ドフラミンゴは倒れているマリアを小脇に抱え、操舵室に声をかける。
「今すぐ海軍本部に向けて出発しろ」
「了解しました。若!」
大きな声を背に、ドフラミンゴは幹部たちの広間へと向かった。
マリアは張られた頬に手を当て、その痛みに集中しながら不快な気配を感じないように努める。
ドフラミンゴが自分の部屋に入るなり抱えた手を離したため、床に落ちたマリアは頬を手で押さえつつ、立ち上がった。椅子に座ったドフラミンゴへと近付いていく。
デスクに乱暴に足を投げ出したドフラミンゴがマリアを睨む。
「謝罪は聞かねェ。俺の命令を無視した理由を言え」
マリアは申し訳ありませんでした、という言葉を飲み込んだ。謝罪を聞かないと言ったドフラミンゴには、神経を逆撫でする言葉でしかないからだ。
なんと説明するかマリアが悩んでいる間、ドフラミンゴはジリジリとしながらも、マリアが言葉を発するのをじっと待つ。ドフラミンゴに対する皮肉やイヤミに関しては溢れるほど豊かなボキャブラリーも、気配を説明するとなるといきなり貧困になるということを誰よりもよく知っているからだ。
マリアは自分の言いたいことを整理して、ようやく口を開いた。
「若様につきまとっていた人の気配が、あまりにも淀んでいておぞましかったので、それ以上気配を感じたくなくて、つい外に出てしまいました」
ドフラミンゴは呆気にとられた。天竜人をここまで悪く言う人間がいるとは思わなかった。思わずニヤリと笑って足を下ろし身を乗り出した。
「お前、ヤツが誰だか分かってるのか?」
「…。世界貴族…」
「そうだ。天竜人だ。そいつらの気配が淀んでる?おぞましい?フフフフフ…。面白いことを言う」
「あの人自身というより、あの人に対する周りの人々の感情と言う方が正しいかもしれません」
ドフラミンゴは一瞬、何か不愉快なことを思い出したかのように表情を険しくした。
「…。お前が故意に俺の命令を無視したワケじゃねェのは、分かった。だが二度とそういうことはするな」
「かしこまりました。若様」
「もういい。さっさと出て行け」
手で追い払うような仕草をするが、マリアは困ったような表情を浮かべ再度、口を開いた。
「ここにいても構いませんか?若様のお姿が見えれば、気配を感じることもないので…」
ドフラミンゴは内心の驚きを隠して言った。
「勝手にしろ」
マリアは使用人として用事がなければドフラミンゴと一緒にいることはない。他のファミリーは用が済んでも多少は雑談したりするのだが、マリアは無駄口をたたかず用が済むと素早く姿を消す。そのマリアが自らの意思でドフラミンゴの側にいたがるのは初めてのことだった。
淀んでおぞましいという気配を感じさせない方法を思いついたドフラミンゴはベッドに移動し、マリアを手招きした。大人しくドフラミンゴの隣に横たわったマリアのスカートの裾から手を入れ、太腿をまさぐり上の方に動かす。いつもは何も言わずに受け入れるマリアが珍しくドフラミンゴの方へ顔を向け、話しかける。この行為の発端となった人物が発した‘’裏切り者‘’という言葉が思い出されたのだ。
「若様。1つ聞いても…?」
ニヤリと笑い何を聞きたいのか察したドフラミンゴは、空いた手をマリアの背中に回し自分と対面させ耳元で囁くように答えた。
「俺の父がトチ狂って聖地を出なきゃ、俺も淀んでおぞましい気配に囲まれてただろうよ」
それを聞いたマリアは我知らずドフラミンゴの首に手を回し、同じように耳元で囁く。
「私たちファミリーは、お父様に感謝しなくてはなりませんね。私たちが今いられるのは若様のおかげなのだから」
「俺は父のおかげで悲惨な目にあった」
ドフラミンゴは首に回された腕をほどき、笑みを浮かべているマリアに険しい表情を向けた。
「だからこそ、同じような立場の人間を救ってくださったのでしょう?そうでもなければ若様が他人を救うはずがありません」
そう言ってニッコリ笑ったマリアの瞼と腕が落ち、寝息をたて始める。
(いきなり寝た!?)
