マリアはドフラミンゴに対する認識が変化するのを感じた。
船で移動していた時は、怖くて近寄り難いがファミリーの人間に対しては情が厚く、部下の失敗も咎めず、自分の采配・人選ミスとして扱う度量の広い人物だと思っていた。
しかし、ドレスローザに拠点を置くようになってからは、その認識はガラガラと音を立てて崩れていった。
図体のデカい悪ガキ。
マリアの彼に対する認識は、そんな風に変わった。
3~4日くらい彼の部屋の掃除に行かないと、まるで嫌がらせのように散らかった部屋に呼び出され、その後には必ず強制的に彼の相手をさせられるのだった。
マリアが自分の目の秘密を口外しないのを知り、子供じみた行動をしても黙っていることを承知しているように思えた。
とりあえず彼の部屋の大掃除は終わったので、他の幹部たちの部屋の掃除もする。(モネは一月早くいるので、掃除の必要はなかった)
それが済むと今度は使われていない多くの部屋の掃除も始めた。
元々リク王家に仕えていた使用人たちはドフラミンゴを嫌い辞めていったので、マリアは山ほどある仕事を次々とこなしていった。
モネがマリアだけでは使用人が圧倒的に足りないと考え、大人数を雇った。
それでも彼の部屋の掃除はマリアにしかさせないのだ。
モネは、このところ図書室に入り浸り、化学関係の本を読みふけっているのでシュガーの相手をしながら、ぬいぐるみが散乱した部屋を片付ける。
それも終わり、マリアと遊びたがるシュガーをなだめて図書室の掃除でも、と思っていると突如ドフラミンゴの不機嫌な声が頭に響いてきた。
「何をしている。俺の部屋を片付けろ」
そんなことをするのは初めてだった。マリアは驚いてすぐに彼の部屋へと駆けつける。ノックをして扉を開けると、書斎は丸められた紙クズで埋め尽くされていた。
ライティングデスクに向かっているドフラミンゴがジロリと睨む。
「さっさとやれ」
子供っぽい嫌がらせに、マリアは怒るよりも笑いそうになる。
「かしこまりました。若様」
クシャクシャに丸められた紙を広げると、試し書きのようなイタズラ書きのようなものが書かれているだけだった。
しかし、マリアはそれをビリビリに破き、持参したゴミ袋に投入した。その間にも紙クズは飛んでくる。
マリアは紙を広げ、破く作業を淡々とこなしていった。
ようやく紙が飛んで来なくなったのを確認してマリアは口を開いた。
「紙の無駄ですよ。若様」
怒るでもなく静かにそう指摘すると、ドフラミンゴは不機嫌そうな顔をして舌打ちする。
「風呂に入る。背中を流せ」
まだ片付かない書斎に溜め息をつきつつ、了承した。
「かしこまりました。若様」
隣の寝室にはバスルームがあった。ポイポイ脱ぎ捨てられた服を拾い、畳んだ後で脱衣かごにそれを置き、バスローブを手に中に入る。
濡れないようにソックスだけ脱いだマリアにドフラミンゴが命令する。
「服を脱いで来い。チェックできるようにしろ」
再度、溜め息をつきマリアが了承した。
「かしこまりました。若様」
裸体をさらし、ドフラミンゴに近づくマリアに冷酷な笑みを浮かべる。
「俺の命を狙ってるヤツはゴマンといるからな」
そう言ってマリアの脚の付け根に指を這わせる。
「本当にそう思うなら、私を出入り禁止にすれば済むと思うんですけど」
自分が恥ずかしがるのを楽しんでいるような気がしたマリアは、そうした素振りを見せずに言った。それを聞いてドフラミンゴは右の眉を上げる。
「なんだ。口答えするのか」
「別に。単なる感想です」
ドフラミンゴはどっかりと椅子に腰をおろし、命令した。
「さっさとやれ」
「かしこまりました。若様」
そう言ってタオルを手にすると、すかさず待ったがかかる。
「お前の身体で洗うんだ」
「かしこまりました。若様」
そのセリフは、もはや溜め息とともにしか出なくなっていた。
湯船にはられた湯をドフラミンゴの身体にかけ、マリアは身体を密着させる。
ドフラミンゴの肩に手を置き、石鹸を泡立たせた自分の滑らかな肌で彼の背中を洗い流す。彼女の胸の先端が徐々に固くなっていった。何だか自分が商売女にでもなった気がした。
