---工藤新一---
俺にとっての難題である。蘭がアイツの元へ行きたいらしい。さっきからメールが山ほど届いているが、相談事って、そのことだろうな。
「どうすんだ、工藤?」
服部に相談した俺はバカか。コイツでは問題解決にならない。
「和葉も、なんかいったれ!」
「う~ん…蘭ちゃんを引き留めようよ。だって、知らない世界へ連れて行かれたら、もうあえへんしな」
そうだ。もう会えない可能性があるのだ。あのエロ神め…
「アイツが帰るまで、蘭ちゃんを隠すとかは?」
「隠す?」
まぁ、忙しいヤツだから、探さすに帰るか?
家に帰ると、蘭が走り寄って来た。
「心配したんだよ~!何をやっているのよ…」
その場に倒れるように、意識が狩られた蘭。ゴメンよ…麻酔針で眠らせた俺。服部と和葉ちゃんの協力、さらに園子の協力を得て、蘭を隠した。
---シュウ---
イッセーは結論に達したようだ。明日にでも離脱するかな。工藤君はエゲツ無い行動に出たもんだ。まぁ、置いて行くつもりだから、それでもいいけど。
英里に挨拶に向かった。
「明日くらいに離脱する」
「そう…蘭とは話をしてくれた?」
「工藤君と旅行へ出たようだ。それが返事だろ?」
「え?そんなはずは…」
蘭のスマホへ連絡を入れる英里。蘭のスマホは工藤君が持っている。だから、出ないよ。
「おかしいわね。連絡するって言ったのに…」
「まぁ、そういうことだ。また来るよ。英里に会いたいし」
「そう?」
英里と唇を重ねた。後、誰に挨拶だ?
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誠達を尋ねると、藍原姉妹がいた…はぁ?なんで、ここに?
「シュウ…どうするんだ?」
「アイツが結論に達した。僕はアイツの結論を支持する。それだけだ。それで、何か有るのであれば、僕の責任で対処する」
「どういう結論だ?」
「アイツに訊け。って、その姉妹の自宅へ向かったぞ」
え?って表情の姉妹が、誠の家を出て行った。
「明日には離脱する。また、来るよ」
「シュウ…娘さんのことは聞いたよ」
固まる僕…誰が話したんだ?そんな余計なこと…
「誰でも、いつかは死ぬんだ。あまり自分を責めるなよ」
「お前に何がわかるんだ?誠よ!僕は…娘を殺したと思っている。戦力の読み違いは僕の責任だからな」
「ダメだよ、シュウさん!」
一誠が僕に抱きついてきた。怒りに飲み込まれた僕に…
「シュウさんは悪くないって…だから…」
怒りの炎が僕と一誠を飲み込んで行く。
「シュウさん、ダメだって」
翼が僕に抱きついてきた。
「らしく無いぞ、エロ神…」
ひたぎもだ…なんで、そんなに、僕なんかに優しくするんだ?
「僕達はシュウさんの優しさで育ちましたから。だから、そんなに責めないでください」
一誠…怒りの炎が消えていく。火傷を負った一誠達を、一香の神滅具が治癒させ、僕は僕の能力で再生していった。
「僕は娘を殺した。形見として持っていた娘の身体すら、糧に使った。最低な父親だよ」
僕はその場から離脱した。
---イッセー(実習中)----
藍原姉妹の母親と相談している。姉妹は別の場所にいるらしい。
「そういうことです。俺は、親子が別々の時間軸で、生きることはさせたくないです」
俺は俺の出した結論を彼女達の母親へ伝えた。
「それでも行きたいって言ったら、どうしてくれますか?」
え?それは想定外だ。う~ん…少し悩み、思いついた。
「一緒に来ると人間ではなくなります。だから…」
「私…死んだんですよね?なのに…こうして…」
あぁ、そうだった。
「だから、彼女達と生きてください。俺の師匠の厚意を無にすることは止めて下さい」
「そう…そうよね。うんうん…君の立場はわかるよ。でも…」
姉妹の気配が近づいている。会ったら、決心が揺らぎそうだ。
「時間ですので…また、時間が合えば、来ます」
嘘を吐いて、その場から離脱した。
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キャッスルドランに着くと、いきなりシュウさんに、殴られた。どうして?
