---イッセー---
二週間後に遠征に出るという。医療系のファミリアから依頼が入り、51階層にあるカドモスの泉の水を、採取してくるそうである。
「イッセーは初めての遠征であるが、いつも通りで良いのだぞ」
と、副団長であるリヴェリアさんに声を掛けられた。遠征は1ヶ月くらいに及ぶらしい。その為、食料や消耗品などを運ぶサポーター役を、ガードしながら目的地を往復する、防御戦の感じらしい。
「装備も消耗するから、スミスも同行するし、ヒーラーも同行する。大掛かりな旅路になるんよ」
ティオナさんが詳しく解説してくれた。ちなみに、スミスって言うのは鍛冶師で、ヒーラーは回復師である。
普通はそうだよな。大掛かりになるんだよな。ここでの遠征は初めてではあるが、案件という名の遠征は数回経験している。だけど、大掛かりって感じは無かった。団長であるシュウさんが居れば、スミスもヒーラーも要らないから。必要なのは僕の食料とシュウさんの好みの女性だけである。それらも現地調達が基本だったし…
「ねぇ、イッセー君、新しい装備屋さんが出来たんだって。見て来ようよ♪」
って、アイズさん。僕が返事を返す前に、アイズさん、ティオナさんに肩を抱かれ、連行されていた。
連れて行かれたお店は、ヘルメス・ファミリアのホームの隣である。目的地に連行されると、店の前で僕は身構えた。なんか、とっても懐かしいオーラを感じたから。
「さぁ、入ろうよ、イッセー君」
アイズさんに手を引かれ、店内へ…あぁ…見知った方々が店内にいた。
「おぉ、イッセーじゃないか。彼女を二人も同伴か♪って、ここはホテルでは無いんだが」
シュウさん…どうして、ここに…
「え?イッセー君の知り合い?」
驚いているアイズさん、ティオナさん。どう答えれば良いだろうか?悩む僕を余所に、
「イッセーか?うちの補欠メンバーだけど…」
って、シュウさん。
「「え?」」
再度、驚くアイズさん、ティオナさん。
「イッセー、剣を見せてみろ」
言われた通りに、エクスカリバーを手渡した。
「う~ん…メンテをしておいてやる。置いて行け」
メンテ?
「刃が欠けていましたか?」
「あぁ…剣筋をチェックしておけ」
なるほど…ぶれていたのかな。
「イッセー君…この方はどなた?」
アイズさんに訊かれた。
「僕の師匠で、あの剣の作者です」
「そう…なんだ…」
なんか、羨望な目付きで見て居るような…たぶん、シュウさん的には、アウトオブ眼中だと思う。並行世界のアイズさん、ティオナさん、リヴェリアさんを養女として、養っているから…
「あの…イッセー君の…か…じょ…のアイズと言います」
恥ずかしそうに自己紹介しているアイズさん。
「それはどうも、うちのイッセーが面倒をかけて、すみませんね」
剣の刃先を見つめて、アイズさんを見ないシュウさん。
「あの…私にも剣を…イッセー君とお揃いの…欲しいです」
何故か、モジモジしているアイズさん。
「うん?イッセーとお揃いか?難しいな。速度重視の君には向かない」
断言したシュウさん。その言葉に驚いているアイズさん。
「なんで…速度重視って…」
「その腰に下げている剣…それって速度重視だろ?それに君の腕、あと胸筋を見れば、速度重視って判る」
僕に向ける視線とは違う視線を、シュウさんへと向けているアイズさん。
「これって…」
ティオナさんがハンマーソードに魅入っていた。峰部分がハンマーのように叩ける剣である。あれはジムさんの作だったような…
「はぁ?10億…高すぎる…」
「お客さん、それでも値引きしてありますよ。定価は15億ですから♪」
「なんでこんなにも高いのだ!…ナイフ1振り10億…って…」
いつの間にか来ていたリヴェリアさんが、驚いている。
「あぁ、2振りなら15億でいいですよ」
フレイさんが売り込んでいる。
「安い出物なら、ヘファイストス様のお店に行ってください。うちは、判る人が納得して買ってくれればいいから」
って、シュウさん。ほとんど道楽仕事だろう。お金に困っていないし。
「切れ味は抜群だよ」
フレイさんが実演した。薄い紙を宙に浮かせて、刃先に載せ、紙の自重だけで真っ二つにした。あれって、相手の首元に当てるだけで、相手の脈動の微細動で、首元を切り裂ける切れ味だ。
「スゴい…この紙の自重だけで…この店はスミスが何名いるんだ?」
リヴェリアさんが訊いた。
「ここにいる3名だけだ」
シュウさんが答えた。その顔を見て固まるリヴェリアさん。
「鬼畜…」
「なんだよ、ハイエロフ♪」
シュウさんの言葉で、股を閉じる動作をしているリヴェリアさん。ここにいる3名は娘枠だろうから、安全たと思う。
「帯同しないか…遠征に…」
「しない。一緒に行動では、何の為にイッセーを預けたかが、あいまいになる」
僕を他の環境で鍛えたいのだろう。失敗を穴埋めする為に…穴埋めの機会を僕に、与える為に。
「それに、僕達を雇うって高く付くぞ。メンテ代も高いからな。イッセーは仲間だから、金は取らないけど」
取られたら、10年くらいタダ働きだろうな。
「そうだ…これをプレゼントだ。イッセーの彼女さん♪」
アイズさんに細身の剣を渡した。
「それは『風斬』という剣だ。君の能力にぴったりだと思う」
『風斬』アリア…風を斬る妖剣である。風を斬るとかまいたちが発生し、真空刃で切り裂ける魔性の剣だ。
「いいんですか?」
「あぁ…今度もイッセーと仲良くしてやってくれ♪」
笑顔で僕をみるシュウさん…これ以上仲良くって…危険です。
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ホームに戻ると、アイズさんは、あの剣を使い、練習をし始めた。魔性の剣に魅入られたのかな?
