無理である。そもそも、今回は誠達との懇意にしていない。ヴァーリの世話はルシファーとメイビスでしている。
そうそう。ルシファーは悪魔王の地位に就き、メイビスは神王の地位に就いた。その結果、フォーベシイは単なる魔王で、バカ神は天使長止まりである。メイビスの下にヤハウェがいるから。
一応、僕の子供ってことになっているので、僕の家で育児をしている。なので、僕の家にメイビスとルシファーは頻繁に来ている。で、ヴァーリの出生の秘密は、アザゼルには知らせてある。問題が起きた場合に、対処させたいからだ。
そして、誠、一香の最大なイベントの日へと近づいて行く。今回は助けない。ベースキャンプって物が無いから。匿う場所が無いのだ。アザゼルが、この街に住めと進めたせいだな。
まぁ、あの二人が必要な場合は、僕が一誠だった世界の二人を連れてくれば良いし♪
---イッセー---
僕の名前は『兵藤一誠』、愛称は『イッセー』である。今日は休日だったので、友達の家で遊んでいて、昼寝をして、おやつをごちそうになって、また遊んで、夕方になってしまった。まぁ、今日は両親にお客さんが会いに見えるので、帰りは夕方でも良いって、言われたし。
「じゃ、イリナ。また、明日ねぇ♪」
友達に別れの挨拶をして、家を目指して歩いている。今夜は、普段仕事で家にいない両親が家にいる日なので、夕食を僕が作ろうと思う。お母さんに、料理の腕の上達ぶりを見せなければ。この日の為に、色々な料理本を読んで、更に学んだだもの。
お母さんが僕の作った料理を食べると『また、息子に負けた』って凹む。そんなお母さんの姿を見て、お父さんが苦笑いするんだ。
あっ、家が見えてきた。玄関に辿りついて、
「ただいま!」
って、言って家の中に入っていった。そして、両親がいるはずのリビングルームに向かう。
あれ?そこにはお父さん達は見当たらずに…カラスの翼を生やした女の人と、蝙蝠の羽を生やした男の人達がいた。
「ガキかよ」
「殺しがいが無いわね」
「違うぞ。ヴァン、俺達は神器の所有者を探して、そいつから神器を奪うことだ」
「シャーリ、奪えば死んじゃうんだから、同じ事だわ。持っていないヤツは、口封じに殺すんだしね。」
「それはそうだけどな」
女の人の発言に男の人達は呆れているみたいだけど、それよりもお父さん達はどこだ?リビングルームの見渡すと、アイツラの足元には、血塗れのお父さんとお母さんが横たわっていた。
「お父さん、お母さん…」
僕は、お父さん達に近づいた。そして、身体を揺すって、声をかけたけど、お父さん達は、反応しなかった。
「おい、ガキ!良いことを教えてやる。お前の両親を殺したのは俺達だよ。ははは」
「えっ?」
なんで?
「さてっと、シャーリ」
「おい、このガキもか?ジャガ」
「あぁ」
男の人が僕に近づいて来た。お父さんを、お母さんを…怒りに飲み込まれていく僕。そして、意識が消えていく。
---ヴァン---
「なんだ、このガキ、尋常でない数の神器を持っているぞ」
ジャガが驚愕の声を上げている。
「ふふふ」
見知らぬ声が聞こえた。声のする方を見ると、見知らぬ青年がいた。
「はぐれ堕天使のヴァン、はぐれ悪魔のシャーリ、ジャガかな?あぁ、誠、一香の持っていた神器は返してもらったから」
確かに、いつの間にか奪われている。
「貴様、何者だ?」
「僕は『神殺し』シュウ」
次の瞬間、シャーリとジャガはミンチ状態になっていた。
「お前は、連れ帰るよ。潜入捜査官のヴァンさん」
こうして、私の任務は終わった。
二人の遺体を置いて、この家だけを消失させる術式プログラムを発動して、子供と私と彼の三人で転移した。
---イッセー---
目が覚めると、見覚えのない部屋にいた。
「イッセー君、お目覚めだね」
知らない女の子が声を掛けてきた。
「私、ヴァーリ・ルシファー…よろしくね、イッセー君♪」
女の子が僕に抱きついてきた。なんか、懐かしい気がする。なんでかな?初めて会ったのに。
「ねぇ…ここはどこ?」
「ここはアウロスという学園都市にある僕の家だ」
知らない男の人に言われた。
「僕はヴァーリの父親のシュウだよ。よろしくな、一誠君」
なんだ?この人も懐かしい気がする。なんでだ?