「お前…何をした…おい!お前のしでかしたことを見ろ!」
モニタに映る藍原家…母親が自殺していた。
「僕の蘇生能力は知っているだろ?自殺者は救えないんだよ。なんで、お前、あんな言い方をしたんだ?」
また殴られた。誰も助けてくれない。
「あの二人を連れて行く。だけど、イッセー…お前は関わるな!いいな!!」
こんなにも怒りを纏ったシュウさんを初めて見た。恐いって感じはしない。シュウさんの表情は悲しみに満ちていたから。
「あの母親、団長の厚意を無にする責任を取って、命を返上したみたい」
って、エリザベスさん。
「いい?イッセー君、嘘は吐いてもいいんだど、その結果も考えておきなさいね」
いつも笑顔のエリザベスさんの表情には怒りが満ちあふれていた。僕のせいだ…僕の…
「お前のせいでは無い、シュウのミスだ。また、アイツは弟子を買いかぶりすぎたんだ」
副長であるフィンさんからの言葉が、僕に刺さる。シュウさんは、僕を買ってくれていたのか…なのに、想定外な事態で…僕は…
「まぁ、失敗を重ねて、経験を積め!」
でも…
「でもじゃない!いいな。シュウの責任だと思うのが、お前の仕事だよ!」
俺の仕事…マズいことになったら、責任を被るのが仕事ってシュウさんは言っていた。だから…俺はシュウさんの厚意を無にしちゃいけないんだよな。この失敗を踏みしめて…前に出ないと、シュウさんの厚意に報いないと…
「そういうことだ。まぁ、失敗は取り返せよ」
副長へ頭を下げた僕。
---シュウ---
また、やらかしてしまった。イッセーは、まだ判断が甘かったようだ。くそっ!別の案件で仲間にした芽衣と柚子へ、あの二人を同化吸収させた。
彼女達の母親の遺体は荼毘に付し、骨粉をロケットに詰めて、二人に渡した。
「ありがとうございます」
芽衣にお礼を言われた。でも…
「そんなに自分を責めないで。母さんは私達の幸せを一番に考えてくれたんですから」
柚子のくせに…くそっ…
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次の鍛錬場所を考え無いとなぁ…自分の部屋に戻り、現在進行している案件リストと睨めっこした。あんなことが有り、次の鍛錬先選びは難航する。想定外なことへの対処を経験かぁ…傍には相談相手がいるか…
芽衣達がいるあの世界は除外して、へたれドラゴンもパスだな。そうなると…う~ん…あそこかな?基礎力なんか身に付くし、相談相手も出来るだろうし…
あの街へイッセーだけを送り込むことを決断した僕。
---イッセー---
再度、鍛錬のやり直しを告げられた。今回は俺だけだそうだ。心配だ。ヘマをしそうだ…そして、転移した。知らない世界へと…
転移した先は知っている世界だ。ここって…迷宮都市である。どうしろって言うんだ?知り合いもいない、この世界で…街中で、右往左往する。
「ねぇ、君…まだ、ファミリアに入っていないのかな?」
水色の髪の少女。結構、かわいい…
「まだです」
「じゃぁ、私の所に入って♪」
どこかのファミリアに入らないと、潜れないんだっけ?
「はい…お世話になります」
彼女に連れて行かれたのは、狭い一軒家だった。背中に彼女の証を書き込まれた。彼女って、女神だったのか…全然神々しさが無い。大丈夫か?
「はい、これで眷属ですよ~。私はアクアよ。よろしくね、イッセー君♪」
そうか、背中にステイタスが出るんだ。だから、名前を知っているのか。って、アクア?どこかで聞いたような…どこだっけかな?
「君の仲間を紹介するね。まず、シーフのカズマ、クルセイダーのダクネス、ウィザードのめぐみんと、リッチのウィズよ♪」
思い出した。『だめがみ』のアクアだ…終わった…確か、職場放棄して、神としての地位は剥奪されたはず。
「どうしたの?」
「もしかして、シュウさんって知っていますか?」
「うん?元上司だけど…って、あんた、あの鬼畜の弟子?」
鬼畜…情報は合っているようだ。
「そうです…」
「え…まさか、私のお目付役?」
この人、なんかやらかしているのか?
「違います。鍛錬です。この世界に知り合いがいるから、預けるって…」
「そう…終わった…私のエンジョイライフが…」
他の眷属達もシュウさんを知っているようだ。固まっている。いや、2名ばかり、俺にすり寄ってきている。たしか、ダクネスさんとめぐみんさんだったかな?
「彼は来ているのか?あぁ、私を責められるのは彼だけだよ♪」
ダクネスさんはドエムのようだ。
「シュウさんは?」
僕の背中に抱きつき、寝入るめぐみんさん。そう言えば、以前シュウさんが、安眠抱き枕にされたようなことを言っていたけど、この子かな?
なんか、入るファミリアを間違えたような…
---毛利蘭---
家のベッドで目が覚めた。どうして、服のままで寝ていたんだ?起き上がり、居間に行くと、テーブルの上には『仕事に行ってくる 新一』と書かれたメモが置かれていた。なんだか、身体が重い。スマホをチェックすると、電源が切れていた。あれ?なんで?電源スイッチを押すが電源が入らない。充電キレ?有り得無い。いつも、寝る前に充電していたのに…スマホの充電を開始した。
なんだろう。記憶が曖昧だ。頭も痛いし…腕も…腕?何で?腕を見ると、注射の痕?いや、これは点滴かな?って、私、入院していたのかな?思い出せない。どうして…
スマホの充電が進み、電源が入るようになった。だけど…なんか違う…そうだ!シュウさんの写真を壁紙にしていたのに、新一の写真になっているんだ。なんで、こんなことに?電話帳を確認すると…兵藤一誠くんと香さんが削除されていた。どうして?なんで?誰が?何の為に?