「いいなぁ、アイズは…私も欲しかったなぁ…」
って、ティオナさんがぼやいている。シュウさんの打つ剣は、非売品である。値段が付かない代物ばかりを製作しているから。僕の聖剣もだ。本物以上の性能であるエクスカリバー。値段は付かない。
「う~ん、帯同して欲しい…」
リヴェリアさんも魅入られたのだろうか?どうやって、帯同してもらうかを考えている。
---シュウ---
チーターはチーターらしくダンジョンを楽しむ♪透過能力で50階まで床を透過していき、50階層にマーカーを付けて、地上との転移を楽にした。で、50階層に、別荘を創造して、僕達の拠点にした。
「相変わらず、鬼ですね」
って、ファルコン。
「アイリス、蘭に剣の基本を教えてあげてくれる?」
「了解です」
ここならば、練習場と考えると、広さがちょうど良い。そして、ヘルメスにカドモスの泉の水を、プレゼントできるし。
「こんな簡単に50階層に来られるのか…」
アスフィが唸っている。
「上級者は、砲撃待ちをして、タイムトライヤルだ。中級者はパーティーで階層主と遊んでこい。初心者はこのフロアで基礎を学んで欲しい」
みんなに指示を出した。初心者は蘭だけのはずだ。上級者は、ファルコン、ジム、フレイ辺りかな。
「まさか…龍の壺からの脱出タイムを競わせるの?」
アスフィが驚いている。龍の壺とは、龍の巣窟である。そんな場所を単独で生き残れないと、前線は任せられない。
「競わせるよ。だって、ちんたらだったら、誰でもクリアできるでしょ?」
絶句しているアスフィ。いつもの僕なら、アスフィを食しているところだが、今回はしない。もっと虐めがいのあるヤツを連れて来ているし♪
「鬼…」
「ミトには言われたく無いなぁ。さぁ、プレイしよう♪」
---イッセー---
妖剣に魅入られたアイズさんは、ものスゴく強くなった。殺傷力有りすぎる剣。風を斬るので、刃は欠けないし、切れ味も落ち無い。妖剣は恐い…
良かった…僕のは聖剣で…
「イッセー…アイズの剣…アレを手に入れたお店に連れて行ってくれないか
って、フィンさん。フィンさんをお連れした。
「どうした?イッセー…お前、両刀になったのか?」
「違いますよ~女性だけです…」
シュウさんの言う両刀は、異性同性構わず食うの意味である。
「この前の彼女は、元気か?」
「えぇ、あの剣で日夜練習を積んでいますよ」
「あの剣はいくらするんだ?」
フィンさんが会話に乱入した。
「あれを買いたいのか?悪いが、僕は売るために作ったことは無い。だから、値段なんか付けたこともないよ」
「そうなのか…」
店内のショーケースに飾られた装備類を見ていくフィンさん。
「高いなぁ…ここに展示しているのよりも、高いんだろうな。で、目的はなんだい?」
目的?
「目的?イッセーの彼女にプレゼントをあげただけだ。それ以外の目的は考えていない」
「アイズを引き抜くつもりでは無いのか?」
無いだろうな…
「どうして?連れ歩けない女性はいらないよ。って、イッセーの彼女だしなぁ」
「連れ歩けない?どういう意味だ?」
「護ってあげないとダメな女性は、いらないっていっているんだ。今、手一杯なんだよ。初心者が1名いるからね」
初心者?誰のことだろうか?どこかで助けてきたのかな?
「君はスミスでは無いのか?護って貰う立場では無いのか?」
「おいおい…戦え無いスミスはロクでもないぜ。素材を手にいれる為には、危険な場所へ行かないとダメだからな」
クレージースミスって言うらしい。戦闘スミスとも言うらしいけど。戦うことで、より良い装備の発想も浮かぶらしい。
ドスン!