「ねぇ、お父さん達は?」
「はぐれ者達に殺されたよ」
殺された?最強のペアなのに?
「あぁ。君の両親は人間として最強だったに過ぎない。はぐれ者達を甘くみていたんだろうな」
そんな…
「君にはそうならない様に、娘と共に、アウロス学園という戦士養成学校へ通って貰う」
え?転校…
「転校になる。いつか、両親の仇を取れるようになれ。いいな」
ヴァーリという女の子のお父さんに頭を撫でられた。心が穏やかになっていく。前にも経験があるような無いような…
「そうそう、アウロス学園は、多種族共存の戦士を育成する学校なんだよ。色々な種族の者がいるが、悪い奴はいない。友達を作れよ。で、イッセーの学費は、僕の妻達が負担していくれるから心配なく通ってくれ」
「妻達って?」
一夫多妻制なのかな?ここって…
「アウロス学園の園長のソーナと副園長のシーグヴァイラは、僕の妻だ。ヴァーリの母親では無いけど、君達二人を暖かく育ててくれるから、心配しないでいい」
「この世界は一夫多妻制なんですか?」
「昔の彼女にそう教わったけど、違うみたい。僕だけの特例だって。ははは。そうそう、
登下校はヴァーリか、妻達としてくれ。ここは翼がないと、不便だからね」
そういうと天使のような翼を広げた少女のお父さん。
「天使なんですか?」
「僕は鬼と天使のハーフだよ。イッセーと同じ禁忌な組み合わせだ」
「禁忌な組み合わせ?」
「イッセーが、高校生になったら教えて上げる。だから、健やかに育てよ」
そうして、僕とヴァーリの冥界での生活が始まるのであった。
---メイビス---
兵藤誠、一香夫妻の死亡、その子供が行方不明というニュースは人間界のみならず、天界、冥界、各神格筋を駆け巡った。
私達トップには、シュウから連絡が来た。兵藤夫妻がはぐれ者に暗殺され、イッセー君は保護したと。ヴァーリと二人、信用できる場所に預け、鍛錬を積ませていると。
天界では、天使長ユーストマが陣頭指揮を執り、情報収集をしていた。トップだけの知り得る情報故、下の者に知らせる訳にいかないから。
冥界では、魔王フォーベシイが陣頭指揮を執っているそうだ。
---兵藤源氏---
本家の屋敷の地下にある洞窟に、妻と二人で様子を見に来た。ここには兵藤本家の者達の命の蝋燭が置かれているのだが、大きな蝋燭2本は炎が消えていた。しかし、小さな蝋燭1本には炎が灯っていた。
「くそっ!誠と嫁はダメだったのか…孫は生きているようじゃが、どこへ行ったのやら」
「生きていれば、いつか会えますよ、あなた」
地上へと階段を昇ると、子供二人が駆け寄ってきた。
「ねぇ、いっくんは無事だった?」
「誠お兄様達は?」
「悠璃、楼羅よ。誠と嫁はダメだった。一誠は生きているようじゃが」
「ねぇ、お父様。いっくんと、いつ逢えるの?」
「一誠様に逢いたいですわ、お父様」
って言われても、どこへ行ったのかわからんし…
「早く逢わせてくれないと、お父様って呼ぶことをやめるからね」
娘から無情な通告…
「居場所がわからない。探してみるから、だから、そう言うなよな」
娘達には弱い儂…う~ん…
---アザゼル---
イッセーは無事に救出してくれたそうだ。俺達の送り込んだスパイから得た情報が役立ったそうだ。
「それで、ヴァンはどう証言をしていますか?」
「黒幕は兵藤家の反誠派のようだ。アイツが戻ると、当主の座を持って行かれちゃうからな」