そうだ、連絡するって、約束していたんだ。お母さんへ連絡をした。
『蘭、今まで、どこにいたのよ!』
お母さんの声は怒っている。なんでかな?
「家で寝ていたけど…はぁぁぁ~、なんだか眠いんだよ」
『眠い?くそっ!あのガキ…一服盛ったのね…』
ガキ?誰のことだ?お母さんが、こんな言葉を使うなんて…相当怒っているようだ。
「どうしたの、お母さん?」
『蘭の消息がわからなくなって、もう一週間よ!シュウはもう離脱したわよ』
え?なんで?何も言わずに?
「どうして?会いに来てくれなかったわ」
『今、言ったでしょ?シュウの離脱した日の前日から、蘭の消息は不明だったの。新一君と旅行へ行ったとかでね』
旅行?記憶に無い。
「お母さん…旅行なんかに行っていないよ。それに、知らない点滴の痕が腕に有るのよ~!」
『だから、探偵坊やに一服盛られたのよ。シュウと会わせない為にね』
酷い…今度、いつ会えるか判らないのに…涙が零れる…
『蘭、大丈夫?ねぇ、蘭!』
その場で、号泣してしまった私。
---イッセー---
う~ん…このファミリアはどうなのよって感じである。一年間は移籍が出来ないルールだ。参ったなぁ。団長のカズマさんは、『スティール』使いなのだが、何故か女性の下着ばかりを盗んでいるし、唯一の前衛であるクルセイダーのダクネスさんは、単なる盾である。攻撃がまるで当たらない、大振りで、たまに当たると大金星である。めぐみんさんは一日に1発だけ、強烈な爆裂魔法を放てるが、大抵俺の背中で寝ている。頼みの綱は、ウィズさんだけど、強すぎる…俺の経験値が稼げない…めぐみんさんを背負っているので、動きが鈍いので、ウィズさんにほぼ総ての経験値を持って行かれている。
「イッセー、朗報だ。今度、ロキ・ファミリアが潜る時に、一緒に潜って来なさい」
救いは、アクアとロキが仲が良いことだ。あの有名ファミリアで、出稽古をさせて貰えている。
「熱心だな。毎日、出稽古とは」
ロキ・ファミリアの団長であるフィンさんとは、仲良くなれた。なので、悩みを相談したりもしている。
「剣の上達か…俺はヤリだからな。剣だとアイズか、ティオナかな。ガレスはオノだし、ベートはケリが主体だしな」
アイズさんかティオナさんか…
「え?私達が教えるのですか?」
フィンさんが、アイズさんに話をしてくれた。
「コイツ、イッセーって言ってな、アクア・ファミリアなんだけど、ここへ毎日出稽古に来ているんだ。時間があったら、面倒をみてくれると助かる」
「おい!待てよ。アイズに習うだと?俺が許さない」
アイズさん大好きのベートさんから、待ったが掛かった。
「俺を倒したら、認めてやる♪」
この人になら勝てそうだ。格闘術はそこそこ身に付いているし。ベートさんのケリは軽い。手加減をしてくれているようだ。ケリ足を踏み台にして、シャイニングウィザードというプロレス技を出した。が、高く飛び上がりすぎて、ベートさんを素通りして、振り向き様に背中が取れたので、垂直落下式のバックドロップを繰り出した。
「え?ベートに勝ったのか?って、なんてアクロバティックな技だよ」
あぁ、この世界ではプロレス無いからな。シュウさんが、プロレス好きだったので、その影響で技を覚えたんだ。プロレスの無い世界では、有効な手立てって言われてね。
「かっこえぇ~なぁ♪気に入ったわ。アイズたん、ティオナ、練習をつけたれや」
ロキに気に入られて、剣の鍛錬をすることが出来るようになった。僕に負けたベートは、何も言ってこないし。
アイズさんの動きは速い。だけど、追えない程度では無い。アスナさん、ヴァーリに比べたら、遅いし。
カッキン!
「えっ?!」
アイズさんの振り下ろした剣を、俺の剣が防御した。そのことに驚くアイズさん。
「うそっ!アイズの剣技が防御されたのか…」
僕とアイズさんの鍛錬…周囲にヤジ馬がたくさんいた。周囲の状況変化を確認しつつ、戦うことは、団の基本戦術なので、これも身に付いていた。
「格闘術はベート超えで、剣術はアイズ並なのか…」
いや、並では無い。剣が軽い分、アイズさんのスタミナが多い気がする。僕の剣は頑丈な分、重いから。
剣で防御出来ない角度から振り抜いてきた。咄嗟に真空刃で防ぐ。アイズさんの剣を弾いて、押し戻した。
「何?何が起きたんだ?」
フィンさんの驚いた声。アイズさんも驚いたのか、動きに隙が生じた。今だ♪瞬動術で、目の前に出て、剣先をアイズさんの首筋に向けた。
「アイズが負けたのか…」
フィンさんの唸るような声。俺の事を、目を見開いて見ているアイズさん。その表情は印象的であった。