MONSTER HUNTER〜現実と幻想の狭間へ〜 作:野良猫@翔
室内に戻った後、電気、水道、ガス、すべてが止まり、石器時代に戻ったような世界が俺たちを包んでいた
今までなら街灯の明かりや家の明かり、車のライトで夜でもよく周りが見えていた
だけど、今は違う
車の走る騒音や人の話し声やテレビの音、ラジオから流れる音楽もない
情報を集めようにもなにもわからない
唯一わかっていることは昨日のような日々ではなくってしまったということ
蛇口をひねれば飲み水が得られるわけもなくコンロのノブをひねれば火が着くわけでもない
すべてが無になったのだ
こんなにも色々な事に頼って自分たちは生きてきたのかと思い知らされた
いつ襲われるかもわからない、いつ死ぬかもわからない
そんな日々をこれから生き続けなければいならない
そんなことを考えていて、荒れたリビングを片し終えた俺たちは一息ついていた
誰も喋らずただ沈黙が流れていた
正直なところ俺自身疲労しきっていて喋る気にもなれず、ただ項垂れていた
親父は腕を組み、瞑想をしているように見える
彩月はというと、さっきから俺と親父を交互に見てなにか言おうとするがモジモジしての繰り返しだ
仕方ないのでこのまま寝ようと思ったとき
「あの…なにか食べませんか?探せばすぐ食べれる物があるかもしれませんし、飲み水なら買い置きが確かあったはずなので…腹が減っては戦はできぬって言いますし!どうでしょうか…?」
彩月から思わぬ提案が出た
親父は相変わらず無言のままであった
「そうだね、確かに疲れているけど腹は減ってるのは確かだから。少しでも満たしておいたほうが寝つきがいいかもしれないしね」
正直なにかを食べるなんてきつかった
だけど腹が減っていたのは本当のことだし、きっと彩月もこの沈黙を何とかしたかったのだろう
俺と彩月は台所に向かった
棚を開ければ食器が綺麗に収納されていて、柄や形が統一されていた
きっとこの子の母親の趣味なのだろう、なんて考えていると
「あの…ありがとうございました…叫び声上げたり、泣きついてしまったのに優しくしてくれて…パパの…私の父のお墓まで作ってくれて本当にありがとうございます…!!!」
棚から視線を移すと水をもった彩月が頭を下げていた
「いや、俺も感謝されるより、むしろ謝るよ。強引に押し入るようなことしてごめんなさい。ご両親は助けられなかったけど君だけでも助けることができて、こうやって生きていてれてよかった。ありがとう」
俺自身、本当に思っていたことでもあったので同じく頭を下げた
「ほんとに生きてる方がいてよかったです…。自分だけなんじゃないかって思ってて…昨日の夜にゲームであんな選択した自分を責めて…。ほんとにこんな世界になるなんて思わなかったから…」
それを聞いて俺は思わず勢いよく頭を上げた
「ゲームの選択!?もしかしてモンスターハンターの奴の事!?俺も昨日同じようなのが出てきてYesを選択したんだ。そしたらこんな風になっていて、俺も自分を責めたよ…」
「え!!宗次郎さんも!?はい、私も皆が必要としてくれる、頼ってくれるこんな世界ならいいなって軽い気持ちでYesを選んだんです…。学校でも話す人もいないし、バイトでも失敗ばかり、家にいても会話もなくてご飯食べてお風呂出たらすぐ部屋に行ってゲームをする…。唯一モンスターハンターだけが私の心の拠り所になっていたんです…。」
この子も…俺と同じだ…。
日頃上手くいかなくて頼られることもない、怒られてばかりで入って来た新人達にどんどん抜かされて…。
でもモンスターハンターだけは違った
新人ハンターさん達に頼られて感謝されて…。
俺の拠り所でもあったんだ…。
「俺と同じだね…。俺、あのゲームで猟団の団長やってたんだ。団名はテトラポット、宗司て名前でハンターやっててさ。ほんと、あの世界はよかったよな。新しく入った人達にアドバイスしたり、狩りに行って素材集め手伝ったり…。わかるよ、その気持ち…。」
やっぱり望んじゃいけない世界なのはわかってる
だけど望んでしまう
だって、頼られるって感謝されるって現実じゃ考えられなかったから…。
でも現実はほんと残酷で…。なってみれば頼られるとか、感謝されるとか、そんな事今じゃどうでもよくなってる
だって、生きることに必死だから…。
3乙でクエスト失敗じゃない
たったの一回でクエスト失敗。失敗の意味するもの
それは「死」だ
望んだ世界なのに…。辛すぎるな…。
「さて、とりあえずパンとか簡単なものはあったみたいだし、戻ろうか?」
「は、はい!」
二人は弦条が待つリビングへ食料と飲み水をもって台所を後にした
ほんと戦闘シーン一切なしでぇす
もう少しこんな感じのが続きまぁす
よかったら飽きずに見てね!!