ドフラミンゴは唖然とした。
不快な気配とやらに精神が激しく消耗したのだろう。もしかしたらこれ以上、不快な気配を感じないよう無意識に身体が防御反応を起こしたのかもしれない。
毒気を抜かれたドフラミンゴは、そのように考えマリアから離れて仰向けになった。顔だけマリアの方に向ける。
マリアの顔をじっくり眺めるのは初めてだった。顔立ちはまあまあ整っていて、閉じられた瞼は長い睫毛にびっしり覆われている。やや低いが形の良い鼻の下では、少し肉厚の唇がまだ幸せそうな微笑みを浮かべていた。
不快な気配を起きていても感じないよう、ドフラミンゴは服を脱がせたマリアに覆い被さり中断した行為を再開する。
幸せそうな微笑みを浮かべている唇に自分のそれを重ね、舌で口内を蹂躙した。下着を取りながら露になった部分を長い指で触る。その刺激に反応するようにマリアが声をたてるが、口がふさがっているのであまり響かない。
不意にマリアが目を開けた。驚きの色が浮かぶが、それまでのことを思い出したように安堵した色に変わった。ドフラミンゴが自分の欲望を満たす為ではなく、マリアが不快な気配を感じないようにしているのだという彼の意図に気付いたマリアは、手を彼の背中に回す。
と、ドフラミンゴがまだ服を着けていることが分かったマリアは、両の手をドフラミンゴの肩に這わせ、自分の胸を揉みしだいている方の腕をシャツから開放した。
自分の敏感な場所を弄んでいる腕からも、なんとかシャツを取り除く。
取り除いた後も敏感な場所を刺激し続けるが、いつものように淫猥な音をたてるのではなく、マリアが反応する部分を念入りに探っているようだった。マリアの息が荒くなり、苦しくなったのかドフラミンゴの口から自分の唇を逃がす。
「んっ…。あぁ…ん。そこはダメ…」
そう甘い声で言いながら、ドフラミンゴの首にしがみつくように腕を回し、腰も彼に密着させる。
ニヤリと笑ったドフラミンゴはその部分を強弱をつけて刺激し続ける。いつもより多めに粘液が分泌され、マリアは小さく悲鳴をあげた。
「あッ!イヤッ!ダメッ!やめてぇッ!」
強くしがみついてくるマリアの柔らかい胸の感触を楽しみながら、そこを揉みしだいていた方の手を密着している腰に移動させ支えながら反対側の手の指の動きを早める。
「ああぁッ…!ィヤアァァッ!!」
マリアが絶頂に達した。ドフラミンゴは今までと違うものを指に感じる。
そこが別の生き物のように動くのは同じだが、締め付けるのではなく無数の吸盤が蠢いているような感触だった。
ドフラミンゴは指ではなく、違う箇所でその感触を味わいたかったが、まずはマリアのおぞましいと言う気配を感じさせないように、時間を稼ぐ。仰向けのマリアに膝立ちで跨がり、マリアの動きを待つ。
絶頂に達したマリアは少しの間、その余韻にひたっていたがドフラミンゴの様子を見て上半身を起こした。
ドフラミンゴの着けている派手なパンツのベルトを外し下着ごと下ろす。
と、怒張した部分が猛々しく天を向いてマリアを求めていることを示す。その先端に啄むように唇を当てた。と、舌先でそそり立って血管の浮き出ている部分をなぞる。
いつもならマリアの頭を押し付け自分の欲望を放つのだが、マリアが自らの意思で、ドフラミンゴの欲望をどのように開放するのか、ドフラミンゴは面白半分に待つ。
マリアは何もしないドフラミンゴを不思議に思うこともなく、先端で滴りそうになった液体を舌先で絡み取りつつ彼自身を口に含む。根元近くまで頬張るが、やはり舌先での刺激を続行する。
今までドフラミンゴが自分のしたいようにマリアと交わり、マリアは使用人の仕事の一つとして、ドフラミンゴの求めに応じていた。
しかし、目的が重なった二人はマリアがしたいように、ことを進める。
自分の唾液と先端から滲み出る液体を交ぜ合わせながら、舌先だけでなく全体を使って彼自身を撫で回す。ドフラミンゴはそこに軟体動物が這い回っているような感覚を覚える。
「…!クッ!」
ドフラミンゴは堪え切れず、己の欲望を放出した。マリアはほとばしる液体を飲み物のように喉を通過させ、ストローのごとく吸引する。
極太のストローが脈打つのをやめても吸引をやめないマリアの脇にを手を差し入れ軽々と持ち上げ、ベッドの上に立たせた。
不満そうに潤んだ瞳を向けるマリアのとがらせた唇に自分のそれを重ねる。
己の放った熱い液体を絡め取ろうと、マリアの口の中に長い舌を這わせた。すると、いつもなら抵抗しないマリアが絡め取られたものを取り返そうとしてくる。ドフラミンゴの放った液体と、それを取り合う二人の唾液が絡み合う。普段ドフラミンゴがマリア自身でたてるより更に淫猥な音で彼ら自身は限界が近いことを悟った。
淫猥な音をたてるのをやめ唇を離したドフラミンゴは、膝立ちのままマリアを押し倒し、覆い被さる。マリアは彼の太腿に多量の粘液を分泌している部分を押し付けた。が、上背のあるドフラミンゴ自身にはどうしてもたどり着けず、拗ねるような困ったような表情でドフラミンゴを見つめた。口の端を上げるドフラミンゴは言葉を発しない。