「予想通りだ。たぶん、式森家も関わっていそうだな」
「どうする気だ?」
「イッセーを鍛える事を優先するよ。はぐれ者に頼むってことは、依頼者は金は有るが、戦闘は弱いんだろうしな」
「俺達であぶり出せたら、やっておくよ」
「頼むよ、アザゼル」
「その代わりじゃないが…イッセーの留学先の候補に、入れておいてくれよ」
「あぁ」
気の乗らない返事を返してきたシュウ。
---イッセー---
冥界での生活。新鮮な経験ばかりである。空の色が青く無いことに一番の驚きを感じた。ヴァーリは同い年のようだけど、僕の世話をしてくれるお姉さん的な存在だ。虐められた時、必ず助けてくれ、相手をボコってくれるし。
学校では、人間界の義務教育を教わり、悪魔、堕天使、天界の基本事項、歴史、文字を教わっている。戦士の為の学校なので、格闘術、魔術、気術などの戦闘に必要な基本を習い、それぞれの得意分野を極めていくようだ。
専門コースになると、レーティングゲーム、実戦、特殊任務など様々なシチュエーションを想定した戦い方を学ぶようだ。
僕は、ヴァーリと共に、特殊任務コースを選択した。これが一番厳しいコースであるそうだ。仇を討つには父さん達より強くならないとダメだから…
ヴァーリのお父さんであるシュウさんの古い友人だと言う、兵藤先生と、ライザー先生。ライザー先生からは戦略を学び、兵藤先生からは神器と言う物を習っている。ヴァーリは神器が使いこなせるようで、家で補習をしてくれている。
あぁ、後白音先生と黒歌先生にもお世話になっている。僕の中に宿るドラゴンと狐とのコミュニケーション術を教えてくれている。
勿論、園長先生、副園長先生も優しく接してくれている。
「いい?悪魔にも良い悪魔と悪い悪魔がいるように、天使や人間にも悪い奴がいるのよ。注意してね」
副園長先生は、生活面での注意までしてくれている。
『父さん、母さん、僕は恵まれていると思います』
と神棚に報告する僕。
「その神棚じゃ、効果無いわよ」
って、園長先生。
「この家も、学校も、普通じゃない神様を祀っているのよ。うふふ♪」
普通じゃ無い神様…なんとエロ神、ヴァーリに言わせると恋愛の神様らしい。
『父さん、母さん、そちらでも仲良いですか?』
これなら、大丈夫かな?
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冥界に馴染んだ頃、家に見知らぬ少女がいた。
「イッセー君、大きくなったわね」
僕の事をしっているみたいだけど…
「あぁ、ガイラさん、お久しぶりです」
ヴァーリは知っているようだ。どこで会ったかな?
「これからは、私も学校へ通うわ。父様のお許しがやっと出たの」
「良かったですね」
「甘えん坊の姉達で手一杯みたいで…」
お姉さんが一杯いるらしい。
「アイズさんは相変わらずですか?」
知らない名前だ。誰だ?
「うん、相変わらずよ。妹である私が甘える隙間が無いのよ。困り者よね」
「ですね。あぁ、イッセー君、ガイラさんはシュウさんの娘さんですよ」
娘さん?
「ヴァーリは?」
「私は養女です。アイズさんも養女。シュウさんは、身寄りの無い子供達を、自分の子にして、育ててくれているの」
僕と同じなんだ…ヴァーリも…
「今度、子供会しましょうか?賑やかでしょうね」
ヴァーリが輝くような笑顔を見せた。心がときめいていく僕…