---イッセー---
ヤマトさんから説明を受けた。存在を消すのは簡単だけど、その消えた存在についての記憶を消すのは難しいらしい。ただ、存在自体は消えている訳だから、「誰か忘れた人」扱いで記憶には残るらしい。
シュウさんが仕込んだバイパーの記憶は残っている。シュウさんは消えていない存在だから。そのシュウさんと留学に行った者が二名も事実だから消えないらしいけど、行ったのが小猫ちゃんと「誰か忘れた人」になるらしい。
パブロフの犬ではないけど、条件付けで覚えている場合は、「誰か忘れた人」が誰であったか思い出す場合があるそうだ。まして、一緒にいる時間が長い場合なども存在しなかったことになっても、心や神器に刻みこまれている場合があるそうだ。
ただ、今回のように呪いを付加したタイムパラドックスの場合は、呪いが効いている限り、思い出すことはないらしい。
朱乃さんは、思い出してくれた。黒歌、ヴァーリもだ。思い出してくれても、混乱はしてしまうようだ。彼らの中では死んだことになっているし。いや、実際死んだんだよな、俺って…
---シュウ---
「私の額に記憶を埋め込んでおくとは…あのときに埋め込んだのね」
シーグヴァイラとある場所に向かっていた。
「僕の額は絶対神の紋章が埋め込まれているから、色々できるのさ」
「でも、兵藤一誠君だっけ?その人の事を思い出せないわ」
「あまり、縁がない人だと無理かもしれない。実際にアイツは死んだんだし」
目的地についた。悪魔向けの売春宿だ。ここにチームDxDのメンバーだった者が、性欲のハケ口として弄ばれていた。
「ようするに匙王が、遊びあきた女は手下の悪魔の玩具に払い下げってことかな?」
「まぁ、そんな感じよ」
「シーグヴァイラは、見つかるとマズイから、帰ってくれ。ごめん」
シーグヴァイラを彼女の家に強制転移させた。さてと、救出するかな。心の腐った悪魔はいらないよな。僕は斬った相手の魂を喰らう妖刀村正を手にした。そして、入っていく。不審者の僕を排除しようとする悪魔。迷わず、斬り捨てていく。例え知り合いであってもだ。
僕に敵意を向ける悪魔を次々に斬り捨てていく。やがて、用心棒らしいヤツが現れた。青髪だ。聖剣を振るう悪魔って矛盾していないのか?って思ったり。じゃじゃ馬剣を振り回している青髪ゼノヴィア。こいつは斬り捨てちゃダメだな。
「ゼノヴィア、久しぶりだな。お前が、こんな汚れ役をするとはな。生徒会長さん、背中の傷はいかがですか?ふふふ」
ゼノヴィアの感情を伴っていない顔に、変化があった。なにかを思い出したようだ。
「お前…」
「イリナと、お前の義理の姉のグリセルダ、アーシアはどこだ?」
青髪と見合っていても、手柄狙いの悪魔が襲ってくる。僕はかまわずに斬り捨てていく。ゼノヴィアの近くにいき、胸を鷲掴みにした。
「バイパー……」
「昔の様な剣士だったら、遊んでやったけど、今のお前はサイテーだな。昔の仲間が弄ばれているのに助けもしないなんて。斬り捨てる価値もない。」
「眷属悪魔は王の命令は絶対なんだ…」
「腐った悪魔には王を演じる権利はない。なぁ、匙王は王の器か?」
「私に聞かないでくれ…」
ゼノヴィアは俯いていた。
「そこを通してもらうぞ」
「あぁ」
ゼノヴィアが守っていたドアを開けて入った。地下に降りていく階段を下っていく。牢屋がいくつもある。入っているのは裸の女性ばかりだ。ここで品定めをするのか?