その状態で身体を上下に動かしていると、自分の方が興奮してしまう。
すると、再び待ったがかかる。
「背中はもういい。今度はこっちを洗え」
おもむろに立ち上がったドフラミンゴは勇ましく、そそりたった部分を誇示する。
すかさずバスローブを取りに行き、彼の肩にかけた。
万が一、彼が体調を崩したら、後で何を言われるか分からない。
そして実際したことはないが、覇気ではよく見る光景を思いだし、血管の浮き出ているその部分を胸に挟み込んだ。
ドフラミンゴがニヤリと笑う気配とともに声が降ってくる。
「ほぉ…。よく知ってるな。伊達にプライバシーを侵害してるワケじゃねェってことか」
「別に好きでしている訳では…」
この性格が破綻した極悪若様は、人が嫌がることを好んでいるという事実に気付いたマリアは、嫌がる様子を極力、表に出さない努力をする。
うろ覚えながら、前後に胸に挟み込んだ部分を前後にしごいた。
少しすると何の前触れもなく、熱く白く濁った栗の花の匂いのする液体がマリアに浴びせられた。
驚いて硬直しているマリアに次の命令がかかる。
「お前の口できれいにしろ」
まだ勢いを保ったままのそれを、そっと口に含む。
と、急にグッと 頭を押さえられ、その部分がマリアの口を占拠した。
思わず、えずきそうになり離れようとした瞬間、この行為も彼がよくさせていたのを思いだし、胸の時と同様に頭を前後に動かした。
再びドフラミンゴの声が降ってきた。
「飲み込みが早ェな。こいつもちゃんと飲み込めよ」
先程と同じ熱い液体がマリアの口内に充満する。それを涙目で飲み込み、その証を口を開いて見せた。
それを見て満足気に笑みを浮かべたドフラミンゴは、バスローブを捨て去り、浴槽に入る。
やれやれと思ってマリアはバスローブを拾いに行き、さりげなくそのまま立ち去ろうとした。
「こっちに来い」
マリアは仕方なくバスローブを扉のフックにかけ、浴槽に近づく。
「さっさと入れ」
あまり風呂に入ったことのないマリアは少し躊躇しつつ、かけ湯した後、ドフラミンゴから離れて浴槽に身を沈めた。(村では、たらいに湯をはり行水、ファミリーに入った後はシャワーがほとんどだった)
ドフラミンゴはマリアが避けるより素早く、彼女のくびれた腰を持ち上げ自分を跨がらせる態勢をとった。
「俺を怖がるな」
幼い頃、人を跨いではいけない、と厳しくしつけられたマリアは抵抗した。
「別に若様が怖い訳ではありません!こんなことさせないでください!」
「そうか。じゃあこの態勢を嫌がる罰だ」
暴れるマリアにドフラミンゴはニヤリと笑ってそう言い、自分のいきり立った部分を突き立てた。
「ぃやああっ…!!」
マリアはのけ反りながら、禁止された行為を無理矢理やらされていることも相まって、いつも以上に興奮し、意志とは関係なく繋がった場所が激しく動くのを感じた。
2回済ませていなかったら、さすがにドフラミンゴも達していただろう。
一度、マリアから離れたドフラミンゴは、グッタリしている彼女の頭を浴槽の縁に置き、再び突き立てる。さっきよりはやや弱いながらも、やはりわしづかみにされ、別の生き物のように動くのを楽しんだ後、浴槽の中に欲望を放った。
ドフラミンゴは失神しかけているマリアを抱きかかえ、彼女が用意していたバスタオルで適当に自分と彼女を拭き、ベッドに直行した。
が、その後は特に何もせずに寝入り、気付いたマリアが驚いて脱兎の如く部屋を逃げ出していったことには気付かなかった。
翌日、マリアはドフラミンゴの留守を狙って書斎の紙クズを回収した。
2度目に呼ばれた時は、泥棒に入られたかと思うくらい、寝室のチェストの中の服が散乱していた。マリアは怒るより笑いそうになるより、呆れかえった。すべての服と下着を洗濯し直し着替えがなくなったところで、埃まみれの部屋でも安眠できる若様は、同じ服と下着を2日連続で着用することも、一向に気にならないようだった。
3度目は書斎の本棚にあったはずの本が、床一面ドミノのように整列していた。マリアは呆れるのを通り越し、感心してしまった。