それは一瞬だった。フィンさんがヤリを手にした瞬間、雷撃が襲った。全身から煙を上げているフィンさんは床に倒れている。
「スミスが魔法を使えないって思い込んでいたのか?愚かだな」
フィンさんの姿が消えた。どこかへ転移されたようだ。
「どうだ、イッセー。うちで遊んでいくか?」
遊ぶ?何をして?
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鬼…鬼だと思います。龍の壺に落とされた僕…ここからタイムトライヤルって…何を考えているんだ?エクスカリバーで龍達を屠っていく。
「おい、剣筋がぶれているぞ!」
後からシュウさんの声が…ヤバい時は助けてくれそうだけど…
「おい、剣技ばかりでなく、たまに魔法も織り交ぜろ!意外性も武器の1つだ」
魔法…急に浮かばないって…経験不足だな。
「魔力の余力も考えろ!使い切るなよ。マインドロストして、意識が飛んだ瞬間、死を覚悟しろよ♪」
いい感じで、火の玉攻撃をしていたら、怒鳴られた。確かに、魔力がゼロになると危険だ、回復魔法が掛けられないし。
---アイズ---
イッセー君がフィンと出掛けて、戻って来ない。もう2日目の夜である。
コンコン!
ドアがノックされた。ドアを開くと、イッセー君を抱えたイッセー君の師匠がいた。
「こいつを預かってくれ。マインドロストしている。後、これは今回のコイツの戦利品だ。渡しておいてくれ」
え…これって…砲龍の角…砲龍の皮…砲龍のツメ…どうやって、手に入れたんだ?高級素材ばかりである。一番驚いてのは、水筒に入ったカドモスの泉の水…
「じゃ、イッセーを頼むよ」
ドアを閉めて出て行く、イッセー君の師匠…慌てて後を追うが、ドアを開けると消えていた。
翌朝…イッセー君はまだ、マインドロストが解消していないようだ。死んだように眠る彼。
コンコン!
「入るぞ!」
リヴェリアが入って来た。ベッドで眠る彼を見て驚いている。
「いつ、帰ってきたんだ?」
昨晩のことを、話した。
「彼の師匠が連れて来ただと?で、戦利品…おい、これって…今回の遠征での依頼品じゃないか…」
依頼された量には届かないらしいけど、品目は合っているそうだ。
「あいつら…潜っていたのか…で、フィンは?」
「わかりません」
あの場にはいなかったし。
----リヴェリア---
鬼畜の店へと急いだ。フィンが行方不明だったから…店は『クローズ』看板が出ていた。まだ、開店前のようだ。とにかく会って、事情聴取をしないとダメだ。裏口を探す。裏通りに面した場所に裏口を発見した。鍵は掛かっている。う~ん、隣で訊くか?振り向いた瞬間、胸に有り得ない刺激を感じた。
「何をする…往来では止めろ…」
足が震える。腰が動く…ダメだ…こんな往来で…
「どこならいんだ?ハイエロフ様♪」
鬼畜の囁く声が聞こえた。周囲を見回すが、姿は見えない。だけど、確実に刺激を感じている。
「やめてください…」
濡れてきた。意識が朦朧としていく。ここで生き恥は見せられない。
え…一瞬意識が飛び、倒れそうになった。でも、誰かに支えられ、唇が重なっている。目の目には誰も居ないのに。胸が…乳房が変形する位、抱き締められている。しかも、背中とお尻をまさぐられている。なのに、私は抵抗していない。受け入れてしまっている。
「フィンの行方を捜しているのか…ディアンの処に入院しているよ。路上で倒れていたそうだよ。じゃなぁ、ハイエロフ様♪」
鬼畜からの刺激が途絶えた。もう、ここにはいないようだ。う~ん…最後まで面倒を見て欲しい。やりかけは気分が悪い…
---イッセー---
目が覚めると、上にアイズさん、左右にティオナさん、リヴェリアさんがいた。龍の壺に落ちたのは夢だったようだ。しかし、リアルな夢だったなぁ。
「あっ♪おはよう…イッセー」
アイズさんが抱きついて来た。気持ちいい…朝の生理現象と相まって、朝から大放出してしまった…マズい…
『気にするな。お前の精液には精子が含まれていないから♪』
って、シュウさんから念話が飛んで来た。行動が読まれている。凹む僕。
「朝からラッキーだよ。イッセー君のプレゼント♪」
中出しをプレゼントと言うアイズさんは、喜んでいる。喜ぶことでは無いと思うが。
「鍛錬へ行こう!」
両脇の二人を起こさないように、ベッドを抜け出して、衣服を着用して、中庭に出た。僕もアイズさんも手には木刀を握り締めている。