グリセルダは…ミイラ化していた。持参した聖布に丁寧くるんだ。イリナは?いた…目には生気がまるでなかった。片方の乳首はもげていて、治療をされなかったのか化膿していた。
取り敢えず、二人を抱えて、ベースキャンプに戻った。
---イッセー---
シュウさんの回復魔法により、イリナは治療され、グリセルダさん、デュリオ兄ちゃんは生き返った。
「イッセーどん、生きていたのか」
僕を抱きしめてくれた。蘇りをした者は魂から、真実を見ることができるらしい。グリセルダさんも僕を受け入れてくれた。
「デュリオ、神滅具は?」
「僕に残っていない。もう次の者に移ったみたいだ」
デュリオ兄ちゃんの返答を聞いて、難しい顔をしているシュウさん。
「さて、どうするか…殺すだけなら簡単だけど、シヴァさん、リセットしても収拾つかないかな?」
ヤマトさんの身体から女性が出て来た。
「この人は、ヤマトの世界の破壊神のシヴァさんだ」
シュウさんがみんなに紹介した。
「シュウさん、リセットをしても、この世界の創造神も殺されたのよね」
この世界の維持神 ヴィシュヌを庇い、創造神は殺されたらしい。匙はどんな能力を得たのだろうか?
「イッセー、匙が殺したんじゃない…」
シュウさんの歯切れが悪い。なんか嫌な予感がする。
「リアスの滅びの力でやられたんだ。匙はリアス、ソーナ、セラフォルーを使い、ジャマ者を排除している。イッセーの抜けた記憶の部分に匙の記憶を埋め込んだんだよ。最愛の人は匙なんだ。今はもう」
「じゃ、僕との想い出は、匙との想い出に?」
「そういうことだ」
そんなぁ…
「シヴァさん、創造神の代わりは僕がする。死ぬかもしれないけど、その時はヤマト、頼むよ」
「死んだらマズイでしょ?使役モンスターはどうする気ですか?」
「じゃ、どうするよ。リアスの滅びの力は厄介だぞ。リアスの相棒のライザーも強敵になっているし。全滅させて良いなら楽なんだけどなぁ」
「ちょっと、待って。物凄いヤツが接近しています」
索敵担当の小猫ちゃんが何かに気づいた。
「敵だと厄介だな。戦えるのは僕とイッセーくらいか?黒歌は戦えるか?」
え?俺も?
「状況が飲み込めにゃいけど、戦えるにゃん♪」
「行くぞ!」
-------
俺達3名は、ベースキャンプを出て、迎撃に向かった。確かに物凄いオーラを感じる。誰が来たのだ?
空気が一瞬揺らめいた。
「イッセー、バロールビューだ。黒歌がやられた」
え?ギャスパーか?どう戦えば良いんだ?オーフィス、力を貸してくれ…
『イッセー 力を解放して 我は 傍に行ける』
力を解放?どうやれば良いんだ?そうか、瞑想か、心を無に…俺の中で何かがはじけた。左腕に籠手が出現し、オーフィスのオーラを感じた。禁手化をした。漆黒に紅のフルアーマーを着込んだ俺。
「イッセー、オーフィスに再会して、良かったな」
シュウさんから念話が飛んで来た。うん、うれしいです。そして、見つけた。ギャスパーを。俺はアスカロンを、シュウさんは村雨をアイツの首元に当てた。
「待ってください…僕は敵じゃないです。イッセーさん、僕です。ギャスパーですよ」
俺の知っているギャスパーは男の娘だったが、目の前のギャスパーは、木場のようなイケメンに成長していた。
「イッセーさんのオーラを感じて、辿って来ました。僕達も一緒にいさせてください」
ヴァレリーがギャスパーの後ろから現れた。その姿を確認すると、シュウさんは刀を仕舞ったので、俺も籠手に収納した。
「なんで、お前、記憶が鮮明なんだ?」
「イッセーさんが留学から帰られた日に、嫌な波動を感じたんです。だから、ヴァレリーの能力で、波動の影響を受けないようにしたんです。そうしたら、みんなと僕達の記憶に差が出て来て。イッセーさんの部分が匙さんに置き換えられているみたいですよ」
匙のヤロー
「ギャー君?」
「小猫ちゃん?無事だったんだ」
小猫ちゃんとギャスパーは再会を喜んでいた。
「朱乃さんも、イリナもいるよ」
ギャスパーに教えてあげる。
「あとは、敵だな。イッセー」
そうですね。リアス、ソーナ、セラフォルーお姉さん、ゼノヴィア、木場、ロセ…アーシア…そして、シトリー眷属、バアル眷属、もしかするとグレイフィアさんもかな。
「シーグヴァイラだけでも、こちら側についてくれて助かったな」
そうですね。ベースキャンプを設置できたし。作戦を考えましょうよ、シュウさん。