どうしてほしい?と尋ねるように首をかしげた。
「…。早く、きて…ください…」
蚊の泣くような声のマリアがドフラミンゴの耳元で懇願する。
ドフラミンゴの首にしがみついてきたマリアの顔は見えない。が、少し見える耳たぶが紅に染まっていた。
先端は硬くなっているが全体的に豊かで柔らかい胸を通して、どんな激しい運動をしたのかと錯覚するくらい、心臓の鼓動が速くなっているのを感じる。ドフラミンゴはマリアのくびれた腰を持ち上げた。
背中を丸め自分の太腿を粘液まみれにした部分に、怒張したままの自分自身を押し付ける。マリアが絶頂に達した箇所を探って、ゆっくりと中に進む。
「あン!そこはダメェ…」
その部分に先端が届いたらしい。ドフラミンゴはニヤリと笑い、小さく前後に動かしそこに刺激を与えた。
「イヤ…。早く、いつも、みたいに…」
そう言いながらもマリアは腰をくねらせ、知らず知らず刺激を大きくする。
うねるようにドフラミンゴ自身を包み込み、マリアは喘ぐ。
「あッ!ンンッ!ハッ!早くぅ」
それを聞いたドフラミンゴは深く侵入させた。
「…!ああぁッ!!!イヤああッ!!!!」
絶頂に達したマリアはのけ反りドフラミンゴ自身をより深く包み込み、吸い付き、まとわりつき、蠢き、彼も絶頂へと招く。
「!グッ!!!」
初めての感触に耐えきれず、ドフラミンゴは欲望を吐き出した。断続的に放出されるその熱い液体を飲み込むような動きが更にマリアに快感を与える。
「アッ!!アッ!!もぉっ!!ダメッ!!」
頭が真っ白になり、マリアは強くドフラミンゴにしがみついた。ドフラミンゴはマリアの耳に長い舌を這わせる。その行為にマリアの腰はビクッと小さく跳ね、内部の蠢きは吸い付く力を強めた。
1度は治まった放出がそれに反応して、再び欲望が溜まった。
「もう一度だ…」
ドフラミンゴがそう言った瞬間、熱い濁流がマリアの体内を駆け巡る。
「!!!!」
マリアはもう声を出すこともできない。内部の蠢きはマリアから快感以外のものを奪っていった。しがみついたものが断続的に放つ熱い液体は、快感を更に増幅させる。その時ドフラミンゴがマリアに口づけた。
マリアは訳も分からず、自分の口にあてがわれたものを貪る。そんなマリアをドフラミンゴは丁寧に落ち着かせるように愛撫する。
その為か、マリアの中を駆け巡っていた感覚は徐々に静まっていった。深呼吸をするように息を吐いたマリアはニッコリと微笑む。
「若様のおかげで世界貴族にまとわりつくイヤな気配を感じなくてすみました。有り難うございます」
礼を言った直後、再びマリアの瞼が落ちた。今度は眠りが深かったらしい。勢いを失い結合を解いたドフラミンゴに上体を起こされたことも、ドロリと自分自身から熱い液体が出て来たことも、その液体を受け止めるために自分の服を使われたことも気がつかなかった。
ドフラミンゴはマリアの服で自分が放った液体が出てきた彼女自身と、脚の付け根を丹念に拭きとる。そして素っ裸のままその服を持って幹部専用の広間に移動し、開いている窓から投げ捨てた。服は海賊旗のようにはためき、傾いた太陽の中に消えていった。
部屋を出たついでにシャワーを浴びた後、部屋に戻りベッドに腰を下ろす。マリアの安心しきった寝顔を見つめ、ふと、彼女が発した『いつもみたいに』という言葉を思い出した。思わずドフラミンゴは自虐的な苦笑を浮かべる。まさか自分が女関係を持続させるとは思ってもみなかったからだ。
七武海になるまで女は利用するだけの存在で、利用価値がなくなれば容赦なく捨てた。七武海になってからは、気が向いた時に傍にいた女を適当に抱き、飽きたら手下たちに与え、また違う女と寝た。一度に二人の女を相手にしたことも数えきれない程ある。
ドレスローザで国王となり、城で手下たちの為に乱交パーティ紛いの宴を度々催した。が、その中で明らかに王妃の座を狙って自分に近付いてくる女たちは、薬で眠らせて密輸船の乗組員たちの欲望の捌け口として船に乗せた。その上、乗組員たちに女をヒューマンショップに売ったら小遣い稼ぎくらいにはなる、と吹き込んでもいた。
それがマリアの身体を知って以来、他の女への興味は消え失せてしまった。
マリアは他の女たちと違ってドフラミンゴに何も望まなかった。使用人としての仕事の1つだと考えているようだった。ドフラミンゴの相手をすることによって、地位や賃金を上げることは勿論、愛人や妻として認めろなどとは、口にもしなかった。そのこともドフラミンゴがマリアだけを相手にするようになった理由の1つだった。
ただ、マリアはドフラミンゴがファミリーのボスとして相応しくない行為、或いはファミリーの不利益になったり人としてあるまじき行動をとった時などは、教え諭すように説教することはよくあった。
適当に毛布を掛けてやったマリアの隣に仰向けになる。マリアが目覚めた時、自分はまた文句を言われるだろう。他人のものを許可なく捨てないでください、などと言って柳眉を逆立てるマリアの顔を思い浮かべながら、ドフラミンゴも眠りに落ちていった。
「いきなり寝た」ネタ、好きなので入れてみました。(笑)