「暇なんですね。若様」
つい口を滑らせてしまい、ドミノを片付ける時間すら与えられず、書斎からすぐに寝室に直行させられた。
このままでは、いつ自分のトラウマとなっている鼠の死骸が用いられてもおかしくないと危機感を覚えたマリアは、毎日ドフラミンゴの部屋を訪れるようにした。すると、その日の気分で追い返されたりと、マリアの1日はドフラミンゴの感情に左右されるものとなった。
ドフラミンゴは、それまで不特定多数の女を相手にしていたのに、ここ最近そういった気配はなかった。マリアは少しそれが不思議に思えた。
が、気まぐれな彼のことなので、深刻には考えなかった。
数ヵ月後、ファミリー(女性抜き)の乱痴気騒ぎに誘われたらしく、女性を侍らせたドフラミンゴはニヤニヤ笑いながら、幹部たちと話をしているのをマリアは感じた。
複数の戦闘員たちが、王宮に呼ばれたらしい商売女に手を出している。その女たちの中に不審な者がいた。露出度が高い服(水着かと思うくらい布の面積が少ない)やボディラインが強調される服の女たちの中で、一人ゆったりしたジャケットを羽織っているのだ。
本人はさりげないつもりだろうが、マリアから見たら強引にドフラミンゴが侍らせている女の中に入り込んだ。ドフラミンゴのグラスに酒を注ぎ、それを渡す。何か意図があると感じたが、ドフラミンゴも幹部も、それを止めなかった。
マリアも気にしなかった。あからさまに怪しさを全開にしている素人の女に何かできるとは思えないからだ。
その直後、ジャケットの懐から刃物を引き出し、ドフラミンゴに突き立てようとして、やすやすと当のドフラミンゴに阻止される。
「興ざめだな。宴は終わりだ」
静かにドフラミンゴが言った。腕を捻りあげている女を壁に向かって容赦なく投げ捨てる。それを横目にトレーボルが声をあげた。
「べへへ…。おねーちゃんたち悪いんだけど、そういうワケで、もう帰っていいから。ンネ~」
「カネは店に払ってある。そっちで受け取ってくれ」
壁際で女を踏みつけているディアマンテが付け加える。その言葉を聞いた女たちはゾロゾロと帰っていった。ディアマンテの足の下で気絶しているらしい女を検分したグラディウスが口を開く。
「こいつ、ドレスローザに来た時、どさくさ紛れに潰したチンピラ集団の頭の
ドフラミンゴが命令する。
「他に
全裸にされ、バケツの水をぶちまけられ咳き込みながら女が目を覚ました。
下卑た顔つきの戦闘員たちに女の手足を押さえさせる。
「誰の差し金だ?」
興味なさげに酒を飲むドフラミンゴに代わってグラディウスが訊いた。
女はそれには答えずドフラミンゴを睨みつけ金切り声をあげる。
「あんたさえいなければ!!」
「何言ってんだ。俺らが来なくたって手前らみてェなザコ、どのみち潰されてるに決まってンだろ」
ディアマンテが小馬鹿にしたように言った。
「ンネ~、ンネ~、ドフィ。このバカ女、自分の立場よく分かってないみたいだからさ~、教育してやれば~?」
ドフラミンゴはおもむろに立ち上がり、こわばった顔つきの女の脚を広げさせ、その中心部を踵で踏みにじった後、女の身体で靴を拭いた。
「こいつが病気でも持ってたら思う壺だろ。それより、さっきヤれなかったヤツらの相手をさせてやれ。ああ、可愛い部下に何かあっちゃ大変だから、こいつの歯ァどうにかしとけ」
無理矢理開けさせられた口にペンチを入れられ、無様な悲鳴をあげる女を尻目にドフラミンゴはその場を立ち去る。それを見てディアマンテが追いかけ、声をかけた。
「ドフィ。このところ、とんとご無沙汰じゃねェか。ひょっとしてヤれなくなったンじゃねェよな?」
静かに殺気を漂わせ睨みつけるドフラミンゴに思わずたじろぎ、両手を胸の辺りで広げ小刻みに振る。
「冗談だよ。真に受けるなよ」
「分かってる。後で報告しろ」
前歯を失くし、男たちの欲望の捌け口と化した女には目もくれず、ドフラミンゴは部屋を出ていった。
病気持ってたら、とか言うなら可愛い部下に相手させるなよ…。
と思った人、正解。(笑)